第3回 転位が持つ応力場 転位を動かすための力(パイエルス応力) 転位のエネルギー 12/17 の内容
第3回
転位が持つ応力場
転位を動かすための力(パイエルス応力)
転位のエネルギー
12/17 の内容
第4回
転位のエネルギー転位は、原子が本来の位置からずれている状態にあるので、弾性ひずみエネルギーを持つ。らせん転位を例に、弾性ひずみエネルギーを導く。
rbp2
=弾性変位を生じた距離
弾性変位せん断ひずみ=
0
222ln
41
42
221
0 0rRGbdrr
Gbdrrr
bGWR
r
R
r ppp
p==÷
øö
çèæ= ò ò
drrr
bGdE pp
22
221
÷øö
çèæ=
左図は,単位長さ当たりの「らせん転位」である。転位の芯を中心として半径r の位置におけるせん断ひずみは以下の式になる。
半径 r における微小リング部分dr を考えると,その領域に蓄えられるひずみエネルギーは,
転位芯の半径をr0 ,図2の円柱の半径をR とすると,(転位芯近傍では変位が大きく弾性変形の仮定を用いることができないが,その領域のひずみエネルギーは十分に小さいため考慮しなくて
良い) 単位長さあたりの弾性ひずみエネルギーは,以下の式で表される。
転位のひずみエネルギーは,バーガースベクトルの大きさの2乗に比例する
転位のエネルギー
第4回
転位の運動転位の運動
一辺がL の立方体の中を転位が横断したとする。
このときのひずみは b / L転位がx (0 < x < L) 移動した時(横断している途中)のひずみをxb / L2 とする(上図a中央)。
N個の転位が平均距離 x 移動するときのひずみは,下図(b)のように
転位密度 =「単位長さに含まれる転位の全長」とすると、
なので、
となる。�� = �����
� =����
�� = ���
「ひずみ速度」は転位の平均移動速度をvとして、次の式で定義される
����5
= ���
第4回
パイエルス応力とオロワン応力パイエルス力
単位長さあたりの転位に働く力をf とする。下図における転位線の長さはL(立方体の奥行きに相当)で,この転位線を横方向にLだけ動かしたことになるので、転位に働く力fLは,fL2 の仕事をしたことになる。一方,転位の運動の結果,結晶面がbだけ移動するため、外力がした仕事はL2b と表される。([せん断応力×負荷面積]が負荷された外力で、それに移動距離をかける)。これらの仕事が等しいと考えると,f =b が単位長さあたりの転位を動かす力となる。これをパイエルス(Peierls)力と言う。
転位に働く力(パイエルス力×長さ)と,張力T(上図参照)のつりあいより、
= 90°のときが張力最大となるため、転位線を伸ばすために必要な剪断応力は
��� = 2�sin �
� =2���
第4回
パイエルス応力とオロワン応力-2パイエルス力
転位が直線になろうとする張力が発生するのは,その弾性ひずみエネルギーを低下させるためである。すなわち,転位の弾性ひずみエネルギーから張力を見積もることが出来る。
T=1/2Gb2とすると、転位を動かすために必要な剪断応力は結局、
� =2���
=���
��=���
転位の単位長さあたりの弾性ひずみエネルギーは, であった(本日のスライド1)。
���
4�ln���
一般的に lnR/r0 が2pあるいは4pであるとして,転位に蓄えられる単位長さあたりの弾性ひずみエネルギー(転位に働く張力)を1/2Gb2 あるいは Gb2 とする教科書が多い(転位の芯の構造について詳細が不明なので導入された仮定)。
となる。これをオロワン(Orowann)応力と言う。
第2回
転位のまわりの応力場(イメージだけで良いです)