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3.2 豊明市立双峰小学校 放課後日本語教室の実践 報告者:藤井 雛 1.放課後日本語教室について 豊明市立双峰小学校に通う 1 2 3 年生の外国人児童を対象として、小学校の 5 限目に、 日本語の初期指導や教科指導を行っている。各学期 5 回、年間 15 回をめどに行っている。 対象児童数の変動はあまり見られないが、ボランティアに参加する学生は年々増加傾向に ある。日本語教育コースの学生だけでなく、教員養成課程の様々な学科の学生が支援に参 加にあたっており、外国人児童生徒支援への関心が高まってきていると考えられる。 また、以前はブラジル籍の児童が多かったが、フィリピン籍の児童も増えてきている。 児童は日本生まれや幼少期から日本で生活をしている児童、外国から直接来日し入学・編 入した児童など、国籍やかれらのもつ背景が多様化してきている。学年に応じてクラス編 成を行っているが、平成 24 年度からは日本語の初期指導を行うクラスも増設した。 2.実施概要 平成 23 年度から平成 25 年度までの実施概要を以下に記す。なお、参加学生数、参加児 童数ともに各年の最終回時点のデータである。 【平成 23 年度】 ・実施期間:平成 23 年 5 月 25 日~平成 24 年 3 月 14 日 水曜日 15:05~15:50 ・実施回数:年間 15 回(1 学期 4 回、2学期 6 回,3学期 10 回) ・対象児童:25 名(1 年生 5 名、2 年生 9 名、3 年生 11 名) ・ボランティア学生数:延べ 157 名 【平成 24 年度】 ・実施期間:平成 24 年 5 月 23 日~平成 25 年 3 月 6 日 水曜日 15:05~15:50 ・実施回数:年間 15 回(1 学期 4 回、2 学期 6 回、3 学期 5 回) ・対象児童:20 名(1 年生 6 名、2 年生 7 名、3 年生 7 名) ・ボランティア学生数:延べ 101 名 【平成 25 年度】 ・実施期間:平成 25 年 5 月 22 日~平成 26 年 2 月 19 日 水曜日 15:05~15:50 ・実施回数:年間 15 回(1 学期 5 回、2 学期 7 回、3 学期 3 回) ・対象児童:25 名(1 年生 14 名、2 年生 4 名、3 年生 7 名) ・ボランティア学生数:延べ 140 名 3.放課後日本語教室の様子・成果 子どもたちにとって、月1~2回行われる放課後日本語教室は“大学生のお兄さん、お
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Aug 06, 2020

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3.2 豊明市立双峰小学校 放課後日本語教室の実践

報告者:藤井 雛

1.放課後日本語教室について

豊明市立双峰小学校に通う 1・2・3 年生の外国人児童を対象として、小学校の 5 限目に、

日本語の初期指導や教科指導を行っている。各学期 5 回、年間 15 回をめどに行っている。

対象児童数の変動はあまり見られないが、ボランティアに参加する学生は年々増加傾向に

ある。日本語教育コースの学生だけでなく、教員養成課程の様々な学科の学生が支援に参

加にあたっており、外国人児童生徒支援への関心が高まってきていると考えられる。

また、以前はブラジル籍の児童が多かったが、フィリピン籍の児童も増えてきている。

児童は日本生まれや幼少期から日本で生活をしている児童、外国から直接来日し入学・編

入した児童など、国籍やかれらのもつ背景が多様化してきている。学年に応じてクラス編

成を行っているが、平成 24 年度からは日本語の初期指導を行うクラスも増設した。

2.実施概要

平成 23 年度から平成 25 年度までの実施概要を以下に記す。なお、参加学生数、参加児

童数ともに各年の最終回時点のデータである。

【平成 23年度】

・実施期間:平成 23年 5月 25日~平成 24年 3月 14日 水曜日 15:05~15:50

・実施回数:年間 15回(1学期 4回、2学期 6回,3学期 10回)

・対象児童:25名(1年生 5名、2年生 9名、3年生 11名)

・ボランティア学生数:延べ 157名

【平成 24年度】

・実施期間:平成 24年 5月 23日~平成 25年 3月 6日 水曜日 15:05~15:50

・実施回数:年間 15回(1学期 4回、2学期 6回、3学期 5回)

・対象児童:20名(1年生 6名、2年生 7名、3年生 7名)

・ボランティア学生数:延べ 101名

【平成 25年度】

・実施期間:平成 25年 5月 22日~平成 26年 2月 19日 水曜日 15:05~15:50

・実施回数:年間 15回(1学期 5回、2学期 7回、3学期 3回)

・対象児童:25名(1年生 14名、2年生 4名、3年生 7名)

・ボランティア学生数:延べ 140名

3.放課後日本語教室の様子・成果

子どもたちにとって、月1~2回行われる放課後日本語教室は“大学生のお兄さん、お

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姉さんたちが勉強を教えてくれる楽しい時間”で

あり、この教室を楽しみにしている子どもたちが

多いようである。

日本語初期指導クラス・1年生のクラスでは語

学指導員に入っていただき、日本語の理解が十分

でない子どもに対して学生が出した指示などを補

助的に通訳してもらい、日本語が不十分であって

も活動に参加でき、楽しいと思える時間にするよ

うにした。また、プリント学習だけでなく、運筆練習のためのお絵かきや体を動かしなが

らの学習、歌やゲーム、短冊・年賀状作成などの日本文化体験といった活動的な学習を多

く取り入れるようにして、子どもたちの学習意欲を高めることを目指した。『日本語学級Ⅰ』

を用いて、まずは学校生活や日常生活ですぐに使える日本語・日本語表現の理解を促した。

絵カードや具体物などの視覚教材を用いながら、ゲームやごっこ遊びをしながらの活動は

とても楽しそうに取り組んでいた。また、支援の際には今後の在籍学級での学習にも適応

できるように、挙手をしてからの指名を徹底する

ことも心掛けた。

2・3年生クラスでは、国語(日本語)と算数

を中心に教科学習につながる日本語指導を行った。

国語(日本語)の指導では、年度前半で語彙を増

やすことを目標とした。同意語や反意語、授業で

習った表現やその時々の季節に関する言葉などを、

実物を見せたりカードを使ったりしながら教えた。

年度後半では文(文章)を作ることをめあてとし、自分の意見や思い、将来の夢などを書

いて発表する活動を取り入れた。また、算数の指導では、文章問題の「意味」を正しく理

解し、立式できるようになることを目指して支援を行った。初期の段階では「あわせて」

や「のこりは」などのキーワードとその意味を重点的に教え、キーワードに気をつけて文

章問題を読めるように指導した。その後は、ブロックや実物を模したものなど視覚的にわ

かりやすい教材を用意し、児童が自分で文章問題の意味をつかめるよう支援した。さらに、

座席の工夫や個別プリントを作成することで、個々の自分で学ぶ力を伸ばそうと支援に努

めた。個々の差はあるものの、問題の解き方を教えあったりする姿や他の児童の作文をし

っかり聞こうとする姿など、集団支援だからこそ生まれる子どもたちの姿がいたる場面で

見られた。

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以前は指導案やプリント・教具などはリソースルームが準備していたが、平成 24年度か

らは学生にも指導案づくりや教具づくりを担当してもらった。平成 25年度は、ボランティ

ア学生が同じ児童を継続して指導できるよう学生の担当クラスをある程度固定化した。継

続的に児童の支援をすることで、子どもたちとの人間関係づくりをスムーズに行えるよう

になり、個々の成長を実感できるようになり、個に合わせた指導法を考えられるようにな

ったという学生の声もあった。

支援後には毎回報告会を行った。支援後、学生には報告書に学習内容・クラスの様子・

各児童の様子などを記入してもらい、担当したクラスの様子や学習内容、気付きなどを報

告し情報共有を行い、支援中に抱いた疑問や子どもたちへの対応方法などする時間を設け

た。この報告書は次回支援にあたる学生への引き継ぎノートのような役割もしており、初

めて支援に参加する学生にとっても子どもたちの情報を得るための大切なツールとなって

いた。先生方からは日本語・教科の指導にかかわること以外にも、教師として子どもたち

の前に立つ際のふるまい方や具体的な対応策をアドバイスしていただき、学生たちにとっ

ては今後の支援のヒントを得ることのできる非常に有益な時間であったと思う。

4.今後の課題

同じ学年でクラス分けしているとはいえ、日本語能力や学習能力には差があり、その差

の縮小は難しい。クラス内での個人差を考慮し、「個に応じた」指導を行えるように工夫し

ていくことが求められる。一斉指導の形態で学習活動を行うときは、どの子のレベルに合

わせて指導内容を設定するか、メインで指導している学生以外の学生はどのようにサポー

トをするかなど、子どもたちの個の実態をしっかりと把握し、支援に生かし、クラスとし

ての学びがより豊かなものになるようにしていきたい。また、個別・小グループでの指導

もできるようにクラス内でさらにクラスを細分化し、より「個に応じた」指導が行えるよ

うにしていきたい。個別・グループによる細やかな指導実現のためにも、リソースルーム

では学生の確保を継続的に行っていかなければならないと思う。個別・小グループ指導に

おいてはある程度の指導技術を要するため、勉強会や学生と共同して指導案・教具の作成

をしながら、日本語の担当教員・学級担任の先生方とも連携を強め、支援におけるアドバ

イスなどをしていただき、学生の指導技術を高めていけるようにサポートしていきたいと

考えている。