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科学研究費助成事業 研究成果報告書
様 式 C-19、F-19-1、Z-19 (共通)
機関番号:
研究種目:
課題番号:
研究課題名(和文)
研究代表者
研究課題名(英文)
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)
33101
若手研究(B)
2016~2014
自動車内装材に含まれる難燃剤成分の車内挙動及び循環時リスクの評価
Risk assessment of phosphorus flame retardant in automotive interior material recycling proccess
研究成果の概要(英文):In the use of phosphorus-based flame retardants in automobile interior materials, mainly condensed type DEG-BDCIPP was used for flame retarding of urethane. In addition, the transition of phosphorus flame retardant from recycled materials was confirmed in the vehicle vibration proof material manufactured before 2003.In examining the transition from automobile interior parts to car interior dust, the flame retardant was transferred in two paths: volatilization and contact. Transition of the flame retardant was primarily due to contact, and its transferability depended on the vapor pressure of the flame retardant.In the ASR recycling process, condensed phosphate esters flame retardant was hydrolyzed, and phenol compounds having high toxicity and releasing property were produced.
研究分野: 環境工学
キーワード: 自動車内装 ASR リサイクル 有機リン系難燃剤 ダスト リスク
1版
様 式 C-19、F-19-1、Z-19、CK-19(共通)
1.研究開始当初の背景 自動車内装材には、ダッシュボードやトリ
ムの樹脂をはじめとして、床面、座面の布地、シート内の軟質ウレタンに加えて、様々な防音・防振材など多様な素材が使用されている。これら自動車内装材には JIS D1201:自動車,及び農林用のトラクタ・機械装置−内装材料の燃焼性試験方法に定める防炎性が必要とされる。加えて、ダッシュボードやシートなどは高温多湿や太陽光線に晒されるため、耐候性も必要とされ、これらの性能要求を担保するために難燃剤をはじめとする各種の添加剤が使用されている。室内環境においては家電製品などに使用された難燃剤が室内ダストに移行し、人体への曝露の主要な経路となっていることが報告されている。しかしながらこれら添加剤成分の車内における挙動や車内ダストへの移行性については不明な点が多い。車内は室内と比較して、夏期にきわめて高温となるほか清掃が不十分で車内環境のダスト濃度が高くなる。加えて、通勤やレジャーにおいて自宅やオフィスに次ぐ滞在時間を過ごす他、業務上車両を運行する場合は自宅に次ぐ長時間車内に滞在する可能性も懸念される。したがって自動車内装材に使用される添加剤成分の曝露リスクは詳細に検討する必要があると考えられる。 自動車内装材の大部分は自動車の廃棄時に ASR として排出される。使用済自動車の再資源化等に関する法律において、ASR のリサイクル率に関する基準が定められており、そのリサイクル率の基準は平成22年度から50%であり、平成27年度から70%に上方修正される。ASR のリサイクル法としてはガス化溶融などの熱的リサイクルの他、防音・防振材などの露出しない内装材への再生材利用が行われている。 樹脂や繊維の難燃化に用いられる難燃剤として最も使用量が多い臭素系難燃剤のうちデカブロモジフェニルエーテル類(PBDEs)はペンタ製剤が POPs 条約の付属書 A 対象物質に挙げられているほかデカ製剤もその規制対象とする提案がなされおり、自動車内装材においても代替化が進められている。この傾向は平成25年4月に COP6 において付属書 A に追加が決定したヘキサブロモシクロドデカン類(HBCDs)においても同様である。この代替難燃剤として次世代有機臭素系難燃剤(NBFRs)とならんで近年需要が増加している難燃剤として縮合リン酸エステル類難燃剤(CPE 難燃剤)を代表とする有機リン系難燃剤(PFRs)が挙げられる。自動車内装材のうち強度が要求される部位に用いられる ABS樹脂の難燃化には代表的な CPE 難燃剤であるビスフェノール A ビスジフェニルホスフェート(BPA-BDPP)が用いられている他、V-6
などの含塩素 CPE 難燃剤を含む製剤が自動車内装ウレタンに使用されていることが報告されている。しかしながら我々のグループの検討において CPE 難燃剤のレゾルシノールビスジフェニルホスフェート(RDP)が加水分解性を有し、放出性の高いフェノールやレゾルシノールを生じるほか、BDP も同様に加水分解し、若干ではあるが有害性の高いビスフェノール A を生じることが確認されている。 2.研究の目的 以上の背景から、本研究においては有機臭
表3 加熱冷却処理の有無によるPBDPP製剤添加 RPF の最終分解生成物の生成濃度 5.主な発表論文等 (研究代表者、研究分担者及び連携研究者には下線) 〔雑誌論文〕(計2件) Hidenori Matsukami, Tomohiro Kose, Mafumi Watanabe, Hidetaka Takigami: Pilot-scale incineration of wastes with high content of chlorinated and non-halogenated organophosphorus flame retardants used as alternatives for PBDEs, Science of The Total Environment, 493, 15, 672-681 (2014) Natsuko Kajiwara, Hidetaka Takigami, Tomohiro Kose, Go Suzuki, Shin-ichi Sakai: brominated flame retardants and related substances in the interior materials and cabin dusts of end-of-life