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20 2 はじめに なぜ今、連携なのか? 企業連携の種類 連携するきっかけ 成功する企業連携の流れ 戦略企画フェーズ 連携先調査・打診フェーズ 連携計画策定フェーズ 契約フェーズ 実施・モニタリングフェーズ 10 解消フェーズ 11 企業連携成功の勘所 12 国の支援策
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ビジネス連携 Vol2

Jan 22, 2017

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Business

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2 はじめに

1 なぜ今、連携なのか?

2 企業連携の種類 3 連携するきっかけ

4 成功する企業連携の流れ

5 戦略企画フェーズ

6 連携先調査・打診フェーズ

7 連携計画策定フェーズ

8 契約フェーズ

9 実施・モニタリングフェーズ

10 解消フェーズ

11 企業連携成功の勘所

12 国の支援策

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それでは具体的に企業連携について説明していきます。

2章では、企業連携の種類を紹介します。何を軸として2社間または複数社の連携を考えるか、ここから理解を始めましょう。

7つに分類してはいますが、考え方の分類であり、それぞれは排他的ではありません。

検討の段階、検討の切り口の違いによって、分類は様々であるので、ある面ではこの種類の分類、違う面では別の種類の分類であることもあります。

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企業連携は7つのパターンに分類することができます。

考え方の整理のための便儀上の分類であって、内容が重複するところもありますが、大枠でイメージしやすい分類としています。

事業ドメイン戦略での連携 1

ビジネスモデル戦略での連携 2

バリューチェーンでの連携 3

商品の連携 4

商品開発面の連携 5

技術面の連携 6

獲得したい経営資源での連携 7

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企業の成長戦略を考えるとき以下の図が頭に浮かぶでしょうか。

企業がどの方向に成長していくかを考えるとき、自社単独で実現しようとするのと他社と連携して実現するというのでは、計画の大小、選択肢の数が違ってきます。

市場・顧客

製品・技術

新規

新規

既存

既存

①既存ビジネス ③新規顧客獲得

②新商品提供

強化・浸透

新商品 新技術

新ターゲット

新ドメイン創造

④多角化

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①では、既存ドメインを強化または守るための連携です。 共同仕入れ、共同販促、共同生産などが考えられます。

②では、技術提携、共同研究開発など

③では、ライバル企業とのクロスセリング、共同マーケティングなど

④では、上記の他、資本提携、人材交流等複合的な連携が考えられます。

市場・顧客

製品・技術

新規

新規

既存

既存

①既存ビジネス ③新規顧客獲得

②新商品提供

強化・浸透

新商品 新技術

新ターゲット

新ドメイン創造

④多角化

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ビジネスモデルを描くとき、各人いろいろな書き方があると思いますが、単純でわかりやすいのは、登場人物に、モノ、金の流れを矢印で描いたものでしょう。

その流れ、パーツの中のどの部分が自社でやらないのか?を見える化するだけで、他人と話ができる絵となります。

この部分は自社 ではやらない、 他社にやってもらう

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前出の事業ドメイン戦略での連携と同じで、大枠、大雑把なレベルでの考え方です。

しかし、企画の段階、連携先候補企業への打診の段階、初期の2社間でのトップ同士の会話などでは、このような資料(絵)があると、話がスムーズに進む事が多いです。

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バリューチェーンとは自社の商品が生まれて顧客に届くまでの流れの各段階における付加価値の流れ(連鎖)の事を言います。

自社の競争優位性の源泉、弱みを明確にするための分析手法なのですが、これを連携を考えるために活用します。

ミクロな視点で自社の業務の流れにフォーカスすれば、「業務プロセスでの連携」と言い換えてもかまいません。

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連携の仕方は、水平方向の企業連携、垂直方向の企業連携が考えられます。 弱い部分/効率の低い部分は他社と共同で行う。

価値の低い部分/コストがかかりすぎる部分は他社に任せる。

強い部分を他社と協力してより強化する。

などが考えられます。

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これを、サプライチェーンなど業界全体の流れで見れば、

水平方向の連携・・・同業者との連携

垂直方向での連携・・・川上/川下業者との連携

となります。

業界の抱える課題は、自社のみならず他社でも認識しているはずなので、連携のきっかけをつかみやすい分類の仕方でもあります。

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この商品の連携については理解しやすいでしょう。

考え方はごく自然に A社の商品にB社の商品を組み合わせて差別化する、付加価値を高める

A社の既存製品の問題点を解決するためにB社の商品を使って A‘という改良商品を作る

A社とB社が商品を工夫しながらCという新しい商品を作る

といった具合です。

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例を挙げれば、こんなかんじです。

左は、江崎グリコ株式会社と、日清シスコ株式会社の 「 ココナッツサブレ 」 とコラボレーションした 『 ココナッツサブレサンドアイス 』

右は、コクヨS&T株式会社と、B-R サーティワン アイスクリーム株式会社とのコラボレーションによるカラフルでポップなノートです。

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頭を柔らかくしていただくために、別の例も挙げておきます。

昔からあるキャラクターとのタイアップ商品はもちろんのこと、最近は、販促を目的としたアニメ/マンガ等のキャラクターとのコラボレーションが増えていることにお気づきでしょうか?

↑名古屋競輪と魔法少女「ぴすとっ」

←クレアボーテと峰不二子

↓ファミリーマートと初音ミク

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ここで言う商品開発面での連携というのは、「4商品の連携」とは別の分類です。

企画、研究、材料調達、開発(試作)、テスト販売、量産化 など、製品が生まれるまでの過程は長く、険しく、それぞれに問題、課題があります。

それぞれの過程のリスクを、企業連携によって最小化し、最終商品の価値を最大化するための連携が、「商品開発面での連携」です。

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商品開発の大まかな流れを、研究、生産、販売と分けると

研究ステージでは、 共同研究、共通プラットフォーム利用、人材交流、etc

生産ステージでは、 共同開発、ライセンシング、技術供与、製造委託、OEM、etc

販売ステージでは、 代理店契約、販売店契約、共通プラットフォーム利用、クロスセル、etc

があります。

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技術面での連携は、他の分類の中でも度々登場しています。

あえて独立して分類しているのは、この技術面での連携は、連携の中でも、多くの割合を占めるからです。

後述しますが、中小企業新事業活動促進法に基づく連携支援(以下「新連携」という)の状況を見ると、ある年度では、製造・加工に分類される連携が65%を占めています。

平成17年度認定 新事業活動分野の分野別割合

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技術面での連携を、言葉で表現すれば共同開発、技術供与、ライセンシングなど、ひとくくりにされてしまいます。

しかし、世に数ある商品の部品、製造方法などを考えれば、それに携わる企業、持ち寄る技術、ノウハウなどは、膨大なものになることは想像に容易いはずです。

当然のことながら、自社のみの技術/ノウハウだけでなく、他社の技術/ノウハウを組み合わせることで、より差別化できる商品、競争力のある商品が生まれます。

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新連携に認定された事案の中から紹介します。

左図は、従来型のセメントタイプのものより2倍の耐久性を持つコンクリートです。試験、製造技術の確立について連携した例です。

右図は、シロアリ対策に効果のある薬剤をしみ込ませた木材で、建材企業が、薬剤調剤/販売企業、機械装置製造企業と連携して実現しました。

コア企業 土木地質(株)の新商品 コア企業 A&Kホーム建材(株)の新商品

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最後の分類方法は、「他社から獲得したい経営資源」での連携です。

具体的には

財務資産(金融資産、現物資産、有形資産、無形資産)

経営基盤資産(人、スキル、ノウハウ、設備、情報システム)

顧客資産(顧客、顧客情報、顧客との関係、ブランドイメージ)

などです。

自社が経営戦略上の目的を達成するために、必要なものが明確で、なおかつ自社になく他社から調達したいものです。

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以上、企業連携を7つに分類してみました。

これから、企業連携によって何かしらの目的を達成しようとしている方にとって、これを覚えることは重要ではありません。

重要なのは、自社が今からしようとしている事(もしくはしている事)が企業連携なんだ、と気づくことです。

これから事を起こすとき、つまりビジネスを立ち上げる、ビジネスを変革しようとするときに、それがビジネス連携であると認識できれば、それに必要な準備ができるのです。

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自社単独でビジネスを創るのと、複数社が絡んでビジネスを創るのでは、勘所が異なります。

企業連携を進めようとしているのにも関わらず、自社単独でビジネスを創ろうとすると、「あれ?こんなはずじゃなかった」となることがあります。

そうならないように、ポイントを押さえながら進めていく必要があるのですが、それにはまず、それが「企業連携」であることを認識しなければなりません。

本レポートの後半では、企業連携の進め方のポイントをまとめています。