N 従来の垂直で不透明な壁ではなく、膜の壁に覆われた 亀裂の境界が新しい環境を生み出す。 亀裂の壁面と屋根面を開閉可能なガラスにすることで、亀裂の 空間は半外部のような空間となり、内部空間はどこからともな く風が流れる、とても明るい空間となる。 風の流れ 風の流れ 日の光 膜の柔らかさを生かし、自由曲線で描かれた平面を組み合わせ て空間を構成する。いくつものドームが連結したような、大らか な空間となる。 3. 風 と 光 の 流 れ 込 む 亀 裂 の 空 間 4. 平 面 図 1 / 2 0 0 5. 断 面 図 1 / 2 0 0 6. 北 側 立 面 図 1 / 2 0 0 柔 ら か な 亀 裂 膜材特有の柔らかさは、他の材では決して得られない特性である。ここでいう柔らかさとは、材自体の質感から光の通し方など、室内環境をつくる特性をも含んだものである。 膜は、人と自然を近づけてくれる素材であるとも言える。しかし一般的にこれまでの膜材の使用は、 大空間の屋根面や建物外皮に限られていたため、他の材料に比べ、膜材を 身近に、その柔らかさ・大らかさを体験することはほとんどなかった。 そこで境界面における膜材の新しい使われ方、新しい膜空間として、固く不透明な壁を裂くように、膜材で覆われた柔らかな亀裂の空間を用いた公共施設を提案する。この亀 裂空間は、建築全体に柔らかな風と日光に包まれた、快適な環境をもたらす。また、平面を膜材の柔らかさを生かした自由曲線にすることで、亀裂の空間とドームのような空 間が組み合わされた、たいへん大らかな空間構成をつくりだしている。 本案では、プログラムとしてメディアテークを想定しているが、図書館や美術館などの他の公共施設においても、有効な空間構成であると考えられる。 1. 亀 裂 と 膜 か ら 生 ま れ る 新 し い 環 境 2. 自 由 曲 線 に よ る 平 面 の 群 れ