第13 回全国高等学校ビジネスアイディア甲子園役に立つ優しさを形に高校生の視点から、世の中を楽しくし、役に立つ商品やサービス、 ビジネスアイデアなどを提案する「第 回全国高等学校ビジネスア イディア甲子園」(大阪商業大学、毎日新聞社主催)の最終審査と 表彰式が昨年 月 日、東大阪市の大阪商業大であった。グランプ リ1件、準グランプリ2件、審査員特別賞5件が選ばれ、賞状など が贈られた。記念講演では、ハウス食品(東京都千代田区)事業戦 略本部の宮奥美行・食品事業1部長が、同社の代表的ヒット商品の バーモントカレーを事例に、商品作りの面白さについて話した。 【中川博史】 講 評 大商大経済学部 柴田孝准教授 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 審査委員長 記念講演 「商品づくりの面白さ ~バーモントカレーを事例に~ 」 ハウス食品 事業戦略本部食品事業1部長 宮奥美行さん その他の受賞者 グ ラ ン プ リ 準 グ ラ ン プ リ 準 グ ラ ン プ リ 迷ったら「やる」過程大事に 運営を担当した大商大の 学生たち 開会のあいさつ をする大商大の 谷岡一郎学長 「 ビ ジ ネ ス ア イ デ ィ ア 甲 子 園 」 は 「 世 に 役 立 つ 人 物 の 養 成 」 を 建 学 の 理 念 に 掲 げ る 大 商 大 が 、 世 の 中 の 変 化 に 柔 軟 に 対 応 し 、 自 立 し た 人 材 の 育 成 を 目 的 と し た 「 起 業 教 育 」 の 実 践 の 場 と し て 、 2 0 0 2 年 に 創 設 し た コ ン テ ス ト 。 商 品 化 の み を 目 指 す の で は な く 、 試 行 錯 誤 や 若 者 な ら で は の 発 想 、 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 能 力 な ど も 含 め た 総 合 的 な 能 力 を 審 査 す る 点 が 特 徴 と 言 え る 。 年 度 に は 、 文 部 科 学 省 の 「 特 色 あ る 大 学 教 育 支 援 プ ロ グ ラ ム 」 に 選 ば れ 、 年 か ら は 毎 日 新 聞 社 も 主 催 に 加 わ っ て い る 。 同 大 は 「 新 し い ビ ジ ネ ス プ ラ ン を 構 想 し て み る こ と は 、 将 来 起 業 家 や 経 営 者 を 目 指 す 人 だ け で な く 、 目 的 意 識 を 持 っ た 大 学 進 学 や 将 来 の 進 路 選 択 に も 大 い に 役 立 つ 」 と 意 義 づ け て お り 、 さ ら に レ ベ ル ア ッ プ し た 実 学 教 育 の 一 環 と し て 、 在 学 生 を 対 象 と し た 「 大 商 大 ビ ジ ネ ス ・ ア イ デ ィ ア コ ン テ ス ト 」 も 開 催 し て い る 。 今 回 は 全 国 1 7 6 校 か ら 8 1 0 9 件 の 応 募 が あ り 、 3 回 の 審 査 を 実 施 。 最 終 審 査 は 学 内 の ホ ー ル 「 蒼 天 」 で 開 か れ 、 通 過 者 が 5 分 の 持 ち 時 間 で プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン に 臨 ん だ 。 各 賞 は 人 の 審 査 委 員 で 決 定 し 、 優 秀 な ア イ デ ア を 数 多 く 応 募 し た 学 校 に は 、 学 校 賞 と し て 校 が 選 出 さ れ た 。 谷 岡 一 郎 学 長 は 開 会 の あ い さ つ で 「 私 は 例 年 、 こ の 時 期 に な る と ウ キ ウ キ し た 気 分 に な る 。 非 常 に 狭 き 門 に な っ て い る 中 、 最 終 的 に 残 っ た 素 晴 ら し い 応 募 作 品 の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を 聞 く こ と が で き る か ら だ 。 し か し 、 結 果 で は な く 、 チ ャ レ ン ジ す る プ ロ セ ス が 大 事 。 本 学 は 『 や る か や ら な い か 迷 っ た ら 、 必 ず や る 』 を モ ッ ト ー に し て い る 。 人 生 で も 、 同 じ こ と が 言 え る 」 と 、 意 欲 の 大 切 さ を 訴 え た 。 運 営 は 、 昨 年 に 引 き 続 き 、 ア イ デ ィ ア コ ン テ ス ト 受 賞 の 同 大 学 生 ら が 担 当 し た 。 プレゼン内容・方法高評価 8件のプレゼンテーションは、素晴 らしい発表だった。レベルが高く、準 備や練習、方法や工夫に敬意を表する。 共通していたのは「身近な困難」「少 しの優しさ」というキーワードだった と感じている。グランプリは「こうい うものがあれば助かる」と思わせる。 準グランプリの2件は、逆の発想の秀 逸さ、先輩のアイデアをさらに工夫す る、などの点に感心した。他の5件も 高い評価だった。 気になったのは、よく似た製品が既 に市場に出ているケースがあった点。 より独自性を出すため、事前のリサー チにも、これまで以上に力を注いでほ しい。 明 治 時 代 、 カ レ ー は 憧 れ の 食 べ 物 で 、 洋 食 の 定 番 だ っ た 。 カ レ ー が 普 及 し た の に は 、 さ ま ざ ま な 説 が あ る が 、 現 在 で は 、 地 域 性 を 持 つ よ う に な り 、 街 づ く り に 生 か し て い る と こ ろ も 多 い 。 商 品 作 り の 面 白 さ は 「 人 」 「 モ ノ 」 「 コ ト 」 全 て に 「 興 味 を 持 つ 」 こ と が 原 点 に あ る 。 1 9 6 3 年 に 発 売 し た 「 バ ー モ ン ト カ レ ー 」 は リ ン ゴ や ハ チ ミ ツ を 加 え て 、 マ イ ル ド で と ろ り と し た 若 い 女 性 や 子 ど も 向 き 。 従 来 の カ レ ー の 常 識 を 覆 し た コ ン セ プ ト で 開 発 し た 。 2 0 0 6 年 に は 「 北 海 道 ホ ワ イ ト カ レ ー 」 を 発 売 し た 。 従 来 の カ レ ー の 概 念 と は 違 っ て い た が 、 ス ー パ ー で 夫 婦 が 「 白 ご は ん で 食 べ る 」 「 黄 色 の タ ー メ リ ッ ク ラ イ ス で 食 べ る 」 と 言 い 合 っ て い る 場 面 に 出 く わ し 「 家 庭 の 中 で 商 品 が 話 題 に な る 」 と い う 点 で 、 大 き な 意 味 が あ っ た と 考 え て い る 。 一 つ の 製 品 を 市 場 に 出 す に は 、 開 発 研 究 、 マ ー ケ テ ィ ン グ 、 品 質 保 証 、 お 客 様 調 査 、 生 産 工 場 な ど 、 さ ま ざ ま な 専 門 セ ク シ ョ ン が 関 わ る 。 自 分 の 考 え を 社 内 外 の 人 に 理 解 し て も ら い 、 フ ァ ン に な っ て い た だ く 。 商 品 作 り は 、 こ の 繰 り 返 し 。 興 味 の 対 象 は 変 化 ・ 連 鎖 し て い く 。 い ろ ん な こ と に チ ャ レ ン ジ し て ほ し い 。 〈審査員特別賞〉 「 」‖北海道富良野緑峰高2年 グループ「短パンこぞう」(代表・相沢拓弥さん、海馬 沢永さん)▽「ふせんコロコロ」‖大阪府立貝塚高3年 グループ「コロコロし隊」(代表・北村日向子さん、伊 佐治央子さん)▽「代わりに話すインターホン」‖同府 立八尾北高1年、喜多光瑠さん▽「ファストフード店の ドリンクのフタのアイデア」‖大阪商業大学高2年、西 田賢司さん▽「割り箸用バリアフリー箸クリップ」‖岡 山県立岡山東商業高3年、物部祐季さん 〈学校賞〉 広尾学園中・高▽埼玉県立八潮南高▽静岡県立伊東商業 高▽愛知県立愛知商業高▽同県立一宮商業高▽同県立春 日井商業高▽同県立緑丘商業高▽滋賀県立大津商業高▽ 大阪市立扇町総合高▽同市立大阪ビジネスフロンティア 高▽大阪府立貝塚高▽同府立登美丘高▽大阪商業大学高 ▽好文学園女子高▽岡山県立岡山東商業高▽同県立岡山 南高▽同県立倉敷商業高▽広島県立広島皆実高▽九州産 業大付属九州高▽別府溝部学園高 挫折を発展に変えて 5年ほど前から応募しているが、学 校賞をいただいたのも、決勝の舞台で ある最終審査に生徒のアイデアが残っ たのも初めて。「やれるぞ」という手 応えを感じている。 最初は「賞なんて取れるの?」と言っていた生徒 たちだが、そのうちの1人が大学で賞を取り、報告 に来てくれた。その生徒が3年の時、本校に来て指 導してくれたのが、大商大の学生さんだった。 応募の過程で、企業の方の目で見てもらうと、足 りない点が分かってくる。厳しい目なので、挫折も するが、やがて発展に変わる。ビジネスアイディア 甲子園のような場を通して、さらにアイデアの発展 のさせ方を学びたい。 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 莢 学校賞 校の中から 大阪府立貝塚高 窪井和希教諭 「 ま さ か 、 自 分 が 1 番 を 取 れ る と は 思 い ま せ ん で し た 。 す ご く う れ し い 」 考 案 し た の は 、 室 内 や 屋 外 な ど 、 ど ん な 場 所 で も 、 い つ で も 素 早 く 手 を 清 潔 に で き る カ プ セ ル タ イ プ の ハ ン ド ク リ ー ナ ー 。 小 型 の 容 器 を 開 け て 粒 状 の カ プ セ ル に し た ク リ ー ナ ー を 必 要 分 だ け 取 り 出 し 、 手 の ひ ら で 押 し つ ぶ し て 全 体 に も み 込 む 。 ハ ン カ チ や 水 も 不 要 で 、 簡 単 に 除 菌 で き る 。 カ プ セ ル は 、 手 の 熱 と 軽 い 圧 迫 で 破 裂 す る ぐ ら い の 硬 さ に 工 夫 し た 。 ジ ェ ル タ イ プ だ と 、 手 が ベ タ ベ タ す る 。 ま た 、 こ ぼ し て し ま う と 服 や 鞄 を 汚 す 可 能 性 が あ っ た 。 「 ブ レ ス ケ ア 商 品 な ん か に は 、 粒 状 の も の が あ る 。 ハ ン ド ク リ ー ナ ー で で き な い か な 、 と 考 え ま し た 」 と き っ か け を 語 る 。 商 品 名 は 「 」 か ら 考 え た 造 語 。 カ プ セ ル は 、 詰 め 替 え が で き て 、 香 り も 複 数 種 類 を 用 意 。 持 ち 運 ぶ 時 は オ シ ャ レ を 楽 し む こ と が で き 、 手 洗 い が 習 慣 づ け ら れ る 点 も 効 果 の 一 つ に 挙 げ る 。 持 ち 運 び 便 利 い つ も 清 潔 「 」 粒状・除菌 ハンドクリーナー 東京都立六郷工科高 3年 佐藤光さん 「自転車の新しい錠前」 広尾学園中・高 1年 真鍋光希さん 普 通 の 鍵 だ と 、 壊 さ れ る と 自 転 車 を 盗 ま れ て し ま う 。 自 転 車 の 盗 難 は 社 会 的 な 問 題 。 自 分 も 盗 ま れ た 経 験 が あ り 、 悔 し い 思 い を し た と い う 。 「 だ っ た ら 、 逆 の 発 想 を し て み よ う 」 と 思 い 立 っ た の が 「 L o c k し な い 鍵 」 。 ペ ダ ル が 付 い て い る 前 方 の ギ ア と 、 後 の タ イ ヤ に 接 す る ギ ア と の 間 に 隙 間 を 作 り 、 双 方 の 間 に か み 合 う ギ ア 状 の 鍵 を 差 し 込 む と 、 初 め て 車 輪 が 回 転 す る 仕 組 み 。 錠 前 が 、 自 転 車 を 動 か す 鍵 と い う ユ ニ ー ク な 発 想 だ 。 逆 の 発 想 「 鍵 で 動 く 」 愛知県立豊橋工業高 3年グループ 「橋工 」 「風で飛ばない紙コップ『フンバルンバ!』」 (飛ばないシリーズ第2弾‼) 先 輩 の ア イ デ ア を 改 良 代表の(左から)星野 武朗さん、小出和輝さ ん、小瀬木柊一郎さん 前 回 、 先 輩 た ち が 応 募 し た 「 B B Q ( バ ー ベ キ ュ ー ) を 便 利 に す る ア イ デ ア 」 と し て 「 風 に 飛 ば さ れ な い 皿 『 エ ア ロ デ ィ ッ シ ュ 』 」 が グ ラ ン プ リ に 選 ば れ た 。 だ が 、 紙 コ ッ プ は 残 念 な が ら 選 外 。 「 先 輩 た ち の 思 い を 引 き 継 ご う 」 と 改 良 型 を 作 製 し た 。 コ ッ プ に は 高 さ が あ る た め 、 底 に 重 り を 装 着 。 少 し だ け 底 か ら 露 出 さ せ て 着 色 し 、 誰 の コ ッ プ か の 識 別 を 可 能 に し た 。 さ ら に 、 重 り を 磁 石 に し て 、 取 り 外 し た 際 に は 、 冷 蔵 庫 な ど に 張 り 付 け る マ グ ネ ッ ト と し て 使 え る よ う に し た 。 重 り の 形 を キ ャ ラ ク タ ー 化 す れ ば 「 お 土 産 と し て も 売 れ る 」 と 夢 が 膨 ら む 。 ■主催 大阪商業大学 毎日新聞社 ■後援 経済産業省 大阪府 大阪 府教育委員会 東大阪市 東大阪市教育委員会 大阪 市教育委員会 全国商業高 等学校協会 年(平成 年) 1 月17日(土) 年(平成 年) 1 月17日(土)