1 呼吸理学療法-人工呼吸器管理患者 Clinical Question 1 人工呼吸器管理を要する ARDS 患者の体位管理(側臥位・前傾側臥位・腹 臥位療法)は推奨されるか 推奨 人工呼吸器管理を要する ARDS 患者の体位管理を行うことを条件付きで推奨する □推奨の条件:あり ・酸素化の程度が P/F 比(動脈血酸素分圧/吸入気酸素濃度)で 150 以下の重症例 ・体位管理として腹臥位の実施 ・⾧時間(10 時間~17 時間程度)実施すること □推奨の強さ:条件付き推奨 □エビデンスの強さ:中 □作成グループ投票結果 当該介入に反対す る強い推奨 当該介入に反対する条 件付き推奨 当該介入・対照双方に対 する条件付き推奨 当該介入の 条件付き推奨 当該介入の強 い推奨 推奨なし 0% 0名 0% 0名 0% 0名 50% 5名 50% 5 名 0%0 名 ◆CQ の構成要素(PICO) P(Patients,Problem,Population) 性別 指定なし 年齢 18 歳以上 疾患・病態 急性呼吸窮迫症候群(ARDS) その他 なし I(Interventions)/C(Comparisons, Controls, Comparators)のリスト 体位管理を行う(腹臥位)/体位管理を行わない O(Outcomes)のリスト Outcome の内容(40 文字) O1 死亡率 O2 酸素化 O3 合併症 解説 ◆CQ の背景( 人工呼吸器を装着する ARDS 患者は難治性低酸素血症を伴うためガス交換改善と呼吸仕事量軽のた め人工呼吸器を装着する場合がある。この際、腹臥位などの体位管理を行うことでそうでない場合と 比べ更にガス交換(酸素化)が改善し死亡率が減少するか検討することは重要な課題である。 ◆エビデンスの評価 RCT 論文による結果として体位管理により死亡率の改善・酸素化の改善が認められ実施時の合併症 の増加はみられていない結果となっている 1) 。体位管理について論文では前傾腹臥位/側臥位を用いた 研究は得られずこれらの体位での評価は実施できず、腹臥位姿勢での評価となった 1-3) 。酸素化と合併 症については不精確さがみられエビデンスの確実性は非常に弱いとされるが、死亡率のエビデンスの 確実性は中であり、全体のエビデンスの強さを中程度とした。