潜熱と顕熱って、なに!? 〈第3回〉 (エアコンの仕組みがここから始まる!) 物質は、その状態が変化(固体 液体 気体)する為に、熱エネルギーをもらった り、放出したりします。 このウィスキーのロックグラスをご覧ください。この 映 映像の中では、いま3つのことが同時に起きています。 ①グラスの中の氷は、周囲の熱(室内の温かい空気)で 温められ、その熱エネルギーをもらって溶けてゆきます。 ②溶けた水はウィスキーと混ざって、周囲の熱により、 少しずつ温度が上がってぬるくなってゆきます。 ③グラスの周りの空気中の水分(気体)は、冷たいグラ スに熱を奪われて(熱エネルギーを放出して)、水滴(液 体) 体)となってグラスに付着します。 この同時に起きている3つのことに、潜熱と顕熱の現象が存在しています。 ①では、室温という熱エネルギーをもらって溶けた氷は、その表面でこんな変化が起きて います。つまり、氷という固体は水という液体へ状態変化するために、熱エネルギーを必 要とします。この時の熱エネルギーは、あくまでもその状態変化のためのエネルギーとし て消費されます。ですから、氷という0℃の固体は、水という0℃の液体に変化するため に熱エネルギーを消費し、そこに温度変化は発生しません。これが「潜熱の原理」(潜んだ 熱)なのです。 そして②では、この溶けた水が、さらに室温の熱エネルギーをもらって徐々にぬるくな ってゆきます。この温度変化を「顕熱」(現われる熱)といいます。 つぎに③では、空気中の水分(水蒸気という水の気体)が、冷たいグラスに自分の持つ 熱エネルギーを奪われ(消費して)、水滴という液体に状態変化しています。ここでは、① の逆の原理の「潜熱」が働いています。そしてこの水滴も徐々に周囲の熱で暖められ、顕 熱として、ぬるくなってゆきます。 この「固体」「液体」「気体」の状態変化を、左図のよ うに示すと、それぞれの瞬時の変化には、すべて「熱エ ネルギー」が使われ、その物質自体の温度変化は生じな いという「潜熱の原理」が働き、逆に、それぞれの状態 「固体」「液体」「気体」のままにおいては、外的な熱エ ネ ネルギーによって、それ自体の温度が変化してゆく「顕 熱」が発生します。 これらの温度変化と状態変化を、次のグラフと絵で示 してみました。 ※一般社団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 「蓄熱WEB講座PRO」より引