29 2016.03 ひと目惚れ花図鑑 吉谷桂子さんの 広告美術デザイナーを経て渡英。7年間のイギリス 滞在経験を生かし、帰国後はガーデニングの仕事に 取り組む。六本木の東京ミッドタウン「ボタニカ」、 神奈川「箱根サン=テグジュペリ 星の王子さまミ ュージアム」のガーデンなどを手掛ける。また、か ねてからの夢であったファッションデザインでも、 2014年3月にオリジナルブランドの「Shade」を立 ち上げ、東京・原宿にショップをオープン。お気に 入りの花や葉をモチーフにしたオリジナルのプリン ト生地やレース生地を使い、吉谷さん自らデザイン した服や小物、また、庭作業しやすいオリジナルデ ザインの服などが人気を集めている。 ※ 「Shade」の詳細情報は下記ホームページをご参照ください。 http://shadeyoshiya.com/ vol.15 プロヴァンスのラベンダー畑で感じた 幸福感が忘れられない 吉 よし 谷 や 桂 けい 子 こ 撮影・北島明(sputnik) プロヴァンスのラベンダー街道の畑にて。畑のオーナー夫人に「好き なだけ摘んでいいわよ」と夢のようなお言葉をいただき有頂天に。こ の中に佇んでいるだけで上機嫌&ナチュラルハイになる。 香りよく、見た目よく、鎮静作用もあって三拍子が揃う、ハーブの真骨頂ともいえるのがラベンダーです。さまざまな品種がありますが、イングリッシュガーデンでは、最も精油分が強いとされる、いわゆるイングリッシュラベンダーが人気です。耐寒性があり、茎がしっかりピンと空に向かって立ち上がる姿が美しいので、庭の景色に欠かせないアクセントにもなってくれます。ラベンダーは自然のトランキライザー(精神安定剤)として知られ、イギリスではアロマセラピーの代表的なエッセンスとして、精油が薬局などで簡単に手に入りますが、自分で育てていれば、日常的に花や葉を指で軽く揉みほぐし、手軽に香りを嗅ぐこともできます。私のとっておきの楽しみ方は、花後剪定で刈りとった枝を乾燥させたものに火を灯し、虫よけも兼ねてお線香のように利用することです。ほかにこんな植物はないと思うほど、私にとってラベンダーは特別な存在です。そんなラベンダー好きが高じて、イギリスのラベンダー畑だけでなく、フランスはプロヴァンスのラベンダー街道にも通いました。その最盛期は7 月上旬。ラベンダー街道のあるボークリューズ山脈の一帯には、ラベンダーのさわやかな香りが充満しています。そこにいる誰も彼もが穏やかに見えるのは、きっとこの空気のせい。肌までふっくらさせるような自然のエステみたいな風に当たり、「身も心も最高に幸せ」と叫びたい毎日でした。思い出すたび、また行きたくてうずうずしてしまうのですが、そう簡単にプロヴァンスには行けないので、自宅で水はけや風通しのコントロールの楽な植木鉢で育てています。イングリッシュラベンダーは、高温多湿に弱く、日本の気候では生育が難しいとされてきましたが、日本の気候にあった品種が出回るようになり助かっています。ラベンダー Lavender 別名:クンイソウ(薫衣草) 学 名 : Lavandula 属 科 : シソ科 原産地 : 地中海沿岸 花 期 : 4~10月(品種によって異なる) 草 丈 : 40~ 100 ㎝