南 ダ 油 生産停 波紋南スーダン油田生産停止の波紋 · 2018-02-16 · 南 ダ 油 生産停 波紋南スーダン油田生産停止の波紋 2012年2月23日 石油調査部

南 ダ 油 生産停 波紋南スーダン油田生産停止の波紋

2012年2月23日

石油調査部

竹原 美佳竹原 美佳

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本日の内容本日の内容

スーダン／南スーダンの石油事情

スーダン／南スーダンの石油を巡る紛争 ス ダン／南ス ダンの石油を巡る紛争

今後の見通し 今後の見通し

南スーダン油田生産停止

南スーダンはスーダンによる原油出荷妨害・

南 ダ 油 産停

原油抜き取りへの対抗措置として油田生産（約35万b/d）を停止（約35万b/d）を停止

1月20日：南スーダン政府、油田生産停止決定

1月25日：原油生産35万→13 5万b/d1月25日：原油生産35万→13.5万b/dBlock5A（55坑）、Block1/2/4（274坑）、Block3/7（

600坑）を閉鎖600坑）を閉鎖

1月下旬～現在：全面的な生産停止

南スーダン独立前のスーダンの石油資源南ス ダン独立前のス ダンの石油資源

原油確認埋蔵量：67億バレル原油確認埋蔵量 67億 レル

原油生産量：47万バレル／日（2010年）

低硫黄のナイ ブレ ド 比重 度低硫黄のナイルブレンド：API比重34度

酸含有のダールブレンド：API比重25度

（流動点はいずれも33℃）

主要生産企業：アジア国営石油企業主要生産企業：アジア国営石油企業

（CNPC、Petronas、ONGC他）

80年代以降内戦や米制裁を受け欧米企業は撤退Total：現南スーダン Block Bの探鉱“休止”

スーダン／南スーダンの生産中鉱区

鉱区 オペレーター、主な油田

油種、生産（推計）（推 ）

Block1/2/4南スーダン、

GNPOC*Unity, Heglig

Nile Blend南：10万b/d

スーダンy g g

北：4.5万b/d

Block3/7 CNPC Dar Blend南スーダン Adar Yale 25万b/d

Block5A南 ダ

Petronas Nile Blend南スーダン Thar Jath 1万b/d

Block6ス ダン

CNPCAb Gh b

Dar Blend6万b/dスーダン Abu Ghabra 6万b/d

*Greater Nile Petroleum Operating Co ：中国CNPC マレーシアGreater Nile Petroleum Operating Co.：中国CNPC,マレーシアPetronas,インドONGC25%,スーダン国営Sudapetによる共同操業会社

スーダン・南スーダンの石油と日本

主にアジア向け：火力発電燃料、石油改質等

ダ 南 ダ 油 本

油種別非精製用原油輸入スーダン原油の主な輸出先（2010年）

油種別非精製用原油輸入

インドネシｶｼﾞ・ｾﾓｶﾞ

ﾅｲﾙ

ﾀﾞﾙ・ﾌﾞﾚﾝﾄﾞ 千b/d

日本インド

6%

インドネシ

ア

1%

その他

2%

ｼﾝﾀ

ｼﾞｭﾘｰ

ﾐﾅｽ…

ｳｨﾄﾞﾘー

マレーシア

12%

11%

ｽﾂﾃﾞﾝ

ﾃﾞｭﾗﾝ

ﾍﾟﾅﾗ・ﾌﾞﾚﾝﾄﾞ

ｷｹー

ｱﾀｶ

中国68%0 5 10 15 20 25 30 35 40

ﾊﾞｯｸ・ﾎ

ｽﾂﾃ ﾝ

23年1‐12月 22年1‐12月

ダ 南 ダ 係争は低硫黄原油市場タイト化

石油連盟統計にもとづき作成（ｽｰﾀﾞﾝと東南アジアのみ抽出）

スーダン／南スーダン係争は低硫黄原油市場タイト化につながり、夏の電力需要期に向け懸念要因に

南スーダン独立後未解決の問題

独立：2011年7月9日

2005年：CPA（包括和平合意）2005年：CPA（包括和平合意）

2011年1月：国民投票

原油生産 （約 バ ）は南 ダ原油生産の75%（約35万バレル／日）は南スーダンに帰属

インフラ（製油所、輸出パイプライン）はスーダン

未解決の問題：未解決の問題：

国境（アビエ地域）、対外債務（約378億ドル）、石油収入配分 パイプライン輸送料（タリフ） ス油収入配分、パイプライン輸送料（タリフ）、スーダン国営石油会社Sudapetの権益

ジュバ （筆者2011年10月撮影）

両国の主張：タリフ、原油輸送・出荷両国の主張 タリフ、原油輸送 出荷

南スーダン主張 スーダン主張

タリフ 0.4ドル／バレルド バ

22.8ドル／バレルド バ→0.7ドル／バレル →36ドル／バレル

原油輸送・出荷

タリフは支払い済み。

ス ダンは出荷妨害南スーダンがタリフ（約７ 11億ドル）を支払う出荷 スーダンは出荷妨害

に加え、国内消費向けに原油を抜き取っ

７～11億ドル）を支払う

まで原油出荷を差し押さえるけに原油を抜き取っ

ている。さえる。

原油輸出収入配分のイメージ

各種輸出収入配分案（推計）

70

80

スーダン 南スーダン億ドル

スーダンの石油収入推移

120

140

億ドル

30

40

50

60

60

80

100

0

10

20

2010年 独立後 スーダン要望 AU仲裁① AU仲裁②

0

20

40

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

2010年 独立後 スーダン要望 AU仲裁① AU仲裁②

スーダンによる法外なタリフの要求は、CPA失効後の石油収入配分交渉か？

南スーダン、AU仲裁案を拒否南ス ダン、AU仲裁案を拒否

AU仲裁案（12年1月末）・対南スーダン：スーダンに対し 大65億ドル（“補償”26~54億ドル、2014年までのタリフ11億ドル）対ス ダン：南ス ダン原油差し押さえの解除・対スーダン：南スーダン原油差し押さえの解除

・対両国：枠組み合意書への調印

南スーダン スーダン南スーダン スーダン

補償・タリフ

拒否・タリフ0 7ドル／bbl

－タリフ タリフ0.7ドル／bbl

原油生産・輸送・出荷

生産・輸送停止 出荷差し押さえを一部解除輸送 出荷 解除

枠組み合意書

拒否（出荷妨害、抜き取り再発防止が条件）

同意意書 取り再発防止が条件）

南スーダン ジュバの悪路と南スーダン ジュバの悪路と給水車

スーダン ハルツームの渋滞

（筆者2011年10月撮影）

今後の見通し今後の見通し楽観的な見方 悲観的な見方

戦争（武力衝突）

国際社会の関与により回避

国境周辺の衝突からエスカレート

油田生産 数週間で生産復旧（事業者コスト負担）

坑井、パイプライン等資機材のトラブルで生産復旧遅延生産復旧遅延生産停止再発

需給 大きな影響なし アジアの石油需給へ需給 大きな影響なし アジアの石油需給への影響

スーダン迂回パイプラ

米制裁解除で進展？ 原油供給、金融、政治、物流などの課題

延イン で遅延

米国の南スーダン／スーダンへの関与2011年12月8日：米財務省OFAC*が南スーダンの制裁解除を表明制裁解除を表明

南スーダン石油産業への投資制限緩和（物資、技術 サービスの輸送（スーダン経由）等が可能に術、サ ビスの輸送（ス ダン経由）等が可能に

→欧米企業の南スーダンへの投資促進効果

仏 は南 ダ における探鉱再開仏Totalは南スーダンBlock Bにおける探鉱再開へ

Block B：30万b/dのポテンシャル？

*Office of Foreign Assets Control

2012年2月：米国はスーダンに債務繰り延べを提案

米国：スーダン制裁緩和、南スーダン投資促米国：ス ダン制裁緩和、南ス ダン投資促進をプロモート

中国のスーダン・南スーダンへの関与中国のス ダン 南ス ダンへの関与

1月14日：CNPCはスーダン石油省とエネル月 日 CN Cはス ダン石油省と ネルギー戦略協力協定を締結

1月下旬 中国政府高官 バシルス ダン大1月下旬：中国政府高官、バシルスーダン大統領と会見

1月下旬：スーダン南コルドファン州の道路工事現場で中水電集団公司の労働者29名事現場で中水電集団公司の労働者29名が反政府武装勢力に誘拐（1名死亡）

中国：スーダン、南スーダンとのバランス外交を志向。ダ 油 替 達 直イランに加えスーダン原油の代替調達圧力に直面？

主なスーダン迂回パイプライン構想

ウガンダ アルバートリフト盆地3鉱区（EA 1 2 3A）Tullow／Total／CNOOC

南ス ダン ケニア（ラム） 12年1月政府間MoU

（EA-1,2,3A）Tullow／Total／CNOOC2015～16年生産開始予定（20万b/d）

南スーダン～ケニア（ラム）：12年1月政府間MoUウガンダ～ケニア（モンバサ）への延伸：Total構想

まとめスーダン／南スーダンの係争長期化（生産停止）→アジアへの影響大、低硫黄原油市場タイト化、夏季発電需要期への影響が懸念されるの影響が懸念される。

スーダン／南スーダンの係争は国家の主権をかけた戦いス ダン／南ス ダンの係争は国家の主権をかけた戦いで、問題解決には時間を要する。国際社会の関与と両国の復興への意欲により戦争は回避可能か。

CNPC等事業者は復旧コスト（生産・輸送）上昇圧力に直面 資機材や油田 のダメ ジによる生産復旧 の懸念が面。資機材や油田へのダメージによる生産復旧への懸念がある。

スーダン迂回パイプラインは課題はあるが、米制裁解除で進展の可能性。Totalの南スーダン、ウガンダ鉱区との連携でアフリカに新たな石油輸出ルートが出現する可能性あり。

「石油・天然ガスレビュー」もご覧ください。（隔月発行）

JOGMECホームページ「石油・天然ガス資源情報」もご覧ください。 http://oilgas‐info.jogmec.go.jp/