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労働災害の原因のひとつに「知識不足」や「技能未熟」と いうのがあります。初めての現場に入るときは誰しも不安が あります。現場の状況がわからないし、元請や他職の人たち に顔見知りがいなかったりします。現場特有のルールがあっ たりします。安全作業を行うためには事前に「知らないこと」 を教えてもらうことは重要です。 朝礼にも参加せず、新規入場者教育も受けずに勝手に現場 に入り、開口部から墜落して死亡した例もあります。 「大切な自分の命」と「大切な家族」を守るためにも新規 入場者教育を受けてください。 本冊子は、新規入場者教育とはどんなもので、何を学べば よいのか? という疑問にこたえるものです。様々な場面で 使っていただき、新規入場者による労災事故を防ぎましょう。 はじめに 目   次 はじめに 1 新規入場者は災害にあいやすい!… ……………………………………… 2 2 送り出し教育とは? 新規入場者教育とどう違うの?… ……………… 3 3 新規入場者教育とは?… …………………………………………………… 4 4 教育内容… …………………………………………………………………… 6 1安全施工サイクル…/2作業を行う上でのルール…3現場内設備の使用取り決め…/4危険箇所、立入禁止箇所…/ 5危険予知(KY)の具体的な実施…/ 6正しい服装・安全帯・保護具…/7指差呼称…/ 8墜落・転落災害…/9電動工具・脚立…/… 5S と安全通路…/ 熱中症の予防、健康の保持 コラム「現地 KY で、現場の危険に敏感になろう」 ………………………… 28 5 産業廃棄物の処分ルール… ……………………………………………… 29 6 作業に必要な資格… ……………………………………………………… 30 コラム「資格はなぜ必要なの? それは、あなたの命を守るため!」 ……… 32
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はじめに使っていただき、新規入場者による労災事故を防ぎましょう。はじめに 目 次 はじめに 1 新規入場者は災害にあいやすい! 2

Feb 19, 2020

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Page 1: はじめに使っていただき、新規入場者による労災事故を防ぎましょう。はじめに 目 次 はじめに 1 新規入場者は災害にあいやすい! 2

労働災害の原因のひとつに「知識不足」や「技能未熟」と

いうのがあります。初めての現場に入るときは誰しも不安が

あります。現場の状況がわからないし、元請や他職の人たち

に顔見知りがいなかったりします。現場特有のルールがあっ

たりします。安全作業を行うためには事前に「知らないこと」

を教えてもらうことは重要です。

朝礼にも参加せず、新規入場者教育も受けずに勝手に現場

に入り、開口部から墜落して死亡した例もあります。

「大切な自分の命」と「大切な家族」を守るためにも新規

入場者教育を受けてください。

本冊子は、新規入場者教育とはどんなもので、何を学べば

よいのか? という疑問にこたえるものです。様々な場面で

使っていただき、新規入場者による労災事故を防ぎましょう。

はじめに

目   次

はじめに1 新規入場者は災害にあいやすい!………………………………………… 22 送り出し教育とは? 新規入場者教育とどう違うの?………………… 33 新規入場者教育とは?……………………………………………………… 44 教育内容……………………………………………………………………… 6

1安全施工サイクル…/2作業を行う上でのルール…/3現場内設備の使用取り決め…/4危険箇所、立入禁止箇所…/5危険予知(KY)の具体的な実施…/6正しい服装・安全帯・保護具…/7指差呼称…/8墜落・転落災害…/9電動工具・脚立…/…� 5S と安全通路…/�熱中症の予防、健康の保持

コラム「現地KYで、現場の危険に敏感になろう」…………………………… 285 産業廃棄物の処分ルール………………………………………………… 296 作業に必要な資格………………………………………………………… 30コラム「資格はなぜ必要なの? それは、あなたの命を守るため!」… ……… 32

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新規入場者は災害にあいやすい!

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「工事現場で起こる災害にあいやすい人には、共通点があります!」

このようにお話すると、驚くかもしれません。しかし、共通点はあるのです。

それは「新規入場者」であることです。

◉新規入場者とは

新規入場者とは、工事現場に入場して間もない人のことです。実は、災害に

あった人の約70%は、新規入場してから7日以内に被災しているのです。

国土交通省の直轄工事では、事故の3分の1は新規入場後7日以内に発生し

ているとのデータがあります。

0

5

10

15

20

25(人)

入場日数(日)

■ 死傷者数

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

出所:国土交通省「安全啓発リーフレット(平成30年度版)―直轄工事における事故発生状況」より

◉なぜ、新規入場者の災害が多いのか

新規入場者の災害が多い、その大きな理由としては、「現場特性をよく知ら

ない」からです。現場のルールや危険

箇所は現場ごとに異なりますよね。入っ

たばかりの時期は、それらがよくわか

らず、災害にあってしまうケースが多

いようです。

最初の7日は災害の可能性が大きいと知ろう!

特に初日に多い!

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送り出し教育とは?新規入場者教育とどう違うの?

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「新規入場者教育」と似たものとして、「送り出し教育」があります。この

2つの教育の違いは、どのようなものでしょうか?

先に答えを言うと、実施する時期と場所が異なります。新規入場者教育は、

工事現場に入場した日の朝(朝礼後)に現場事務所等で行うのに対して、送り

出し教育は入場の前日までに、各事業所(会社事務所)で行います。

内容の違いは、新規入場者教育では、当現場のルール等を学ぶ事に対し、送

り出し教育では、仕事を行う上で必要な安全衛生の基本を学びます。○新規入場者教育と送り出し教育の違い

新規入場者教育 送り出し教育

実 施 者 協力会社の職長・安責者 協力会社の安全衛生担当または職長・安責者

実施期間 工事現場入場日の朝(主に朝礼後)

工事入場日の前日以前または定期実施

目  的 現場のルールを理解する 安全衛生の基本的知識を理解する

教育内容現場の危険箇所、他業者との関係事項、連絡体制等のルールや規則

安全衛生の基本方針、作業手順等または次に入場する現場のルールや特徴等

送り出し教育は、作業員の安全衛生の基礎力向上のために行います!

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新規入場者教育とは?3

新規入場後の最初の7日間は、最も災害にあいやすい時期です。元請会社も

協力会社も、この期間の災害防止には注意を払っています。

(1)入場前の確認

協力会社の職長・安全衛生責任者は、事前に元請会社に対して、必要事項を

書類で提出します。書類については、元請会社によって異なりますが、一般的

には次のような内容が含まれます。元請会社には次の書類を提出します。

・作業員名簿・所有資格一覧・健康診断実施記録(過去1年以内)・高年齢者・年少者就労届・送り出し教育記録・その他(使用車両届、使用機械届、作業手順書等)

(2)新規入場者教育の進め方

実際の教育の進め方は、一般的に次のように進めます。

① 職場体操・安全朝礼終了後に、現場事務所会議室や打ち合わせ室などに集合させる。②� 新規入場者アンケート用紙に、氏名、生年月日などの必要事項を入場者本人が記入する。

③ DVDや教育テキスト、資料を使って、新規入場者教育実施内容を教える。④ 新規入場者アンケート用紙に記載事項を確認後、署名させて終了する。

新規入場者教育は、送り出し教育と共通した内容も含みますが、現場特有の

注意事項も多く含みます。しっかりと理解し、現場作業に取り掛かりましょう。

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(3)新規入場者教育の内容

新規入場者教育は、朝礼やKY、作業前点検の後に行うことが多いようです。

場所は、現場事務所や休憩所が使われます。送り出し教育で、実施内容の一部

を教育していた場合は、その項目は省略されます。

・労働者が混在して作業を行う場所の状況・労働者に危険を生ずる箇所の状況・混在作業場所において行われる作業相互の関係・退避の方法・指揮命令系統・担当する作業内容と労働災害防止対策・安全衛生に関する規定・建設現場の安全衛生管理計画の内容

出所:「元方事業者による建設現場 安全管理指針のポイント」より(厚生労働省)

「労働者が混在して作業を行う場所の状況」例 「労働者に危険を生ずる箇所の状況」例

新規入場者は必ず、教育後に作業に取り掛かろう!

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教育内容4安全施工サイクル1

工事現場には、全作業員が災害にあわないようにするためのルールが必要で

す。作業の進め方のルールの代表が、安全施工サイクルです。

朝礼の掲示板に描かれているので見た経験はありますよね。

安全朝礼

毎日のサイクル

所長巡視

使用開始時点検

終業時の確認

持ち場後片付け

安全工程打合せ

安全ミーティング

新規入場者教育

作業中の指導監督

安全施工サイクルとは、現場で元請業者から作業員までが一体となって、工

事施工と安全衛生管理を一体的に進めていく手法のことです。

このサイクルでは月・週・日等の周期の中で、「誰が」「いつ」「何を」行う

かを定めています。

このサイクルに従い、「今は何をすればよいか」を自分で判断し、毎日、毎週、

毎月の単位で、きちんと回していくことで、現場のリズムを作り、安全衛生管

理の徹底を図ることができるのです。