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住宅ローンなどお借入れの返済に
お困りの被災者の方へ(個人債務者の私的整理に関するガイドラインのご利用について)
東日本大震災の影響により、震災前のお借入れの返済が困難となった方は、「個人債務者の私的
整理に関するガイドライン」を利用することにより、一定の要件の下、債務の免除を受けられます。
本冊子ではこの制度の手続きの流れをマンガを交えて分かりやすく説明しています。
地震や津波で失った自宅や車のローンが残っていませんか?
一般社団法人 東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関
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「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」は、東日本大震災の影響によって、
住宅ローンなどを借りている個人の方や、事業に必要な資金を借りている個人事業主
の方が、今後これらの借入れの負担を抱えたままでは、再スタートに向けて新たな
借入れが困難となる問題(いわゆる二重債務問題)の解決を目的としています。
二重債務問題は、震災からの着実な復興のために解決しなければならない極めて
重要な課題であり、2011年6月に政府の対応方針が示され、被災者のみなさまと金融
機関との話し合いにより借入れの減額や免除を行うためのルール(ガイドライン)を
策定することとなりました。
この政府の方針を受け、ガイドラインは、銀行などの金融機関の関係者や学識経験者
らの議論を経た後、2011年7月に公表され、同年8月より適用が開始されました。
ガイドラインによる債務の整理では、銀行などの金融機関が、住宅ローンなどを
借りている個人の方などに対して、破産手続などの法的な手続によらず、当事者間の
話し合いにより住宅ローンなどの借入れの減額や免除を行います。(詳しくは次ページ
以降をご覧ください。)
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はじめに
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避難所
無事で
よかった。
お母さん!
あなた!
無事なのね!
みんな、
無事
なんだな!
とりあえず
避難できたけど、
私たちのお家はどうなって
いるのかしら。
詳しい情報は
まだわからないが
被害は
大きいだろうな。
津波発生・津波発生ただちに避難してください。みんな無事か!全員いるかー!!
な、なんだ!!
うわー!キャッ
この度の東日本大震災は東北地方を中心に甚大な被害を及ぼしました。平成24年4月25日現在で死者・行方不明者数は18,914名にのぼり(警察庁調べ)、約34万4千人の方が避難されています(復興庁調べ)。また、約38万戸の建物が全壊または半壊の被害を受け、約70万戸の建物が一部損壊の被害を受けました(警察庁調べ)。
被害状況
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解説
家、なくなってしまったな。
気をつけて
運ぶんだぞ。
いってきまーす
二人とも
いってらっしゃーい!
・・・・。
住宅ローンを
返済し続けて
いけるかしら・・・
自宅はなくなってしまったけど、
住宅ローンは残ったままだし…
。
どうすればいいのかしら。
ほんとに
困ったなぁ。
なんとか
片付いたな。
やっと
落ち着けたわね。
これから
どうなるのかしら。
数ヶ月後
仮設住宅入居
!
☞ 地震や津波で失った自宅や車のローンが残っていませんか?☞ 「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を利用すると、一定の要件の下、 住宅ローンなどの減額や免除を受けることができます。☞ この制度は、被災された方の重荷となっている住宅ローンなどの負担を軽減し、今後 の生活再建を支援することが目的です。
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対象となるのは、主に以下の要件を満たす方です。☞ 個人や個人事業主である方(法人は対象となりません)。☞ 震災前は、住宅ローンなどのお借入れについて、きちんと返済されていた方。☞ 震災の影響により返済が困難となられた方(今はまだ返済を続けているが、今後仮設 住宅(または借上げ住宅)から転居して家賃負担が発生すると、返済が困難となる 方も含まれます)。
解説
「個人債務者の
私的整理に関するガイドライン」かぁ
相談してみようかしら。
流された自宅の住宅ローンを
どうしたらよいか
不安なのですが…
。
ご返済について
今はどのような
状況でしょうか。
今はまだ返済を
止めてもらっているので
何とかやっていける
のですが、
仮設住宅にいつまでも
いる訳にもいかないし、
家賃と住宅ローンの返済は
とても…
。
ご不安ですよね。
免除ってどういう事ですか?
分かりやすく説明しますと
お借入れをなくしてもらうことが
できるんです。
住宅ローンが無くなるんですか?
はい。この制度は、震災の影響により
返済が困難となられた方について、
国の方針を受けて、一定の要件を
満たす場合、銀行などの金融機関が
債務の免除に応じることを定めた
ルールなんです。
手続きを進めるには
どうしたら
よいのでしょうか?
「個人債務者の私的整理に
関するガイドライン」を
利用すれば、
震災前に借り入れた
住宅ローンなどの免除が
受けられます。
弁護士費用は国から補助が出ますので
みなさんの負担はありません。
この手続きって
大変なんで
しょうか…
。
そうですか…。
必要書類の準備などがありますが、
弁護士が全力で支援いたしますので、
ご安心ください。
コールセンター
ー 4 ー
ガイドライン運営機関がご事情を
伺ったうえでこのガイドラインの
手続きを支援する弁護士を紹介
させていただきます。
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解説
大変お気の毒でしたね…
。
精一杯ご支援させていただきます。
まず、
何点かお聴かせ
いただきたいのですが…
。
お聴かせいただいた
内容ですと、
お借入れの免除を受ける事が
可能だと思います。
一緒に頑張りましょう。
よろしく
お願いします!
まずは、
必要書類のご用意や
陳述書の作成に
とりかかりましょう。
我が家の
場合は…
承りました。
この点は…
ということですね。
はい、その通りです。
(支援弁護士)
分かりました。
お預りした申出書類は責任を持って
金融機関に送付させていただきます。
支援弁護士
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後日、支援弁護士事務所
運営機関さんに
郵便です。
運営機関
申出書類が運営機関に到着
運営機関担当者
☞ 銀行などの金融機関に、この制度を利用して債務の整理(お借入れの免除を受ける こと)を申し出るため、定められた書類一式を提出します。☞ 作成した申出書類は、運営機関を通じて銀行などの金融機関へ送付されます。 銀行などの金融機関は申出書類を受理した時点で、返済を受けたり、督促を行う ことなどを中止するよう定められています(一時停止)。
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☞ 債務整理の申出書類を提出した後、弁済計画案を作成・提出します。☞ 弁済計画案では、お借入れのうちいくらを返済していくら免除を受けるか、 自宅跡地などの資産を処分するのか、また保有し続けるのかなどの内容が盛り 込まれます。☞ 弁済計画案の作成について、登録専門家である弁護士が支援します。
解説
さあこれからが本番ですよ。
自宅の跡地については…
ご支援大変
おつかれさまです。
やはりみなさんいろいろ
思いがありまして。
そうでしょうね。
ご自宅の跡地は…
ということですね。
分かりました、確かに
受け取りました。
この弁済計画案を
金融機関に送付
いたしますので、
回答がありましたら
すぐご連絡いたします。
よろしくお願いします。
さっそく弁済計画案の作成に
取りかかりましょう。
よろしくお願いします。
まずは自宅跡地に
ついてですが、
再度同じ地にご自宅を
立て直したいなどの
ご意向がある場合、
保有し続けることも
可能です。
申出書類提出後、支援弁護士事務所
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運営機関
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☞ 提出された弁済計画案について、借入先の銀行などの金融機関が同意するか どうかの回答が原則1ヶ月以内に示されます。☞ 全借入先の銀行などの金融機関より同意が得られると、弁済計画が成立します。
解説
ご相談にあたっては裏表紙をご覧ください。
金融機関から
同意書が届きました。
お世話になってます。
免除を受けられる
ことが決まりました。
たいへんお疲れさまでした。
ありがとうございます。
これで
生活再建の
目処がたちます。
ありがとうございます。
ようやくホッと
されることと思います。
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ガイドラインによる債務整理を検討される方は、コールセンターへご相談ください。各県で毎月、個別相談会も開催しています。(予約制)相 談1
●ガイドラインの要件を満たす可能性のある方には、手続き支援のため登録専門家を紹介します。●登録専門家とは、この手続きを円滑に実施するため、みなさんの手続きを支援する、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士など事前に運営機関に登録された専門家です。●債務整理の申出に向けた書類の作成方法等について、登録専門家が支援します。
専門家の紹介2
債務整理の申出後は、銀行などの金融機関は、申出を行った被災者の方から返済を受けたり、督促を行うことを中止するよう定められている一方、被災者の方もご自身の資産を処分してはならず、新たなお借入れも行ってはならないことが定められています。
債務整理の申出3
住宅ローンをお借り入れの場合、自宅跡地をどうするか、自動車ローンをお借り入れの場合、自動車をどうするか、お持ちのご預金のうちいくら位を返済に充てるかなど、登録専門家が相談に乗りながら弁済計画案の作成の支援を行います。
弁済計画案の提出4
全借入れ先から同意が得られると弁済計画は成立します。銀行などの金融機関は、弁済計画に従ってお借入れの免除などの処理をすることになります。弁済計画の成立5
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「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」とは
東日本大震災の影響により、震災前に借りていた住宅ローンや自動車ローンなどのお借入れの返済が困難となった方、あるいは今後返済が困難となることが見込まれる方(※)に適用される制度です。仮設住宅に入居、あるいは家賃補助を受給しているなど、現段階で住居費負担が発生していない場合であっても、近い将来に住居費負担が発生することを考慮してガイドラインの要件に該当するかどうかを判断いたします。また、震災後、金融機関と返済額の減額や返済期間の延長等の契約を締結した後でも、適用の可能性がありますのでご相談ください。
お手続きの流れ
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(※)
被災者の方の生活再建を目的とし、当事者間での話し合いにより、その負担となるお借入れの減額や免除を行うための、法律によらない自主的なルールです。
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ガイドライン本文をご覧になられたい方は、当機関ホームページ上の「ガイドラインとは」に掲示しておりますので、そちらをご覧ください。
http://www.kgl.or.jp/guideline/
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「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を利用するメリット
メリット
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メリット
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弁護士費用がかからないなんて助かるわ。
当機関へ登録している専門家(弁護士等)の費用は国が補助します。弁護士費用等の負担はありません。
被災者の方の生活再建を支援するため、手元に上限500万円を目安として現預金を残したまま、銀行などの金融機関がお借入れの減額や免除に応じる運用としました。なお義捐金等は法律の定めに従い、
上記500万円とは別に手元に残すことができます。
メリット
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地震保険金や義捐金は生活再建に使うことができるんだな。
将来自宅を再築するために新たな住宅ローンを組む人もいるものね。
今後の生活再建に向けて、新たな借入やクレジットカードが作れないと困るからな。そのことへの配慮なんだな。
破産など法的な手続きによる場合は、債務整理に関する情報が信用情報機関に登録されます。登録されると、今後クレジットカードを作成したり、新たにお借入れをすることが困難となります。「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を利用すると登録されません。
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Sさん(男性・宮城県)のケース●東日本大震災で自宅が半壊となり、現在借上げ住宅に居住している。●震災により収入が減少し、借上げ住宅を退去する際には家賃負担も発生することから、今後の返済について不安になった。居住できなくなった自宅の住宅ローンをどうにかしたいとの思いからガイドラインの利用を検討し、相談した。●結果として自宅を処分(※)することとしたが、約1,900万円の借入の免除を受けることができた。
■ ガイドライン成立前の借入残高
A銀行(住宅ローン)
B 社
C 社
2,600万円
20万円
50万円 約2,700万円借入残高
■ ガイドライン成立後の借入(債務)免除結果
A銀行(住宅ローン)
B 社
C 社
800万円
約1,900万円約2,700万円-約800万円=
借入残高 債務整理による返済額 免除額
一括返済
免除額
自宅売却金一括返済 700万円+分割返済 100万円(毎月3万円返済)
一括返済
19万円1万円
2万円 48万円
1,800万円
ガイドライン成立後
(※)自宅を処分せず免除を受けられるケースもあります。
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※個別相談会の日程については、当機関ホームページをご参照ください。 (当機関ホームページURL)http://www.kgl.or.jp/
※フリーダイヤルがご利用になれない場合は、東京本部 03-6202 ー 2224
● MEMO ●