波及事故が発生したときは・・・ 波及事故が発生した場合は連絡しましょう。 企画・編集:電気安全全国連絡委員会 発行: © (社)日本電気協会 http://www.denki.or.jp H23.7 高圧受電設備から波及事故が発生してしまった場合、まずは電気主任技術者および最寄りの電力会社へ連絡します。また、電気事業 法(電気関係報告規則第3条)に基づき、電気主任技術者とご相談のうえ、設置者から所管の関係官庁(産業保安監督部)にすみやか に電話などで報告する必要があります。 参考:(財)電気工事技術講習センター「第一種電気工事士定期講習テキスト(平成23年度版)」 参考:(財)電気工事技術講習センター「第一種電気工事士定期講習テキスト(平成23年度版)」 波及事故について… 波及事故とは、高圧受電設備などで起きた事故が原因で、電力会社の配電線 に接続されている住宅、ビル、工場、病院、銀行、交通機関、交通信号システム など、さまざまな範囲に停電が広がる事故を言います。波及事故が発生する と、自社の損失のみならず、他社の工場の操業停止やデパートの営業停止、 信号の消灯など、社会的に大きな影響を及ぼすため、 場合によっては多大な 損害賠償を請求されるケースもあります。また、停電だけでなく、機器が損壊 し修理や取り替えが必要となる場合もあります。 波及事故は設置者の責任が 問われ、さまざまな被害を伴う重大な事故なのです。 <<< 波及事故の主な発生原因 >>> <<< 波及事故発生箇所の割合 >>> ※構内1号柱または地中引込用 開閉器から主遮断装置の間の ケーブル、主遮断装置本体など 波及事故の約90%が、 主遮断 装置の電源側※から発 生 しています。 波及事故防止にとって 重要なことは…? 高圧受電設備は、長期間使用すると経年劣化により機能や性能が損なわれ、故障や不具合が起こり、波及事 故につながることがあります。そのためには、 定められた周期・回数にもとづいて適切な保守点検を確実に行 わなければなりません。日常巡視や月次点検に加え、停電をともなう年次点検が必要になりますので、電気 主任技術者と十分な調整を行ってください。また、保守点検の結果をもとに、電気主任技術者と打合せを行 い、設備機器の改修・更新時期などを検討し、適切な高圧受電設備の維持と事故の未然防止に努めましょう。 波及事故を防止するためには…? 高圧受電設備で事故が発生しても、配電線への波及事 故に至らないように、区分開閉器にはGR付き高圧交流 負荷開閉器(地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器) を 取り付けることが有効です。 GR付き 高圧交流 負荷開閉器 構内1号柱 GR付き高圧交流負荷開閉器が 取り付けられている例 GR付き高圧交流負荷開閉器が 取り付けられていない例 地中線用GR付き 高圧交流負荷開閉器(UAS・UGS)が 取り付けられていない例 架空引込線 構内1号柱 架空引込線 地中線用GR付き高圧交流負荷開閉器(UAS・UGS)が 取り付けられている例 地中線用GR付き 高圧交流負荷 開閉器(UAS・UGS) 地中線用GR付き 高圧交流負荷開閉器(UAS・UGS) 高圧キャビネット 高圧キャビネット 停電で 手術ができ ない! エレベーター から出られ ない! 営業が できない! 信号が 消えた! 操業停止だ! 銀行 病院 工場 デパート 信号 事務所 ビル 電力会社 の変電所 受電設備で 電気事故発生!! 事務所ビルの電気 事故により変電所の 保護装置が異常を 感知して、 配電線が停電! 事務所ビルの オーナー 電気主任 技術者 波及事故防止のための対策が重要です!詳しくは中のページでご説明します。さまざまな被害を 伴う重大な事故です。 波及事故が発生した時は、電気主任技術者および電力会社に至急ご連絡ください。あわせて電気主任技術者とご相談のうえ、電気工 事店などに復旧の手配をお願いします。 復旧後は、電気主任技術者を中心に事故原因について調査し、今後の再発防止に努めましょう。なお、事故発生を知った時から、48 時間以内に(可能な限り速やかに)事故の概要について、所管の関係官庁に電話等の方法で報告してください。 また、事故発生を知った日から起算して30日以内に法的に定められた「電気事故報告書」を提出してください。 ② ① 波及事故発生時の手順 ②事故報告書の提出 ①事故発生の連絡 ①事故発生の連絡 ※1.電気主任技術者が常駐していない場合は、常時勤務している適切な代務者を指名し、また、代務者の役割(緊急連絡など)を明確にしておきましょう。 ※2.万が一の事故に備えて緊急連絡先を記入しておきましょう。 事故発生! 電気設備 所管の関係官庁 選任または委託 保守点検 設置者 電気主任技術者※1 保守点検・更新が 重要です。 GR付き 高圧交流負荷開閉器を 取り付けましょう カラスの 営巣に注意! 春頃になると、区分開閉器の上 部に、カラスなどが巣を作ることも あります。巣を発見した時は電気 主任技術者にご相談ください。 TOPICS! TOPICS! 架空線の 引込例 地中線の 引込例 高圧受電設備 の 電気事故対策 高圧気中負荷開閉器 10年 高圧CVケーブル 15年 ※ 高圧真空遮断器 20年 高圧交流負荷開閉器 屋内用15年 屋外用10年 変圧器 20年 高圧進相コンデンサ 15年 その他高圧機器 15~20年 出典:(一社)日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(平成元年9月) ※高圧CVケーブルの更新推奨時期は(社)日本電線工業会調べ 高圧設備の各機器の更新推奨時期 屋外に設置された キュービクルには 思わぬ事故が 起こることがあります。 10% 90% 入 切 高電圧 変 電 設 備 主遮断装置の電源側 主遮断装置の負荷側 41% 保守不備等 自然災害(雷・台風) 故意・過失(工事・火災) 鳥獣接触等 38% 8% 8% (高圧受電設備の施設環境や、機器の使用状況によって更新時期が異なります) 連絡先 TEL 電力会社 家で テレビが 見られない ! 連絡先 TEL 連絡先 TEL うちの 事故が原因で、 とんでもないことに なった ! 波及事故の 影響について 考えましょう。 ビル・工場などのお客さまへ 節電へのご協力のお願い 空調(冷房)や照明設備のご使用を控えていただくことなどで節電にご協力くださいますようよろしくお願いいたします。 その他の節電に関する情報は、各電力会社ホームページをご覧ください。 具 体 的 な 節 電 方 法につ い て ○室内温度を原則28℃に設定 ○不使用エリアや共用部などの空調停止 ○日射防止による空調負荷の低減 (ブラインド・カーテンの使用など) ○外気取入量の適正化による空調負荷・動力の低減 ○エアコン室外機への日射防止などによる効率向上 ○熱交換器やフィルターの清掃 ○不使用エリアや共用部の間引き・消灯 ○昼光利用による照明の間引き・消灯 ○省エネ型蛍光灯やLED照明などへの切り替え ○長時間の離席時にはOA機器の電源を切る ○給茶器・温水便座などのプラグを抜く ○未使用機器のプラグを抜く ○デマンドコントロールシステムの導入 ○冷蔵・冷凍ショーケースの設定温度変更 ○エレベーターやエスカレーターの一部運転停止 ○適切な機器メンテナンスの実施 ○待機状態設備の停止 ○加熱炉・加熱装置の放熱防止 ○コンプレッサーの供給圧力低減 空調(冷房など) 照明・コンセント その他の使用機器 OFF