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① 原産材料
② 労務費
③ 製造経費
④ 利 益
⑤ その他
⑥ 非原産材料
円グラフの全体が産品の価額
①
②
③ ④ ⑤
⑥
域内原産割合
RVC :メキシコ 及び アセアンEPA
(Regional Value Content)
原産資格割合
LVC :ベトナムEPA
(Local Value Content)
QVC :メキシコ、アセアン、ベトナム 及び スイス以外 の EPA
(Qualifying Value Content)
付加される価値と産品の価額とを比較して判断
付加価値基準
28
この部分が 「付加される価値」
Page 2
① 原産材料
② 労務費
③ 製造経費
④ 利 益
⑤ その他
⑥ 非原産材料
①
②
④
⑥
原産材料価額 + 直接労務費 + 利益 + 直接経費
産品の価額
第1の方法:これらの構成要素を1つ1つ積み上げていく(積上げ方式)
第2の方法:非原産材料の価額を利用する
「付加される価値」をどのようにして算出するか?
算出方法は、大まかには以下の2つの方法に大別される。
≧ Ⅹ%
(例)
≧ Ⅹ% 原産材料価額
産品の価額
≦ Ⅹ% 非原産材料価額
産品の価額
(例)
≧ Ⅹ% 産品の価額-非原産材料価額
産品の価額
③ ⑤
(控除方式)
① 原産材料
② 労務費
③ 製造経費
④ 利 益
⑤ その他
⑥ 非原産材料
①
②
④
⑥
⑤
29
Page 3
他の価格構成要素
(経費等) 200円
リキュール
FOB 1000円
原産材料
CIF 500円
非原産材料
CIF 300円
この場合「付加された価値」は70%であり、品目別規則に規定された40%を超えているので、協定上の原産品と認められる。
付加価値基準(タイEPA)
≧ 産品の価額 – 非原産材料価額
産品の価額 40 %
CIF FOB
=
1000
1000-300
= 70 %
タイEPA品目別規則(第2208.70号(リキュール))
① 第2208.70号の産品への他の項の材料からの変更(第22.07項の材料からの変更を除く。) 又は、
② 原産資格割合が40%以上であること(第2208.70号の産品への関税分類の変更を必要としない。)。
30
Page 4
完全生産品
実質的変更基準を満たす産品
実質的変更基準の例外
累 積
関税分類変更基準
加工工程基準
付加価値基準
僅少の非原産材料
原産資格を与えることとならない作業
原産材料のみから生産される産品
実質的変更基準
(材料:非原産材料を使用)
(材料:原産材料のみ)
(材料:[自然]または
完全生産品のみ)
原産地規則の3つの構成要素
3種類の原産品
原産地規則
原産地基準
積送基準
手続的規定
EPA原産地規則の構成(概要)
31
Page 5
実質的変更基準の例外
• 本来は実質的変更基準を満たさない産品について、原産品として認められる範囲を広げる規定
(いわゆる救済的な規定)
- 累積 - 僅少の非原産材料
- 原産資格を与えることとならない作業
• 特定の作業が行われることのみをもって品目別規則に定める関税分類変更基準又は加工工程基準を満たすものとはしないという規定
(いわゆる除外的な規定)
32
Page 6
累積を適用する(タイEPA)
日本
原産材料
タイ
産品
日本
産品
日本の
非原産材料
非原産材料
累積の規定を適用する場合は、 で示される生産には実質的変更基準を考慮
する必要がない。 (原産材料には、実質的変更基準は適用しないため。)
→ 原産品として認められるものの範囲が広くなる
(※原産地証明書に「ACU」の記載が必要)
生産
生産
(本来であれば)タイの原産品は、日本にとっては非原産材料であるので、日本で産品の生産に使用する場合は、実質的変更基準を満たす必要がある。
タイの
原産品
累積を適用することで
日本の原産材料とみなすことができる
タイの原産品は、
日本の非原産品(材料)となる。
33
Page 7
A国
B国
第7類 たまねぎ
第25類
塩
第2103.20号
生鮮のトマト
(日本原産)
第7類
非原産材料の玉ねぎ(第7類)が品目別規則を満たしていないことから、製品は日本の原産品と認められない。
たまねぎの価額はトマトケチャップの価額の5%
→ タイ協定の場合、7%以下なら
僅少の非原産材料の規定が適用可能
製品は日本の原産品と認めることが
可能となる。
¥5
¥2
¥100
関税分類変更基準を満たさない非原産材料があったとしても、それがごく僅かなものなら無視しようという考え方
タイEPA 品目別規則 第21類 (各種の調製食料品)
2103.20 第2103.20号の産品への他の類の材料からの変更
(第7類又は第20類の材料からの変更を除く。)
日本
※原産地証明書に「DMI」の記載が必要
僅少の非原産材料(タイEPA)
34
トマトケチャップ
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僅少の非原産材料の適用対象品目の比較表 *適用できる品目、閾値はEPAごとに異なる。
参考
第1類 第2類,
第3類
第4類-
第8類第9類
第10類-
第14類第15類 第16類 第17類 第18類 第19類 第20類 第21類 第22類 第23類 第24類
日シンガポール
日メキシコ産品の取引価額の
10%以下(※1) × ×
日マレーシア日インドネシア日ブルネイ日フィリピン
2008.92:産品の
FOB価額の10%以下
2008.92以外:産品
のFOB価額の7%以
下
日タイ
1803.10,1803.20,
1805.00:産品の
FOB価額の10%以下
2103.90:産品のFOB
価額の7%以下
その他:× その他:×
日スイス
0901.21,0901.22:
産品のFOB価額の
10%以下
1803.10,1803.20,
1805.00:産品の
FOB価額の10%以下
2103.90:産品のFOB
価額の7%以下
その他:× その他:× その他:×
1604.20,1605.20 ,
1605.90:×2101.11, 2101.20,
2106.10, 2106.90:× 2207.10,2207.20:×
日ペルー産品のFOB価額の
10%以下(※2) × ×
日オーストラリア
日モンゴル
※1:産品の生産に使用する非原産材料が協定第25条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。
※2:産品の生産に使用する非原産材料が協定第44条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。
※3:産品の生産に使用する非原産材料が協定第3・4条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。
※4:産品の生産に使用する非原産材料が協定第3・6条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。
産品のFOB価額の10%以下(※3)
産品のFOB価額の10%以下(※4)
産品のFOB価額の7%
以下
産品のFOB価額の7%以下
産品のFOB価額の10%以下 産品のFOB価額の10%以下
×
×
産品の取引価額の10%以下(※1)
× 産品のFOB価額の7%以下 ×
日チリ
産品のFOB価額の10%以下× 産品のFOB価額の10%以下× ×産品のFOB価額の
10%以下
産品の取引価額の10%以下(※1)
×
日アセアン包括
日ベトナム
×
×産品のFOB
価額の7%
以下
産品のFOB価額の
7%以下
×
産品のFOB価額の10%以下(※2) 産品のFOB価額の10%以下(※2)
その他:産品の
FOB
価額の7%以下
産品のFOB
価額の7%
以下×
×産品のFOB価額の
10%以下
産品の工場渡し価額の7%以下
×
その他:産品の
FOB価額の7%以下
日インドその他:産品の
FOB
価額の7%以下
産品のFOB価額の7%以下
35
Page 9
僅少の非原産材料の適用対象品目の比較表 *適用できる品目、閾値はEPAごとに異なる。
参考
第25類 第26類-
第27類第28類 第29類
第30類-
第34類第35類
第36類-
第37類第38類
第39類-
第45類第46類
第47類-
第49類第50類 第51類 第52類 第53類
第54類-
第63類第64類-第97類
日シンガポール産品のFOB価額の
10%以下
日メキシコ産品の取引価額の
10%以下
日マレーシア日インドネシア日ブルネイ日フィリピン
産品のFOB価額の
10%以下
日タイ産品のFOB価額の
10%以下
日スイス産品の工場渡し価
額の10%以下
2501.00:産品の
FOB価額の7%以下
2906.11, 2918.14,
2918.15,2940.00:産品のFOB価額の7%以下
3505.10,3505.20:
産品のFOB価額の
7%以下
3809.10,
3824.60:
産品のFOB価額の
7%以下
4601.29, 4601.94,
4602.19:
×
5001.00,
5003.00:
×
51.02,
51.03:
×
52.01ー
52.03:
×
53.01,
53.02:
×
2905.44:×3502.11,3502.19:
×
その他:産品の
FOB価額の10%以下
その他:産品の
FOB価額の10%以下
日ペルー産品のFOB価額の
10%以下
日オーストラリア産品のFOB価額の
10%以下
日モンゴル産品のFOB価額の
10%以下
※1:産品の生産に使用する非原産材料が協定第25条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。
※5:産品の関税分類を決定する材料に含まれる特定の繊維又は糸が所定の関税分類変更を満たしていないことを理由として当該産品が原産品と認められない場合に限り適用される。
※6:例外として,第32.04項及び第34.02項は,産品と同じ項に属する非原産材料については工場渡し価額の20%以下の場合と規定されている。
産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下
産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下
×
×
産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の 7%以下日チリ
日アセアン包括
日ベトナム
産品のFOB価額の
10%以下
産品の
FOB価額
の10%以
下
産品の重量の 7%以下
産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下
産品の工場渡し価額の10%以下(※6)
×産品のFOB価額の
10%以下
×その他:産品の
FOB価額の10%以下
その他:産品の
FOB価額の10%以下
産品のFOB価額の
10%以下
産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下産品のFOB価額の
10%以下
産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の 7%以下
産品の重量の10%以下
関税分類を決定する材料に含まれる特定の繊維又は糸の総重量が当該材料の総重量の7%以下である場
合(※5)
産品の重量の 7%以下
×
×
産品の取引価額の10%以下
(※1)産品の取引価額の10%以下
産品のFOB価額の10%以下
産品のFOB価額の10%以下
×
産品の重量の10%以下産品のFOB価額の10%以下
日インド
その他:× その他:産品の重量の7%以下
産品の重量の7%以下
産品の
FOB価額
の10%以
下
産品の
FOB価額
の10%以
下
産品の
FOB価額
の10%以
下
産品の
FOB価額
の10%以
下
36
Page 10
日本 A国
包帯
第30.05項
はさみ
第82.13項
原産資格を与えることとならない作業(タイEPA)
タイEPA 第31条
(a) 輸送又は保管の間に産品を良好な状態に保存することを確保する作業 ( 乾燥、冷凍、塩水漬け等 ) 等
(b) 改装及び仕分
(c) 組み立てられたものを分解する作業
(d) 瓶、ケース及び箱に詰めることその他の単純な包装作業
(e) 一の産品として分類される部品及び構成品の収集
(f) 物品を単にセットにする作業
(g)(a)から(f)までの作業の組合せ
日本で単に物品をセットにしただけの場合、日本の原産品とは認められない。
第3006.50号の品目別規則 : 他の項の材料からの変更
項 (4桁の関税分類番号) 救急箱(セット)
第3006.50号 37
特定の作業が行われることのみをもって、品目別規則に定める関税分類変更基準又は加工工程基準を満たすものとはしないという規定
Page 11
あなたの会社が(日本で)生産した産品が、あるEPAの下で、日本の原産品と認められるか否かを
判断するためには、どのような情報が必要か?
以上をまとめると(原産地基準)
38
上記の説明には、必ずしも充分ではない部分があります。それらも含め、ご不明な点は、原産地調査官までお問い合わせください。(スライド 49)
① あなたの会社で生産している(扱っている)産品についての関税分類番号(6桁)及び、その関税分類番号に対応する品目別規則
② あなたの会社で生産している(扱っている)産品の材料・部品の生産国
材料・部品が日本で生産されている場合
③ その材料・部品が日本の原産品であるかを判定する必要あり
完全生産品
産品(材料)の育成、捕獲、収穫または採取された場所
材料・部品が日本以外で生産されている場合
④ 日本以外で生産されている材料・部品の全てが、①で確認した産品の品目別規則を満たしているか判定する必要あり
関税分類変更基準
材料・部品の関税分類番号(6桁)
加工工程基準
材料・部品の加工・生産工程
スライド 11
付加価値基準
産品のFOB価額及び日本以外で生産された材料・部品のCIF価額の総額
スライド 23 スライド 25 スライド 28
除外的な規定
スライド 37
救済的な規定
スライド 33、34
スライド 14
材料・部品の生産に日本以外で生産された材料が使われている産品
右記④のグループの情報
原産品(日本)であることを判断するための情報(概要)
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完全生産品
実質的変更基準を満たす産品
実質的変更基準の例外
累 積
関税分類変更基準
加工工程基準
付加価値基準
僅少の非原産材料
原産資格を与えることとならない作業
原産材料のみから生産される産品
実質的変更基準
(材料:非原産材料を使用)
(材料:原産材料のみ)
(材料:[自然]または
完全生産品のみ)
原産地規則の3つの構成要素
3種類の原産品
原産地規則
原産地基準
積送基準
手続的規定
EPA原産地規則の構成(概要)
39
Page 13
貨物が相手国に到着するまでに原産品としての資格を失っていないか
どうかを判断する基準
直接運送されること
第三国を経由する場合には、当該第三国において許容される作業
は、積卸し及び産品を良好な状態に保存するために必要なその他の
作業のみ
積 送 基 準
相手国 日本
第三国
40