再処理リサイクル対直接処分の経済性比較

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再処理リサイクル対直接処分の経済性比較

スティーブ・フェター公共政策学部 , メリーランド大学

Matthew Bunn, John P. Holdren, Bob van der Zwaan

Kennedy School of Government, Harvard University

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直接処分　対　再処理リサイクルDirect-disposal v.Reprocessing-Reycle

• 使用済み燃料を直接地層処分するのがよいか、あるいは、再処理してプルとウランを再利用するのがよいか？

• この問いは以下の観点から新たな注目を浴びている– 使用済み燃料と分離プルトニウムの蓄積– 地層処分地の処分容量– 原子力の長期的見通し– 民事用核燃料サイクルと核兵器の拡散との結

びつき

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今回の研究はコストに焦点を当てたThis Study Focuses on Costs

• この論争においてコストは重要な要素である– ただ、唯一あるいは最重要の要素ではない ;

環境 , 保安 , そして廃棄物管理などは同様に重要な要素である

• 現時点で、再処理・リサイクルが直接処分よりも高くつくことは、一般に合意されている

• 推進側はその差は少なく、原子力エネルギーが増大すれば、すぐに消えると主張する

• 我々の結論では、コスト差は大きく、 50 ～ 100年間は続くというもの

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研究の概要 Outline

1. 直接処分対再処理リサイクル（軽水炉の場合）• 発電単価における差• 均衡ウラン価格

2. 軽水炉 - 直接処分対高速増殖炉 - リサイクル3. ウラン資源と価格

• ウラン価格はいつ、再処理リサイクルとつりあう価格となるか ?

4. 処分場要件に与える再処理リサイクルの影響

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直接処分対再処理　 ( 軽水炉の場合）

プルトニウム

処分場

八酸化三ウラン

六フッ化ウラン

中間貯蔵

転　換

低濃縮ウラン燃料

ＭＯＸ燃料

使用済みウラン燃料


高レベル放射性廃棄物中レベル放射性廃棄物

劣化ウラン

転　換

回収ウラン

スタート使用済みウラン燃料

使用済み MOX 燃料

鉱山

精錬

濃　縮燃料加工

軽水炉

再処理


ＭＯＸ燃料加工

低濃縮ウラン


6


プルトニウム

処分場



中間貯蔵

転　換


ＭＯＸ燃料




転　換

回収ウラン



鉱山

精錬濃　縮

燃料加工

軽水炉

再処理



低濃縮ウラン

劣化六フッ化ウラン

$6/kg$100/SWU$250/kg

$200/kg

$400/kg

$200/kg

$1000/kg$1500/kg

$6/kg

$50/kg

7


プルトニウム

処分場



中間貯蔵

転　換


ＭＯＸ燃料




回収ウラン



鉱山

精錬濃　縮

燃料加工

軽水炉

再処理



低濃縮ウラン $6/kg$100/SWU$250/kg

$200/kg

$400/kg

$200/kg

$1000/kg$1500/kg

$50/kg

$3000/kg$2700/kg

$800/kg

電気事業連合会資料

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• 所与のウラン価格に対応する発電コストの差

• 両方の発電コストが同一となるウラン価格（均衡価格）

• 他の燃料サイクル部門の均衡価格（例：再処理）

燃料サイクル各部門と他のパラメータの中央値を導くために行った推計：For central value of the price of various fuel-cycle services and other parameters

9

-1

0

1

2

3

4

5

6

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Price of Uranium ($/kg)

DC

OE

(m

ill/

kW

h) $2000/kg

$1000/kg

$500/kg

$3000/kg = reprocessing price

再処理価格に対する発電コストプレミアム

再処理価格　　　　　

ウ　ラ　ン　価　格

発

　

電

　

コ　

ス　

ト　

差

mill/kWh

再処理コスト $1000/kg に対するウラン均衡価格 = $370/kg

10

均衡価格 Breakeven Prices 他のパラメータでは中央値を想定した場合

パラメータ均衡価格中央値

現状日本

比

ウラン ( ドル /kg) 370 50 40 9

再処理 ( ドル /kg) 420 1000 3000 7

ＭＯＸ燃料加工 ( ドル /kg)

<0 1500 2700 ∞

中間貯蔵 780 200 250 3

処分コスト差 630 200 ?

濃縮 ( ドル /SWU) 1200 100 100 12

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再処理にとって有利な見積もりをおこなった

These estimates are favorable to reprocessing

• 再処理と MOX 燃料加工の中央値は実勢より相当低くした

• プルトニウム貯蔵、アメリシウム除去、 MOX利用に伴う許認可や保安上の費用を見込まず

• 直接処分に伴う中間貯蔵費用を高く見積もった• 高レベル放射性廃棄物の処分コストを低下の利

点を大目に見積もった• 使用済み MOX 燃料と使用済みウラン燃料の処

分コストを同等とした

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軽水炉（直接処分）対高速増殖炉

マイナーアクチニド

精錬

鉱山


転　換六フッ化ウラン

低濃縮ウラン


燃料加工

使用済みウラン燃料中間貯蔵

処分場



転　換劣化ウラン燃料加工

濃　縮

軽水炉

高速増殖炉

FBR 燃料炉再処理

回収ウランプルトニウム

18

-4

-2

0

2

4

6

8

10

12

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Uranium Price ($/kgU)

CO

E (

LM

R -

LW

R)

(mil

l/k

Wh

)

$0

$100

$200

$300

$400

DCcap

($/kWe)

Utility Owner

FBR による発電コストプレミアム

ウ　ラ　ン　価　格

公益企業

発

　

電

　

コ　

ス　

ト　

差

mill/kWh

19

均衡価格 Breakeven Prices 規制下の公益企業所有を想定

パラメータ均衡価格最安値中央値最高値

ウラン ( ドル /kg) 340 50

資本費差 –95 0 200 400

再処理 ( ドル /kg) <0 500 1000 2000

中間貯蔵 4100 300 200 100

処分コスト差 3400 300 200 100

濃縮 ( ドル /SWU) 570 150 100 50

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ウラン資源Uranium Resources

• 中央値を使った場合の均衡ウラン価格 :　　 340 ドル /kg ( 高速増殖炉 ) 370 ドル /kg ( 軽

水炉 )

• ベストケースでも　　　均衡ウラン価格 > 130 ドル /kg

• どれだけあるか ? NEA/IAEA レッドブックでは1600万トン（ウラン価格 130 ドル /kg 以下として）しかし、–多くの国での高いコストの資源

　　（例：オーストラリア）を見積もっていない ;

–非在来型資源（例：リン酸塩）を含まず– ウラン探査へのわずかの投資

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最大可採埋蔵ウラン量の粗い想定A Very Rough Estimate of Ultimately Recoverable Uranium Resources

• NEA レッドブックは 210万トン（今の 40 ドル /kg として）

• Hore-Lacy: “ ウラン価格が現行の倍になると確認埋蔵資源量は 10倍になると予想できるだろう .”

• 故に、ウラン価格が 80 ドル /kg なら 2100万トンに、 160 ドル /kg なら 2億 1000万トンに、p

R 2.140

= 供給の長期的価格弾力性

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Deffeyes and MacGregor (1980)

平均して、

ウラン鉱石の品位が 10 分の 1 になると、利用可能なウラン資源量は300倍に増える

ウラン鉱石品位（ｐｐｍ）

ウラン資源量見積もり（

トン）

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可採埋蔵資源Recoverable Resources

出典

長期的価格弾力性

単位： 100万トンウラン

<$40 <$80 <$130

UIC ( 価格が 2倍で確認埋蔵量は10倍に )

3.32 2.1 21 105

Deffeyes and MacGregor (品位 10 分の 1 で = 資源は 300倍増 )

2.48 2.1 12 39

Gen-IV ( さまざまな採掘方法に対する米国の埋蔵量に基づく )

2.35 2.1 11 34

NEA/IAEA レッドブック 2.1 11 16

27

IIASA/WEC Global Energy Perspectives原子力発電シナリオ

28

軽水炉直接処分の累積ウラン消費量（ 19 トンウラン /10億ｋWｈ）

0

10

20

30

40

2000 2020 2040 2060 2080 2100

Cu

mu

lati

ve U

ran

ium

Co

nsu

mp

tio

n (

MtU

)

17 Mt @ $130 kg–1 (Red Book)

34 Mt @ $130 kgU–1 (Eq. 2, = 2.32)

40 Mt @ $130 kgU–1 (Eq. 2, = 2.48)

100万ｔ

累　

積

　

ウ　

ラ　

ン　

消

　

費

　

量

29

考慮すべき他の諸点

処分場スペースエネルギーの安全保障核拡散公衆の健康と環境問題

30

処分場スペースRepository Space

• 再処理は新たな処分場の必要を大幅に減らすことができるか ?

• 軽水炉リサイクル路線 : no–マイナーアクチニドによるｋWh 当りの崩壊熱の増大

• マイナーアクチニドを含む高速炉リサイクル路線 : yes, しかし…– 再処理・燃料製造がより高価に

• Gen-IV: $2000/kg 再処理 , $2600/kg 燃料費• ウラン価格 = $130/kg なら :

DCOE = 6 mill/kWh DCcap = $0 　の場合 16 mill/kWh DCcap = $200/kWe の場

合

32

考慮すべき他の諸点

処分場スペースエネルギーの安全保障核拡散公衆の健康と環境問題

33

ご清聴ありがとうございました

34

cost of cost ofdirect-disposal reprocessing-recycle

収支均衡ウラン価格の計算

value of cost of interim storage cost of reprocessing recovered+ disposal of spent fuel + disposal of wastes Pu + U

value of cost of LEU cost of equivalentrecovered Pu using natural U MOX fuel

value of cost of LEU cost of LEUrecovered U using natural U using recycled U

直接処分コスト

再処理リサイクルコスト

中間貯蔵コスト＋使用済燃料処分コスト

再処理コスト＋廃棄物処分コスト

回収ウランと Pu の

価値

プルトニウムの価値

低濃縮ウラン燃料コスト

（天然ウラン利用）

MOX 燃料コスト


（天然ウラン利用）

回収ウランの価値


（回収ウラン利用）

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分かりやすい事例直接処分

コスト ( ドル /kgHM)

使用済み燃料の中間貯蔵 $200

使用済み燃料の地層処分 $400

$600

再処理ーリサイクル再処理 $1000

高中レベル廃棄物の地層処分 $200

回収ウラン (0.95 kgU/kgHM) –0.95CrU

プルトニウム (0.01 kgPu/kgHM) –0.01CPu

$1200 – 0.95CrU – 0.01CPu

36

ウラン燃料コスト量単価コスト ($/kg)

ウラン 7 kg CU 7CU

転換 7 kg $6/kg $42

濃縮 6 SWU $100/SWU $600

燃料加工 1 kg $250/kg $250

$892 + 7CuMOX 燃料コスト

劣化ウラン 0.94 kg $6/kg $6

プルトニウム 0.06 kg CPu 0.06CPu

燃料加工 1 kg $1500/kg $1500

$1506 + 0.06CPu

UPu

7C 614C

0.06If CLEU = CMOX:

プルトニウム価値

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収支均衡ウラン価格

cost of interim storage cost of reprocessing value of + disposal of SF + disposal of wastes Pu + rU

Pu rUHM HM

UU

HM HM

U

U

$600 $12000.01C 0.95C

kg kg

7C 614$600 $12000.01 0.95C

kg kg 0.06

12.7C 4214

$330C

kg

より正確な計算では $370/kg ー現在のスポット価格の 8 倍ーとなる

仮定CrU CU

中間貯蔵コスト＋使用済燃料処分コスト

再処理コスト＋廃棄物処分コスト

回収ウランと Pu

の価値

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その他のパラメータ

パラメータ最高値中央値最安値ウラン燃料加工 ($/kg) 350 250 150

転換 ($/kg) 8 6 4

使用済み燃料燃焼度 (MWd/kg)

33 43 43

新燃料燃焼度 (MWd/kg) 53 43 43

割引率 (%/y) 8 5 2

レーザー濃縮 yes no no

回収ウランプレミアム　転換 ($/kg) 5 15 25

　濃縮 ($/SWU) 0 5 10

　燃料加工 ($/kg) 0 10 20

39

-2

-1

0

1

2

3

4

5

500 1000 1500 2000

Price of Reprocessing ($/kgHM)

CO

ER

R -

CO

ED

D (

mill

/kW

h) reference case

@ $130/kgU

$80/kgU

$260/kgU best case for reprocessing @$130/kgU

worst case for reprocessing @$130/kgU

再処理に対する発電コストプレミアム

　　　　再処理価格

40

再処理コスト• 中央値 = $1000/kg (幅 : 500 to 2000)

– 使用済み燃料の輸送・中間貯蔵、プルトニウム高レベル廃棄物、低レベル廃棄物処分、施設解体を含む

– ソープ , UP3:

– baseload: $1700-2300/kg

– post-baseload: $1000-1500 $600-900/kg

• 六ヶ所再処理工場 : $4000/kg

• 報告されたソープの資本費、運転費を使うと : $1350 ( 政府 ), $2000 （規制下電力会社 ), $3100 ( 民間 )

41

MOX 燃料加工• 中央値 = $1500/kg (幅 : 700 to 2300)

– 燃料輸送あるいは原子炉での利用に対する追加コストは無し

• 1990 年代の価格　 : $2100-2700/kg

• 英国 SMP での資本費と運転費 : $1000 ( 政府 ), $1500 (規制下電力会社 ); $2100 ( 民間 )

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使用済み燃料中間貯蔵• 中央値 = $200/kg (幅 : 100 to 300)

• 費用見積もり :–敷地内乾式貯蔵 : $100-120/kg– 他の敷地内乾式貯蔵 : $150-200/kg–集中貯蔵施設 , 日本 : $280/kg

• 中間貯蔵施設は、十分な貯蔵容量をもった新規原発には、あるいは、埋設が開始された後には必要ないだろう

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処分コストの差異

使用済み燃料

高レベル廃棄物

使用済み – 高レベル廃棄物

% savings

本研究 400 200 200 50%

100-300 25-75%

1993 OECD 研究 140 70 70 50%

2000 フランス研究 130 80 50 40%

Gen IV 研究 300 200 100 33%

1 mill/kWh = $370/kg at discharge （燃焼度 43 MWd/kg の場合）

44

資本費差

原子炉所有者

再処理コスト濃縮

高速増殖炉炉心燃料加工増殖比

差異地層処分コストの

LEU 燃焼度

建設期間ブランケット燃料加工

LEU 燃料加工

45

ウラン価格

0

50

100

150

200

250

300

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005

Ura

niu

m P

ric

e (

$2

00

3 k

gU

–1)

Spot market price

Average paid by US reactor operators

Average EURATOM Contract Price

スポット価格

米運転者が払っている価格の平均ユーラトムの契約価格の平均

再処理リサイクル 対 直接処分の 経済性比較

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