Page 1
第6章:熱帯域の不安定について(個別的?)<ーかき混ぜ?6ー1:成層圏内の傾圧不安定(?)で起こっている例
波数3の2日波、南半球の夏の中間圏界面付近の擾乱Plumb(1983, J. Atmos. Sci.), Plumb et al. (1987) 参照
アデレードでの観測で、東方向、北方向の風の成分
Wu et al., 1996, J. Atmos. Sci. による衛星データからの、 s=3, 2-day wave 、これは西方伝播である。
シグナルの時間 - 緯度断面図 Wu et al., 1996, J. Atmos. Sci. 92 年 12 月 -93 年 3 月(南半球夏)、構造が夏半球的で赤道域まで広がっている。
シグナルの緯度 - 高度断面図、 DAY 502 は1月終わり
- 不安な雲のうかび出て ふたたび明るく晴れるのは -
温度
Page 2
Plumb(1983) はこの擾乱を傾圧不安定で説明しようとした。
ここでは大気擾乱の生成メカニズムの1つと考えられる線形不安定を考える。 - 大気にとってはかき混ぜ過程みたいなものか?ー>物質分布にも絡むであろう -
方程式は準地衡風方程式を用い、基本の場(高さと緯度の関数)が擾乱を成長させるか?を議論してみる。ここで
(∂∂t
+ug
∂∂x
+vg
∂∂y
)q=0
のような保存の式をもちいる。ここで、
q=∇2ψ + f +βy+f2
ρ0
∂∂z
(ρ0
N2
∂ψ∂z
)
これまでたびたびおこなってきたように、東西平均量(基本の場)とそれからのずれを考える。
擾乱についての線形の方程式は以下のようになる。
(∂∂t
+u ∂∂x
)q'+v'∂∂y
q =0
ここで、∂∂y
q =β +∂∂y
(∇2ψ +f 2
ρ0
∂∂z
(ρ0
N2
∂ψ ∂z
))
=β −∂2u ∂y2 −
f 2
ρ0
∂∂z
(ρ0
N2
∂u ∂z
)
q'=∇2ψ '+f 2
ρ0
∂∂z
(ρ0
N2
∂ψ '∂z
)
つぎに境界条件をあたえる。
南北には壁をおく事にする。剛体壁で南北風がないとすれば擾乱について、
∂ψ '∂x
=0 hence ψ '=0 at y=0,L
鉛直方向は、地表では w=0 であろう。ただし PVの式は w を含んでいないので、熱力学の式を変形する。
前に熱力学の式は
∂∂t
(∂∂z
(pρ0
))+ug
∂∂x
∂∂z
(pρ0
) +vg
∂∂y
∂∂z
(p
ρ0
)+w0N2(z) =0
であった。これの線形で流線関数表現では、
∂∂t
(∂∂z
(ψ ))+u ∂∂x
∂∂z
(ψ )+∂ψ '∂x
∂∂y
∂∂z
(ψ )+w0 fN2(z) =0
この式で w=0 とおいて、∂∂t
(∂∂z
(ψ ' ))+u ∂∂x
∂∂z
(ψ ') −∂ψ '∂x
∂∂z
(u ) =0
である。 無限遠では が有限という境界条件をおく。
Ψ’ を上の境界条件のもとに解くこと(例えば固有値問題にする)が重要な仕事になる。
ψ '
Page 3
補足:不安定のための必要条件
ψ
擾乱についてψ '=Re Ψ(y,z)expik(x −ct)[ ]{ }
の形を仮定すれば、もとの方程式は
(u −c)∂2Ψ∂y2 −k2Ψ +
1ρ0
∂∂z
(ερ0
∂Ψ∂z
)⎡
⎣ ⎢
⎤
⎦ ⎥ +
∂∂y
q Ψ =0
ただし である。境界条件は
で、無限では が有限の境界条件をかす南北は がゼロ。
ε =f 2
N2 (u −c)∂Ψ∂z
−∂u ∂z
Ψ =0 atz=0
鉛直と南北に積分し、
上式に psi * をかける
部分積分をして変形する
ψ
境界条件を使うと
ρ0∫∫∂∂y
Ψ2
+k2 Ψ 2 +∂Ψ∂z
2⎧ ⎨ ⎪
⎩ ⎪
⎫ ⎬ ⎪
⎭ ⎪ =
∂∂z
(Ψ*ερ0∂Ψ∂z
)∫∫ + ρ01
(u −c)∂∂y
q Ψ 2
∫∫
ρ0∫∫∂∂y
Ψ2
+k2 Ψ2+
∂Ψ∂z
2⎧ ⎨ ⎪
⎩ ⎪
⎫ ⎬ ⎪
⎭ ⎪ =− dy∫ Ψ*ερ0
∂Ψ∂z z=0
+ ρ0
1(u −c)
∂∂y
q Ψ2
∫∫
∂Ψ∂z
=1
(u −c)∂u ∂z
Ψ atz=0 を代入して
ρ0∫∫∂∂y
Ψ2
+k2 Ψ 2 +∂Ψ∂z
2⎧ ⎨ ⎪
⎩ ⎪
⎫ ⎬ ⎪
⎭ ⎪ =− dy∫ Ψ*ερ0
1(u −c)
∂u ∂z
Ψz=0
+ ρ01
(u −c)∂∂y
q Ψ 2
∫∫
ρ0∫∫∂∂y
Ψ2
+k2 Ψ2+
∂Ψ∂z
2⎧ ⎨ ⎪
⎩ ⎪
⎫ ⎬ ⎪
⎭ ⎪ =− dy∫ Ψ
*ερ0
1(u −c)
∂u ∂z z=0
+ ρ0
1(u −c)
∂∂y
q Ψ2
∫∫
となる。不安定の必要条件として(不安定なら c が復素になるからそのときみたすべき式は)、左辺は実だから
ci
∂∂y
q ρ0 Ψ 2
u −c2 − ε
∂u ∂z
ρ0 Ψ 2
u −c2
z=0
dy∫∫∫⎡
⎣ ⎢
⎤
⎦ ⎥ =0
これが不安定の必要条件である。不安定のとき は not zero だから[]内がゼロにならないといけない。 z =0での境界条件が関係しないとき(内部jet の不安定と呼ばれる、中層大気の不安定)、平均の PV の南北微分が符号を変えることが、不安定の必要条件になっている。
ci
€
∂2Ψ
∂y 2− k 2Ψ +
1
ρ 0
∂
∂z(ερ 0
∂Ψ
∂z) +
1
(u − c)
∂
∂yq Ψ = 0
€
ρ0Ψ* ∂ 2Ψ
∂y 2− k 2Ψ
⎡
⎣ ⎢
⎤
⎦ ⎥+ Ψ* ∂
∂z(ερ 0
∂Ψ
∂z) + ρ 0
1
(u − c)
∂
∂yq Ψ
2= 0
€
ρ0
∂
∂y(Ψ* ∂
∂yΨ) − ρ 0
∂
∂yΨ* ∂
∂yΨ − ρ 0k
2 Ψ2
+∂
∂z(Ψ*ερ 0
∂Ψ
∂z) −ερ 0
∂
∂zΨ* ∂
∂zΨ + ρ 0
1
(u − c)
∂
∂yq Ψ
2= 0
Page 4
Plumb(1983) による固有値問題での説明 ∂∂y
q =β −∂ 2u ∂y2 −
f 2
ρ0
∂∂z
(ρ0
N2
∂u ∂z
)
夏半球の中層大気で東風になっている。
その時の固有関数として、下図のような構造の波が不安定になっている。波長 9400 km(波数3程度)、南北には 5000 kmの sin モードを仮定。 Geopotential 振幅は 80km あたりが最大になっている。熱フラックスの大きいところは、 PV の南北微分が符号を変えているところに対応している(c図)。
東西風の鉛直分布と を示す。 Potential Vorticity 勾配が符号を変える。
Harris and Vincent, 1993, JGRでは赤道域 2N,157W, Chrismas島で2日波を解析している。かれらによると、このシグナルは k=3の Rossby- 重力波と言っている。
南北風に2日にシグナル
Filterをかけた南北風の時間変動
Page 5
波数3の2日波と思われるモードの primitive 方程式の計算。 Salby, 1981, J. Atmos. Sci. 、
計算された s=3 の Rossby 重力波、夏半球中間圏あたりに大きな振幅がある。自由振動として計算されたが、風のために不安定になっているのであろう? Intrinsic frequency, 振幅、位相計算されたエネルギー応答の大きさ (solstice->dash)
計算のための solstise での基本場
Page 6
GCM の中の2日波
UGAMP GCM (T21) の7月1日の東西平均風、Norton and Thuburn, 1996, G. R. L.
約65km( 3000K), 85km(7000K) での波数3の構造
波数3の擾乱の緯度 - 高度断面図、 RG 波のように、赤道で南北風が大きい( b )
2日波の振幅の時間変化、実線が波数3で dotted が4
Page 7
6—2 慣性不安定( f−平面、 hydro )について
∂u∂t
+v∂u ∂y
+wΛ −fv=0
∂v∂t
+fu=−∂p∂y
∂v∂y
+∂w∂z
=0
∂pz
∂t−fvΛ +N2w=0
u z =Λ
ブシネスク流体で、 xー方向には一様な擾乱についての式は(ただし、基本場の shearは一定)
熱力学の式を y- 微分∂
∂∂y
pz
∂t−fΛ
∂v∂y
+N2 ∂∂y
w=0
x- 方向の運動方程式を z- 微分して f をかける。
f∂uz
∂t+
∂v∂z
f (∂u ∂y
− f)+∂w∂z
fΛ =0
足すと、
∂∂∂y
pz +fuz
∂t−fΛ
∂v∂y
+N2 ∂∂y
w−∂v∂z
f ( f −∂u ∂y
)+∂w∂z
fΛ =0
w =∂ψ∂y
v =−∂ψ∂z
を用いて、
最終的に、
∂2 ∂2ψ∂z2
∂t2 +2fΛ∂2ψ∂y∂z
+N2 ∂2
∂y2ψ +∂2ψ∂z2 f( f −
∂u ∂y
) =0
の形を仮定すると、exp(ily+imz−iωt)
−ω2(−m2)−2 fΛlm−N2l2 −f( f −∂u ∂y
)m2 =0
ω2m2 =2fΛlm+N2l2 +f( f −∂u ∂y
)m2
のようになる。赤道からすこし離れたところで、 ならば、第3項が負となり、全
体として負になる可能性がある。このとき、不安定になるであろう。
€
f −∂u
∂y< 0
€
∂∂t
(∂
∂ypz + fuz ) + 2 fΛ
∂ 2
∂y∂zψ + N 2 ∂ 2ψ
∂y 2+
∂ 2ψ
∂z2f ( f −
∂u
∂y) = 0
€
∂v
∂t+ fu = −
∂p
∂y を用いて、
€
∂2
∂t 2(−
∂v
∂z) + 2 fΛ
∂ 2
∂y∂zψ + N 2 ∂ 2ψ
∂y 2+
∂ 2ψ
∂z2f ( f −
∂u
∂y) = 0
圧力勾配が南北にもよらず、上昇流もなければ、
∂u∂t
+v∂u ∂y
−fv=0∂v∂t
+fu=0
∂2v∂t2 =−f( f −
∂u ∂y
)v
のような式となり、 ならば、不安定になるであろう。
f ( f −∂u ∂y
) <0
Page 8
赤道域の 50km あたりに鉛直波長 10km 程度のパンケーキ構造がみえる。これは、慣性不安定でつくられているようである。ただし、第2項の制限がつよい。例えば、 f=10-5 N=2x10-2 Λ=10-3 Ly=8000km ( 半波長 4000km ) Lz=5km =30m/s/1000km で負の値をもつ。( N2 l2 を小さくして、第3項を大きく)∂u
∂y
GCMでの慣性不安定: Hunt, 1981, JAS 、 15zonal waves,40点南北、54層、モデルで1月の条件である、このモデルは観測に比べ風速が強い
そのような例として、例えば Hayashi et al. (2001)
北半球
北半球でシグナルあり、ノイズではないと言っている
シグナルは見えるが半年振動に何か寄与をしているかは分かっていない。
Page 9
補足:慣性不安定と2日波との関係?
Orsolini et al. の例、 QJRMS, 1997
惑星波動の赤道域への伝播ー>慣性不安定ー>夏の東風で2日波を作りやすいようになっている?<ー6ー1節の議論では基本場が不安定の条件を満たす
1mb あたりの水蒸気分布、 15 Jan, 17 Jan, 25 Jan, 92年、南半球は k=3 の2日波。北半球は細かい eddy あり
1mb,平均東西風の時間変化、 Dec->Feb 、東風の北半球への penetration 、
150E近傍の tracer分布 1mb
PV の緯度経度分布図、 1mb, 0.68mb
Page 10
式的補足
絶対渦度なる量は慣性不安定の条件によって重要な量である。
もともともっている zonal な運動エネルギーの変化は
図では の状況が示してある
いま図のように、1、2にある絶対運動量は
絶対(慣性系からの)運動量は
さてMは保存量として、
€
M = fy − u
€
∂M
∂y= f −
∂u
∂y
€
(∂M
∂y)θ < 0
€
M1 = fy1 − u1 = fy − u(y,z)
M2 = fy2 − u2 = f (y + δy) − u(y + δy,z + δz)
€
δM =∂M
∂yδy +
∂M
∂zδz = 0
だからM一定面における傾きは、
€
(δz
δy)M = −
∂M /∂y
∂M /∂z=
f −∂u /∂y
∂u /∂z
一方温位一定面における傾きは、
€
(δz
δy)θ =
−∂θ
∂y∂θ /∂z
=f∂u /∂z
(g /θ0)∂θ /∂z
M1 を 2 に保存的にもっていくと
€
M1' = f (y + δy) − u1
' = M1
M2 を 1 に保存的にもっていくと
€
M2' = fy − u2
' = M2
M2, M1 を消すと
€
u1' = fδy + u1 u2
' = − fδy + u2
€
δ(KE) =1
2(u1
' 2 + u2' 2
) −1
2(u1
2 + u22)
= fδy(u1 − u2 + fδy) = fδy(M2 − M1)
もともともっている zonal な運動エネルギーが減少することで、南北の変位が増加するであろうから(図のようになっている)
€
f (M2 − M1) < 0
図から、等温位面の傾きが大きいから
€
(δz /δy)M
(δz /δy)θ
<1(δz /δy)M
(δz /δy)θ
=
f −∂u /∂y
∂u /∂zf∂u /∂z
(g /θ0)∂θ /∂z
<1
(δz /δy)M
(δz /δy)θ
=f ( f −∂u /∂y)((g /θ0)∂θ /∂z)
f 2(∂u /∂z)2 <1
€
N 2 = (g /θ0)∂θ /∂z F 2 = f ( f −∂u /∂y) S2 = −(g /θ0)∂θ /∂y = f∂u /∂z
€
F 2N 2
S4 <1 or F 2N 2 − S4 < 0不安定の条件は以下のよう:
この図を使って( pをMに、 xを y に置き換える)、
€
(∂M
∂y)θ = (
∂M
∂y)z +
∂M
∂z(∂z
∂y)θ
€
M = fy − u を使って
€
fP = f ( f −∂u
∂y)θ (−g
∂θ
∂p) = f ( f −
∂u
∂y)z + (−
∂u
∂z)(
∂z
∂y)θ
⎡
⎣ ⎢
⎤
⎦ ⎥(−g
∂θ
∂p)
€
(δz
δy)θ =
−∂θ
∂y∂θ /∂z
=f∂u /∂z
(g /θ0)∂θ /∂z だから
€
fP = f ( f −∂u
∂y)z + (−
∂u
∂z)(
∂z
∂y)θ
⎡
⎣ ⎢
⎤
⎦ ⎥(−g
∂θ
∂p)
= f ( f −∂u
∂y)z + (−
∂u
∂z)
f∂u /∂z
(g /θ0)∂θ /∂z
⎡
⎣ ⎢
⎤
⎦ ⎥(g
∂θ
ρg∂z)
€
fP = (F 2 − S4 /N 2)1
ρ
θ
g
g
θ
∂θ
∂z
∴ F 2N 2 − S4 =ρfg
θP
<ー上の不安定の条件を Potential 渦度で表わす
Page 11
補足温位座標についての質量は
ここで以下を定義すると、
質量は温位をつかって以下のようになる。
図から
極限をとって
だから、温位一定のもとで
のようになる。静力学平衡の式は温位の式を変形して
を用いて、
水平方向の運動方程式は
€
δM = ρδAδz =δA
ggρδz =
δA
g(−δp) =
δA
g(−
∂p
∂θ)δθ
€
σ =−1
g
∂p
∂θ
€
δM = σδAδθ
€
pC − pA
δx=
pB − pA
δx+
pC − pB
δz
δz
δx
€
(∂p
∂x)θ = (
∂p
∂x)z +
∂p
∂z(∂z
∂x)θ
€
1
ρ(∂p
∂x)z =
1
ρ(∂p
∂x)θ −
1
ρ
∂p
∂z(∂z
∂x)θ =
1
ρ(∂p
∂x)θ + (
∂Φ
∂x)θ
これを使って、圧力勾配は
€
θ =T(ps
p)R / c p
€
lnT =R
c p
ln p →δT
T=
R
c p
δp
p→ c pδT = RT
δp
p
€
1
ρ(∂p
∂x)θ =
1
ρ(
pc p
RT)(
∂T
∂x)θ = c p (
∂T
∂x)θ
だから、温位系での圧力勾配は
€
(∂Ψ
∂x)θ = (
∂(c pT + Φ)
∂x)θ
連続の式は
€
1
δM
D
DtδM = 0 →
1
σδxδyδθ
D
Dtσδxδyδθ =
1
σ
Dσ
Dt+
δ
δx
Dx
Dt+
δ
δy
Dy
Dt+
δ
δθ
Dθ
Dt= 0
Dσ
Dt+ σ
∂u
∂x+ σ
∂v
∂y+ σ
∂
∂θ˙ θ = 0 →
∂σ
∂t+∇θ ⋅(σV) +
∂
∂θ(σ ˙ θ ) = 0
€
θ =T(ps
p)R / c p →
δθ
θ=
δT
T−
R
c p
δp
p→ c p
δθ
θ= c p
δT
T− R
δp
p
c pTδθ
θ= c pδT −
RT
pδp = c pδT +
RT
pρgδz = c pδT + δ(gz)
→∂Ψ
δθ=
∂
∂θ(c pT + Φ) = c p
T
θ
€
∂V∂t
+∇θ ⋅(V ⋅V
2+ Ψ) + (ζ θ + f )k ⋅V = 0
渦度方程式は
€
(∂
∂t+ V ⋅∇θ )(ζ θ + f ) + (ζ θ + f )∇θ ⋅V =
˜ D
Dt(ζ θ + f ) + (ζ θ + f )∇θ ⋅V = 0
€
(∂
∂t+ V ⋅∇θ )(σ −1) = −
1
σ 2 (∂
∂t+ V ⋅∇θ )σ =
1
σ 2˙ θ
∂
∂θσ + σ∇θ ⋅V + σ
∂
∂θ˙ θ
⎡ ⎣ ⎢
⎤ ⎦ ⎥
→ (∂
∂t+ V ⋅∇θ )(σ −1) −
1
σ∇θ ⋅V =
1
σ 2
∂
∂θ(σ ˙ θ )
€
(∂
∂t+ V ⋅∇θ )P = (
∂
∂t+ V ⋅∇θ ) (ζ θ + f )σ −1
[ ]
= σ −1(∂
∂t+ V ⋅∇θ )(ζ θ + f ) + (ζ θ + f )(
∂
∂t+ V ⋅∇θ )(σ −1)
= −σ −1(ζ θ + f )∇θ ⋅V + (ζ θ + f )1
σ∇θ ⋅V +
1
σ 2
∂
∂θ(σ ˙ θ )
⎡ ⎣ ⎢
⎤ ⎦ ⎥
= (ζ θ + f )σ −1[ ]
1
σ
∂
∂θ(σ ˙ θ )
€
(ζ θ + f )δA = (ζ θ + f )δM
ρδz= (ζ θ + f )
gδM
gρδz
= (ζ θ + f )gδM
−δp= (ζ θ + f )
gδM
(−δθ∂p
∂θ)
=(ζ θ + f )
σ
δM
δθ
ここで P=potential 渦度は温位座標での質量密度 σと関係している
Page 12
6ー3:赤道域の K-H不安定の観測例赤道レーダ ( 0.2S, 100.32E) で観測された K-H不安定、 Yamamoto et. al., GRL, 2003, 熱帯圏界面、 2001 年 11 月。不安定の条件は満たしているが、結果がごちゃごちゃで私には分からない。上から鉛直流、東西、 shear, Ri 。
Kelvin-Helmholtz 不安定の線形問題を解いてある例:
これは天気、1992、 No. 1 の巻頭にのっていたカラー写真をコピーしたものである。 Takayabu がとられた。きれいな波状の雲パターンが見える。水平スケールは3000m程度。この波動擾乱は Kelvin-Helmholtz不安定によって生じたらしい、1990年12月23日
Dash:東西風dot-dash:シアー
Page 13
K-H 不安定が起こったときの大気状況
Richardson 数(実線)と shearの鉛直分布( 2.5km あたりに Ri < 0.25 のところがある)
K-H不安定が起こったときの風と温位の鉛直分布。実線が風で破線が温位である。 Takayabu, 1992, J. Met. Soc. Japan より。
地表天気図(KH 書かれたところに発生)
高層天気図( stipple 領域は cold front の西側の冷たい空気を示す)
Page 14
z=0 z=5000m で鉛直流 =0 の境界条件で固有値問題をとく。
0ˆˆˆ))((0ˆˆ)(
))(exp()(ˆRe))(exp()(ˆRe
0))((
0)(
01
)(
01
)(0
20
22
2
2
0
2
0
0
02
02
2
2
2
2
0
0
2
0
00
00
=+∂∂
−−∂∂
−=−−
−=−=
=∂∂
+∂∂
∂∂
−∂∂
+∂∂
∂∂
+∂∂
∂∂
−=∂∂
==+∂∂
+∂∂
=−∂∂
+∂∂
+∂∂
=∂∂
+∂∂
+∂∂
+∂∂
=∂∂
+∂∂
θψψψθ
θθθψψ
θθ
ψψ
ψψθθ
θθ
ρ
ρ
gzU
kz
cUg
NcU
ctxikzctxikz
xg
xzU
zxxU
t
xw
zuw
gN
xU
t
gzp
wx
Ut
xp
wz
Uu
xU
tzw
xu
線形解析の結果: Takayabu(1992, J. Met. Soc. Japan) 、(基本流が複雑なので数値解に頼らざるを得ない)。最も成長率の大きい3つの不安定解を求めている。しかし実際の擾乱によく似ている解は2番目の mode らしい。なぜ1番目でないのか私にはわからない。とにかく2番目の mode について、波長が1620m(観測では2700m)、位相速度16msー1
(観測でも16msー1)、最大振幅の高さは2550m(観測で2560m)、振幅が e - 倍になる時間は340秒である。
線形の方程式(2次元): 3つのモードの特徴
第2モードの鉛直分布
Page 15
補足: K-H不安定で波の生成+地表の間で Duct のようになり、重力波が水平に伝播している観測例
Ferretti et al. (1988, Met. Atmos. Phys.)
圧力偏差のパターンの時間変化、波波している
固有値問題も解いてある。
基本場の状態( 10 kmくらいの高度で Riの小さいところあり)
1979, April の地表、 850mb, 300mb の場の様子
モードの鉛直構造
200km水平スケールで3時間くらいの周期の波、スケールが大きい?
Page 16
6ー4:重力波の breakingのはなし( Holton, 1982, J. Atmos. Sci. )
重力波: w'=) w (z)exp(z / 2H)exp(ik(x−ct))
を考える。ここで WKB 的に表現すると、
) w (z) =Am
−1/2exp(i mdz)∫
と表される(西風の中で相対的に東の時)。ここで、m2 =
N2
(u −c)2
を用いると、
) w (z) =B(
u −cu 0 −c
)1/2 exp(i mdz)∫
のようになる。 は の振幅を表す。
ここで、波が鉛直伝播して、波の振幅が大きくなり( の形になっているので)、対流不安定を起こすようになるであろう。そのとき、以前に示したように(温位勾配)
B u =u 0
exp(z / 2H)
gcp
+∂T ∂z
+∂T'∂z
=0
をみたすとき、対流不安定が起きるであろう。左辺の始め2項が平均状態であり、第3項が波にともなう温度勾配を示している。ここで、
gcp
+∂T ∂z
=Γ =N2H
Rと表しておこう。
Lindzen, 1981, J. G. R. から
重力波に関する熱力学の式から、ik(c−u )T'=w' Γ
だから温度擾乱は
T'=iΓBexp(z / 2H)
k(u −c)(u −cu 0 −c
)1/2 exp(i mdz)∫
鉛直微分して
∂T'∂z
=iΓBim
k(u −c)(u −cu 0 −c
)1/2 exp(z
2H+i mdz)∫
Page 17
だから( m の方が効くとする、そんな波がよく観測されている)、対流の起こる高度は
をみたすから、
の式で波が壊れる高度、 breaking level を決める。
この考え方の1つの特徴は拡散係数が内部的に決まることであろう。
z> zb では波の breakingにより拡散されるであろうから、以下のような形になるであろう。
∂T'∂z
=Γ =NΓB
(u −c)3/2
exp(z / 2H)k(u 0 −c)1/2
zb =2H ln(u −c)3/2k(u 0 −c)1/2
BN
⎡
⎣ ⎢ ⎤
⎦ ⎥
−ik(c−u )T'+w' Γ =D∂2T'∂z2 =−m2DT'
だから ik(˜ c −u )T'=w' Γ
ここで ( c tilde の中に damping の項が入っている)˜ c =c+
im2Dk
また前のように( WKB 的に)、
m=mr +imi =N
u −˜ c =
N
(u −c−im2D
k)≈
N(u −c)
+iN3D
k(u −c)4
のように表されるであろう。
z> zb で
∂T'∂z
=Γ =NΓB
(u −c)3/2k(u 0 −c)1/2 exp(z / 2H − midzzb
z
∫ )
で前の zb の式を用いると、
1=(u b −c)3/2
(u −c)3/2 exp((z−zb) / 2H − midzzb
z
∫ )
1=(u b −c)3/2(u −c)−3/2 exp((z−zb) / 2H − midzzb
z
∫ )
zで微分すると、
(u b −c)3/2(−3/ 2)(u −c)−5/2 du dz
exp((z−zb) / 2H − midzzb
z
∫ )
+(u b −c)3/2(u −c)−3/2(1
2H−mi )exp((z−zb) / 2H − midz
zb
z
∫ ) =0
(−3/ 2)(u −c)−1 du dz
+(1
2H−mi) =0
mi =1
2H−(3/ 2)(u −c)−1 du
dz
mi が(対流不安定的に)
だから、 mi の2つの式から拡散係数は z> zb で
D=k(u −c)4
N3
12H
−(3/ 2)(u −c)−1 du dz
⎡ ⎣ ⎢
⎤ ⎦ ⎥
のようになる。(数 100km の波長が仮定) を用いて、運動量フラックスはiku=−imw
ρu'w' =−ρ12
mk
B2(u −cu 0 −c
)exp(−2 midz)∫
物質拡散にもつかう→
Page 18
補足: critical level での波動不安定
西風 shear 中での鉛直伝播の重力波は( WKB )
w =A1
m1/2 exp(−i mdz+ikx−ikct)∫熱力学の式 R
H(∂∂t
+u ∂∂x
)T'+w'RH
(∂T ∂z
+gcp
) =0
(∂T ∂z
+gcp
) =Γ
として ik(c−u )T'=w' Γ
T'=A1
m1/2 exp(−i mdz+ikx−ikct)∫Γ
ik(c−u )
この式から critical level では温度は大きくなる。そのとき対流不安定が
∂T ∂z
+gcp
+∂T'∂z
=0
で起きるであろう時は、
∂T ∂z
+gcp
=−∂T'∂z
=Γ
ik(c−u )A
1m1/2 (−im)
k(c−u )m1/2 =A
のような振幅の時である。
東西風の擾乱の式で表すと、
u=(c−u )exp(−i mdz+ikx−ikct)∫の時である。すなわち振幅が U =(c−u )
のときに波がこわれるので、 critical level 近傍では波は壊れやすいであろう。
これが、中層大気での乱流生成の重要なメカニズムの1つと考えられている。
Dunkerton and Fritts, 1984, J. Atmod. Sci.
€
m ≈N
c − u
critical level で温位が立った状態
波が壊れ、東西風が加速されている
Page 19
(Winters and D'asoro, J. G. R., 1989)波が壊れて、より小さなスケールの擾乱になっていく。海洋モデルで海洋の中の同じような状況になっているのであろう。
図は室内実験での様子である。 Delisi and Dunkerton (1989)以前の実験(4章)では散逸がつよすぎて、波の破壊がみれていないようである。