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食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~ 株式会社オルトメディコ 鈴木 直子
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食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

Jul 14, 2015

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Page 1: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

食品の機能性を研究する~方法概論と応用例~

株式会社オルトメディコ 鈴木直子

Page 2: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

目次

オルトメディコのご紹介

食品の機能性を検討するために

メタボリックシンドロームについて

研究例

最後に

2

Page 3: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

オルトメディコのご紹介

3

Page 4: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

会社概要

4

会社名 株式会社オルトメディコ

設立年 2005年6月

資本金 1000万円

代表取締役 山本和雄

社員数 15名

所在地東京都文京区湯島1-5-45東京医科歯科大学 M&Dタワー25階 (オープンラボ)

事業内容 食品・サプリメント・医療機器等各種製品のヒト試験の受託運営

Page 5: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

東京医科歯科大学

附属病院 高気圧治療部

・減圧症・スポーツ外傷・ガス中毒・重症感染症

等の治療

(株)オルトメディコ

・2004年より高気圧治療部と共同研究

学内オープンラボ

Page 6: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

医科歯科大学との共同研究

Page 7: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

研究風景

Page 8: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

研究員の紹介

山本和雄 鈴木直子 根本望

山下慎一郎 市川周平 河崎祐樹

Page 9: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

事業内容

CRO(Contract Research Organization)事業 食品CROとして、食品・サプリメント・医療機器等の

有効性や安全性を検証。

研究機関との共同研究 大学・公的研究機関等と共同研究を実施。

9

Page 10: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

10

CROとは?

食品・サプリメントの安全性・有効性試験の依頼

試験のご提案試験報告学会発表論文発表

・モニター募集、同意書の取得・倫理委員会開催・試験スケジュール管理・検体サンプリング・結果データの集計・統計解析

モニター

クリニック

オルトメディコ

・内科・皮膚科・眼科・婦人科・形成外科・歯科

食品企業

Page 11: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

CRO事業

ヒトを対象とした、安全性・有効性試験のコーディネート事業

(Contract Research Organization, CRO)

「未病」をテーマに、健常者を対象としたモニター試験実施を

サポート

試験立案・プロトコール作成

試験参加者選定・試験スケジュール管理

試験実施先クリニックの選定

データの統計解析・研究成果の報告

学会発表のサポート・学術論文投稿の請負

東京医科歯科大学のオープンラボにある企業として、優秀な

人材による高度な技術を企業へフィードバックする。

Page 12: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

共同研究事業

全国の大学や研究所との共同研究を展開

事業内容

大学や企業が持っている一押しの素材について、弊社の資金でパイロット試験を行う。

目的

ヒト臨床試験実施については、研究費の問題や実施方法が分からない先生方が多く、良い素材の研究が進まない現状がある。

オルトメディコの自社研究費の範囲でパイロット試験を実施することで素材がどのような機能性を持っているかを把握し、今後の研究の展開を検討する際の材料としていただく。

食の機能性を証明する活動を広め、素材のエビデンス構築に貢献したい。

12

Page 13: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

大学・企業・弊社との3者間共同研究

13

筑波大学宮崎均教授試験の監修

オルトメディコヒト試験のコーディネート

(試験デザインの作成・モニターの募集と管理・データ解析等)

クライアント地方特産のお茶の提供

試験に対してのコメント・アドバイス

試験食品の提供

研究結果データ共同研究による論文投稿

試験食品摂取によるエビデンス取得

Page 14: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

今回の研究素材

今回ご紹介する研究成果も、共同研究事業の成果です。

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Page 15: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~
Page 16: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

2009.09 第31回 日本臨床栄養学会「にんにく卵黄摂取のコレステロール低減作用に関する検討」「トコトリエノール摂取の血中脂質低減作用の検討」

2010.06 第10回日本健康・栄養システム学会「にんにく卵黄摂取の血圧・脂質・眼精調整機能に対する影響」

2010.08 第32回 日本臨床栄養学会「にんにく卵黄摂取の血圧・脂質・眼精調整機能に対する有効性の検証」「出雲クマザサ(よささ)エキス摂取によるダイエット・アンチエイジング・便秘改善効果の検証」

2010.08 第27回和漢医薬学会学術大会「降糖散の高血糖値低減効果のヒト試験による検証」

2011.5 第101回日本食品衛生学会「グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸塩含有サプリメントの膝関節痛への効果」

2011.8 日本健康科学学会「ウコンエキス入りゼリー摂取によるアルコール代謝機能改善効果」

2011.10 日本食品免疫学会「”ゼスプリ・ゴールドキウイ”摂取による免疫力改善効果」「エキナセア製剤摂取による免疫機能賦活効果」

2012.1 日本統合医療学会「 FFCパイロゲンスペシャルスリーの免疫機能賦活効果」

2012.5 日本栄養・食糧学会「ビルベリー果実エキス(ミルトセレクト (R))がドライアイおよび酸化ストレスに及ぼす影響」「“肝パワーEプラス”摂取による肝機能改善効果検証試験」

学会発表(一部)

Page 17: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

発酵黒ニンニク・発酵クロたまねぎの食効(発酵処理による食品機能の向上)フードスタイル21 131;75-78, 2008

オート麦地上部(Avena sativa Herba)抽出物の減煙補助に対する有効性の検討応用薬理 75: 47-53,2008

「うるおい宣言」の美肌効果と安全性新薬と臨床 57: 153-159,2008

γ・δトコトリエノール含有サプリメントの血中脂質低下の有効性フードスタイル21 48:79-83, 2009

血圧、LDLコレステロール、体脂肪および眼精疲労に対する「にんにく卵黄(229-55)摂取の効果と安全性新薬と臨床 58: 113-123,2009

肥満、便秘および老化現象に対する「出雲クマザサ(よささ)エキス」摂取の効果と安全性新薬と臨床 59:145-155, 2010

慢性便秘に対する「すらっと宣言」摂取の効果と安全性新薬と臨床 59:1475-1486, 2010

綿花由来”セロビオース”摂取による腸内菌叢改善効果の検証試験新薬と臨床 60(6) : 1251-1265, 2011

エキナセアプルプレア製剤摂取による免疫機能賦活効果応用薬理 80(5/6) : 79-87, 2011

グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸塩含有サプリメントの膝関節痛への効果新薬と臨床 60(7) :1476-1482, 2011

FFCパイロゲンスペシャルスリーの免疫機能賦活効果新薬と臨床 60(8) : 1702-1711, 2011

The “Zespri Gold Kiwi ®” Ingestion can improve Immune Strength. Journal of Preventive Medicine (in press)

論文実績(一部)

Page 18: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

18

オルトメディコHP

研究実績

Go106

(モニター募集サイト)↓

研究実績

HPのご紹介

Page 19: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

19

10月 予防医学会(広島大) 11月 国際学会(東京医科歯科大)

5月 栄養・食糧学会(東北大) 10月 高気圧環境・潜水医学会(北大)

Page 20: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

概論食品の機能性を研究するために

20

Page 21: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

健康食品ってなぁに?

健康食品……

乳酸菌(ヨーグルト)→整腸作用

ビタミン(果物)→必須栄養素の補給、抗酸化作用等

難消化性デキストリン(こんにゃくゼリー)→整腸作用

キシリトール(ガム)→虫歯予防

ポリフェノール(ワイン、果物、お茶)→抗メタボ作用等

「健康食品」という用語に対して、法的・学術的な定義はまだ存在しない。

21

Page 22: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

食品の「機能」ってなぁに?

機能性食品とは?

三次機能が他の食品よりも高く発現するように設計され、効果が実験や臨床で証明された食品

食品の機能 一次機能 :栄養性・有効性

ӧ 「栄養摂取・栄養補給」に関する機能。食品が本来担う機能

ӧ 生体を構成、調節、あるいはエネルギー源となる成分を含んでいること

二次機能 :嗜好性

ӧ 食品の「美味しさ」に関わる機能

ӧ 味、色、香り、食感など

三次機能 :生体調節機能

ӧ 健康の維持増進あるいは体調不良の改善を補助する機能

ӧ 免疫系、神経系、循環器系、消化器系などなど。

22

Page 23: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

健康食品って本当に効くの?

高齢化が進む日本において、様々な疾病の予防や緩和を目的とした健康食品・サプリメントの需要は多い。

「正しく」使用すれば、疾病の予防等に一定の効果を有することが期待できる。

誤った方法で用いれば効かない・・・だけではなく、栄養バランスの悪化や医療的介入への妨げなどを引き起こす。

23

Page 24: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

我が社の食品は本当に効くのか?

エビデンス=科学的根拠

介入法(治療・薬物・食品・運動, etc…)がどの程度の効果(治療 or 予防)を有するかを知るための客観的な基準

機能性がある食品

=その機能を支持する科学的根拠のある食品

24

エビデンスを取りましょう。

Page 25: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

消費者が健康食品に関する不満

25

2.3

1.8

80.8

38.9

7.3

11.7

2.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

体調が悪くなった(悪くなったと感じた)

購入時に強引・執拗な勧誘をされた

期待したほどの効果がなかった

高額すぎた

安全性に関する情報の入手が難しかった

有効性に関する情報の入手が難しかった

その他

消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査 (内閣府, 2012)

消費者が健康食品に抱く不満の大半はエビデンスと関連している!

Page 26: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

医学の分野では……。

エビデンスレベル1. システマティック・レビュー / RCTのメタアナリシス

2. 1つ以上のランダム化比較試験

3. 非ランダム化比較試験

4a. 分析疫学的研究 (コホート研究)

4b. 分析疫学的研究 (症例対照研究, 横断研究)

5. 記述研究 (症例報告、ケース・シリーズ)

6. 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見

推奨グレードA 強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる

B 科学的根拠があり、行うよう勧められる

C1 科学的根拠はないが、行うよう勧められる

C2 科学的根拠はなく、行わないよう勧められる

D 無効性あるいは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる(Mindsガイドライン作成の手引き, 2007)

26

Page 27: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

エビデンスを取得するためには?

In Vitro試験 細胞株等を用いて、食品やその中の成分の影響を検討する。

動物試験 動物に実際に与えて、食品や素材の影響を検討。

ヒト試験 ヒトを用いて、食品や素材の影響を検討。

27

Page 28: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

ヒト試験とは

ヒトを対象として、食品の機能性や安全性を科学的に検証

例)お茶を12週間飲んだらメタボが改善する!

というエビデンスを取る場合。

28

・血液検査・理学検査・身体測定 etc…

・血液検査・理学検査・身体測定 etc…

摂取期間12週間

摂取前検査

摂取12週後検査

Page 29: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

なぜヒト試験が必要なのか

ラットで得られた結果が本当にヒトに適応できる? 動物種

用量・用法

ヒトの生活はそれぞれ 生活習慣

職業

食事

運動

ストレス……

⇒個人間の違いがノイズになる。

29

ラットの研究成果をヒトにそのまま適応することはできない。

Page 30: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

なぜヒト試験が必要なのか

症例報告

個人の使用感

民間療法

30

別の症例、個人に対しても効果があるのか?

どの程度の効果があるのか、客観的に示せるのか?

Page 31: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

なぜ、ヒト試験が必要なのか

エビデンスレベル1. システマティック・レビュー / RCTのメタアナリシス

2. 1つ以上のランダム化比較試験

3. 非ランダム化比較試験

4a. 分析疫学的研究 (コホート研究)

4b. 分析疫学的研究 (症例対照研究, 横断研究)

5. 記述研究 (症例報告、ケース・シリーズ)

6. 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見(Mindsガイドライン作成の手引き, 2007)

31

動物実験やin vitro試験で示唆されたモデル

症例報告

民間療法 / 個人の使用報告

⇒ヒト試験を行えばエビデンスに。

Page 32: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

良いエビデンスとは?

科学的に信頼のおけるエビデンス 適切な試験参加者を用いている(スクリーニング)

交絡要因(ノイズ)の影響が小さい、あるいは調整されている

比較対象を設定している

再現可能性・反証可能性が確保されている

32

良いエビデンス

(売り手・作り手にとって都合の良いエビデンス)

Page 33: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

スクリーニングをしよう

ヘルスクレーム 体脂肪を低減します

お腹の調子を整えます

……etc.

疾患や体調不良と無縁な人を試験参加者とすると、機能性の検証が不十分になってしまう。 やせている人を対象に体脂肪低減作用検証試験

下痢や便秘をしない人を対象とした整腸作用検証試験

33

事前に試験参加者をスクリーニングして、ヘルスクレームを検証するために適切な人を対象に

試験を行いましょう。

Page 34: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

ノイズをコントロールしよう

お茶を12週間飲んだら5kgやせました!

34

70kg 65kg摂取期間12週間

検討したい要因 お茶

交絡要因 食生活 運動 季節

Page 35: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

対照条件の設定

季節変動 体重 :冬の方が重い

血中脂質 :冬の方が高い

プラセボ効果

有効成分の入っていない食品を摂取するだけで、症状が改善してしまう。

例) 「痩せるお茶を飲んでいる」と自覚するだけで、痩せる成分が入っていなくても痩せてしまう。

そこで…

35

対照条件を設定しましょう。

Page 36: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

対照条件の設定

オープン試験

比較試験

36

摂取期間12週間

摂取前検査

摂取12週後検査

お茶条件

摂取前検査

摂取12週後検査

お茶条件摂取期間

12週間お水条件

Page 37: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

再現性/反証可能性

37

メタボ改善作用あり

a教授

メタボ改善作用なし

b助教

信頼のおけるエビデンス

再現性/反証可能性の高いエビデンス=

Page 38: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

もうひとつ、大切なこと

ヒト試験では、ヒトを使って食品の機能性を検証します。

ヘルシンキ宣言 医学的な研究を行う際の倫理的な指針

ӧ 試験参加者の尊厳を守りましょう

ӧ 試験への参加を強制してはいけません

ӧ 試験参加者には、予め試験の方法や科学的な意義、起こりえるリスク等について、十分に説明をしましょう

ӧ 試験計画に問題がないか、予め倫理審査を受けましょう

38

試験参加者の人権に配慮しましょう

Page 39: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

名古屋大学ビジネス人材育成センターNews Letter Vol. 72012年 名古屋大 研修セミナー

Page 40: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

応用例肥満改善効果を検証するためには?

40

Page 41: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

肥満とは

からだの脂肪が多すぎる状態(厚生労働省)

原因 食生活(過食、栄養バランス)

生活習慣(運動不足)

ストレス 等

様々な合併症を引き起こし、疾病のリスクファクターとなる 糖尿病(高血糖)

高血圧

脂質異常症

動脈硬化

大腸癌

変形性膝関節症

41

メタボリックシンドローム

ロコモティブシンドローム

Page 42: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

肥満の種類

内臓脂肪型肥満

皮下脂肪型肥満

42

厚生労働省HPよりhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/metabo02/kiso/question/what.html

Page 43: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

肥満ってどうやって測るの?

肥満の基準 : ボディマス指数(BMI)

日本肥満学会の基準

43

BMI =身長 (m) ×身長 (m)

体重 (kg)

BMI

低体重(やせ) 18.5 未満

普通体重 18.5以上 25未満

肥満(1度) 25以上30未満

肥満(2度) 30以上35未満

肥満(3度) 35以上40未満

肥満(4度) 40以上

Page 44: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

BMIの限界

身長と体重から算出 簡単な計算から求めることができる

脂肪や筋肉を区別しない

※筋肉は脂肪より重いため、体重は筋肉量にも依存する

筋肉質の人を誤って肥満と判定してしまう。 中田翔 (北海道日本ハム) :182cm / 95kg, BMI 28.7

田中将大 (東北楽天) :188cm / 93kg, BMI 26.3

駒野友一 (ジュビロ磐田) :172cm / 76kg, BMI 25.7

かくれ肥満を見落としてしまう。 かくれ肥満

ӧ 見掛け上太っておらず、BMI25未満であるにもかかわらず、体脂肪が多い状態

ӧ 多くが内臓脂肪型肥満

ӧ 無理なダイエットをした女性に多い

44

Page 45: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

肥満の指標(身体測定・理学検査)

体脂肪率 全体重中の脂肪組織の重量

脂肪による肥満を検知することが可能

CT (Computed Tomography)

臍部横断面の脂肪の面積を撮影

内臓脂肪面積≧100cm2だと

肥満症 (日本肥満学会)

腹囲

男性 85cm以上 / 女性 90cm以上だと、内臓肥満型脂肪の可能性が高い

45

Page 46: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

肥満時に動きやすい血液マーカー

血中脂質 中性脂肪(TG, Triglyceride)

総コレステロール

LDLコレステロール

HDLコレステロール

アディポネクチン

脂肪細胞から分泌されるたんぱく質

内臓脂肪量と逆相関

46

Page 47: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

肥満改善効果を検証するためには?

お茶を12週間飲むことで肥満が改善するか、を検討したい。

試験デザイン

47

・血液検査・理学検査・身体測定 etc…

・血液検査・理学検査・身体測定 etc…

摂取期間12週間

摂取前検査

摂取12週後検査

体重↓

アディポネクチン↑

血中脂質↓ 内臓

脂肪↓

Page 48: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~
Page 49: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

応用例「すこやかロゼ茶 山吹撫子」の

肥満改善効果

49

Page 50: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

「山吹撫子」とは?

黒麹を用いた微生物制御発酵によって製造されたお茶

没食子酸、カテキン、クエン酸を含む カテキン

ӧ 茶葉に特徴的なポリフェノール

ӧ 特定保健用食品として、体脂肪が気になる方にという表示が許可されている。

新規ポリフェノールであるテアデノールAおよびテアデノールBを含有

50

Page 51: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

テアデノールA, テアデノールB

「山吹撫子」から新しく発見されたポリフェノール (J Nat Med 2011)

動物試験では……

ラットの組織に含まれる脂肪を低減する

HDL-コレステロールを増加させ、脂質プロファイルを改善する

血中のアディポネクチンを増加させる

51

Page 52: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

「山吹撫子」に期待される機能性

カテキンの脂質低減作用

テアデノールA・テアデノールBの肥満改善作用

52

肥満改善に有効であると期待される

実際に人で認められるか、確かめてみよう!

Page 53: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

試験概要

試験スケジュール

試験デザイン:オープン試験

検査項目 主たるエンドポイント

ӧ 身体測定 :体重・BMI・腹囲

ӧ 腹部CT :内臓脂肪面積・皮下脂肪面積・総脂肪面積

ӧ 血液検査 :総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロール・TG (中性脂肪)・遊離脂肪酸・アディポネクチン

副次的エンドポイント(安全性項目)

ӧ 血液検査(血液学・血液生化学)・尿検査・自覚症状・内科的検査53

摂取前検査

摂取12週後検査

摂取6週後検査

摂取量 :1000ml/日摂取期間 :12週間

Page 54: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

試験概要

試験参加者 BMIが25以上の成人男女10名

男性7名 / 女性3名, 平均年齢 = 45.4±8.9歳

倫理的配慮 ヘルシンキ宣言 (1964採択, 2008修正, 2004追加) に準拠

事前にインフォームド・コンセントを実施

医療法人社団盛心会タカラクリニックの倫理委員会にて承認

(承認番号:1205-1204-RS01-01-TC)

実施医療機関 医療法人社団盛心会タカラクリニック

統計解析 対応のあるt検定を実施

ӧ 摂取前 vs摂取6週後

ӧ 摂取前 vs摂取12週後

54

スクリーニング基準!

Page 55: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

200

250

300

350

400

450

0w 6w 12w

全体脂肪量

(cm2)

0

2

4

6

8

10

0w 6w 12w

アディポネクチン

(μg/mL)

全体脂肪量・アディポネクチン

摂取12週後において 全体脂肪量が有意に低下 (p = 0.019)

アディポネクチンが有意に増加 (p = 0.017)

55

p = 0.057

p = 0.017p = 0.019

“健やかロゼ茶 山吹撫子”を12週間摂取することにより、体脂肪量が低下し、アディポネクチンの分泌が向上

Page 56: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

内臓脂肪量・LDL-コレステロール

有意な変動は認められなかった。

56

70

100

130

160

0w 6w 12w

内臓脂肪量

(cm2)

80

100

120

140

160

0w 6w 12w

LDLコレステロール

(mg/dL)

Page 57: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

層別分析にチャレンジ

内臓脂肪面積が100cm2を下回っている試験参加者が4名

内臓脂肪面積が100cm2を超えていると肥満症 (日本肥満学会)

「山吹撫子」を飲む前から内臓脂肪面積が小さい人に、「山吹撫子」は効くのか?

57

内臓脂肪面積が100cm2を上回っている人を解析の対象にしてみましょう。

0

50

100

150

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

内臓脂肪量面積

試験参加者

(cm2)

Page 58: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

0

2

4

6

8

10

0w 6w 12w

アディポネクチン

(μg/mL)

200

250

300

350

400

450

500

0w 6w 12w

全体脂肪量

(cm2)

全体脂肪量・アディポネクチン(層別解析)

摂取12週後において 全体脂肪量に低下傾向 (p = 0.060)

アディポネクチンが有意に増加 (p = 0.036)

58

p = 0.036p = 0.060

“健やかロゼ茶 山吹撫子”を12週間摂取することにより、体脂肪量が低下し、アディポネクチンの分泌が向上

Page 59: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

0w 6w 12w

遊離脂肪酸

(mEq/L)

80

90

100

110

0w 6w 12w

腹囲

(cm)

腹囲・遊離脂肪酸(層別解析)

摂取12週後において 腹囲が有意に低下 (p = 0.010)

遊離脂肪酸が有意に低下 (p = 0.040)

59

p = 0.040

p = 0.040p = 0.010

“健やかロゼ茶 山吹撫子”を12週間摂取することにより、腹囲と血中遊離脂肪酸濃度が低下

Page 60: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

内臓脂肪量・LDL-コレステロール

有意な変動は認められなかった。

60

70

100

130

160

0w 6w 12w

内臓脂肪量

(cm2)

80

100

120

140

160

180

0w 6w 12w

LDLコレステロール

(mg/dL)

Page 61: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

考察

“健やかロゼ茶山吹撫子”の摂取により、 アディポネクチンの分泌が向上

脂肪組織量が低下

腹囲が低下(内臓脂肪が大きかった人)

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「すこやかロゼ茶 山吹撫子」がヒトの肥満に有効である可能性が示唆された

ラットで認められた結果と一致

Page 62: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

最後に

今回の試験はオープン

試験参加者数は10名であり、少数。

オープン試験のエビデンスレベルは……

レベル5?レベル6?

日健栄協のモデル事業では、殆ど取り上げられませんでした。

オープン試験は、次につなげるための試験 少ない予算で、「当たり」を付けることができる。

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是非、研究を継続して下さい。

Page 63: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

連絡先

鈴木直子株式会社オルトメディコ 研究開発部

〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45

東京医科歯科大学 M&Dタワー25階

TEL : 03-3818-0610

Mail : [email protected]

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Page 64: 食品の機能性を研究する ~方法概論と応用例~

ご清聴ありがとうございました。

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