器楽 創作 無理なく楽しみながら取り組める楽曲を厳選しました。 また,ギターと箏の奏法を分かりやすく説明しています。 小・中学校で経験した創作を発展させる活動や, 鑑賞と連携した創作の活動を取り上げました。 ギ タ ー を 弾 こ う ●ダイヤグラム 左手 右手 フレットのすぐ近くを 押さえ,手首が反らな いようにしましょう。 フレット 左手のポジション 開放弦の音 上の図をダイヤグラムといいます。 ●は押さえる位置と指番号, ×は弾かない弦, ○は開放弦を表します。 第 6 弦 第 5 弦 第 4 弦 第 3 弦 第 2 弦 第 1 弦 ●伴奏を弾こう ●コードを弾こう ●メロディーをオクターヴ高く演奏したり,伴奏パートのリズム(音型)を工夫したりしてみましょう。 ・上の「左手のポジション」にある3つのコードのポジ ションを確実に覚えましょう。 ・右の①と②のパターンを繰り返し練習しましょう。 ・コードに合わせて歌ってみましょう。 D7 C G ・第6弦から第4弦を使って,右の五線の音をGから順番に 弾いてみましょう。 ・ベースラインの音は,右手の親指(p)で弾きます。まずベー スラインの音だけ弾けるようにしましょう。 ・ベースラインの音が弾けるようになったら,③と④に示した 上の声部の3つの和音の練習をしましょう。 ・ベースラインと3つの和音を合わせて,『Happy Birthday to You』の伴奏を弾きましょう。 ●メロディーを弾こう ・右に『Happy Birthday to You』のメロディーに使われている音を示しています。 3つの開放弦の音と,残りの5つの音の左手のポジションを確認しましょう。まず 左手のポジションをしっかりと覚えてから,始めはゆっくりとしたテンポで練習し ましょう。 右手の指を示す文字 G のコードを弾いたとき ( ) 32 33 ギ タ ー を 弾 こ う ギターで弾き語りに挑戦しよう P.S. ヒル,M.J. ヒル作詞・作曲/ 苣 ちさ 木 き 宏 ひろ 幸 ゆき 編曲 Happy Birthday to You ※コードを弾く時,こ の曲では右手親指で弾 いてみましょう。 メロディー 伴 奏 (ベースライン) 箏 を 弾 こ う 箏 を 弾 こ う 『六段の調』は,八橋検校が作曲したと伝えられている,箏曲を代表する作品です。 ここでは『六段の調』の冒頭部分を演奏して,箏 こと の音楽の特徴を感じ取りましょう。 平調子 (一の糸をニ音にした場合) …フレーズ 左手の奏法 膝を斜め左に向けて, 右膝の外側が磯に当 たるように。 膝を正面に向けて, 両膝が磯に当たる ように。 かき爪 【一二の場合】 (唱歌:シャン) ●角 かく 爪 づめ (生 いく 田 た 流) ●丸 まる 爪 づめ (山 やま 田 だ 流) 引き色 (箏の楽譜中のヒ) 姿勢と構え方 構造 奏法 一と二の糸を中指で手前に向けてほとんど同時に弾き, 三で止める。 右手で弾いた後,左手で糸を柱のほうに引き寄せて糸の 張力を緩め,音高を半音程度下げた後,元に戻す。 わり爪(唱歌:シャシャ) かき爪を人さし指,中指の順で弾く奏法。順序が大切な ので間違えないようにする。 後押し (箏の楽譜中のオ) 右手で弾いた後,左手で糸を押して音高を全音上げる。 各部の名称は,箏全体を竜 りゅう の姿になぞらえて付けられています。 ここで示した名称の他にもさまざまな呼び方があります。 箏は右手の親指,人さし指,中指に爪をはめて演奏します。 四分六の左側を目安に,角爪は爪の角,丸爪は爪の先で弾きます。 使用する爪 つめ の形によって座る角度が変わります。 どちらの場合も,肩や肘に無駄な力が入らないように気を付け,背 せ 筋 すじ を伸ばして構えましょう。 雲 うん 角 かく 柱 じ 竜 りゅう 甲 こう 糸(弦) 磯 いそ 竜 りゅう 尾 び 四 し 分 ぶ 六 ろく 竜 りゅう 角 かく 竜 りゅう 舌 ぜつ 奏者側 上から見た図 竜 頭 一 二 三 … 十 斗と 為い 巾 き ん 低 い 音 高 い 音 糸の名称 竜 りゅう 頭 とう 右手の奏法 箏 そ う 曲 きょく 『六段の調 しらべ 』 から 一つ一つの音に思いを込めて丁寧に弾こう 監修:長 は 谷 せ 川 がわ 慎 まこと 右 手 の 指 番 号 は 、 糸 の 名 称 の 右 側 に 算 用 数 字 で 示 さ れ る 。 3 … 中 指 、 2 … 人 さ し 指 、 何 も 書 か れ て い な い 場 合 … 親 指 で 弾 く 。 1 拍 休 む ( ) 1 小 節 1拍 拍 ( ) ( ) 前 の 音 を 1 拍 の ば す 練習のポイント 箏 の 楽 譜 ( 家 庭 式 縦 譜 ) ・ 始めは左手の奏法を省略し,右手だけで旋律をしっかり と弾けるようにしましょう。 ・ 「コーロリン」のリズムに注意して弾きましょう。 ・ 「一」と「五」は同音です。3,5 小節目の「一3 五」の部分は, 中指と親指で弾いた音の音色に注意しましょう。 ・ 「引き色」 (ヒ) と 「後 あと 押 お し」(オ)は,音高に注意して弾き ましょう。特に「後押し」は,「八」と同じ音高にすることで 他の糸にも共鳴し,箏が響きます。押すタイミングや押し 込むスピードを工夫してみましょう。 ・ フレーズ(旋律のまとまり) を感じて弾きましょう。 テ エ エ ン ト オ ン ン シ ャ ( イ ヤ ) シ ャ シ ャ コ オ ロ リ チ イ ト オ ン テ エ ン ト オ ン ン シ ャ チ イ ン テ ツ コ オ ロ リ ト オ ン テ エ ン ト オ ン ン シ ャ * ( イ ヤ ) : 間 を し っ か り 取 る た め に 「 イ 」 「 ヤ 」 と 心 の 中 で 唱 え る 。 * チ イ 五 三 一二 三四 八 六 七 一 五 三 一二 九 八 七 八 七 六 五 三 一 一二 ゝ 七 オ 六 段 の 調 平 調 子 宮 城 道 雄 著 『 六 段 の 調 』 唱 歌 ・ 楽 譜 作 成 … 長 谷 川 慎 ヒ 2 3 3 3 七 オ 3 3 3 ひ ら ぢ ょ う し み や ぎ み ち お ●右手 ●左手 ●仕上げ 糸 の 名 称 唱 歌 ・模範演奏を聴いて,旋律の動きや,余韻の変化,間 ま などの特徴を線などでワークシートにメモしましょう。 『六段の調』の「唱 しょう 歌 が 」を歌おう *唱歌 p.79「伝承は人から人へ」 演奏する前に ●メモの例 ・メモを参考にして,唱歌を歌ってみましょう。 テー エ エン トー オン シャン (伝)八 やつ 橋 はし 検 けん 校 ぎょう 作曲 ■箏曲では,いくつかの部分(段)によって構成されている器楽曲を「段 だん 物 もの 」という。『六段の調』も その一つで,独奏曲としてだけでなく,箏二面による合奏や三 しゃ 味 み 線 せん や尺 しゃく 八 はち (胡 こ 弓 きゅう )とともに三曲 合奏で演奏されることもある。 ●八橋検校 (1614~1685)は,現在の福島県いわき市に生まれたとされる。箏の他,三味線や 胡弓の演奏にも秀 ひい でていた。箏曲の基礎をつくり,「平調子」を確立するとともに段物3曲(六段, 八段,みだれ)と箏 こと 組 くみ 歌 うた (四~七編程度の歌からなる組曲)13曲を作曲したと伝えられている。 *コーロリン(コロリン/箏の楽譜ではコーオロリ):隣接する3本の糸の高いほうから順に連 続して弾く音型。 p.75 箏曲『千 ち 鳥 どり の曲』,p.76「伝統音楽の流れ」 ※「平調子」は,箏曲の最も基本的な調弦法で, 都 みやこ 節 ぶし 音階をもとにしている。 *都節音階 p.82「民謡と日本の音階」 都節音階 練習の際は p.37 に示した五線譜も参考にしましょう。 36 37 五線譜 合 奏 を 楽 し も う 合 奏 を 楽 し も う リズムアンサンブルを楽しもう Clapping Quartet No.1 クラッピング カルテット 第1番 長 は 谷 せ 部 べ 匡 まさ 俊 とし 作曲 強弱の変化 下の図のように強弱が変化しています。 1 poco a poco dim. パートの組み合わせ 部分ごとにパートの組み合わせ方が変化しています。 2 1 4 3 2 ●1 パートずつ加わる形… ~ VS ●1対3の形… VS 1 2 3 4 4 3 2 1 ●2対2の形… ●Clapping(クラッピング)とは手拍子のことです。乾いた感じの音や湿った感じの音,高く感じる音や低く感じる音など, 手拍子の音色を工夫しましょう。 『Clapping Quartet No.1』の仕組みを理解して,表現を工夫しましょう。 曲の仕組みと表現の工夫 のポイント 合奏 34 35 音色の工夫 『Clapping Quartet No.1』は,打楽器で演奏することもできます。 いろいろな楽器の音色の組み合わせ方を工夫してみましょう。 ①カスタネット ②クラベス ③ウッドブロック (高音側) ④ウッドブロック (低音側) ①カウベル ②タンブリン ④クラベス ③ボンゴ ●同じ材質の打楽器を組み合わせた例 ●異なる材質の打楽器を組み合わせた例 創 作 3人ぐらいのグループに分かれて,自分たちのイメージを伝える音楽をつくりましょう。 音素材を選ぶ 場面の変化による構成を考える 音を探す 音をつくる グループ内で相談して,用いる 音素材を選びましょう(1人2種 類以上使ってもよい)。 グループ内でどんなイメージの音楽をつくるかを考え,場面の流れを決めましょう。 情景をイメージしてもよいし,音楽の構成をイメージしてもよいでしょう。 自分の受け持つ音素材を使って, できるだけ多くの種類の音を探し ましょう。 自分の受け持つ音素材を使って, 自由に音をつくり,図形で表しま しょう。 Step 1 Step 4 音楽をつくる Step 4で考えた場面に沿って音楽をつくりましょう。 下の例は,A さんのアイディアを示したものです。この例を参考にして, 音の組み合わせを図形で書きましょう。 Step 5 Step 2 Step 3 だんだん強くしながら 何回か繰り返す だんだん強くしながら 何回か繰り返す だんだん強くしながら 何回か繰り返す 38 39 イメージをもってアンサンブルをつくろう 創 作 音素材の特徴を生かして音楽をつくろう 大きな花火が1発ず つ打ち上がる。 場面 1 しだいにいろいろな 種類の花火が加わ る。 場面 2 たくさんの花火が一 斉に打ち上がり,最 後に1発の大きな花 火で終わる。 場面 3 こんな情景をイメージしました。 手拍子の音がまば らに聞こえる。 場面 1 突然,手拍子の音 がやんで,足踏み や膝打ちの音に変 わる。 場面 3 手拍子の音が増え て,しだいに強く なる。 場面 2 手 拍 子,足 踏 み, 膝打ち,声などが 入り乱れてクライ マックスを迎える。 場面 4 こんな音楽を構成しようと思いました。 楽器 身の回りの物 声 体 A さん Bさん 右のような図のイメージを もとにして,いろいろな音 を見つけてみるのもいいね。 しだいにいろいろな種類の 花火が加わる。 たくさんの花火が一斉に打ち上がり, 最後に1発の大きな花火で終わる。 大きな花火が 1発ずつ打ち上がる。 場面 1 場面 2 場面 3 例 日 本 の 伝 統 音 楽 日本にはいくつかの固有の音階があり,音楽の生まれた時代や地域などによって用いられる 音階が異なります。民謡を通して,それぞれの音階の特徴を感じ取りましょう。 ●ソーラン節 (北海道) 民謡音階 律 りつ 音階 沖縄音階 都 みやこ 節 ぶし 音階 民謡やわらべ歌でよく使われる音階 雅 が 楽 がく など,古代中国から伝来した音楽の 基本となる音階 ●ひえつき節 (宮崎県) ●よさこい節 (高知県) 箏 そう 曲 きょく や三 しゃ 味 み 線 せん 音楽など,江戸時代に発展した 音楽の基本となる音階 沖縄地方の伝統音楽や民謡でよく使われる音階 ●谷 たん 茶 ちゃ 前 め (沖縄県) 採譜:鹿 しか 谷 や 美 み 緖 お 子 こ 日本音楽 基礎知識 その伍 ご の 音階について こきりこ(富山県) デカンショ節(兵庫県) 貝 かい 殻 がら 節(鳥取県) など 会 あい 津 づ 磐 ばん 梯 だい 山 さん (福島県) 伊 い 勢 せ 音 おん 頭 ど (三重県) 黒田節(福岡県) など 木曽節(長野県・岐阜県) 河 かわち 内音頭(大阪府) など てぃんさぐぬ花(沖縄県) など *上に示した旋律は一例であり,実際にはさまざまな節回しや音高で演奏される。 82 83 創 作 民謡と日本の音階 日本の音階で旋律をつくろう 日本の音階の特徴を感じ取ろう 音階の特徴を生かして音楽をつくろう もう1つのパートを重ねる Step 3 曲のプランを立ててメモする Step 1 左ページの日本の音階の中から好きなものを 1 つ選んで,自分のイメージを伝える オリジナルのメロディーをつくりましょう。 ①どんな感じの曲にしたいのか を考えて,タイトルを決めま しょう。 ① ② ③ ②曲の感じやタイトルに合うと 思う音階と楽器(音色)を選び ましょう。 ③自分のイメージに合った拍子, 速度,リズムなどを工夫しま しょう。 キーボード (三味線の音色で) 楽 器 曲の感じ 音 階 拍子,速度 リズム 静かな感じ 子守歌 タイトル 民謡音階 を多用 メモをもとに旋律をつくる Step 2 『子守歌』 曲の長さを何小節ぐらいにするかなど,あらかじめ見通しを立てておきましょう。 終わりの音にも気を付けて,音階の特徴を生かしましょう。 実際に演奏して発表し合い, 互いに意見を交換しよう。 ●何度も演奏しながら仕上げていきましょう。 ●楽譜に書いたり録音したりして記録しましょう。 同じ音階の中から音を選んで,もう1つのパートを重ねましょう。 キーボード1 (三味線の音色) 例1 短い音型を繰り返して重ねる。 短い音型 短い音型 例2 同じ旋律をずらして重ねる。 2小節遅れで重ねる Let’ s Play ! , 民謡音階 都節音階 律音階 沖縄音階 & w w w w w w & w w w w w w 旋律の最後は, で囲った音 で終わらせる といいよ。 日本の音階は,1オクターヴの中に5つの音が含まれる「五音 音階」である。 右の譜例は,上の4つの音階を比較しやすいように並べたも ので,これらを見比べると「 」で示した音に違いがあること が分かる。これらの音の違いが,それぞれの音階を特徴付けて いる。 ※日本の音階の理論にはいくつかの種類があり,ここに示したのはその一例である。 (全て二音から始めた場合) 民謡音階 都節音階 律音階 沖縄音階 p.80「日本の民謡と民俗芸能」 p.84 キーボード2 (三味線の音色) ※それぞれの音階は,臨時記号のない高さで 示している。 創 作 〈喜びの歌〉の旋律にもう1つのパートを加えて, アルトリコーダーやキーボードなど身近な楽器を 使って二重奏を楽しみましょう。 使う楽器を決める コードに合う音を探して,もう1つのパートをつくる 右の楽譜の旋律を演奏できるように,音域などに 気を付けて楽器を選びましょう。 コードを弾いて響きを確かめながらつくりましょう。 Step 1 Step 2 ベートーヴェン作曲 主旋律と違うリズムで つくりました。 主旋律と同じリズムで つくりました。 前半は主旋律と同じ旋律にして, 後半は主旋律と違うリズムでつくりました。 主旋律と違うリズムで 主旋律と同じリズムで 主旋律(1オクターヴ下で) 主旋律と違うリズムで 実際に演奏して発表し合い,意見を交換しよう。 ●拍子やリズムを変えたり,短調にしたりして楽しんでもよいでしょう。 ● 〈喜びの歌〉の続きの部分や自分たちの好きな曲を,二重奏に編曲してみましょう。 p.144 コードネーム キーボード1 キーボード2 キーボード1 キーボード2 キーボード1 キーボード2 喜びの歌(『交響曲第9番』より) *喜びの歌:「歓喜のメロディー」の一部分 p.50 138 〈喜びの歌〉を二重奏に編曲しよう 編曲に挑戦しよう Let’ s Play ! 民謡の鑑賞 から 日本の音階を使った旋律創作 へ 『交響曲第9番』 の鑑賞 から 〈喜びの歌〉 の旋律の編曲 へ 8 9 ギターの奏法 音素材による創作 鑑賞とリンクした創作 リズム アンサンブル 楽器の構え方や左手の ポジションなどについ て,写真や図で詳しく 説明しています。 身の回りにある音素材を使って音楽を つくるためのアイディアや工夫を,具 体的に示しています。 鑑賞で学習した内容を生かして,創作に 取り組めるようにしました。 手拍子によるアンサンブル曲です。 いろいろな打楽器で演奏することも できます。 (教科書 P.38・39) (教科書 P.82・83,138) (教科書 P.34・35) (教科書 P.36・37) (教科書 P.32・33) 箏を演奏する前にまず唱歌を歌います。 旋律の動きや,余韻の変化,間 ま などの 特徴を,唱歌から感じ取ることができ ます。 箏の練習のポイントも丁寧に示してい ます。 「唱 しょう 歌 が 」 を歌って