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NTT技術ジャーナル 2016.4 53

グローバルスタンダード最前線

I T U ( I n t e r n a t i o n a l T e l e -communication Union)が約 ₄ 年ごとに開催する「世界無線通信会議

(WRC: World Radiocommunication Conference)」 が,201₅年11月 に スイス(ジュネーブ)で開催されました.このWRCでは無線通信規則(RR:Radio Regulations)の改正が議論されます.RRはITU憲章 ・ 条約の中の無線通信に関する国際規則として条約批准国に対して強制力を有し,WRCで決議された改正内容がRRに反映され,その改正RRにのっとり各主管庁の関係規定(日本では電波法)が整備されます.ここではWRC-1₅審議結果の概要について報告します.

2015年ITU世界無線通信会議(WRC-15)

世界無線通信会議(WRC: World Radiocommunication Conference)は国際電気通信条約付属無線通信規則

(RR: Radio Regulations)の改正を審議 す るITU-R(International Tele-c ommun i c a t i o n Un i o n -Rad i o -communications Sector)* 1 の最大規模の国際会議で,通常 3 〜 4 年ごとに開催されます.この会議では,無線周波数帯の利用方法,衛星軌道の利用方法,無線局の運用に関する各種規定,技術基準などの国際的な電波秩序等に関する規律改正が議論されます.国際

的に新たな周波数分配を行うためにはWRCにおいてRRの改正決議が必要です.今回の2015年ITU世界無線通信会議(WRC-15)は11月 2 〜27日に開催され(図 1 ),162カ国から約3800名が

参加し,日本からは総務省渡辺克也電波部長を団長に計82名が参加しました(1).

RRでは世界を 3 つの地域(Regions 1-3)に区分し(図 2 ),各々の地域単

図 1  WRC-15会議模様

アラブASMG

アラブ周波数管理グループ

欧州CEPT欧州郵便・

電気通信主官庁会議

アラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループアラブ周波数管理グループ 南北アメリカCITEL

米大陸諸国間電気通信委員会アジア・太平洋APT

アジア・太平洋電気通信共同体

旧ソ連圏RCC

合同通信地域連邦

アフリカATU

アフリカ電気通信連合

アラブASMG

アラブ周波数管理グループ

欧州CEPT欧州郵便・

電気通信主官庁会議

Region1

Region3

Region2

図 2  RRにおける世界地域区分と地域的電気通信機関

*1 ITU-R:RRの改正,無線通信の技術 ・ 運用等の問題の研究,勧告の作成および周波数の割当て ・ 登録等を行うITUの無線通信部門.

ITU世界無線通信会議(WRC-15)報告

小お が さ わ ら

笠原 守まもる

/大おおつき

槻 信し ん や

也 /山やました

下 史ふみひろ

洋 /宮み や ぎ

城 利としふみ

文 † 1 † 2 † 2 † 1

NTT技術企画部門†1/NTTアクセスサービスシステム研究所†2

NTT技術ジャーナル 2016.454

グローバルスタンダード最前線

位で各種無線業務への周波数分配を行っています.また,地域的電気通信機関は第一地域で 4 つ,第二地域で 1つ,第三地域で 1 つが存在し,合計 6地域の連合体で国際電気通信に関する活動を行っています.日本は第三地域のアジア・ 太平洋電気通信共同体

(APT: Asia-Pacific Tele com mu nity)*2

に属しており,我が国のRRの改正方針については,APT内の関係会合

(APG: APT Conference Pre par atory Group for WRC)でコンセンサスを得られるかどうかが重要となります.

WRC-15では図 3 に示すように,全体会合を司るPlenary(議長はナイジェリア.アフリカから初選出)の下でCOM1からCOM7までの委員会が設置され,特に,技術や規則に関する具体的な議題検討については,COM4(地上 ・ 航空 ・ 海上関連等),COM5( 衛 星 関 連 等 ),COM 6 ( 一 般,WRC-19議題等)の各委員会にて審議されました.表 1 に示す計36項目の議題の審議が行われ,出力文書として

「Provisional Final Acts WRC-15」が作成されました(2).このうち,航空機事故に端を発して急遽設定されたGlobal Flight Tracking(人工衛星を利用した民間航空機追跡システム)については,地上からの追跡システムと同一周波数帯(1090 MHz帯)の割り当てが決議されました.■IMTへの追加周波数特定

現行の携帯電話周波数のひっ迫に伴い, 6 GHz帯以下のIMTへの追加周波数特定が議論されました(議題1.1).その結果,日本がすでに使用している1.5 GHz帯(1427〜1518 MHz) が,新たにグローバルでIMTへ特定することが決議されました.

■衛星業務への追加周波数分配各種衛星業務(固定衛星業務,移動

衛星業務)への周波数分配が議論されました.「第 2 & 3 地域において固定衛 星 業 務〔FSS(Earth-to-space)〕へ13〜17 GHz帯のうち300 MHzを追加一次分配する検討」(議題1.6②)では,国境から500 km以内にはFSS地球局を設置できない条件が付されて14.5〜14.8 GHzの 分 配(Earth-to-space)が決議されました.「22〜26 GHz内 の 周 波 数 を 移 動 衛 星 業 務

(MSS)へ分配するための検討」(議題1.10)では,RCC(ロシア)から追加分配の強い要求がありましたが,長い議論の末に規則改正を行わないことで決着しました.「海上移動衛星業務(MMSS) へ 7 GHz帯/ 8 GHz帯 を分配することの検討」(議題1.9②)では,既存の地上局(固定 ・ 移動)への影響を考慮し当該地上局からの保護を求めないことを附帯条件に,7375〜7750 MHzをMMSS (space-to-Earth)へ分

配することが決議されました.これらの議題については国内の地上局への影響がほぼない結果となりました.■船上地球局(ESV: Earth Sta tion

on board Vessels)の関連規定の見直しWRC-03(2003年)において,そ

れまで陸上無線で利用されていた周波数を海上船舶の衛星通信に開放し,陸上から一定距離内では相互干渉回避のために船舶通信利用を禁止する規則が制定されました〔決議第902

(WRC-03)〕.この決議では必要な沿岸離隔距離がKu帯(14〜14.5 GHz)で125 km,C帯(5925〜6425 MHz)で300 kmと規定されました.今回設定された議題1.8では,その必要な沿岸離隔距離の改正が議論され,「現行規則の決議第902(WRC-03)は改定せず,脚注5.457Aの改訂により,C帯でのみ離隔距離330 kmでの運用が可能(最小アンテナ径1.2 m)」と決議され,日本への影響がないかたち

COM7(編集)議長:C. Rissone氏(フランス)

WG6B(将来の議題)

WG6A(一般的・規則的事項)COM6(一般,WRC-19 議題等)議長:A. Allison氏(米国)

WG5C(衛星調整手続関連)

WG5B(固定衛星・移動衛星関連等)

WG5A(科学関連)

COM5(衛星関連等)議長:K. Al Awadhi氏(UAE)

WG4C(移動業務関連等)

WG4B(海上・アマチュア関連)

WG4A(航空関連等)

COM4(地上・航空・海上関連等)議長:M. Fenton氏(UK)

COM3(予算統制)議長:A. Kadirov氏(ウズベキスタン)

COM2(委任状)議長:N. Meaney氏(オーストラリア)

COM1(運営)COM以上の議長・副議長で構成

全体会合(Plenary)

議長:F. DAUDU氏(ナイジェリア)

図 3  WRC-15の審議体制*2 APT:国際電気通信連合憲章に基づく地域

的電気通信機関.2016年1月時点で,アジア ・ 太平洋地域の38カ国が加盟.

NTT技術ジャーナル 2016.4 55

で決着しました.■2019年ITU世界無線通信会議 (WRC-19)の議題

次回のWRC-19(2019年開催予定)に向けてRR改正に係る新たな議題として表 2 に示す33項目が決議され,WRC-15閉会後の11月30日〜12月 1 日に開催されたCPM19- 1 (First ses-

sion of the Conference Pre par a to ry Meeting for WRC 19)にてITU-R内の担当グループが割り当てられました.今研究会期(2016〜2019年)のITU-R各研究委員会で検討が進められます.その中で,日本から提案した次の 4 つの新議題についてはすべて承認されました.

・ ITSの推進のための世界的あるいは地域的な周波数利用の協調に関する議題(新議題1.12)

・ IMTの将来開発に向けたIMT周波数の特定に関する議題(第 5世代移動通信システム向け)(新議題1.13):研究周波数帯24.25〜86 GHz* 3

表 1  WRC-15の議題一覧

議題1.1 IMT用追加周波数の特定に関する議題議題1.2 694-790 MHz帯における移動業務への周波数分配に関する議題(第一地域)議題1.3 ブロードバンド公共保安及び災害救援(PPDR)の導入に関する議題議題1.4 5300 kHz帯におけるアマチュア業務の二次分配に関する議題議題1.5 無人航空機システムのための固定衛星業務への周波数分配に関する議題

議題1.6①10-17 GHz帯における固定衛星業務の一次分配(250 MHz幅)に関する議題(第一地域)②13-17 GHz帯における固定衛星業務の一次分配(300 MHz幅)に関する議題(第二,三地域)

議題1.7 固定衛星業務による5091-5150 MHz帯の利用見直しに関する議題議題1.8 5925-6425 MHz及び14-14.5 GHzにおける船上地球局(ESV)の関連規定の見直しに関する議題

議題1.9①7150-7250 MHz 帯及び8400-8500 MHz 帯における固定衛星業務への周波数分配に関する議題②7375-7750 MHz帯及び8025-8400 MHz帯における海上移動衛星業務への周波数分配に関する議題

議題1.10 22-26 GHz帯における移動衛星業務への周波数分配に関する議題議題1.11 7 - 8 GHz帯における地球探査衛星業務への一次分配に関する議題議題1.12 8700-9300 MHz帯及び/または9900-10500 MHz帯における地球探査衛星業務(能動)への周波数分配(600 MHz幅)に関する議題議題1.13 有人宇宙船間通信の利用拡大に関する議題議題1.14 世界協定時(うるう秒挿入)の見直しに関する議題議題1.15 UHF帯における船上通信の利用見直しに関する議題議題1.16 新たな自動船舶識別装置(AIS)の導入に関する議題議題1.17 航空機内データ通信(WAIC)の導入に関する議題議題1.18 自動車アプリケーションのための77.5-78.0 GHzにおける無線標定業務の一次分配に関する議題議題 2 無線通信規則の参照で引用されたITU-R勧告の参照の現行化議題 4 決議 ・ 勧告の見直し議題 7 衛星調整手続の見直し議題 8 脚注からの自国の国名削除

〈議題 9 :無線通信局長の報告〉

議題9.1

①移動衛星業務(406-406.1 MHz)の保護に関する検討(Issue 9.1.1)②衛星の調整軌道弧縮小に関する検討(Issue 9.1.2)③途上国における国際公共通信業務のための衛星軌道位置及び周波数に関する検討(Issue 9.1.3)④無線通信規則の更新及び再構成に関する検討(Issue 9.1.4)⑤第一地域における固定衛星業務地球局(3.4-4.2 GHz)支援に関する検討(Issue 9.1.5)⑥固定業務,固定局及び移動局の定義に関する検討(Issue 9.1.6)⑦緊急事態及び自然災害軽減のための周波数管理ガイドラインに関する検討(Issue 9.1.7)⑧ナノサテライト及びピコサテライトの規則面に関する検討(Issue 9.1.8)

議題9.2 無線通信規則適用上の矛盾及び困難に応じた措置に関する検討議題9.3 決議80(WRC-07 改定)の規定に応じた措置に関する検討新議題 民間航空機へのGlobal Flight Trackingの導入に関わる議題議題10 将来の世界無線通信会議の議題

NTT技術ジャーナル 2016.456

グローバルスタンダード最前線

・ 275 GHz以上の周波数帯における能動業務の特定に関する議題

(新議題1.15):研究周波数帯275〜450 GHz

・ 電気自動車(EV)用無線電力伝送(WPT)の研究(新議題9.1⑥)

その他,鉄道無線通信システム(列車〜沿線間)に関する議題(新議題1.11),高高度プラットホームステーション(HAPS: High Altitude Plat-form Station)に関する議題(新議題1.14), 5 GHz帯無線LANの拡張利用

に関する議題(新議題1.16)などの新たな議題が採択されました.新議題1.16については米大陸諸国間電気通信委員会(CITEL: The Inter-American Tele communication Commission) と欧州複数国の寄書入力に基づき議論が行われ,5150〜5470 MHz帯と5725〜5925 MHz帯が研究対象周波数として

表 2  WRC-19の議題一覧

議題1.1 50-54 MHz帯におけるアマチュア業務への周波数分配に関する議題(第一地城) WP5A議題1.2 401-403 MHz帯及び399.9-400.05 MHz帯におけるMSS/METSS/EESS用地球局の電力制限に関する議題 WP7B議題1.3 460-470 MHz帯における気象衛星業務への一次分配への格上げ及び地球探査衛星業務への一次分配に関する議題 WP7B議題1.4 Appendix30 Annex7の見直しに関する議題 WP4A議題1.5 17.7-19.7 GHz帯及び27.5-29.5 GHz帯における固定衛星業務での通信における地球局の使用に関する議題 WP4A

議題1.6 37.5-39.5 GHz帯,39.5-42.5 GHz帯,42.5-43.5 GHz帯,47.2-50.2 GHz帯及び50.4-51.4 GHz帯における非静止軌道衛星のための固定衛星業務における規制の枠組みに関する議題 WP4A

議題1.7 短期ミッションの非静止軌道衛星のための宇宙運用業務の適応要件に関する議題 WP4A議題1.8 GMDSSの近代化および新たな衛星プロバイダに関する議題 WP5B

議題1.9①全世界的な海上遭難 ・ 安全システム(GMDSS)および船舶自動識別装置(AIS)の保護のための156-162.05 MHz帯の海上無線装置の規制措置に関する議題 WP5B

②海上移動衛星業務への156.0125-157.4375 MHz帯及び160.6125-162.0375 MHz帯における新規周波数分配に関する議題 WP5B議題1.10 GADSSの導入及び利用に関する議題 WP5B議題1.11 列車-沿線間の鉄道無線通信システムに関する議題 WP5A議題1.12 ITSの推進のための世界的あるいは地域的な周波数利用の協調に関する議題 WP5A議題1.13 IMTの将来開発に向けたIMT周波数の特定に関する議題 TG5/ 1議題1.14 固定業務へ分配済みの周波数帯域における高高度プラットホームステーション(HAPS)への規制措置に関する議題 WP5C議題1.15 275 GHz以上の周波数帯における能動業務の特定に関する議題 WP1A議題1.16 5150-5925 MHz帯におけるWAS/RLANの使用に関する議題 WP5A議題 2 無線通信規則の参照で引用されたITU-R勧告の参照の現行化 CPM19- 2議題 4 決議 ・ 勧告の見直し CPM19- 2議題 7 衛星ネットワークに係る周波数割当のための事前公表手続,調整手続,通告手続及び登緑手続の見直し —議題 8 脚注からの自国の国名削除 —

〈議題 9 :無線通信局長の報告〉

議題9.1

①1885-2025 MHz帯及び2110-2200 MHz帯におけるIMTの導入(Issue 9.1.1) WP4C/WP5D②1452-1492 MHz帯におけるIMTと放送衛星業務との共存性(Issue 9.1.2) WP4A/WP5D③固定衛星業務に割り当てられた3700-4200 MHz帯,4500-4800 MHz帯,5925-6425 MHz帯及び6725-7025 MHz帯における,非静止軌道衛星システムの技術的及び運用上の課題の研究並びに規制条項(Issue 9.1.3) WP4A

④サブオービタル宇宙船上の局(Issue 9.1.4) WP5B⑤RR Nos.5.447F及び5.450AにおけるITU-R勧告M.1638- 1 及びRM.1849- 1 の参照に伴う技術的及び規制的影響の考察(Issue 9.1.5) WP5A

⑥EV用WPTの研究(Issue 9.1.6) WP1B⑦無免許の地球局端末の運用管理のための手法等の研究(Issue 9.1.7) WP1B⑧マシンタイプコミュニケーションの導入に向けた技術的 ・ 運用的側面の研究及びスペクトル使用の調和(Issue 9.1.8) WP5D

⑨固定業務への51.4-52.4 GHz帯の分配及びスペクトル要件(Issue 9.1.9) WP4A議題9.2 RR適用上の矛盾及び困難に応じた措置に関する検討 —議題9.3 決護80(WRC-07改定)の規定に応じた措置に関する検討 —議題10 将来の世界無線通信会議の議題 —

*3 24.25-27.5 GHz, 31.8-33.4 GHz, 37-40.5 GHz, 40.5-42.5 GHz, 42.5-43.5 GHz, 45.5-47 GHz, 47-47.2 GHz, 47.2-50.2 GHz, 50.4-52.6 GHz, 66-76 GHz, 81-86 GHz.

NTT技術ジャーナル 2016.4 57

設定されました.さらに,次々回WRC-23(2023年開催予定)の新議題についても議論があり,「うるう秒調整の見直し」(WRC-15議題1.14)については,幅広い関係団体を含めた議論をさらに進めてWRC-23までに廃止に向けた結論を得ることが決議されました.

2015年ITU無線通信 総会(RA-15)

WRC-15に先立ち,10月26〜30日の期間で2015年ITU無線通信総会(RA-15: Radio communication Assembly 2015)がジュネーブの同会場で開催されました.RA-15はITU-Rの次会期研究委員会Study Groups(SG1-SG7)の全体方針(次会期テーマ等)の決定を主たる目的に約 4 年ごとに開催されますが,ここ最近ではWRCと同時期に開催することが通例となっています.今会合には107カ国から459名が参加し,日本代表団としては総務省富永昌彦大臣官房総括審議官を団長に計30名が参加しました(3).またPlenary議長の要職を橋本明氏(NTTドコモ)が務めました.

RA-15ではSGから提出された勧告案(計 7 件),決議案(計33件),次会期の研究課題の承認(計200件)ならびに次会期の議長や副議長の承認が行われました.第 5 世代移動通信システ ム( 5 G) 向 け の 呼 称 が “IMT-2020” として承認され,またITU-T

SG20と同様に,ITU-RでもIoTの研究を進めることが決議されました.2016〜2019年研究会期のITU-R Study Groupの体制を示します(図 4 ).日本 からは,SG6議 長 に 西 田 幸 博 氏

(NHK),SG4副 議 長 に 河 合 宣 行 氏(KDDI),SG5副議長に新博行氏(NTTドコモ)の 3 名が選任されました.

今後の展開

NTTグループでは,WRC-19に向

けて,ITU-Rやアジア ・ 太平洋地域の関連会合,国内関連会合等において引き続き積極的な貢献をしていく予定です.

■参考文献(1) ht tp ://www.soumu .go . jp/menu_news/

s-news/01kiban10_02000018.html(2) h t t p s : / / w w w . i t u . i n t / p u b / R - A C T -

WRC.11-2015/en(3) ht tp ://www.soumu .go . jp/menu_news/

s-news/01tsushin04_02000060.html

国際会議のことば

国際連合(UN: United Nations)の専門機関であるITUにおいては,UNと同様に,公式の会議では6カ国語(英語,アラビア語,中国語,スペイン語,フランス語,ロシア語)の発言が可能です(国際電気通信連合憲章第29条).またITUの会議規則には原本をフランス語とすること,並び順位はフランス語の国名表記によるアルファベット順とすることが決められています.全体会合(Plenary)では,6カ国語の同時通訳が配置されるとともに,基本的には6カ国語に翻訳されたドキュメントにて議論されます.出席者は好みの言語のドキュメントを会議サイトからダウンロードするなどして,また好みの音声チャネルを選択して会議に参加しています.

コ ラ ム

SG7 (科学業務)議長:J. Zuzek氏(米国) 副議長: 8名

SG6 (放送業務)議長:西田氏(NHK) 副議長:14名

SG5 (地上業務)議長:M. Fenton氏(英国) 副議長:新氏(NTTドコモ),他17名

SG4 (衛星業務)議長:C. Hofer氏(ViaSat) 副議長:河合氏(KDDI),他14名

SG3 (電波伝搬)議長:C.D. Wilson氏(オーストラリア) 副議長: 9名

SG1(周波数管理)議長:S.Y. Pastukh氏(ロシア) 副議長:14名

図 4  2016-2019年研究会期のITU-R SG体制

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