第1回 電磁波工学概論 - FC2shibalab.web.fc2.com/lecture/emt/1.pdf電磁波の正体と性質 遠方界(平面波) 放射 近傍界 (球面波) 励起電流 λ =0.2m

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第1回

電磁波工学概論

電磁波工学

柴田幸司

電磁波工学の位置付け

マクロの物理

電磁気学

電気回路電磁波工学

電子回路

磁気工学

情報伝送

情報ネット

ワーク

デジタル回路

コンピュータ工学

光エレクトロニクス

光通信

超音波工学音響工学

画像工学

・高周波・部品(受動・能動回路), システム, 回線設計技術

受動(パッシブ)

・・・

アンテナ, フィルター, 伝送線路

・システム設計,回線設計

能動(アクティブ)

・・・増幅回路, ミクサ, 発振器

携帯電話, 無線LAN, レーダ, 中継回線間の電波伝搬の保障

高速デジタルプリント板の設計技術

EMC設計技術

→高速なCPUの設計には電磁波の知識が必要

→高速(周波数)な回路からは電磁波が放射

→放射しない回路設計

企業が要求する「高周波(電磁波)技術者」

高周波(電磁波)技術者への新しい需要

電磁波の正体と性質

遠方界(平面波)

放射

近傍界

(球面波)

励起電流

λ=0.2m@f=1.5GHz光子

自由空間中を進む波(波動性)

波のように振舞う光子(粒子性)

基地局

fc

c=2.99792×108[m/s]f : [Hz]

波長

両面性

~電磁波は伝搬媒質がなくても伝搬~

音波・超音波 空気・水

波動の種類 伝搬物質

各種の波動と伝搬を媒介する物質

地震波 地盤

光・電磁波 無し

光子が波のように振舞うことにより伝搬

光子

電界

磁界

電界と磁界とが直交しながら同相で伝搬

*同相・・・同じ点で増減すること

電磁波の伝搬

X線

紫外線

可視光線

赤外線

ミリ波

マイクロ波

(SHF)

周波数

106 109[Hz] 1012

1MHz 1GHz 1THz

1015 1018

103 100

1km 1m 1mm

10-3 10-6

1μm波長

1nm

10-9

中波

AM

(MF)

(ラジオ放

送)

短波

HF→

FM(ラジオ放

送)

VH

F

超短

波U

HF

遠赤外線

長波

(LF)

超長波(V

LF)

(高圧電線)

電磁波の種類

DC(直流)

空間への放射 回折, 散乱現象 直進性

40kHz

光と電磁波

1.光は電磁波の一種(非常に高い周波数の電磁波)

2.よって、光と電磁波の伝搬速度は等しい(c=2.99792・108[m/s])

3.但し、非常に周波数が高いため、直線性が強い

コヒーレントとイン・コヒーレントな光(電磁波)

コヒーレント・位相がそろった単一

周波数の光(電磁波)・直線性が強い(レーザ)

イン・コヒーレント・位相がそろわない多

周波数の光(電磁波)・直線性が弱い(発光ダイオード)

日本の電波研究(主に戦前)

八木・宇田アンテナ(1925.)放射器の前後に導波・反射器を取り付けることにより 利得が向上

一号三型電探電波探信儀(レーダ)波長:2m、周波数:150MHz (1943.)

・第二次世界大戦末期には海軍技術研究所においてマイクロ波を用いた電波兵器の研究

戦後は平和利用

八木秀次

1886-1976 , 宇田新太郎 1896-1976.

殺人光線の開発(1)

http://sci-tech.jugem.jp/?eid=679 より

第二次世界大戦中、米国では科学者たちが集まって原子力爆弾の開発を進

めていました。「マンハッタン計画」という名がついていますがこれは戦争時

の暗号名。研究開発の現場はニューメキシコ州ロスアラモスにありました。

戦争のために科学者たちが動員された国は米国だけではありません。日本

でも原子爆弾開発の筋道は議論されていました。理化学研究所の仁科芳雄

が中心となり、研究開発が行なわれていたのです。こちらの暗号名はニシナ

の「ニ」をとって「ニ号研究」とよばれていました。

戦時中の日本では、もう一つ、科学者たちを動員して開発されようとしていた

戦争兵器があります。

その兵器は「殺人光線」とよばれていました。

現在の静岡県の島田市は戦争当時、人口3万人足らずの小さな町だったといいます。この町に1943年「海軍技術廠島田分室」と

いう研究施設が開かれました。現在の東海パルプの施設の中に置かれたもの。ここが、殺人光線の開発現場となります。

島田分室には、日本の代表的な科学者たちが駆り出されました。たとえば2001年に亡くなった宇宙物理学者の小田稔もその一

人。東京帝国大学でウランの分離装置の計算をしていると、所属する研究室の親分だった菊池正士から「この計算は、ちょうど

いま海軍が一生懸命やりかけている強力な磁電管、マグネトロンの計算にも使えるから海軍の研究所に行かないか」と勧められ

ました。小田は自身が島田分室に出向いた理由をそう証言しています。

また、戦後ノーベル物理学賞をとることになる朝永振一郎(絵)も、この島田分室におもむき研究開発に参加した科学者でした。

当時、朝永は東京帝国大学(いまの東京大学)の講師でもありました。

島田市に泊まり込んで研究をしていた朝永。島田分室では電極から電磁波が出てくる現象のしくみを理論的に解明しようとして

いたといいます。疲れた体を癒すため風呂に入っていると、おなじく島田分室に出向いていた仁科芳雄から、湯けむりの中、こん

な噂話を聞き受けます。

「海軍の本音は、米軍のパイロットをねらった殺人光線を開発することにあるらしいぞ」。つづく。

殺人光線の開発(2)朝永振一郎をはじめとする科学者たちは、海軍技術廠島田分室に集められそれぞれの研究を行っていたものの、海軍の狙いは何で

あるのか、その心意は把握できていなかったようです。

そんな中、朝永振一郎は仁科芳雄から「海軍の本音は、米軍のパイロットをねらった殺人光線を開発することにあるらしいぞ」と耳打ち

されました。「ゼット計画という名前まで付いている」。

ここで朝永は首を傾げました。「しかし、その殺人光線がマイクロ波を使ったものだとしたら、実現は難しいのではないか」

朝永のこの懸念はどういうことでしょうか。

殺人光線とよばれていた兵器。それは、現在「メーザー」とよばれている電磁波の放出原理を利用しようとしたものでした。

いくつもの電磁波が、おなじ調子で山と谷の曲線を描くと、波の強さは増幅されます。たくさんの波どうしが重なり合い、“束”になったも

のが「メーザー」。“Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation”の頭文字“MASER”が語源です。

波の調子が重なり合うと波の強さは増幅される(左)。波の調子が打ち消し合うと波は平坦なものとなる(右)。

1文字目の“M”は「マイクロ波」の頭文字。電磁波のなかでも、波長100マイクロメートルから1メートルの波長のことを指します。衛星放

送の電波、気象観測のレーダー、そして電子レンジなどはすべて、このマイクロ波の波長の範囲のなかにあります。

似た言葉に「レーザー」があります。あるいはこちらのほうが耳慣れているかもしれません。レーザーとメーザーでは、対象となってい

る電磁波の波長が異なるのみで原理は同じです。レーザーの波長は可視光線の範囲となるため、波が束ねられて光線になっている

ということです。

将来メーザーとよばれることになる、このマイクロ波の束を、どのように殺人光線として武器にしようとしていたのか。ここでも「偶然」と

いうものが歴史の脇役を演じたのです。つづく。

創業の地元に別れ

島田理化工業・島田製作所、今月末閉鎖へ静岡政治・経済 2009年11/21 14:59

産業機器メーカー、島田理化工業の島田製作所(島田市阿知ケ谷)が11月末、閉鎖される。戦後の島田の町に誕生し、東証1部上場

まで駆け上がった同社だが、業績悪化に伴う経営再建で、生産拠点を東京・調布市に集約することになった。OBら地元関係者は「やむ

を得ない」と割り切りつつ、寂しさを募らせる。

湯川秀樹、朝永振一郎…。ノーベル賞学者も名を連ねる第二海軍技術廠島田実験所(技研)関係の名簿。懐かしそうに眺めるのは島

田理化創設に携わり、後に役員となった島田市大井町の大上良治さん(86)。草創期の島田理化で顧問を務めた朝永博士の14人後

に大上さんの名も記されている。

「電子レンジで卵を温めると破裂するでしょ。島田の技研はそんなマイクロ波の技術を研究していたんです。極秘でね。強力電波を放

ち、米軍機を落とせないかって」

敗戦で技研は解散。研究者らは大学や企業に戻ったが、数人は島田に残った。その一人、水間正一郎さん(島田理化の2代目社長)

が木造の技研の一室で、熱く語り掛けてきた言葉を大上さんは鮮明に覚えている。「日本再生のために、おれたちにできることは何だ。

電波技術しかない」と。

大上さんらは東海紙料(東海パルプ)に隣接する技研跡で会社設立を準備し、翌46年12月8日に島田理化工業所を起こした。創業

を太平洋戦争の開戦記念日とし、「決意を示した」という。

数年後の朝鮮戦争を機に高周波技術を応用したビニール接着用ミシン、超音波洗浄器、マイクロ波技術を使った通信分野の分波器

開発などで経営は軌道に乗り、60年代に島田の工場は現在地に移った。きっかけは突然浮上した東海パルプの東北地方への移転話

だった。

当時の市長、森昌也さん(99)=同市大津通=は「パルプも理化も市にとって大事な一流企業。パルプが理化の土地を買って拡張し、

理化には市が公園整備を計画した郊外の阿知ケ谷へ移ってもらい、双方を島田に残すことができた」と水面下の“調整”を振り返る。

その移転から約45年を経て、阿知ケ谷の島田製作所は役割を終える。建物は来春までに解体し、2万6000平方メートルの敷地は

売却方針という。

かつて製作所で経理の管理職を務めた同市本通の三浦康男さん(68)は「従業員は大丈夫か。今の経済情勢では再就職も困難なは

ず」と気遣いながら、「島田から出発した会社。名前は残してほしい」と願いを込める。

11月末で閉鎖される島田理化工業の島田製作所

(島田市阿知ケ谷)

島田理化工業

太平洋戦争中の第二海軍技術廠島田実験所(現島田市)

の技術者らが中心となり1946年12月8日、島田理化工業所を創業。翌年、

島田理化工業株式会社を設立した。高周波やマイクロ波技術で通信関連、

超音波機器などを製造。2001年から今夏まで東証1部。本社は東京都調

布市。従業員は約540人(3月現在)だが、経営再建で180人規模の希望

退職を募った。

レーダとしての利用

地中・雪中探査車両間距離の測定

雨雲などの観測 (気象レーダ)

パルスレーダ

レーダの基本回路(パルスレーダ)

パルス駆動回路

パルス発生回路

信号処理回路

送信アンテナミリ波発振器

(FETタイプ)

LOGアンプ IFフィルタ ミクサ RF-LNA

ターゲット

送信回路

ミリ波発振器

(ガンタイプ)

受信回路

送信波

反射波

受信アンテナ

IF-LNA

LNA・・・ローノイズアンプ(増幅器)

FM-CWレーダの場合

CfRfmfrftfd

4

送信周波数:ft

反射波とのビート周波数:fr

差分周波数:fd 変調周波数:fm=1/T

周波数変化幅:Δf電磁波の速さ:c距離:R

・オシレータより三角波を発生

・FM変調器でFM変調させ方向性結合器に入力

・観測目標に向けて放射

・受信波をミクサに入力し、出力を得る

地中レーダ

同期信号

パルス発生器

送信アンテナ 受信アンテナ

受信機

表示器

大地

問題点

1.地表面による電波の反射

2.地中における伝搬の減衰

詳しい理論は

山下著

“応用電磁波工学”, 近代科学社, pp172-191 を参照

放送・通信技術への応用

・モールス無線通信・無線機・自動車電話・携帯電話

・ラジオ・テレビ・衛星放送・地上デジタル

放送と通信の融合?

(Information Communication Technology 技術の急速な発展が影響)

通信 放送

携帯電話による通話の基本

音声やコンテンツの情報を電磁波により基地局とやり取り

携帯電話端末

電磁波

基地局

端末の移動への対応法

基地局A

移動

基地局B

ゾーンAゾーンB

端末局の移動によりゾーンが切り替わる(ハンドオーバー)

移動通信交換局(MSC:Mobilieservice

Switching

Centor)

携帯電話と固定電話との接続

基地局A 基地局B

移動通信交換局(MSC:Mobilieservice

Switching

Centor)

移動関門中継交換機

市外

相互接続点

TS

←→

LS

携帯電話網

固定電話網

ゾーンを切り換える

携帯電話の位置ゾーンを把握(位置記憶メモリ)

基地局A 基地局B

移動通信交換局(MSC:Mobilieservice

Switching

Centor)

移動関門中継交換機

ゾーンを切り換える

携帯電話の位置ゾーンを把握(位置記憶メモリ)

全国規模での位置特定

1.携帯の電源を入れると、 寄の基地局が信号を受信

2.その位置ゾーンを“移動関門中継交換機”が記憶

3.ゾーンが切り換わると“位置記憶メモリ”を更新

小ゾーン方式が多加入者処理を可能に!

fa

fb

fc fc

fb fb

fa

fc

fb

fa

加入者が集中し

そうな地域はさら

にゾーンを分割

・隣り合うゾーン同士で違う周波数帯を使用

・それぞれの周波数帯で数百チャンネル分の回線が使用可能

・第2世代(デジタル)では、

チャンネル間隔(周波数)を

半分にし、回線数を倍に

移動体通信のための各種技術

基地局

移動体通信

固定局と、移動局および、移動局同士での通信

問題点 移動による直接波伝搬の断絶やマルチ

パスにより、常時接続が難しい

解決法 基地局 → アダプティブアレーなど

移動局

ダイバシティ方式など

断絶

反射した電磁波と直接波の合成

反射波

直接波

光応用部品

携帯電話の導光板(バックライト)

LED(発光ダイオード)のホーン

拡散フィルムLED(発光ダイオード)

導光板

反射板反射フィルム

導光板により導かれたLEDの光が拡散フィルムにより一部取り出され、面で発光

プラスチック内を反射し

ながら、なるべく光が前

方に出るような構造

光ファイバ

ガラス管の中で

屈折させることに

より、光を伝搬

マイクロ波加熱(電子レンジ)

1.マグネトロンにより、強力(500W)な

電磁波を発生

2.ある単一の電磁波(2.45GHz)のみを閉じ込め、エネルギーを増大(共振)

3.共振器内の食品は、水分が2.45GHzで振動することにより、物体を加熱

共振器とは

・・・

ある単一の電磁波のみを閉じ込め、 エネルギーを増大させる箱や棒

庫内(共振器)

導波管

マグネトロン

http://ja.wikipedia.org/wikiマグネトロン断面

マグネトロン・・・管に永久磁石により強力な磁場をかけ、周

囲の空洞を電子流が通過する際、強力な電磁波が発生(もと

もとは、第2次大戦中にレーダ用の高出力発振器として開発)

電流と磁気を利用した加熱

・電磁調理器(IHクッキングヒータ)

コイル磁力線 磁力線

鍋(鉄)

うず電流

・コイルに電流を流すと磁力線が発生

・鍋の金属中にうず電流が発生

・金属の抵抗成分により熱が発生

http://news.livedoor.com/article/detail/3812989/

電磁波によるエネルギーの空間伝送モデル

1100km

送電系(スペーステナ)

一辺が135mの正方形・送信アンテナ

(効率62.5%以上)

出力

: 16MW

周波数

2.45GHz

直径2000mの

受信アンテナ受電系(レクテナ)

検波により直流電圧に変換

太陽電池による発電

体に悪くないのか?→単位面積あたりの照射

電界強度は少ないの

で大丈夫

太陽発電衛星(Solar Power Satellite)→1970年代・米国による

SPS2000プロジェクト→日本国・宇宙科学研

究所による

2m離れて60Wの電力伝送、インテルがIDFでデモ~磁界の共振現象(LC共振)を利用~

米インテルのジャスティン・ラトナーCTO( 高技術責任

者)は8月21日、サンフランシスコで開催中のイベント「2008 Intel Developer Forum」(IDF)の基調講演で、同社が取り

組んでいるワイヤレス充電技術「Wireless Resonant Energy Link」(WREL)に関するデモンストレーションや、用途に

よって形状を変えるデバイス、ロボット技術など、現在同社

が開発中の技術や未来の技術について語った。

インテルのブログサイトにアップロードされたワイヤレス電力

伝送のデモンストレーション映像。電球が付いているコイル

には、電源やコードが何も付いていない。

WRELは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のマリン・ソウル

ヤチーチ(Marin Soljacic)教授が2006年に発表し、2007年に

電球を灯すデモンストレーションで実用への可能性を示した

研究を元にしているという。従来、ワイヤレスで電力を送る方法としては、電磁誘導によ

る方式と、周波数の高い電磁波を使う方式が知られていた。

電磁誘導方式は、変圧器や電動歯ブラシの充電器など水回りで使う家電で実用化されている。2つの

コイルを近接させて電力を送るため、この方式では距離を広げることができない。一方、電磁波を使う

方式は信号伝送には向いていても、全方向に照射されるためエネルギーの伝送効率が悪い。逆に指

向性を高めると、場所が固定されたデバイス以外で利用しづらいという課題があった。また、高出力で

は人体への影響が大きく、汎用技術としては使えない。

ソニーが磁界共鳴型による高効率な「ワイヤレス給電システム」を開発

~60Wの電力を伝送し、50cm離れた電子機器を駆動~

ソニー株式会社(以下、ソニー)は、電源コードを接続することなく、テレビなどの電子機器へ、離れた場所から高効率で電力を供給

できる「ワイヤレス給電システム」を開発しました。このシステムにより、60Wの電力を50cm離れた電子機器に高効率(送電・受電デ

バイス間約80%、整流回路含み約60%)で給電することが可能となりました。

今回開発した「ワイヤレス給電システム」には、磁界共鳴型の非接触給電技術を採用しています。磁界共鳴型とは、送電デバイス

から供給された電力エネルギーが空間を介し同じ周波数で共鳴している受電デバイスのみに伝播する方式であり、デバイス相互

の位置関係がずれていても高効率の給電が可能となります。また、送電・受電デバイス間に金属があっても、その金属が熱くならな

いという特長があります。

ソニーが新開発した「ワイヤレス給電システム」では本方式をもとに、当社が通信・放送分野の商品開発で長年培ってきた高周波

伝送技術を応用して開発した、高速・高効率整流回路を搭載し、整流を含めても約60%という高い給電効率を実現しました。加えて、

送電・受電デバイスと同じ周波数で共鳴するレピータデバイスを開発し、これを送電・受電デバイス間に配置することでその給電効

率を維持したまま、給電距離を50cmから80cm*まで伸ばすことにも成功しました(*デバイスのみの基礎実験において)。

近年、電子機器がネットワーク化され、そのために接続するコードの数も増加する傾向にあります。データ伝送においては、Wi-Fi をはじめワイヤレス化が進んでいますが、電力供給に関してもワイヤレス化のニーズは年々高まっています。

ソニーは、数cm以下から数十cm以上までの広い範囲、かつ小電力から大電力まで、電力供給のワイヤレス化の様々なニーズに

対応すべく、今後も、本ワイヤレス給電技術の電子機器全般への応用の可能性について、更なる研究開発を継続してまいります。

開発品の主な特長

1 .

整流回路含め高効率な給電を実現

ソニーが長年培ってきた高周波伝送技術を応用し、新たに 適な素子を用いて高速・高効率な整流回路を開発しました。これに

より送電デバイスから受電デバイスに伝送された高周波電力を電力ロスが少ない高い効率で整流することができ、テレビやノー

トパソコン等の電子機器を動作させることができます。

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200910/09-119/ より

<「ワイヤレス給電システム」の原理ブロック図

2 .

独自開発のレピータデバイスによる給電距離の伸張と給電効率の向上を実現

送電・受電デバイスと同じ周波数で共鳴するレピータデバイスを開発し、これを送電・受電デバイス間に配置することで、そ

の給電効率を維持したまま、給電距離を伸ばすことが可能です。デバイスのみの基礎実験では、50cmから80cmまで給電

距離を伸ばすことに成功しました。この結果、サイズの小さいデバイスを用いた場合にもサイズの大きいデバイス使用時と

同様の給電距離と給電効率を維持することも可能となります。

マイクロ波電力伝送

ノートPCへのワイヤレス電力供給

電磁波特性の解明

電磁波機器の 適設計

1.信号フィルタの寸法決定 2.携帯電話の筐体、アンテナの寸法決定

電磁波の人体・環境影響

1.電子レンジからの不要電磁波 2.人体影響

電磁法則に基づく計算(シミュレーション)による検証

1.携帯電話や無線LANに使用する高周波部品の開発

これらの小型化・高性能化

5.電磁波のコンピュータ・シミュレーション技術

損失媒質中の電磁波の伝搬特性の解明

新型マイクロ波・フィルタ、アンテナの開発

柴田研究室:マイクロ波デバイスの開発と解析

2.液晶・マイクロ波デバイスの開発

携帯電話・基地局のアンテナビーム制御

3.強誘電体・マイクロ波デバイスの開発

携帯電話・基地局のアンテナビーム制御

4.ミリ波レーダの開発

1:携帯電話・衛星通信機器用・マイクロ波部品

データ転送

遠隔制御

遠隔操作ロボット

コントロールPC

マルチパスによる通信速度低下

フィルタの高性能化無線LAN用

マルチセクタアンテナシステム

アンテナが大きな役割

無線LAN

MIMO用

アレーアンテナ

フェーズド・アレーアンテナ

4g

高誘電率なセラミック

プリント基板

発振器安定用誘電体共振器→ 適な形状

スパコンの分散処理

プレイステーションのCell/BEも同じ

微分方程式の定式化→差分方程式→ループでの演算→行列方程式→ループでの演算→分散処理にて高速・大容量化

5:

電磁波のコンピュータ・シミュレーション

t

EH 0

t

HE 0

マクスウェルの方程式

プログラム化

コンピュータによる解析領域の計算

(過渡特性の把握)

1.損失媒質中の電波伝搬解析

2.新型“フィルタ”・“アンテナ”の開発

3.数値計算の高速化・大規模化

電磁波の人体影響

コンピュータによるシミュレーション例(携帯電話からの電磁波の放射)

今後の予定

第1回 ガイダンス(電磁波工学概論)

第2回 電磁法則

第3回 マクスウェルの方程式

第4回 波動方程式の性質と変形

第5回 平面波の媒質による垂直反射と透過

第6回 平面波の媒質による斜反射と透過

第7回 境界条件と伝送線路

第8回 アンテナ(基本性質、利得、インピーダンス整合、指向性、実効長)

第9回 アンテナ素子(線状アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、アレイ)

第10回伝搬特性Ⅰ(直接波、反射波、回折波、散乱波)

第11回伝搬特性Ⅱ(ダクト伝搬、電離大気中の伝搬、フェージング)

第12回無線通信への応用(固定局通信、移動体通信、衛星通信)

第13回エネルギー・計測への利用(電子レンジ、エネルギー伝送、レーダ、電波天文学)

第14回光・電磁波論(光波工学)

第15回定期試験

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