情報の科学に期待される理念

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情報の科学に期待される理念. 日本大学文理学部 夜久竹夫 2010年6月27日 日本情報科教育学会第3回全国大会 パネル討論. 1980年代の入試問題パターン例 3N + 1 問題の デフォルメ. 問。下の流れ 図で N = 6 の時の出力を書け 解 6, 3, 10, 5, 16, 8, 4, 2, 1. collatz(N). N. N 奇数でN>1?. No. No. N 偶数か?. collatz(3N + 1). collatz(N / 2). STOP. 1980年代の入試問題パターン例 3N + 1 問題. 問。下の流れ 図で - PowerPoint PPT Presentation

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情報の科学に期待される理念

日本大学文理学部夜久竹夫

2010年6月27日日本情報科教育学会第3回全国大会

パネル討論

2

collatz(N)

N

N 奇数で N>1?

N 偶数か?

STOP

No

No

collatz(3N + 1)collatz(N / 2)

1980年代の入試問題パターン例3N + 1 問題のデフォルメ

問。下の流れ図でN = 6 の時の出力を書け

 解 6, 3, 10, 5, 16, 8, 4, 2, 1

3

collatz(N)

N

N 奇数で N>1?

N 偶数か?

STOP

No

No

collatz(3N + 1

collatz(N / 2)

1980年代の入試問題パターン例3N + 1 問題

問。下の流れ図でN = 6 の時の出力を書け

 解 6, 3, 10, 5, 16, 8, 4, 2, 1

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理念 ~ 広義の計算

普遍概念 ビット列

対象 ビット列の世界

目標

ビット列の世界の法則の理解させ使いこなす力を身につけさせる

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参考ビット列を普遍概念とする情報科の理念

 夜久竹夫(日本大学) 杉田公生(東海大学) 土田賢省(東洋大学) 宮寺庸造(東京学芸大学) 

2008年6月28日第1回日本情報科教育学会

滋賀大学

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1.はじめに→情報科の対象 デジタル化された情報&情報製

→ ←世界共通に必要な情報教育 情報機器の利用法デジタルデバイドの回避

→日本に必要な情報教育 情報製品の製作者の養成を含む

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 背景1 日本の貿易 (2007)   (輸出入)工業製品を売って、食料とエネルギー他を買う

←良質の工業製品を作る必要 繁栄の維持

輸出 (713B$)   (約 71兆円)輸送機器 (177B$ 24.8%)電気機器 (144B$ 20.2%)一般機械 (141B$ 19.81%)

輸入 (621B$)   (約 62兆円)鉱物性燃料 (172B$ 27.69%)電気機器 (79B$ 12.72%)原料品 (48B$ 7.74%)一般機械 (55B$ 8.9%)食料品 (51B$ 8.26%)

[JETRO ドル建て貿易概況 ]

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 背景2 高複雑度情報製品の増加 コンピュータ(CPU) 1000万素子超    → (以前)少数の超大型機 (現在)多数のPC

             プログラム 数百万行超    (以前)少数(銀行オンライン、SISなど)    →  (現在 )多数(第 3世代携帯電話、自動車など)

→ 体系的知識無しでは作れない情報製品が増加

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 背景3 情報製品の総量増加組み込みシステム 50兆円(製造業と重複)

 製造業中の情報通信産業 62兆円(282万人)情報通信産業 120  兆円(放送まで含む) (情報通信白書)

ネットワーク 6450万ドメイン (2004)(全世界) 情報流通量 637Gbps (2006) →  121Tbps (2025) 

IT機器電力国内総量比; 5%( 2004) -> このままだと 20%超( 2025)(総合科学技術会議)

日本・産業生産額  915兆円 5207万人(2004)日本・製造業生産額  255兆円 994万人(2004)

→   原理と仕組みについて多数の人が知っている必要。大学専門学科(1学年1.5万人程度では不十分)

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情報製品の量~情報通信産業の規模~

 注意 IT産業は売り上げを下げる働き=原料不要

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 背景4 情報製品の特徴ソフトウェア

→日本の工業製品の中核(全体を制御) 外国依存にしたら工業製品の中心が抜ける(一部では価格の半分以上と言われる)(組み込みソフト)

 社会の基盤: 電子政府、電子商取引など→知識だけで作れる 輸入の必要は無い

→情報製品はモノ作りの中核のひとつ→自前(国内)で作る必要がある

←情報技術立国 強力なコンセプトにもとづく教育が必要

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起きている事

1.産業設備・技術の情報空間への移転→店舗 サイト

2.産業設備・技術の情報空間側での発展→携帯電話の発達 ソフトウェア増大

→自動車の発達 ソフトウェア増大→工作機械 ソフトウェア増大

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問題点と動機

1.社会の要請(使える人と作れる人の養成)に十分には応えていない

  →2.利用者教育という考えが主流→利用者教育のままでは科学技術立国が不可能

産業の衰退を招く

→3.他分野との境界が不明確で混乱している 境界領域に分散していく傾向がある。

独自のコンセプト(方法論)が普及していない事が影響

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この研究の目的

1.対象と概念を明確化する

2.概念を体系化する

3.他学科との関係と境界を明示する

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この研究の成果1.対象と概念の明確化

→対象 ビット列の世界(デジタル情報と情報機器)→概念 ビット列を普遍概念とする(ビット列演算と

現実界との対応関係)

2.概念の体系化コンピュータ、アルゴリズム、ネットワーク、メディアがある。それらはビット列の高次概念

3.他分野との境界→ →数学との境界:数学 数値・図形;情報科 ビット

列→ →理科との境界:理科 物質的実現手段;情報科

ビット列の性質→ →文学・芸術との境界:文学・芸術 内容;情報科 入

れ物

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 2 準備:他国の情報教育カリキュラム例

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   表1上 アメリカ ACM K12(2002)     内容 (コンピュータ・アルゴリズム基本、 応用、 ソフト開     内容 (コンピュータ・アルゴリズム基本、 応用、 ソフト開

   発、 CS・SE・CEトピックス)・・・ CS重視   発、 CS・SE・CEトピックス)・・・ CS重視 特徴 中等教育・高等教育が同一学会 特徴 中等教育・高等教育が同一学会

http://csta.acm.org/Curriculum/sub/k12final1022.pdfhttp://csta.acm.org/Curriculum/sub/k12final1022.pdf

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ACM K12

L1.       ワープロ: インターネット: エクセルL2.     アルゴリズム; プログラミング; WEBデザインL3. プログラム設計L4.   プロジェクト; WEB  プログラミング:

 出版: CG

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 表1下 UNESCO-IFIP ICT (2002) 内容 情報リテラシー+応用+総合+開発他

http://unesdoc.unesco.org/images/0012/001295/129538e.pdf

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IFIP ICT カリキュラム

A. ICT Lit, ワープロ,表 ,DB,プレゼン ,インターネット ,倫理B. Appl.  of ICT in Subject Areas   数学,言語などとの関連データベース設計,グラフィックス・音楽 ,応用問題C. 総合問題D. ICT Specialization プログラミング・ビジネス情報システム・プロコン・プロマネ

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3.情報科のコンセプト

 情報科の目標: ビット列世界の法則を知り使いこなせるようになる事(作る事を含む)

ITに関わる概念(コンピュータ・アルゴリズム、ネットワーク、デジタルメディアな

  → ど):全てビット列世界の高次概念 強調

ITに関わる全てを同一概念の下に体系的に理解させる

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 3.1 情報科の対象と目標

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対象と目標 対象 デジタル情報。ビット列で表された情報を

基本

##ニ#x#� �羌 ェソ%U&ヘ# ###opendo�

基本対象 基本操作 到達目標 高次概念

ビット列

コンピュータ

ビット列上の操作

ビット列世界の法則を理解し活用

デジタルメディアネットワーク

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抽象世界代数幾何解析(数学)

ビット列世界

コンピュータネットワークデジタルマルチメ

ディア情報システム(情報科)

記号世界語学文学(国語・英

語・・・

物質世界物質とエネル

ギー(物理・化

学・・・・)

各教科の対象

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抽象世界代数幾何解析(数学)

ビット列世界

コンピュータネットワークデジタルマルチメ

ディア情報システム(情報科)

記号世界語学文学(国語・英

語・・・

物質世界物質とエネル

ギー(物理・化

学・・・・)

各教科の対象

情報科の世界観

実世

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 3.2 情報科の構造(1)各項目間の関係

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項目名 ビット列との関係 提唱者

コンピュータ 論理回路からなる

    論理回路 ビット演算を実現ネットワーク プロトコル、ビット列の伝送路 Cerf-Kahn

ビット列で情報を表現

Turing-Neumann, 1936-1945Shannonn, 1936

デジタルマルチメディア Shannon, 1948

#臥#####™………™………™…………………………………

項目=コンピュータ、デジタルマルチメディア , ネットワーク

コンピュータ、デジタル 、ネットワークはビット列のマルチメディア高次概念

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情報科概念体系図(概観)

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ビット列

ビット列演算

コンピュータ

1000万スイッチング素子

機械語

アルゴリズム

1000万行S

hannon

Cerf-K

ahn

マルチメディア文字、数値、記号、画像

40億 B

ネットワーク

~100万行

表2.情報科学・技術の構造

グラフ構造、2進数、論理値、文字列

1

0

11

0 0

論理回路

Turing

-Neum

anS

hannon

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細目分野 高次概念の例

ビット演算  速度・素子数

情報処理 ソート,サーチ

安全性・速度

 ビット列表現  表現・サイズ データ構造

細目分野の基本概念

細目分野の理解項目

コンピュータ

コンピュータの5大要素

アルゴリズムの基本・反復と分岐

計算時間・メモリー使用量

ネットワー ク

プロトコルとアド レス

暗号,セキュリティ

マルチメ ディア

各細目分野のコンセプト

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 4 基本知識~担当教員の知識~

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x計算可能な問題の全体

XプログラムP1とP2は同じ計算をするか?

情報空間の構造

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知識

 プログラミング +

  → 普通免許 計算可能性の概念と実例

  → 先週免許 計算可能性の定義+計算不可能な例題の証明

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5.おわりに情報科カリキュラムの運営

 「情報の科学」 運営への期待• ビット列に直接関わる項目の重視• 境界分野の比率削減• →情報科学の比率増加( 専門教科情報に接近)

• プログラミングの取り込み

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Thank You

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5.おわりに

 まとめ 情報科のコンセプトの明示

今後共通教科「情報」でも情報科学に焦点を当てて運用する必要

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細目分野

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情報世界の実情情報世界:文学作品、芸術作品などと同様人間が作ったもの( cf. 自然界や数学の世界:元から存在)

情報世界の規模(量・種類・大きさ・複雑さ):日本語全体や英語全体などに匹敵する規模

→情報科の成立 独自のコンセプトを明示する必要

自然界

物質

数値・図形

人工物

情報世界言語世界・・・

デジタル情報世界50年

日本語文字世界1500年

漢字世界4000年

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情報科学の発展アルゴリズムの発見 (Eukleides, )

電話の発明 (Bell, )

タイプライタとカメラの発明 論理回路とビットの関係 ( Shannon, 1936) チューリング機械の発見 ( A. M. Turing, 1936)

 プログラム内臓方式コンピュータの発明 ( J. von 

Neumann, 1945) コンパイラ言語の発明 (G. Hopper, 1951, A-Oコン

 パイラ -> COBOL) ネットワーク<パケット通信方式> ( Paul Baran, 

1962) マルチメディア表現の発明 ( C. E. Shannon, 1948)

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情報科の問題点←情報科への期待 情報製品の利用者増&情報製品の開発

載せる情報の教育と技能教育の比重が高い

5000人居るはず・しかし専門家はわずか

→ →(メディア部門 メディア系・数値プログラム 数学・ワー→プロ 国語)

→本来の情報科教育が出来ない 情報 Bの低修得率

→このままだと境界領域に分解の恐れ 正当な位置づけと強力なコンセプト確立が必要

技術立国が成り立っているうちに情報立国をじつげんさせる必要

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代数学 数 方程式幾何学 図形 変形解析学 量 変化

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 教科の例 数学

ギリシャ時代に学問として成立アルゴリズムを生んだ計算の理論を発見した Turing は数学者コンピュータを発明したノイマンは数学者ビット列の有用性を提唱したシャノンも数学者

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文献

http://www.rand.org/about/history/baran.list.html

A. M. Turing, On Computable Numbers , with an Application to the Entscheidungsproblem , in: Proceedings of The London Mathematical Society , Second Series , Volume 42 , pp. 230-265

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ソフトウェア産業(2003)規模 (平成 17年)従業員数 57万人売上合計 14.6兆円

[経済産業省「特定サービス産業実態調査」、「情報サービス産業維新」 ]

輸出入統計[JEITA  、「ソフトウェア輸出入統計調査

2000年実績」 ]輸入 918,860百万円輸出 8,981百万円→単体としての輸出は殆ど無い。生産ソフトウェアの多くは国内で利用

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情報製品の量~産業規模~

HTTP://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h16/html/G2101000.html

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普通教科情報(現行)

情報 A  主:情報活用の実践力(リテラシー)情報 B  主:情報の科学的理解(情報の科学)情報 C  主:情報社会に参画する態度(情報と倫理)

注.プログラミングは除かれている

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次期普通教科情報重視した点    ・「情報活用の実践力,情報の科学的理解,情報社会に参画      する態度」をより一層重視    ・情報活用の実践力の確実な定着    ・情報に関する倫理的態度と安全に配慮する態度や規範意      識の育成

科目構成の改定  ・「社会と情報」:情報化の進む社会に積極的に参画する

                       ことが できる能力・態度の育成  ・「情報の科学」:情報にかかわる知識や技術を科学的な見方・                      考え方で理解,科学的思考力・判断力等を養う

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次期専門教科情報教科の目標  ・情報の各分野における応用的・発展的な知識・技術や職業    倫理等を身に付けた人材を育成する

科目構成の改定  →・現行11科目 13科目に変更  ・新科目構成:      情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,      情報と問題解決,情報テクノロジー,      アルゴリズムとプログラム,ネットワークシステム,      データベース,情報システムの開発,情報デザイン,      情報メディア,メディアの編集と表現,情報コンテンツの開発

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隣接分野との境界

言語世界語学文学日本語

メディア画像アニメ映画絵画

社会経済政治

ビット列世界

コンピュータアルゴリズムメディア

ネットワーク

数学

数値図形

自然界

物理化学生物地学

シミュレーション 表現

物性、電子工学実現

表現

復元

心理社会

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