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No. 25 July 2017 [巻頭] ・わが国で起きたハ−ボニ−偽薬事件で思うこと 寺尾 允男 1 [特別寄稿] ・災害と薬学 寺田  弘 2 [薬学への期待] ・思考的問題解決能力の養成を可能とする 薬学教育の再構築を望む 亀井 淳三 5 ・新しい視点で、新しい薬の科学を 箱嶋 敏雄 6 ・ライフレビューを聴こう 森  裕二 7 [薬学研究への道] ・尊敬する薬剤師って誰ですか? 礒濱洋一郎 8 ・中分子創薬とは 玉村 啓和 9 ・薬物代謝と薬物動態 山崎 浩史 10 [話題] ・Santo Tomas 大学薬学部における Visiting Researcher Program について Reginald Bayani Salonga 11 ・第 58 回 ASH meeting に参加して 原(野上)愛 12 ・平成 29 年度研究助成金等募集要項 ・平成 28 年度研究助成金等受領者 ・賛助者芳名 ・スケッチ 山崎 幹夫 ・編集後記
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July 2017 - yakusho.org–¬奨ニュースNo.25.pdf · 役 員 等 の 名 簿 平成29年7月1日現在 名誉会長 野島 庄七 東京大学名誉教授 会長 北川 勲...

Aug 29, 2019

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Page 1: July 2017 - yakusho.org–¬奨ニュースNo.25.pdf · 役 員 等 の 名 簿 平成29年7月1日現在 名誉会長 野島 庄七 東京大学名誉教授 会長 北川 勲 大阪大学名誉教授

No. 25July 2017

[巻頭]・わが国で起きたハ−ボニ−偽薬事件で思うこと 寺尾 允男   1

[特別寄稿]・災害と薬学 寺田  弘   2

[薬学への期待]・思考的問題解決能力の養成を可能とする 薬学教育の再構築を望む 亀井 淳三   5

・新しい視点で、新しい薬の科学を 箱嶋 敏雄   6

・ライフレビューを聴こう 森  裕二   7

[薬学研究への道]・尊敬する薬剤師って誰ですか? 礒濱洋一郎   8

・中分子創薬とは 玉村 啓和   9

・薬物代謝と薬物動態 山崎 浩史   10

[話題]・SantoTomas 大学薬学部におけるVisitingResearcherProgram について ReginaldBayaniSalonga   11

・第 58回 ASHmeeting に参加して 原(野上)愛   12

・平成 29 年度研究助成金等募集要項

・平成 28 年度研究助成金等受領者

・賛助者芳名

・スケッチ 山崎 幹夫

・編集後記

Page 2: July 2017 - yakusho.org–¬奨ニュースNo.25.pdf · 役 員 等 の 名 簿 平成29年7月1日現在 名誉会長 野島 庄七 東京大学名誉教授 会長 北川 勲 大阪大学名誉教授

役 員 等 の 名 簿

平成29年7月1日現在

名誉会長 野島 庄七 東京大学名誉教授

会 長 北川 勲 大阪大学名誉教授

参 与 相澤 登 (公財)持田記念医学薬学振興財団名誉理事

池川 信夫 東京工業大学名誉教授

理 事 長 寺尾 允男 (一財)医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団会長

理 事 井形 英樹 武田薬品工業(株)リサーチ湘南リサーチセントラルオフィス長

市川 和孝 日本製薬工業協会元理事長

海老塚 豊 東京大学名誉教授

木平 健治 (一社)日本病院薬剤師会会長

佐藤 公道 京都大学名誉教授

関谷 剛男 (公財)佐々木研究所常務理事 附属佐々木研究所所長

辻 勉 星薬科大学教授

西島 正弘 昭和薬科大学学長

平井 功一 三共(株)元専務執行役員

増田 典之 アステラス製薬㈱研究本部研究企画部長

山本 信夫 (公社)日本薬剤師会会長

監 事 北田 光一 千葉大学名誉教授

村瀬 清志 山之内製薬(株)元取締役

評 議 員 赤池 昭紀 京都大学名誉教授

味戸 慶一 Meiji Seika ファルマ(株)医薬開発本部医薬プロジェクト推進部長

岡部 尚文 中外製薬(株)上席執行役員 研究、トランスレーショナルクリニカルリサーチ管掌

久保 陽德 明治薬科大学顧問

長友 孝文 新潟薬科大学名誉教授

林 正弘 高崎健康福祉大学薬学部教授・薬学部長

増保 安彦 東京理科大学薬学部嘱託教授

宮田 直樹 名古屋市立大学創薬基盤科学研究所特任教授

吉松賢太郎 エーザイ(株)シニアサイエンティフィックアドバイザー

ロドニー スティーブンス 大正製薬(株)医薬研究本部副本部長

注:役員等は全て非常勤

表紙写真:入道雲の花見

美しく広がるユリの花畑(標高約1300m)に次々と入道雲が花見

に来ているようであった。

ハンターマウンテン塩原にて 村瀬清志 撮影

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9年 大学大学院化学 研究科薬学 課程 薬学

大学薬学部助教授 生 所部長 線化学部、機能生化学部、薬品部)

生 所副所長 医薬品 品 生研究所長を 任

財 本 定 会会長 本薬学会 事 薬事 品 生 議会会長 品 会 任

現在、 一財 医薬品医 機 レ ラトリーサイエンス財団 本 定 会 会長

い が きますが、 様お元 でお しのことと思います。

近年、効 が高いものの、きわめて高 な様々な医薬品の開発が み、医 に用いられるよう

になってきました。

このような の中で、今年1 にそのような医薬品の一つである 薬 - ニ-

の 薬がわが で見つかり、大きな問題となりました。わが での 薬事 といえば、インタ-

トなどを利用し 人 入した医薬品が 物であったという 外では 0年間 きてお

らず、まさに の のような出 事でありました。

今回の ー ニー事 は発見が く、医薬品関係者の素 い によりこれ 上の がりは

きないと思われます。しかし、 薬が薬 から 者さんに され、それを にした人が薬の

異 に いたという事態から、 した薬 にも 任があるのではないかという意見が出る

一方、 ー ニーは一 開 すると有効期間が極端に くなることから、 者さんに す前に

薬 が開 して中 を確認することは な かという意見もあり、判断が しい問題であ

ります。

多くの では 薬の が大きな 会問題であり、それらの に を ま ているのが現

であります。 々の に新しい事 としては、数年前に で 者まで出た パリン事

があります。 いなことに、この パリンはわが では しておらず 害は出ま んでした

が、このため、 、 、 薬 方は パリンの純度 を 変更 ざるをえま んでした。

このような 薬事 が びわが で こらないためには、医薬品に関 する業 に わっている

薬 等の薬学関係者が に の を ら ている があります。薬 は調 した医薬品

について、 者さんに と薬学的知見に基 く な 導を うことが けられてい

るなど、 に 歩する医 において業 も高度化し、 任も くなってきています。薬学教

の 実がますます となる所 であります。

薬学教 に当たる人は、教 者であるとともに研究者である があります。当財団は、薬学

研究者の 成という使命を っていますが、薬学に関 するすべての人 成に関 しているこ

とを に じて活 する があります。

様方の、当財団 の を今後もよろしくお い し上 ます。

で 薬 で

益財団法人 薬学研究奨励財団 理事長

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特別寄稿

1. はじめに

東日本大震災は、マグニチュード9.0と

いう観測史上最大規模の地震であった。地

震に引き続く津波、そして原子力発電所の

事故という連鎖が被害を一層拡大させ、6

年後の今日でも、その傷は癒えていない。

それ以来、私は災害対策に関し大きな関心

を持つようになった。特に、被災地で顔の

見えにくい薬剤師(薬学)の活動にである。

2. 卒災

東京理科大学には、火災科学研究セン

ターというユニークな研究所がある。5階

建て程度の実験棟の内部は吹き抜けで、空

間部は天井にまで達している。底面に建造

物を建てて、そこに火をつけて周囲から炎

の伝わり方を観測し、データを解析すると

いう、部外者には興味をそそる研究セン

ターである。そのセンター長で国際卒災

ヴィレッジ研究会の会長でもある菅原進一

先生と研究会の副会長をされている唐川伸

幸先生が訪ねて来られたのは、大震災から

しばらく経ってからのことであった。私が

東京理科大学のDDS(Drug Delivery System)

研究センター長をしていた頃のことである。

私にとっては、全く予期しない訪問であっ

たので、なぜ来られたのかという問いに、

お二人は震災時における薬の流通システム

の研究協力を依頼したいからであると話さ

れた。DDSを薬の流通のサイエンスである

と勘違いしておられたのである。DDSは身

体内における“薬の流通”を研究するとこ

ろであるという私の説明に、お二人は大笑

いして、雰囲気が一気に和らいだ。

お二人が話された火災研で進められてい

る“卒災”という事業内容は非常に興味深

いものであった。災害の経験や、そこから

学んだ教訓を生かし、単なる防災一本槍で

災害を防ごうというのではなく、自然のあ

り方に従って安全かつ安心した生活を送る

ために“災害とともに生きる方法”を構築

しようというのがその趣旨である。なぜ

“卒”なのかというと、卒業式( com-

mencement)は学校で習得した知識や技術

を社会において生かしていく始まりの行事、

終わりで、なおかつ始まりでもあるからだ

ということであった。つまり自然と人間と

の関わりを研究し、被災者の命と環境を守

る方法を研究したい。その例として、蚊に

刺されないためには、殺虫剤で蚊を退治す

るのではなく、蚊帳の中に入るならば、人

間も蚊も共に生きることができるというこ

とをあげられた。蚊は津波で殺虫剤は防潮

堤なのであろう。

お話を聞いて、これは薬学のあり方と共

通しているのではないかということに気が

ついた。“疾病は身体に起きた災害であ

る”と捉えたらどうであろうか。病原菌や

病巣部を排除することよりも、これらと共

存する方法を積極的に探ることは重要では

ないかと思うようになったのである。その

意味では“卒病”なのかもしれない。

3. 体内における薬の作用

身体には、免疫系など、いろいろな生体

防御系が存在している。病原体が体内に侵

入してくると防御系が働き、疾病には至ら

ない。もし病原体の力が勝っているならば、

疾病となる。そこで薬が登場し、病原体と

闘い、その力が勝つならば疾病は治癒され

災害と薬学

新潟薬科大学 学長 寺 田 弘

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る。しかし、薬は基本的に生体にとって異

物であるから、生体防御系の攻撃の対象に

なるので、副作用が発生する場合もあるし、

病原体も薬に対して攻撃を仕掛けてくるで

あろう。

安全で効果のある薬を探求する際には、

このような三者の相互関係を厳密に考慮す

る必要がある。理想的には、生体防御系と

病原体との共存のみで、健康維持を考える

のがいいのであろうが、実際には治療薬が

必要である。その場合、薬は疾病治癒に際

してあくまでもヘルパーなのであり、疾病

を治癒するのは我々自身なのであるという

“自立した”意気込みがキーポイントとな

る。健康を維持・増進するための“保健医

療科学”が重要である。

4. 薬の効かせ方

東日本大震災などにおいて医療関係者か

らよく言われるのは、薬剤師の役割はきわ

めて大きいということである。被災者が最

も頼りにするのは普段服用している薬だと

いう。薬は救援物資として山積みされてい

るが、それをどのように整理分類するのか、

また、日常服用している薬が見当たらない

場合には、どの薬が代替薬として適切なの

かなどは、比較的容易に解決できることで

あろう。困ったことに、被災者の多くは日

常どのような薬を服用しているかを知らな

い。このため、“お薬手帳”の充実が、そ

の後加速されたのは喜ばしいことである。

災害時での、このような混乱以外に深刻な

のは、避難所での生活から来る精神的・肉

体的な不調である。集団生活から来るスト

レスが、主な原因である。かつて、文革の

際に“下放”により農村地帯で肉体労働に

従事した中国の友人は、プライバシーがな

いことが最もつらかったと語っていた。そ

れに近い被災者の生活が、精神的・肉体的

な変調をもたらすのである。

被災者の健康状態を継続的に調べた最近

の結果によると、これまで効果のあった薬

が効かなくなったり、その逆の現象も起

こっているということである。どうやら、

薬の効果は服用者の精神状態によって変化

するようで、そのメカニズムと対処に関す

る研究は、薬学にとって重要な課題なので

はないだろうか。

患者が積極的に治療方針の決定に参加し

て治療を受ける“アドヒアランス”を十分

に行うためには患者の立場になって疾病を

理解する必要がある。ポジティーブに考え、

自立しようとする挑戦力を獲得することに

よって、薬の効果も大きくなるはずである。

5. おわりに

災害における医療のあり方は、遠隔診療

と密接な関係がある、過疎地や離島の医療

は、そのモデルでもあるが、やがては先進

医療として一般的になると思っている。そ

の場合、どのようにしたら薬学は医療に貢

献できるのであろうか。人工知能(AI)の

発達は近い将来、多くの職業に影響を与え

る。欧米の調査では、医師の業務の30%程

度がAIに取って替わられるが、薬剤師の場

合には10%以下とわずかであるという。地

域住民の健康サポートは複雑で多岐にわ

たっているからであろう。その意味では薬

剤師の職能とこれを支える薬学サイエンス

は未来性のある領域であると言えよう。

本稿では卒災の精神に学び、薬学のあり

方を考えて見た。この考えを実施・発展さ

せるために、私が所属する新潟薬科大学は

医学と薬学の協同による“医薬同源”に

よって健康を保持し増強する“保健医療科

学市民会議”を組織し、多数の医療、情報、

建築、行政関連機関の参加の下に事業を展

開中である。

Page 6: July 2017 - yakusho.org–¬奨ニュースNo.25.pdf · 役 員 等 の 名 簿 平成29年7月1日現在 名誉会長 野島 庄七 東京大学名誉教授 会長 北川 勲 大阪大学名誉教授

<山崎幹夫先生 プロフィール> 昭和29年千葉大学薬学部卒業、35年東京大学大学院薬学博士課程修了、薬学博士。国立放射線医学研総合究所主任研究官、千葉大学教授、薬学部長を経て平成16年新潟薬科大学学長。厚労省中央薬事審議会委員、日本薬学会ファルマシア編集、広報、創薬セミナー委員会等の委員長、日本医薬品情報学会会長等を歴任。『薬と日本人』、『毒薬の誕生』、『毒の話』等、薬と毒に関する著書が多い。

『無題』 F6号布キャンバス 油絵

70歳の手習いで油彩画を描き始めてすでに十数年になる。その間にどう進歩したか、していないかは自分にはわからない。が、自らが初めて描いた石膏像の絵には上手下手を超えた愛着がある。お気に入りの額に収めて机前の壁に掲げ、いまも眺めていて飽きない。というより、毎日額縁の中からこちらを見守っていてくれている気さえする。自身の愛着を人様に押し付ける勝手さについては自ら気付いてはいるけれども、ひたすらご容赦を願う他ない。 山崎幹夫

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薬学への期待

薬学は、人体の機能の調節などを介して疾病の治

癒や健康の増進をもたらす医薬品の創製、生産、適

正な使用を目標とする総合科学であり、革新的な医

薬品の創出を目指す創薬科学の発展と、それを医療

へとつなげる臨床薬学・医療薬学の実践が、薬物治

療の高度化にともなう社会的要請に応える学問とし

て大きな期待を集めています。しかし、薬学教育の

修業年限を6年とする、薬剤師養成を主目的とする

新しい薬学教育制度が始まり、大学院教育を含めた

薬学教育の再構築が大きな課題となっています。

旧来の薬学4年制教育の基では病院、保険薬局、

一般企業、公務員、大学院そして研究者と様々な進

路があり幅広い多様性が見られました。しかし、6

年制への変更になり、その目的に“質の高い薬剤師

養成”という大義名分があるため、必然的に薬剤師

養成コースとなり、新設の大学を含め多くの大学が

専門学校化していることは否定できません。また、

卒業研究、いわゆる卒論研究期間が薬剤師国家試験

対策のために削減されている大学も多く認められ、

修士に相当するような基礎研究力があるとは思えな

い状況が多々見受けられます。このような状況のた

め、大学によっては研究力の著しい低下が起きてお

り、今後の薬学にとって大きな影響を生じかねませ

ん。

6年制薬学教育に移行する前後から、多くの大学

が問題解決能力の養成を教育理念に掲げてきていま

す。では、本当の問題解決能力とはどのようなこと

で、その問題解決能力とはどのように養成すべきな

のでしょうか。問題解決を図るためにはその問題を

思考的に解析し、その本質を見抜く、すなわち問題

の構造化が重要です。6年制薬学教育の目的である

“質の高い薬剤師養成”を達成するためには、医療

実務実習を通じて、多彩な臨床知識を修得させるこ

とは重要な教育到達目標の一つである。しかし、実

務教育、特に保険薬局実習の均等化の名のもとに調

整機構による各大学の教育方針を無視して振り分け

られるため、大学の臨床教育理念を浸透させられな

いという現実もあります。このような状況下におい

て、問題を構造化する能力、いわゆる思考的問題解

決能力の養成こそが、それぞれの薬学部や薬系大学

の独自性を発揮するために重要です。思考的問題解

決能力の養成のためには薬学における研究水準の向

上が重要で、大学の本来の姿である研究教育大学と

しての役割、すなわち基礎研究を基盤とした人材育

成が必要不可欠です。しかし、現在の我が国の薬学

部、薬学系大学あるいは薬学系大学院における研究

水準は、医学部でのそれと比べて高くありません。

我が国における薬剤師の資格は医師のそれに比べて

社会的に低い価値評価を受けていますが、その原因

の一つに、研究水準の差が極めて深刻な問題となっ

ていると思われます。医師に比べて低く評価されて

いる薬剤師の社会的な評価を上げるために薬学教育

年限を6年制としたにも関わらず、その格差は、私

立大学薬学部、薬学系大学の専門学校化、国家試験

予備校化に伴いさらに広がりつつあります。高度な

専門技術と医療現場における指導力を備えた薬剤師

の養成を達成するためには薬学における研究水準の

向上が必要不可欠です。そのためには、若手研究者

を育成する助成制度、そしてテニアトラック制度の

充実などの薬学研究基盤の整備について薬学界全体

で抜本的な改善策を検討すべき時期が来ているので

はないでしょうか。一刻も早く、基礎研究を基盤と

した薬学6年制教育制度の再構築を望みます。

思考的問題解決能力の養成を可能とする

薬学教育の再構築を望む

星薬科大学薬物治療学教室 亀 井 淳 三

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24年前に当財団から頂いた平成5年度薬学研究奨

励財団研究助成金の研究課題は、「蛋白質による核

酸塩基識別における特異的相互作用と非特異的相互

作用の構造的基礎」であり、薬学色は一見薄い。し

かし、特異性は薬学の生命線であり、財団の趣旨と

自分の研究課題に齟齬を感じたことはなかった。

もともと、高校生時にはエンジニア(建築や機械

あるいはエレクトロニクス)にでもなろうかと思っ

ていたが、化学の授業の最後の方で医薬品の化学が

出てきて、アスピリンに出会ったのがいけなかった。

アスピリンの単純な化学構造と解熱鎮痛という薬理

作用とはどうしても結びつかない。それは異次元の

不思議さであり、このよく知られた薬理作用を分子

の言葉で説明してみたいと心底思い、かくして、薬

学の道を歩むことになってしまった。

私が大学に入学した当時には、残念ながら私の疑

問に答えてくれるような科学はそこにはなかった。

例えば様々なシグナルの「受容体」は概念として語

られるが、その本体が何なのかには言及されない時

代である。ましては、複雑な生命現象が舞台であろ

う薬効の標的の分子的実態など夢物語であった。そ

こで、一般的な核酸やタンパク質の構造を精密に調

べる領域をとりあえず学んでおいて、いずれは、薬

物-標的の相互作用等を解析する研究に移ろうと考

て、X線結晶構造解析を用いた研究を阪大薬学部の

物理化学講座(冨田研一教授)で始めた。この研究

領域は大きく発展して、1980年代には「構造生物

学」と呼ばれるようになった。同時に、分子細胞生

物学等の発展によって薬物標的探しも比較的容易に

なり、今や薬物標的の同定と構造解析は先端創薬の

定石となっている。

分子レベルの薬学の発展はゲノム創薬として花開

き、極めてやりがいのある研究として、多くの若者

を引きつけるのに一役買っているのだろう。そこで、

次世代の研究者には、新しい薬科学の創始の挑戦を

期待したい。例えば、地球上に存在する生理活性物

質も、人工合成できる化合物もその数は膨大な数で

はあるが、明らかに有限である。更に、その中で薬

物として利用できる化合物の数も有限(圧倒的に少

数)である。人類はその「少数」の化合物のかなり

の部分を既に知っている可能性もある。この知識を

統合・整理して、新しい創薬の方法論はできないも

のだろうか。膨大なデータの蓄積も処理も、既に技

術的限界点(singularity)ではない。ある薬理作用

をもつ薬物が、それとは無関係(と判断される)の

薬理作用をもつ例は意外にある。また、自然界でも

生理活性物質の「使い回し」もある。人類にとって

有益な化合物数は、実は数百か数千程度とすると、

創薬の方法論も変わらざるを得なくなるのではない

か。荒唐無稽のように感じられるかもしれないが、

人のタンパク質の遺伝子数が高々2万5千程度であ

ると人類が認識したのは、つい最近(2004年)のこ

とである。

私が高校1年次には、アスピリンのプロスタグラ

ンジン(PG)合成阻害活性が既に確認されていた

筈であるが、田舎高校生がそれを知る由もない。

1990年にはPG合成酵素が発見されており、そして、

現所属大学に教授として赴任した年の翌年(1995

年)には、この合成酵素とアスピリン誘導体との複

合体の結晶構造が明らかにされて、私が22年間夢見

た、アスピリンの化学構造とその薬効が結びついた。

しかし、鎮痛作用等のその他の薬効については未だ

解答がない。

新しい視点で、新しい薬の科学を

奈良先端科学技術大学院大学 理事・副学長

バイオサイエンス研究科 教授 箱 嶋 敏 雄

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ある日「財団の助成金を受領しておられるので

『薬奨ニュース』へ寄稿いただきたい」とのメール

が届いた。薬学研究奨励財団の助成をいただいたの

は23年も前のことであるが、若手研究者として頑

張っていることが認められたという思いで非常に嬉

しかった。

「いい研究をしたい」、「どんな研究テーマをやった

らいいか」。京大大学院修了後、名城大学薬学部に

勤めてずーっと頭から離れなかった課題である。教

授の研究テーマをやりながら、「いつか自分の研究

を」と思いつつもやるべき研究テーマが見つからず

悩ましい日々を送った。5年後に米国コロンビア大

学に留学する機会を得て、外から自分を見直すこと

ができたのは幸いであった。当時のコロンビア大学

化学科には中西香爾、Gilbert Stork、Ronald Breslow、

Clark Still、Nicholas Turro等、錚々たる教授陣がお

り、毎週開催される化学科セミナーには教授みんな

が出席して活発な討論が行われ、ティーパーティー

付きの休憩時間には先生方と自由に話すことができ

てとても刺激的であった。2年後に機器分析学研究

室に戻り、留学中に温めた鎖状1,3-ポリオールの合

成研究を開始した。数年後古川宏教授が主宰する薬

化学研究室に移籍することになった。古川宏教授は

ミカン科植物の成分研究の大家であったにもかかわ

らず「君の好きな研究をしていいよ」と言われ、合

成化学研究を続けることができた。助成金をいただ

いたのはちょうどこの頃である。そのお陰でその後

の研究テーマである「ポリ環状エーテル天然物の合

成研究」のスタートにも繋がり、2000年には独立し

て分子設計化学研究室を主宰することになった。

こうして研究者としての自分の来し方を振り返る

と、折に触れて恩師や年配の先生方が語ってくれた

経験談や自慢話、研究にまつわる回想談が、私の研

究生活をとても元気づけてくれた。先生方の人生の

歩みを振り返る話には、単に過去を振り返る回想に

とどまらず、研究者としての心の営みが付け加えら

れている。こうした回想談は心理学ではライフレ

ビューと呼ばれていて、その中には過去の経験や出

来事とそれに伴う感情の回想に加え、その後どう

なったのか、あるいはどう解決したのかなど、研究

者の思いや研究観が織り込まれているのでとても示

唆に富んでいる。「死なない程度に研究しなさい」、

「真似をしたらだめだ」、「研究にはセンスが大事

だ」、「このままでいいのかね」、「研究を楽しみなさ

い」など、これらはあまりにも当たり前の言葉なの

でついつい聞き過ごしそうになるが、先生方の豊富

な経験が昇華してこうした言葉になっていると思う

と、なかなか重みのあるアドバイスである。

「感情」のこもった「情報」に溢れたライフレ

ビューを聴くことにより、論文や講演からでは窺い

知れない研究経験の豊かな先生方の「自己実現」の

過程に触れることができ、まだ見ぬ世界や記憶の広

がりを体験することができるので、自分の研究を見

直すきっかけにもなる。それゆえ、年配の先生方に

は大いにライフレビューを語っていただきたいし、

そして、若い世代は積極的にライフレビューを聴い

てより豊かな研究生活を送って、明日の薬学を担っ

て欲しい。

ライフレビューを聴こう

名城大学薬学部 教授 森 裕 二

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薬学研究への道

私は昭和63年に熊本大学の薬学部を卒業し、大学

院へ進学、既に25年もの時間、薬学部の教員として

教育・研究にあたってきた。勿論、薬剤師の免許も

持っているし、薬剤師国家試験の対策にも重要な科

目の一つである薬理学の授業も担当している。しか

し、あるとき学生との雑談の中で「先生が尊敬する

薬剤師って誰ですか?」と聞かれて、答えに窮して

しまったことがある。勿論、私が存じ上げている大

学病院等の薬剤部長を始め多くの薬剤師の先生方は、

患者さん達のためにと働く本当に立派な方々で、尊

敬申し上げている。しかし、例えば歴史上の人物で

「織田信長を尊敬している。」と答えるのと同じよう

に、自分自身が生きていく上での手本とし、超える

ことなど到底できないまでも、少しでもその人物に

近づきたいと思える薬剤師は誰かと聞かれると、浮

かばないのである。

私はそのとき、とっさに薬学を学ぶものなら誰も

が知っているグレープフルーツのデビット・ベイ

リー博士の名を挙げたが、実際には彼もカナダの

Lawson Health Research Instituteで働く研究者である。

その後、ネットで「薬剤師、偉人」などのキーワー

ドで検索をかけてみると、ジョン・ペンバートン

(コカ・コーラ開発者)、チャールズ・ファイザー

(製薬会社ファイザー創業者)、アガサ・クリスティ

(推理作家)などがヒットし、全く薬剤師としての

業績で名をなした人が見当たらない。

医療現場における薬剤師の最も重要な仕事とは、

医薬品を使った医療行為の中で生じる様々な患者の

不利益を防ぐ、リスクマネージメントであろう。

従って、立派な薬剤師がきちんと仕事をすれば、患

者には何事も有害なことは生じず、治療が進むのだ

から、歴史に名を残すようなスーパー薬剤師が出て

来ないのはもっともなことで、薬剤師とは誰もがそ

の名を知るヒーローが生まれにくい職業なのかも知

れない。

しかし、ベイリー博士は、実際に患者の中で生じ

た薬物と食品の相互作用を科学的に証明し、それを

世に発表したという点では、確かに尊敬に値する存

在である。薬剤師として、一人一人の患者と向き合

い、適切な処方を提案したり、有害事象に対応でき

ることは確かに大切なことである。しかし、その一

方で、一人の患者で生じた事象から、その背景を科

学的に調べ、その根底にある原因を明確にすること

で、第二の有害事象を未然に防止する科学者として

の能力がやはり必要であろう。

薬学部が2006年に6年制となって、私たちが学ん

だ頃よりも実践的な教育内容が多く取り入れられ、

臨床の現場で即戦力となり得る薬剤師、また、リス

クマネージメントだけでなく処方設計ができ、それ

を提案する「薬物療法の担い手」として積極的に治

療に関わる次世代の薬剤師の養成が求められてきて

いる。しかし、向き合うべき一人の患者の向こうに

は、世界中に同様の問題を抱える多くの患者がいる

かも知れないことを考えると、薬剤師となることを

目指す若者が活発に研究活動を行い、基本的な研究

戦略や手法を身につけ、科学的に検証して世に発表

するというスキルを磨くことをやはり忘れてはなら

ないのであろう。

「尊敬する薬剤師」との問いに、頭の中では一瞬、

アレキサンダー・フレミング博士(細菌学者だが)

のような画期的な薬物の発見者も浮かんだが、ベイ

リー博士と答えたのは、まんざら悪い答えではな

かったと感じている。近い将来に、臨床の現場で活

躍する薬剤師の中から、一人の患者で生じた事象を

科学的に検証し、世の注目を集めるようなヒーロー

の出現を密かに期待している。

尊敬する薬剤師って誰ですか?

東京理科大学薬学部 教授 礒 濱 洋一郎

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私は、2006年に貴財団から支援をいただきました。

その一年前の2005年4月に京都大学から東京医科歯

科大学へ教授として赴任しました。それまで生まれ

てから40年間京都以外で暮らしたことがなく(留学

の1年余を除くと)、初めて“箱根の山”を越えま

した。生活自体も大変苦労しましたが、一番の問題

は研究資金でした。新任教授の着任にもいろいろな

ケースがあると思いますが、私の場合は大学から

空っぽの実験室が用意されただけでした。当時は大

学法人化直後であり、国立大学間の教員異動に伴う

機械等の移設の手続きも前例が無く、認められない

ものが沢山ありました。このような状況の中、貴財

団から授与して頂きました助成金は非常にありがた

く、貴重でした。

東京医科歯科大学生体材料工学研究所は、医・

歯・薬・理工の相互の連携に基づくバイオメディカ

ルサイエンスの複合領域の先端的研究およびその人

材養成を目標としています。私は京都大学大学院薬

学研究科時代から、“くすりを創る”ための基礎研

究および教育を行っています。“ペプチドから薬

へ”を合言葉にして、抗エイズ薬や抗がん薬等の宝

探しに努めています。最近、このペプチド性化合物

を初めとする中分子創薬が注目を集めています。

種々の疾患に対する医薬品は、以前より有機化学の

進歩に伴い低分子化合物が多数登場しています。近

年は、抗体医薬等の高分子のバイオ医薬品が精力的

に創製されるようになりました。低分子化合物は、

経口投与可能で免疫原性も低いが、特異性が低いこ

とや副作用が生じやすいこと等が問題になることも

あります。一方、高分子化合物は、投与法等の適応

性がよくないことや免疫性が生じること等の問題が

ありますが、特異性が高く、副作用が少ないという

特長もあります。すなわち、どちらも一長一短があ

ります。このような背景から、最近、これまで注目

しなかった分子量的に中間となる中分子の領域に重

要なドラッグライクなケミカルスペースがあること

が示唆されています。中分子化合物は低分子および

高分子の長所を保持し、短所を補う可能性がありま

す。多くのペプチド性化合物は中分子領域に位置す

るため、医薬品としての開発が期待されています。

ペプチドは生体内で様々な生理作用を持つ重要な生

体構成分子であり、ある特定の時空間では、その作

用が非常に強力であるという特徴を持っています。

このペプチドから創薬へ展開できれば、安全性が高

く、優れた薬効を持つ医薬品の開発が期待できます。

しかし、以前からペプチドの生物学的および化学的

不安定性や凝集性などのマイナス面の性質のため、

医薬品として開発することが困難であると考えられ

ていました。そこで、我々は、ペプチドが有する生

理活性や機能を保持したまま、その欠点を補うこと

ができるペプチドミメティックを活用した中分子創

薬を進めています。

年月が経ってもいつの時代もそうですが、高齢化

社会を迎えた現在および未来においては特に、治療

薬創製が最も重要な課題の一つであると思っていま

す。11年前の貴財団助成金のお陰もありまして、新

天地において新たなサイエンスを開拓しようという

意志のもと、研究室をスタートすることができまし

た。これからも、高い志を持ったたくさんの若者と

共に研究できる機会を楽しみにしており、いかにサ

イエンスというものがおもしく、素晴らしいかをと

もに分かち合っていこうと思っています。

最後になりましたが、本研究に対して助成を賜り

ました貴財団のご関係の方々ならびに寄附を寄せて

いただいた方々に深謝致します。

中分子創薬とは

東京医科歯科大学生体材料工学研究所

メディシナルケミストリー分野 教授 玉 村 啓 和

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私は平成17年度に「病院薬剤部における医薬品の

適正使用と個別化医療に関する基盤研究」のテーマ

で薬学奨励財団設立25周年記念特別研究助成を、平

成26年度に「第19回シトクロムP450国際会議(東

京)主催者として薬学奨励財団第35回海外研究者招

聘補助金を米国FDA研究者の招聘支援に頂きました。

これらは私が昭和薬科大学に赴任した2005年と、さ

らにその10年経過後の2015年と、共に自らの経歴の

節目にあたりました。自らの学生時代からの研究

テーマであるP450を主題とする国際会議の日本開

催支援を薬学奨励財団にいただいたことに改めて謝

意を表します。

さて日本で発見されたP450が1962年に国際誌に

発表されて本年で55年となります。私は幸いなこと

に、学生時代にP450が触媒する化学物質の代謝的

活性化を調べはじめ、35年間、代謝酵素P450に関

わる教育研究に携わることができております。前職

までは、私は薬物代謝領域に特化した関わりを持っ

ておりました。私立薬科大学にて、体内薬物動態を

網羅する吸収・分布・代謝・排泄という一連の薬物

動態学講義を担当し、ヒト由来の臨床検体を解析さ

せていたく機会も得て、自領域が担当研究室名称と

同様に薬物動態に拡大してきました。

P450は薬物代謝の初発過程で関わる重要な酸化

酵素であります。ヒトP450の異物代謝の働きに動

物との種差が顕著であることから、1980年代はヒト

P450酵素そのものが研究材料となりました。臨床

での薬の飲み合わせが問題となった1990年代には

P450酵素を競合する医薬品等の組合わせが圧倒的

であり、P450酵素を利用した相互作用の予測手法

は、現在に通じる研究領域であります。最近では、

P450の働きを理解し、予め酸化的代謝物とした医

薬品も開発されています。ヒトP450の役割とその

後の代謝物の解毒あるいは活性化を時間経過ととも

に生体内にて調べるため、ヒトの肝細胞を免疫不全

マウスに移植し、肝をヒト化した動物が近年活用さ

れております。ヒト型酵素誘導、酵素機能促進やヒ

ト型代謝物の生成など、よりダイナミックなヒト薬

物動態研究が、新技術に支えられて急速に展開され

ております。

薬物代謝は、医薬、農薬および一般化学物質の解

毒や毒性発現の初発段階である代謝的活性化の評価

に大いに関わります。いわば、ヒトでの薬物代謝は、

化学物質全般のリスク評価において欠かせない領域

であります。ヒトの体内に吸収された化学物質の分

布・代謝・排泄までの生体内曝露時間を考慮し、い

わば次世代のリスク管理が求められるようになって

きました。研究者の実験データに基づく判断に代わ

り、現代の人工知能が深層学習し、進化発展を続け

る予測システムが活用される時代がすぐ間近となっ

ています。幸いなことに、私は平成29年度経済産業

省プロジェクトに参画し、一般化学物質の毒性発現

前段階を吸収・分布・代謝・排泄に分け、ヒトでの

物質曝露にかわる薬物動態を体系的に記述する研究

に関わることとなりました。教育研究環境の急進展

と共に、私は、薬物代謝から薬物動態へ主たる教育

研究領域を発展させながら、走り続けております。

薬物代謝と薬物動態

昭和薬科大学 薬物動態学研究室 教授 山 崎 浩 史

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話 題

Santo Tomas大学薬学部は、植物を材料とした創

薬研究を行っていることで知られている。伝統医薬

品は、その利便性や経済性により人気が高まってお

り、薬学部においてはその有用性を検証す研究を実

施し、これまでにいくつかの報告を行っている。例

えば、(1) Carica papayaのフリーラジカル消去活性

や (2) Ficus pseudopalmaの薬理作用、(3) Allium cepa

のコレステロール低下作用、(4) デング熱に対する

Euphorbia hirtaの効果、(5) Sargassum siliquosumの抗

酸化作用や抗腫瘍活性、(6) 疥癬治療のためのロー

ション配合薬としてのTinospora cordifoliaの利用な

どである。

このように、Santo Tomas大学薬学部では創薬の

ための研究手法を数多く持っている一方で、新たな

方法論や技術を他の国から導入することも行ってい

る。科学工学の部門でのBalik Scientist Program

(BSP)では、海外で活躍しているフィリピン人研

究者を招聘し、自国の科学、農学、工業や経済の発

展に寄与するよう、彼らの経験を分かち合う試みも

行われている。そのような中、私も母校を訪問する

機会を得、教員と共同研究を行うに至った。現在、

アレルギー性皮膚炎の動物モデルを紹介し、その実

施方法などを教え、フィリピンに自生する薬用植物

の中から抗アレルギー作用や抗炎症作用をもつもの

を見出す手助けをしている。

伝統医薬学や相補・代替医学は、疾病の予防や治

療に広く用いられており、またWHO(世界保健機

構)においてもプライマリーケアに活用しようとす

る動きがある。フィリピンでも、こうした伝統医学

や伝統医薬品が存在し、都会よりも地方でより使用

されている。文献によれば、フィリピンの熱帯雨林

にはおよそ13,000種の薬用植物が存在するものの、

研究対象となっているものはわずかであり、種々の

疾患への応用はこれからの課題である。つまり、

種々の疾患の予防や治療に有益な植物資源が豊富に

存在するのではないかと考えられるのである。

アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー疾患は、

先進諸国において大きな健康問題であり、社会経済

的にも大きな影響を与えている。本疾患の発症機構

については、T細胞を中心とした免疫反応が中心で

あることが知られ、皮膚炎においては低分子化合物

であるdinitrofluorobenzene(DNFB)やoxazolone、

fluorescein isothiocyanate(FITC)や trinitrochloro-

benzene(TNCB)などのハプテンを用いた接触性皮

膚炎(contact hypersensitivity:CHS)モデルを用い

た実験が行われる。

そこで、私は、日本で得た知識や方法論を基に、以

下のような計画を立案し、実施してきた。

1.いくつかのフィリピン産薬用植物のTNCB誘発

マウス接触性皮膚炎モデルに対する作用を検討す

る研究者に対する補助

a.研究計画や研究グループの策定

b.文献調査

c.研究に用いる植物の選出、採集、同定

2.薬学部生に対する講義や実習

a.アレルギー性皮膚炎

b.アレルギー性皮膚炎に用いられる相補・代替

医療および当該医薬品

c.TNCBを用いたマウス接触性皮膚炎モデル

d.これまでの自身の研究成果

以上の共同研究プロジェクトは、Santo Tomas大

学薬学部の教員や学部生を対象に、2016年の8月5

日から9月24日までの7週間で実施した。その間に、

われわれは以下の植物を選出し、その抗アレルギー

作用や抗炎症作用を検討することにした。

Sargassum siliquosum J. G. Agardh 、 Kalanchoe

pinnata, 、 Glochidion lubrum 、 Tinospora cordifolia

Boerl,、Euphorbia hirtaとPlantago majorである。現

在、研究グループは研究費獲得のために申請を行っ

ているところである。

最後に、研究プロジェクトへの参加に際し、国際

学術交流補助金を賜りました薬学研究奨励財団に心

より感謝申し上げます。

Santo Tomas大学薬学部における

Visiting Researcher Programについて

名城大学薬学部 Reginald Bayani Salonga

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2016年12月3日から6日にアメリカ合衆国・サン

ディエゴにあるサンディエゴコンベンションセン

ターにて開催された第 58回American Society of

Hematology (ASH) Annual Meetingに参加し、ポス

ター発表を行った。ASH Annual Meetingは世界最大

規模の血液学会であり、毎年数万人の医師・研究者

が世界中から参加しており、本年度も盛会に行われ

た。

私のポスター発表はSession Name: 614. Acute

Lymphoblastic Leukemia: Therapy, excluding Trans-

plantation: Poster Iのセッションで行われ、「L-

Asparaginase-Induced Allergy in Mice: Effects of

Concomitant Drugs and Anti-IgE Antibody」の演題名

で発表を行った。L-アスパラギナーゼ(L-ASP)は、

小児急性リンパ性白血病(ALL)の標準治療におい

て必要不可欠な治療薬であるが、高頻度でアレル

ギー反応を生じる。そのため、ALL治療を完遂する

ためには、L-ASPアレルギーの克服が重要な課題で

ある。そこで私達はL-ASPアレルギーのモデル動物

を作製し、抗IgE抗体による抑制効果や、L-ASPア

レルギーに対する併用薬の影響について検討した。

その結果、L-ASPをマウスに投与することによりⅠ

型様の即時型アレルギー反応が誘発される事、この

反応は抗IgE抗体によって抑制可能であることが明

らかとなり、L-ASPアレルギーにIgEが関与するこ

とが示唆された。ポスター発表では参加者から多数

の質問を受け、多くのご指摘やアドバイスをいただ

いた。臨床医の方からは、臨床でL-ASPを用いた治

療を行う上での課題や実情等についてご教示いただ

いた。各国の研究者と質疑応答を行い、本研究の独

自性や研究の改善点、新たな研究の発展に向けた多

くの示唆を得ることが出来た。

ASH Annual Meetingでは、シンポジウムや一般講演

が早朝から夜まで連日開催されており、多数の演題

を聴講することができた。大規模臨床試験の最新の

報告が多い印象を受けたが、新規治療法や病態解析

に関する話題も多く発表されており、非常に興味深

く聴講した。発表内容はもとより、英語でのプレゼ

ンテーションの方法についても非常に勉強になった。

また教育講演も多数開催されており、基礎分野から

臨床分野まで、幅広い内容の知識を得ることができ

た。専門分野だけの勉強に陥りがちな自身の現状を

切に反省するとともに、今後より深くかつ広く勉強

すべき課題を見出すことができた。

12月4日早朝に開催されたASH Foundation Run /

Walkにも参加した。ASH Foundation Run / Walkは、

血液学研究や患者のための基金募金を目的とした

ASH Foundation主催のチャリティ活動であり、参加

者は寄付を行って参加する。私も他の参加者らとと

もに、サンディエゴコンベンションセンター近くの

波止場を歩いた。2016 ASH Foundation Run / Walk

イベントは登録者数が1300人に達し、104,500ドル

以上の寄付が集まり、2016年度はその登録料と寄付

金のすべてがASH Sickle Cell Disease Initiative(ASH

鎌状赤血球症イニシアチブ)基金に贈呈された。学

会の講演等が開始される前の早朝の時間帯を利用し

て行われたチャリティ活動に参加できたことは、と

ても有意義であった。

国際学会に参加して自身の研究を発表し、世界中

の研究者と意見交換を行うとともに、最新の知見に

触れることは非常に貴重な経験となった。今回の経

験を活かして、日々の研究活動により一層邁進する

所存である。

最後になりましたが、この度は第 58回ASH

Annual Meetingへの参加に対して、国際学術交流補

助を受け賜り厚く御礼申し上げます。

第58回ASH meetingに参加して

就実大学薬学部 助教 原(野上)愛

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第38回(平成29年度)研究助成金等受領者募集

平成29年度は以下の要領で研究助成及び国際学術交流補助の募集を行います。

1 研究助成及び補助の対象

(1) 研究助成

薬学及び関連諸分野の優れた基礎的並びに応用的研究に対し、次の各カテゴリーについて助成金を授

与します。

グループA: 1件100万円以内 10件以上(総額1,000万円以内)

化学系、物理系、生物系、医療系の各分野及びこれらの複合分野の基礎的研究

グループB: 1件80万円以内 8件以上(総額640万円以内)

調査・統計研究を含む以下の各分野の研究、すなわち、医療現場(薬剤部・薬局等)

における研究、伝統医薬に関連した研究、衛生化学・環境化学を指向した研究、医薬

品・医療分野における分析を対象とした研究、社会薬学・レギュラトリーサイエンス

研究及びこれらの複合分野の応用的研究

(2) 国際学術交流補助

薬学及び関連諸分野の国際学術交流を奨励するために、補助金を授与します。

研究者の海外派遣補助金:1件30万円以内 2件以内

平成30年度に海外で開催される薬学及び関連諸分野の国際会議(学会・シンポジウム・ワークショッ

プ等)へ参加する研究者に参加登録料・旅費・滞在費等を補助します。

2 応募方法: 所定の申請書に必要事項を記入のうえ,当財団事務局宛に郵送してください。

研究助成金への申請には、申請者が所属している組織の責任者(所属長、教授、部長等以上)の推薦

が必要です。所定欄に推薦者の自署・押印のある申請書で応募してください(推薦書は不要です)。

3 応募受付期間: 平成29年8月1日(火)~平成29年10月13日(金)〈必着〉

4 選考方法: 選考委員会で選考のうえ、理事会の承認により決定します。

5 決定通知: 平成30年1月中旬

6 研究助成金及び国際学術交流補助金の贈呈式: 平成30年3月

7 応募の際の注意事項

(1) 同一年度に研究助成の各カテゴリーへの応募は重複して行うことはできません。

(2) これまでに当財団から研究助成金を受領された方の研究助成への応募はご遠慮ください。

(3) 海外派遣補助申請者が、同じ会議への参加について他の機関から補助金を受領することが決定した

場合には辞退していただきます。

(4) これまでに当財団から海外派遣補助金を受領された方の海外派遣補助への応募はご遠慮ください。

8 申請書の請求: 申請書は当財団ホームページ(下記)よりダウンロードできます。

詳しくは当財団ホームページをご覧ください。

事務局連絡先 〒150-0002 渋谷区渋谷2-12-15 日本薬学会長井記念館2F

公益財団法人 薬学研究奨励財団

TEL 03-3407-4047【水曜日を除く平日10:00~16:00】

FAX 03-3407-4162

E-mail:yakusho@joy.ocn.ne.jp

URL:http://yakusho.org/

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第37回(平成28年度)薬学研究奨励財団研究助成金(グループA・B)及び

国際学術交流補助金(海外派遣)受領者

Ⅰ 研究助成金

1 グループA(1件100万円、10件、総額1,000万円)

「Epstein-Barr-Virus感染癌細胞におけるmicroRNAを介した癌転移機構の解明」

(慶應義塾大学・薬学部・助教)秋好 健志

「肝障害時における分子標的薬イマチニブの消化管吸収変動メカニズムの解明」

(金沢大学・医薬保健研究域薬学系・助教)荒川 大

「コバルトヒドリドを活性種とするオレフィンのヒドロ官能基化反応における網羅的不斉化検討」

(武蔵野大学・薬学部・講師)重久 浩樹

「脳梗塞急性期におけるコンドロイチン硫酸損傷機構の解明」

(千葉大学大学院・薬学系研究院・助教)東 恭平

「不均一系ロジウム触媒を用いた酸素酸化反応による環境調和型分子変換法の開発」

(徳島文理大学・薬学部・講師)松本 健司

「網膜における神経-グリア-血管連関を創薬ターゲットとした緑内障治療薬開発の新機軸」

(北里大学・薬学部・助教)森 麻美

「生理活性天然物合成を指向した戦略的金触媒利用による複素環化合物の合成」

(昭和薬科大学・准教授)森田 延嘉

「T型カルシウムチャネルを標的とした統合失調症認知機能障害改善薬の基礎研究」

(東北大学大学院・薬学系研究科・助教)矢吹 悌

「B型肝炎ウィルスの感染能獲得機構の解明」

(慶應義塾大学・薬学部・助教)横川真梨子

「バイオ医薬品の非侵襲性投与を可能とする次世代型吸収促進剤の開発」

(大阪大学大学院・薬学系研究科・助教)渡利 彰浩

(応募件数 144件)

2 グループB(1件50~80万円、9件、総額640万円)

「抗リウマチ薬による二次発がんリスクの検討-有害事象自発報告データベースを用いて-」

(大阪市立大学医学部附属病院・薬剤部・薬剤師)豕瀬 諒

「トロンボモジュリン‐αの抗炎症作用とその個体差要因の解明:敗血症性DIC治療への応用」

(三重大学医学部附属病院・薬剤師)榎屋 友幸

「定量TLCを用いた生薬シンイの経時的変化を示す成分の解明」

(東京理科大学・薬学部・嘱託助教)大嶋 直浩

「妊婦の向精神薬使用と児の奇形との関連の解明」

(東北大学病院・薬剤部・准教授)小原 拓

「難吸収性医薬品の経口製剤開発を支援する膜透過性ペプチドキャリアの応用性予測システムの構築」

(神戸学院大学・薬学部・助教)亀井 敬泰

「腎がん治療薬パゾパニブの薬物動態およびファーマコゲノミクス解析に基づく

個別化薬物療法の確立」 (滋賀医科大学医学部附属病院・薬剤師)野田 哲史

「PK/PD/PGx 解析によるトルバプタンの最適投与法の構築」

(静岡県立大学・薬学部・助教)平井 啓太

「薬局と大学が連携した認知症早期発見に向けた新たな取り組みに関する検討」

(兵庫医療大学・薬学部・助教)村上 雅裕

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「ボリコナゾールの主代謝物Nオキシド体の曝露による皮膚障害リスク上昇に着目した

至適投与法の確立」 (浜松医科大学医学部附属病院・薬剤部・薬剤主任)山田 尚広

(応募件数 47件)

Ⅱ 国際学術交流補助金

1 研究者の海外派遣補助金(1件30万円、2件、総額60万円)

「第6回FIP世界薬学会議2017」 2017.5.21~24 スウェーデン ストックホルム

(明治薬科大学・助教)井上 元基

「第6回FIP世界薬学会議2017」 2017.5.21~24 スウェーデン ストックホルム

(東京薬科大学・薬学部・講師)金沢 貴憲

(応募件数 2件)

以上

第37回研究助成金等 贈呈式

平成29年3月24日 仙台

(写真提供 薬事日報社)

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平成28年度賛助者芳名 平成29年3月31日現在 (敬称略)

企 業 等(50音順)

旭化成ファーマ㈱

アステラス製薬㈱

アスビオファーマ㈱

天藤製薬㈱

㈱医薬ジャーナル社

エーザイ㈱

小野薬品工業㈱

科研製薬㈱

キッセイ薬品工業㈱

杏林製薬㈱

協和発酵キリン㈱

京都薬品工業㈱

サノフィ㈱

三栄源エフ・エフ・アイ㈱

㈱三和化学研究所

塩野義製薬㈱

㈱じほう

㈱スズケン

千寿製薬㈱

全薬工業㈱中央研究所

第一三共㈱

大正製薬㈱

大日本住友製薬㈱

高砂香料工業㈱

武田薬品工業㈱

田辺三菱製薬㈱

中外製薬㈱

帝國製薬㈱

帝人ファーマ㈱

東邦薬品㈱

鳥居薬品㈱

㈱南江堂

日医工㈱

日産化学工業㈱

日本化薬㈱

日本全薬工業㈱

日本電子㈱

日本メジフィジックス㈱

ノバルティスファーマ㈱

バクスアルタ(株)

㈱ヒサヤ大黒堂

㈱廣川書店

扶桑薬品工業㈱

マルホ㈱

Meiji Seika ファルマ㈱

㈱薬事日報社

㈱ヤクルト本社

学 会 等

(公社)日本薬学会 日本薬科機器協会 (公社)日本薬剤師会 (一社)日本病院薬剤師会

大 学(北から)

北海道医療大学

岩手医科大学

東北医科薬科大学

奥羽大学

高崎健康福祉大学薬学部

城西大学薬学部

日本薬科大学

東邦大学薬学部

日本大学薬学部

東京理科大学

千葉科学大学薬学部

城西国際大学薬学部

帝京平成大学

東京大学薬学部

北里大学薬学部

慶應義塾大学薬学部

昭和大学薬学部

星薬科大学

東京薬科大学

明治薬科大学

武蔵野大学薬学部

昭和薬科大学

帝京大学薬学部

横浜薬科大学

新潟薬科大学

名城大学薬学部

金城学院大学

愛知学院大学薬学部

鈴鹿医療科学大学

立命館大学薬学部

京都薬科大学

同志社女子大学薬学部

大阪医科薬科大学

近畿大学薬学部

摂南大学

神戸学院大学

神戸薬科大学

兵庫医療大学薬学部

武庫川女子大学

就実大学薬学部

安田女子大学薬学部

福山大学薬学部

徳島文理大学

松山大学薬学部

第一薬科大学

福岡大学

長崎国際大学

崇城大学

九州保健福祉大学

Page 19: July 2017 - yakusho.org–¬奨ニュースNo.25.pdf · 役 員 等 の 名 簿 平成29年7月1日現在 名誉会長 野島 庄七 東京大学名誉教授 会長 北川 勲 大阪大学名誉教授

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個 人(50音順)

相見 則郎

赤井 周司

赤池 昭紀

池上 四郎

池川 信夫

池谷 裕二

石井伊都子

石井啓太郎

石原 雄二

市川 和孝

伊藤 敬一

伊藤 文昭

海老塚 豊

遠藤 玉夫

太田 茂

大和田智彦

奥 直人

笠原 忠

加藤 将夫

上西 潤一

北 泰行

北川 勲

北田 光一

木村 栄一

久保 陽徳

後藤佐多良

小林 利彦

小林 慶行

斉藤 和季

佐々木茂貴

佐藤 公道

篠田 純男

柴崎 正勝

嶋田 一夫

杉原多公通

杉山 雄一

関谷 剛男

高柳 輝夫

辻 勉

寺尾 允男

寺田 弘

藤 秀人

富岡 清

内藤 猛章

中山 仁

長友 孝文

南原 利夫

西島 正弘

野村 靖幸

橋田 充

早川 和一

林 正弘

半田 哲郎

平井 功一

平塚 真弘

福田 英臣

藤尾 慈

藤多 哲朗

藤野 裕道

益子 高

増保 安彦

宮田 直樹

向 智里

村上 泰興

村瀬 清志

森本 明

八木 清仁

山縣ゆり子

山田 清文

山田 静雄

山元 弘

横山 祐作

吉松賢太郎

渡辺 和夫

オレゴン会

* * *

[編集後記]

先ずはじめに、ご多忙にもかかわらず、執筆依頼に応じてご寄稿下さいました皆様に厚く御礼

申し上げます。

日本で6年制薬学部がスタートしてから早くも10年が経過し、それに対する評価がいろいろと

行われています。本号の「巻頭言」で、寺尾理事長はハーボニー偽薬事件に関連して薬剤師の社

会的責任を説いておられます。また、「特別寄稿」で、新潟薬科大学の寺田学長は東日本大震災

から学んだ“災害(疾病)とともに生きる方法”というユニークな発想のもと、疾病治癒のヘル

パーである薬をうまく役立てる薬剤師の役割を示唆しておられます。さらに、「薬学研究への

道」で、東京理科大・薬の礒濱教授は“臨床現場で活躍する薬剤師の中から、一人の患者で生じ

た事象を科学的に検証し、その根底にある原因を解明するヒーローの出現を期待する”と記され

ました。しかしそのようなヒーローの出現には、「薬学への期待」で星薬科大の亀井教授が提言

されたように“思考的問題解決能力の養成を可能にする基礎研究を基盤とした薬学6年制教育の

再構築”が必要なのかもしれません。そしてそのような薬学研究を鼓舞し、サポートするのが本

財団の役割なのだ、と薬奨ニュース本号の原稿を拝見しながら愚考した次第です。

以上には触れませんでしたが、本財団からの研究助成・国際学術交流補助金を受けられた方々

の貴重なお考えや体験談で本号は飾られています。

社会的にも有益な活動を続けている本財団に一層のご支援をお願いする次第です。

(2017年5月、佐藤公道記)

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(公財)薬学研究奨励財団

〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-12-15

日本薬学会長井記念館2F

TEL 03-3407-4047 FAX 03-3407-4162 発 行 人 寺 尾 允 男

E-mail [email protected] 編集責任 佐 藤 公 道

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