Top Banner
海上保安庁海洋情報部
40

海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

Aug 01, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海上保安庁海洋情報部

海海をを拓拓くく

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・TEL 03-3595-3601・・・・・・・・・3595-3602

・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3603・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3604・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3605

・・・3595-3610

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3606・・・・・・・・・・3595-3607

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3609・・・・・・・・・・5500-7129

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3611

・・・・・・・・・・・・・3595-3614・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3615

・・・・・・・・・・3595-3613・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3616

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3612

東京国際クルーズ

ターミナル

2020.3

海上保安庁海洋情報部Hydrographic and Oceanographic Department ,Japan Coast Guard〒100-8932 東京都千代田区霞が関3-1-1  中央合同庁舎第4号館

企 画 課 海洋調査運用室

技術・国際課 海洋研究室 国際業務室 海洋情報技術調整室

沿岸調査課 海洋防災調査室

大洋調査課 海洋汚染調査室

情報管理課

情報利用推進課 水路通報室 海洋空間情報室 図誌審査室 日本海洋データセンター

第一管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第二管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第三管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第四管区海上保安本部   海洋情報部 海の相談室

第五管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第六管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第七管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第八管区海上保安本部    海洋情報部 海の相談室

第九管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第十管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第十一管区海上保安本部海洋情報監理課 海の相談室

〒047-8560北海道小樽市港町5-2

〒985-8507宮城県塩釜市貞山通3-4-1

〒231-8818神奈川県横浜市中区北仲通5-57

〒455-8528愛知県名古屋市港区入船2-3-12

〒650-8551兵庫県神戸市中央区波止場町1-1

〒734-8560広島県広島市南区宇品海岸3-10-17

〒801-8507福岡県北九州市門司区西海岸1-3-10

〒624-8686京都府舞鶴市字下福井901

〒950-8543新潟県新潟市中央区美咲町1-2-1

〒890-8510鹿児島県鹿児島市東郡元町4-1

〒900-8547沖縄県那覇市港町2-11-1

■海洋情報全般についての お問い合わせは 海洋情報資料館・海の相談室 TEL 03-5500-7155

海洋情報資料館・海の相談室海上保安庁 海洋情報部 青海合同庁舎

ゆりかもめ「テレコムセンター」駅下車、徒歩5分

■海上保安庁海洋情報部ホームページ URL: https://www1.kaiho.mlit.go.jp/

0134-27-0118㈹内線2511

022-363-0111㈹内線2511

045-211-1118㈹内線2511

052-661-1611㈹内線2511

078-391-6551㈹078-391-1299直通

082-251-5111㈹内線2520

093-321-2931㈹093-331-0033直通

0773-76-4100㈹0773-75-7373直通

025-285-0118㈹025-288-2620直通

099-250-9800㈹内線2511

098-867-0118㈹ 内線2511

東京メトロ 千代田線・丸ノ内線・日比谷線「霞ケ関」駅下車、徒歩5分

海上保安庁海洋情報部中央合同庁舎第4号館

■詳しいお問い合わせは 水路通報・航行警報について TEL 03-3595-3647 海図の複製使用について       3595-3620 職員の募集について         3595-3603

■各管区海洋情報部・海の相談室

Page 2: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

1

170°E160°E150°E140°E130°E120°E

50°N

40°N

30°N

20°N

択捉島

硫黄島

小笠原諸島

太平洋

日本海

竹島

南鳥島

沖ノ鳥島

与那国島

尖閣諸島

東シナ海

約43万km2領海

(内水を含む)

領海+排他的経済水域 約447万km2

〈領土面積の約12倍〉

約18万km2延長大陸棚※1

※2

※3

約405万km2排他的経済水域

約38万km2領土

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

・・・・・・・・・・・・・・・・19

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

・・6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

※1 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条第2号が規定する海域※2 国連大陸棚限界委員会からの勧告により、大陸棚の延長が認められ、関係国との調整を行っている海域※3 大陸棚の延長について、国連大陸棚限界委員会の審査が先送りされた海域   なお、本図は外国等との境界が未画定の海域における地理的中間線を含め便宜上図示したものである。

※1 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条第2号が規定する海域※2 国連大陸棚限界委員会からの勧告により、大陸棚の延長が認められ、関係国との調整を行っている海域※3 大陸棚の延長について、国連大陸棚限界委員会の審査が先送りされた海域   なお、本図は外国等との境界が未画定の海域における地理的中間線を含め便宜上図示したものである。

海の情報は未来を拓く!海の情報は未来を拓く! 海上保安庁海洋情報部は、日本の経済を支える海上交通に不可欠な海図などの航海用刊行物を、約150年にわたって提供してきました。  近年では海に関する多様なニーズに応え、海を利用するために必要な情報を提供しています。 平成19年(2007年)7月に、海洋施策を総合的かつ計画的に推進していくことを目的とした海洋基本法が施行され、平成30年(2018年)5月には、同法に基づく第三期海洋基本計画も策定され、より一層の海洋施策の推進が図られています。 我が国を取り巻く領海と排他的経済水域の面積は約447万平方キロメートルと広大であり、我が国周辺の海の恩恵を最大限に享受するためには、海を識るための調査を行い、科学的なデータを整備し、それを基に的確な海洋政策を推進していく必要があります。 今後も、最新の海洋調査技術を駆使した計画的で効率的な海洋調査を推進し、海洋に関する知識の充実に貢献するとともに、取得された海洋情報を適切に管理し、情報提供を充実させ、新たな海洋立国の実現に貢献してまいります。 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。

沿 革海洋情報部150年のあゆみ

コラムcolumn

明治新政府海洋調査事業を開始兵部省海軍部に水路局(国の海洋調査機関)を現在の東京都中央区築地に設置海図第一号「釜石港」刊行国際水路局(現 国際水路機関)発足、日本加盟関東大震災に伴う相模湾測量音響測深開始海流観測開始運輸省外局として、水路部設置海上保安庁創設により海上保安庁水路局となる海上保安庁水路部に改編明神礁調査で「第五海洋丸」遭難海洋資料センター(現 日本海洋データセンター)設置大陸棚調査開始(2008年終了)測量船「拓洋」世界最深部(チャレンジャー海淵)を調査し、確定(10,924m)電子海図第一号「東京湾至足摺岬」刊行海域火山調査開始海底地殻変動観測開始海上保安庁水路部から海上保安庁海洋情報部に改編環境保全調査(海の再生)開始領海・EEZ調査開始青海新庁舎へ移転中央合同庁舎4号館へ移転(一部施設を残し)

明治 4年(1871)

      5年(1872)大正10年(1921)  12年(1923)  14年(1925)昭和13年(1938)  20年(1945)  23年(1948)  24年(1949)  27年(1952)  40年(1965)  58年(1983)  59年(1984)

平成 7年(1995)  10年(1998)  12年(2000)  14年(2002)  15年(2003)  20年(2008)  23年(2011)  28年(2016)

精密低潮線調査大陸棚延長に向けた取組海底下において新たな「ゆっくりすべり」を検出「海徳海山」にカルデラ、中央火口丘及び溶岩流を発見大規模な地盤変動にも迅速に対応海図のもう一つの役割新たな電子海図への対応海氷情報センター50年

目 次contents

組織本庁及び管区本部等配置図測量船

トピックス

海洋調査

海洋情報の利用推進

国際活動

インフォメーション

職員募集

海上保安体制強化に関する方針の決定海の今を知る「海しる」

海洋権益確保のために航海安全のために防災・海洋環境保全のために

海洋情報の管理・提供航海安全を支える情報

Page 3: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

1

170°E160°E150°E140°E130°E120°E

50°N

40°N

30°N

20°N

択捉島

硫黄島

小笠原諸島

太平洋

日本海

竹島

南鳥島

沖ノ鳥島

与那国島

尖閣諸島

東シナ海

約43万km2領海

(内水を含む)

領海+排他的経済水域 約447万km2

〈領土面積の約12倍〉

約18万km2延長大陸棚※1

※2

※3

約405万km2排他的経済水域

約38万km2領土

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

・・・・・・・・・・・・・・・・19

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

・・6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

※1 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条第2号が規定する海域※2 国連大陸棚限界委員会からの勧告により、大陸棚の延長が認められ、関係国との調整を行っている海域※3 大陸棚の延長について、国連大陸棚限界委員会の審査が先送りされた海域   なお、本図は外国等との境界が未画定の海域における地理的中間線を含め便宜上図示したものである。

※1 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条第2号が規定する海域※2 国連大陸棚限界委員会からの勧告により、大陸棚の延長が認められ、関係国との調整を行っている海域※3 大陸棚の延長について、国連大陸棚限界委員会の審査が先送りされた海域   なお、本図は外国等との境界が未画定の海域における地理的中間線を含め便宜上図示したものである。

海の情報は未来を拓く!海の情報は未来を拓く! 海上保安庁海洋情報部は、日本の経済を支える海上交通に不可欠な海図などの航海用刊行物を、約150年にわたって提供してきました。  近年では海に関する多様なニーズに応え、海を利用するために必要な情報を提供しています。 平成19年(2007年)7月に、海洋施策を総合的かつ計画的に推進していくことを目的とした海洋基本法が施行され、平成30年(2018年)5月には、同法に基づく第三期海洋基本計画も策定され、より一層の海洋施策の推進が図られています。 我が国を取り巻く領海と排他的経済水域の面積は約447万平方キロメートルと広大であり、我が国周辺の海の恩恵を最大限に享受するためには、海を識るための調査を行い、科学的なデータを整備し、それを基に的確な海洋政策を推進していく必要があります。 今後も、最新の海洋調査技術を駆使した計画的で効率的な海洋調査を推進し、海洋に関する知識の充実に貢献するとともに、取得された海洋情報を適切に管理し、情報提供を充実させ、新たな海洋立国の実現に貢献してまいります。 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。

沿 革海洋情報部150年のあゆみ

コラムcolumn

明治新政府海洋調査事業を開始兵部省海軍部に水路局(国の海洋調査機関)を現在の東京都中央区築地に設置海図第一号「釜石港」刊行国際水路局(現 国際水路機関)発足、日本加盟関東大震災に伴う相模湾測量音響測深開始海流観測開始運輸省外局として、水路部設置海上保安庁創設により海上保安庁水路局となる海上保安庁水路部に改編明神礁調査で「第五海洋丸」遭難海洋資料センター(現 日本海洋データセンター)設置大陸棚調査開始(2008年終了)測量船「拓洋」世界最深部(チャレンジャー海淵)を調査し、確定(10,924m)電子海図第一号「東京湾至足摺岬」刊行海域火山調査開始海底地殻変動観測開始海上保安庁水路部から海上保安庁海洋情報部に改編環境保全調査(海の再生)開始領海・EEZ調査開始青海新庁舎へ移転中央合同庁舎4号館へ移転(一部施設を残し)

明治 4年(1871)

      5年(1872)大正10年(1921)  12年(1923)  14年(1925)昭和13年(1938)  20年(1945)  23年(1948)  24年(1949)  27年(1952)  40年(1965)  58年(1983)  59年(1984)

平成 7年(1995)  10年(1998)  12年(2000)  14年(2002)  15年(2003)  20年(2008)  23年(2011)  28年(2016)

精密低潮線調査大陸棚延長に向けた取組海底下において新たな「ゆっくりすべり」を検出「海徳海山」にカルデラ、中央火口丘及び溶岩流を発見大規模な地盤変動にも迅速に対応海図のもう一つの役割新たな電子海図への対応海氷情報センター50年

目 次contents

組織本庁及び管区本部等配置図測量船

トピックス

海洋調査

海洋情報の利用推進

国際活動

インフォメーション

職員募集

海上保安体制強化に関する方針の決定海の今を知る「海しる」

海洋権益確保のために航海安全のために防災・海洋環境保全のために

海洋情報の管理・提供航海安全を支える情報

Page 4: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

2 3

海上保安庁海洋情報部

管区海上保安部本部海洋情報部

下里水路観測所

北九州

舞鶴名古屋

塩釜

東京

横浜

新潟

下里

広島 神戸

小樽

那覇

鹿児島

第一管区

第二管区

第三管区

第四管区

第六管区

第七管区

第八管区

第九管区

第十管区

第十一管区

第五管区

(海上保安庁)(Japan Coast Guard)

Organization

長  官Commandant

次  長ViceCommandant

海上保安監ViceCommandant forOperations

首席監察官 Administrative Inspector General

総 務 部 Administration Department

装備技術部 Equipment and Technology Department

警備救難部 Guard and Rescue Department

海洋情報部 Hydrographic and Oceanographic Department

交 通 部 Maritime Traffic Department

海上保安大学校(呉) Coast Guard Academy (at Kure)

海上保安学校(舞鶴) Coast Guard School (at Maizuru)

門司分校(北九州) Moji Branch (at Kita-Kyusyu)

宮城分校(岩沼)  Miyagi Branch (at Iwanuma)

管区海上保安本部(第一~第十一管区) Regional Coast GuardHeadquarter (1st to 11th)

(海洋情報部関係)(Hydrographic and Oceanographic Department)

本庁海洋情報部Hydrographic andOceanographic Department(Main Office)

管区海上保安本部Regional CoastGuard Headquarters

企 画 課

海 洋 情 報 調 整 官

海 洋 調 査 運 用 室

技術・国際課

海 洋 研 究 室

国 際 業 務 室

沿岸調査課

海 洋 防 災 調 査 室

大洋調査課

情報管理課

海洋情報分析調整官

大陸棚情報管理官

情報利用推進課

水 路 通 報 室

海 洋 空 間 情 報 室

地 震 調 査 官

火 山 調 査 官

海洋情報技術調整室

海洋情報部

監 理 課

海洋調査課

海洋情報企画調整官

下里水路観測所

Administration and Planning Division海洋情報部所掌事務の総合調整及び重要事項の企画立案

海洋情報業務に関する重要事項についての関係行政機関等との連絡調整

測量船やAOV等の運航・管理、運用調整

技術的重要事項の企画立案

海洋情報業務に関する調査及び研究

海洋情報業務に関する国際協力及び国際機関との連絡調整

重要事項に関する国際機関等との連絡調整

重要事項のうち地震に関する企画立案

重要事項のうち火山現象に関する企画立案

海洋情報業務に係る新技術の導入に係る企画立案

沿岸部の水路測量・海象観測

地震・火山現象及び津波による船舶に対する被害の防止に資する水路測量

沖合部の水路測量・海象観測

海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のための科学的調査

海洋情報の収集・管理

海洋情報の品質管理に関する企画立案

海洋情報の分析に関する企画立案及び調整

大陸棚に関する情報の収集・整理

海図の刊行をはじめとする海洋情報の提供

水路通報及び航行警報の発出

GISを用いた海洋情報の提供

水路図誌の最新維持、管理

  海洋情報部の総合調整、船舶交通安全通報

  水路測量、海洋環境調査、海象観測

Director for Coordination of Hydrography and Oceanography

Survey Operation Office

Technology Planning and International Affairs Division

Ocean Research Laboratory

International Affairs Office

Director for Earthquake Research

海 洋 情 報 渉 外 官Senior Liaison Offer for Hydrography and Oceanography

Director for Volcano Research

Process Control and Improvement Office

Coastal Survey Division

Geodesy and Geophysics Office

Offshore Survey Division

海 洋 汚 染 調 査 室Marine Pollution Research Laboratory

Marine Data Management Division

Director for Marine Spatial-intelligence

海 洋 情 報 管 理 官Director for Quality Management of Marine Data

Director for Continental Shelf Information Management

Chart and Marine Information Division, (Japan Oceanographic Data Center)

Notices to Mariners Office

Marine Spatial Information Service Office図 誌 審 査 室

Chart Quality Assurance Office

Hydrographic andOceanographicDepartment[第十一管区を除く(except 11th)]

Administration Division[第十一管区は海洋情報監理課(Hydrographic and Oceanographic Administration Division at 11th)]

Hydrographic and Oceanographic Division[第十一管区は海洋情報調査課(Hydrographic and Oceanographic Division at 11th)]

Director for Planning and Coordination of Hydrography and Oceanography[第十一管区(at 11th)]

人工衛星レーザー測距観測

Hydrographic Observatory[第五管区(at 5th)]

本庁及び管区本部等配置図

海上保安庁海洋情報部 中央合同庁舎第4号館

組織

Page 5: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

2 3

海上保安庁海洋情報部

管区海上保安部本部海洋情報部

下里水路観測所

北九州

舞鶴名古屋

塩釜

東京

横浜

新潟

下里

広島 神戸

小樽

那覇

鹿児島

第一管区

第二管区

第三管区

第四管区

第六管区

第七管区

第八管区

第九管区

第十管区

第十一管区

第五管区

(海上保安庁)(Japan Coast Guard)

Organization

長  官Commandant

次  長ViceCommandant

海上保安監ViceCommandant forOperations

首席監察官 Administrative Inspector General

総 務 部 Administration Department

装備技術部 Equipment and Technology Department

警備救難部 Guard and Rescue Department

海洋情報部 Hydrographic and Oceanographic Department

交 通 部 Maritime Traffic Department

海上保安大学校(呉) Coast Guard Academy (at Kure)

海上保安学校(舞鶴) Coast Guard School (at Maizuru)

門司分校(北九州) Moji Branch (at Kita-Kyusyu)

宮城分校(岩沼)  Miyagi Branch (at Iwanuma)

管区海上保安本部(第一~第十一管区) Regional Coast GuardHeadquarter (1st to 11th)

(海洋情報部関係)(Hydrographic and Oceanographic Department)

本庁海洋情報部Hydrographic andOceanographic Department(Main Office)

管区海上保安本部Regional CoastGuard Headquarters

企 画 課

海 洋 情 報 調 整 官

海 洋 調 査 運 用 室

技術・国際課

海 洋 研 究 室

国 際 業 務 室

沿岸調査課

海 洋 防 災 調 査 室

大洋調査課

情報管理課

海洋情報分析調整官

大陸棚情報管理官

情報利用推進課

水 路 通 報 室

海 洋 空 間 情 報 室

地 震 調 査 官

火 山 調 査 官

海洋情報技術調整室

海洋情報部

監 理 課

海洋調査課

海洋情報企画調整官

下里水路観測所

Administration and Planning Division海洋情報部所掌事務の総合調整及び重要事項の企画立案

海洋情報業務に関する重要事項についての関係行政機関等との連絡調整

測量船やAOV等の運航・管理、運用調整

技術的重要事項の企画立案

海洋情報業務に関する調査及び研究

海洋情報業務に関する国際協力及び国際機関との連絡調整

重要事項に関する国際機関等との連絡調整

重要事項のうち地震に関する企画立案

重要事項のうち火山現象に関する企画立案

海洋情報業務に係る新技術の導入に係る企画立案

沿岸部の水路測量・海象観測

地震・火山現象及び津波による船舶に対する被害の防止に資する水路測量

沖合部の水路測量・海象観測

海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のための科学的調査

海洋情報の収集・管理

海洋情報の品質管理に関する企画立案

海洋情報の分析に関する企画立案及び調整

大陸棚に関する情報の収集・整理

海図の刊行をはじめとする海洋情報の提供

水路通報及び航行警報の発出

GISを用いた海洋情報の提供

水路図誌の最新維持、管理

  海洋情報部の総合調整、船舶交通安全通報

  水路測量、海洋環境調査、海象観測

Director for Coordination of Hydrography and Oceanography

Survey Operation Office

Technology Planning and International Affairs Division

Ocean Research Laboratory

International Affairs Office

Director for Earthquake Research

海 洋 情 報 渉 外 官Senior Liaison Offer for Hydrography and Oceanography

Director for Volcano Research

Process Control and Improvement Office

Coastal Survey Division

Geodesy and Geophysics Office

Offshore Survey Division

海 洋 汚 染 調 査 室Marine Pollution Research Laboratory

Marine Data Management Division

Director for Marine Spatial-intelligence

海 洋 情 報 管 理 官Director for Quality Management of Marine Data

Director for Continental Shelf Information Management

Chart and Marine Information Division, (Japan Oceanographic Data Center)

Notices to Mariners Office

Marine Spatial Information Service Office図 誌 審 査 室

Chart Quality Assurance Office

Hydrographic andOceanographicDepartment[第十一管区を除く(except 11th)]

Administration Division[第十一管区は海洋情報監理課(Hydrographic and Oceanographic Administration Division at 11th)]

Hydrographic and Oceanographic Division[第十一管区は海洋情報調査課(Hydrographic and Oceanographic Division at 11th)]

Director for Planning and Coordination of Hydrography and Oceanography[第十一管区(at 11th)]

人工衛星レーザー測距観測

Hydrographic Observatory[第五管区(at 5th)]

本庁及び管区本部等配置図

海上保安庁海洋情報部 中央合同庁舎第4号館

組織

Page 6: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

測量船■本庁所属測量船

測量船■管区所属測量船

4 5

昭洋しょうよう

特徴:底質等の採取や、地殻構造の調査をすることができる。

平洋へいよう 令和2年(2020年)1月就役

総トン数:4,000トン全  長:103m特  徴:自律型潜水調査機器(AUV)を搭載しており、

詳細な海底地形を調査することができる。

新 造 船新 造 船

はましお第三管区海上保安本部(横浜)

はやしお平成11年(1999年)     3月就役総トン数:27トン全長:21.0m

第七管区海上保安本部(北九州)

いそしお平成5年(1993年)     3月就役総トン数:27トン全長:21.0m

第十管区海上保安本部(鹿児島)

おきしお平成11年(1999年)     3月就役総トン数:27トン全長:21.0m

第十一管区海上保安本部(那覇)

うずしお平成7年(1995年)     12月就役総トン数:27トン全  長:21.0m

第五管区海上保安本部(神戸)

くるしま平成15年(2003年)     3月就役総トン数:27トン全  長:21.0m

第六管区海上保安本部(広島)

いせしお平成11年(1999年)     3月就役総トン数: 27トン全  長:21.0m

第四管区海上保安本部(名古屋)

平成30年(2018年)3月就役総トン数:62トン全  長:27.8m

平成10年(1998年)3月就役総トン数:3,000トン全  長:98.0m 拓洋

たくよう

特徴:AUVを搭載しており、詳細な海底地形を調査することができる。

昭和58年(1983年)8月就役総トン数:2,400トン全  長:96.0m

明洋めいよう

特徴:主に海底の動きを測定する海底地殻変動観測に従事している。

平成2年(1990年)10月就役総トン数:550トン全  長:60.0m 天洋

てんよう

特徴:主に沿岸の海底地形の調査に従事している。

昭和60年(1985年)11月就役総トン数:430トン全  長:56.0m 海洋

かいよう

特徴:主に海底地形調査や、海底地殻変動観測に従事している。

平成5年(1993年)10月就役総トン数:550トン全  長:60.0m

光洋こう よう

特徴:底質等の採取や、地殻構造の調査に従事する予定。

令和2年度(2020年度)就役予定総トン数:約4,000トン全  長:約100m

Page 7: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

測量船■本庁所属測量船

測量船■管区所属測量船

4 5

昭洋しょうよう

特徴:底質等の採取や、地殻構造の調査をすることができる。

平洋へいよう 令和2年(2020年)1月就役

総トン数:4,000トン全  長:103m特  徴:自律型潜水調査機器(AUV)を搭載しており、

詳細な海底地形を調査することができる。

新 造 船新 造 船

はましお第三管区海上保安本部(横浜)

はやしお平成11年(1999年)     3月就役総トン数:27トン全長:21.0m

第七管区海上保安本部(北九州)

いそしお平成5年(1993年)     3月就役総トン数:27トン全長:21.0m

第十管区海上保安本部(鹿児島)

おきしお平成11年(1999年)     3月就役総トン数:27トン全長:21.0m

第十一管区海上保安本部(那覇)

うずしお平成7年(1995年)     12月就役総トン数:27トン全  長:21.0m

第五管区海上保安本部(神戸)

くるしま平成15年(2003年)     3月就役総トン数:27トン全  長:21.0m

第六管区海上保安本部(広島)

いせしお平成11年(1999年)     3月就役総トン数: 27トン全  長:21.0m

第四管区海上保安本部(名古屋)

平成30年(2018年)3月就役総トン数:62トン全  長:27.8m

平成10年(1998年)3月就役総トン数:3,000トン全  長:98.0m 拓洋

たくよう

特徴:AUVを搭載しており、詳細な海底地形を調査することができる。

昭和58年(1983年)8月就役総トン数:2,400トン全  長:96.0m

明洋めいよう

特徴:主に海底の動きを測定する海底地殻変動観測に従事している。

平成2年(1990年)10月就役総トン数:550トン全  長:60.0m 天洋

てんよう

特徴:主に沿岸の海底地形の調査に従事している。

昭和60年(1985年)11月就役総トン数:430トン全  長:56.0m 海洋

かいよう

特徴:主に海底地形調査や、海底地殻変動観測に従事している。

平成5年(1993年)10月就役総トン数:550トン全  長:60.0m

光洋こう よう

特徴:底質等の採取や、地殻構造の調査に従事する予定。

令和2年度(2020年度)就役予定総トン数:約4,000トン全  長:約100m

Page 8: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

6 7

トピックストピックス トピックストピックス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2隻

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2隻・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20基

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1機令和2年度就役

AOV※

 海洋調査体制の強化の一環として、令和2年(2020年)1月29日、海上保安庁最大となる測量船「平洋」が就役しました。海上保安庁において、大型測量船の就役は約20年ぶりです。 「平洋」は、マルチビーム測深機に加え、「自律型潜水調査機器(AUV)」や「自律型高機能観測装置(ASV)」といった最新の調査機器を搭載しています。また、推進装置に「アジマススラスター」を採用しており、360度、どの方向にでも推進力を向けることが可能となることで船位の定点保持能力が増し、精密かつ効率的な海洋調査の実施が可能となります。

 「平洋」は、日本海や東シナ海等において、我が国の海洋権益の確保に必要な海底地形や地質に関する調査等に従事します。

測量船「平洋」就役

 昨今の我が国周辺海域を取り巻く情勢は、尖閣諸島周辺海域における中国公船の領海侵入や、外国海洋調査船による事前に我が国の同意を得ない調査活動のほか、我が国とは異なる一方的な境界画定を主張する国があるなど、大変厳しい状況にあります。これらの状況に適切に対応していくため、平成28年(2016年)12月に開催された「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」において「海上保安体制強化に関する方針」が決定されました。  具体的には、海洋調査体制の強化を含む5つの柱による海上保安体制の強化を進めていくこととされています。

 令和元年(2019年)12月には4回目となる「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」が開催され、海上保安庁の体制強化を引き続き進めていくことが確認されました。

海洋調査体制の強化海上保安体制強化に関する方針の決定

海上保安体制の強化の5つの柱(1)尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備(2)広大な我が国周辺海域を監視できる海洋監視体制の強化(3)テロ対処や離島・遠方海域における領海警備等の重要事案への対応体制の強化(4)我が国の海洋権益を堅守するための海洋調査体制の強化(5)以上の体制を支える人材育成など基盤整備

 他国による大陸棚延長申請や中間線を越えた海洋境界の主張に対し、我が国の立場を適切な形で主張していくためにも、外交当局等の国内関係機関との協力・連携を進めつつ、必要な海洋調査等を計画的に実施する必要がある。そのため、他国による海洋調査の動向や必要な調査対象海域の範囲等も踏まえ、必要な海洋調査体制を強化する。

主な整備内容

主要任務

船名由来

主要装備

特 徴

令和元年度就役「平洋」

令和2年度就役「光洋」

令和元年12月海上保安体制強化に関する関係閣僚会議

■大型測量船の整備

■既存大型測量船(昭洋・拓洋)の高機能化■自律型海洋観測装置(AOV)の整備■中型飛行機(測量機)

海洋調査を通じて、平和な海、平穏な海を目指していくという思いを込めて命名

日本海、東シナ海等における、海底の地形及び地質に関する情報の取得

長   さ:103m総トン数:4,000トン

①定点保持能力

②防振・防音性能

③低速航行能力

アジマススラスターの採用

電気推進の採用

一定の位置に留まる能力が増すことにより、精密かつ効率的な海洋調査の実施が可能観測データに影響を与える船体の振動や雑音を防止することにより、精密かつ正確な観測データの取得が可能電気推進の採用により、海洋調査で必要な長時間低速度での航行が可能

●アジマススラスター舵とスクリューが一体となっており、360度任意の方向に推進力を向けることが可能な推進装置

●ASV(自律型高機能観測装置)あらかじめプログラミングされたルートを無人で自動航行し、海底地形データ等を取得

水温塩分計 : 海中に投下し、塩分、水温を観測する装置遠隔操作水中機器(ROV) : 船上から遠隔操作し、海底の撮影を行う調査機器自律型潜水調査機器(AUV):あらかじめプログラミングされたルートを無人で自動潜航し、精密な海底地形を調査する(P.11参照)マルチビーム測深機:海底に向けて音波を出し、面的・広範囲に地形を調査する装置(P.10参照)

AUVAUV

※自律型海洋観測装置(AOV):燃料を必要とせず、無人で長期間の海洋観測を行う調査機器(P.12コラム参照)

Page 9: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

6 7

トピックストピックス トピックストピックス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2隻

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2隻・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20基

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1機令和2年度就役

AOV※

 海洋調査体制の強化の一環として、令和2年(2020年)1月29日、海上保安庁最大となる測量船「平洋」が就役しました。海上保安庁において、大型測量船の就役は約20年ぶりです。 「平洋」は、マルチビーム測深機に加え、「自律型潜水調査機器(AUV)」や「自律型高機能観測装置(ASV)」といった最新の調査機器を搭載しています。また、推進装置に「アジマススラスター」を採用しており、360度、どの方向にでも推進力を向けることが可能となることで船位の定点保持能力が増し、精密かつ効率的な海洋調査の実施が可能となります。

 「平洋」は、日本海や東シナ海等において、我が国の海洋権益の確保に必要な海底地形や地質に関する調査等に従事します。

測量船「平洋」就役

 昨今の我が国周辺海域を取り巻く情勢は、尖閣諸島周辺海域における中国公船の領海侵入や、外国海洋調査船による事前に我が国の同意を得ない調査活動のほか、我が国とは異なる一方的な境界画定を主張する国があるなど、大変厳しい状況にあります。これらの状況に適切に対応していくため、平成28年(2016年)12月に開催された「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」において「海上保安体制強化に関する方針」が決定されました。  具体的には、海洋調査体制の強化を含む5つの柱による海上保安体制の強化を進めていくこととされています。

 令和元年(2019年)12月には4回目となる「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」が開催され、海上保安庁の体制強化を引き続き進めていくことが確認されました。

海洋調査体制の強化海上保安体制強化に関する方針の決定

海上保安体制の強化の5つの柱(1)尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備(2)広大な我が国周辺海域を監視できる海洋監視体制の強化(3)テロ対処や離島・遠方海域における領海警備等の重要事案への対応体制の強化(4)我が国の海洋権益を堅守するための海洋調査体制の強化(5)以上の体制を支える人材育成など基盤整備

 他国による大陸棚延長申請や中間線を越えた海洋境界の主張に対し、我が国の立場を適切な形で主張していくためにも、外交当局等の国内関係機関との協力・連携を進めつつ、必要な海洋調査等を計画的に実施する必要がある。そのため、他国による海洋調査の動向や必要な調査対象海域の範囲等も踏まえ、必要な海洋調査体制を強化する。

主な整備内容

主要任務

船名由来

主要装備

特 徴

令和元年度就役「平洋」

令和2年度就役「光洋」

令和元年12月海上保安体制強化に関する関係閣僚会議

■大型測量船の整備

■既存大型測量船(昭洋・拓洋)の高機能化■自律型海洋観測装置(AOV)の整備■中型飛行機(測量機)

海洋調査を通じて、平和な海、平穏な海を目指していくという思いを込めて命名

日本海、東シナ海等における、海底の地形及び地質に関する情報の取得

長   さ:103m総トン数:4,000トン

①定点保持能力

②防振・防音性能

③低速航行能力

アジマススラスターの採用

電気推進の採用

一定の位置に留まる能力が増すことにより、精密かつ効率的な海洋調査の実施が可能観測データに影響を与える船体の振動や雑音を防止することにより、精密かつ正確な観測データの取得が可能電気推進の採用により、海洋調査で必要な長時間低速度での航行が可能

●アジマススラスター舵とスクリューが一体となっており、360度任意の方向に推進力を向けることが可能な推進装置

●ASV(自律型高機能観測装置)あらかじめプログラミングされたルートを無人で自動航行し、海底地形データ等を取得

水温塩分計 : 海中に投下し、塩分、水温を観測する装置遠隔操作水中機器(ROV) : 船上から遠隔操作し、海底の撮影を行う調査機器自律型潜水調査機器(AUV):あらかじめプログラミングされたルートを無人で自動潜航し、精密な海底地形を調査する(P.11参照)マルチビーム測深機:海底に向けて音波を出し、面的・広範囲に地形を調査する装置(P.10参照)

AUVAUV

※自律型海洋観測装置(AOV):燃料を必要とせず、無人で長期間の海洋観測を行う調査機器(P.12コラム参照)

Page 10: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

8 9

トピックストピックストピックストピックス

 「海洋状況表示システム」(海しる)は、“海の今を知るために” さまざまな海洋情報を集約し、地図上で重ね合わせ表示できる情報サービスです。 政府及び政府関係機関が収集・提供している海洋情報を一元的に利用いただくことができます。日本の周辺海域のみならず、衛星情報を含む広域の情報を掲載するとともに、気象・海象のようなリアルタイムの情報も掲載しています。船舶の運航管理や漁業、防災、海洋開発といった利用シーンを想定していますが、用途はそれだけに限りません。皆さんの自由な発想で、さまざまな海洋情報を組み合わせた自分だけの地図を作ってみましょう。

海域名称 島名、海底地形名

地形・地質 底質、海底地質図、等深線

地理境界 直線基線、領海外縁線

海象 水温、海流、潮流、潮汐、 波、塩分、 海氷(日本周辺・北極域)

気象 天気図、風、雲(気象衛星画像)、船舶気象通報、

 高解像度ナウキャスト、 気象・海象観測情報、 熱帯低気圧、落雷

安全 海上分布予報、航行警報、水路通報(小改正を除く)、

 地方海上警報、地方海上予報、気象特別警報・警報・注意報、大津波警報・津波警報・津波注意報、米軍演習区域

海事 港則法適用港、港湾、漁港、灯、海交法航路、港則法航路、海上保安部署等、沈船、

 海底障害物、指定錨地、 検疫錨地、水路測量特級区域、船舶通航量(月別)

防災 排出油等防除計画資料、 津波シミュレーション、 海底地殻変動情報、 海域火山DB、強震動情報、海岸線種類(環境脆弱性指標)、 ESIマップエリア、 海岸アクセス道、 津波防災情報図図郭

インフラ・エネルギー 海底ケーブル、 洋上風力ゾーニング基礎情報、海洋エネルギー・ポテンシャルの把握に係る業務報告書画像、海底輸送管、海上構造物、取水施設(取水口)、

 火力発電所、 洋上風力発電(実施・計画)

海洋生物・生態系 生物多様性の観点から重要度の高い海域、ラムサール条約登録湿地、ウミガメ産卵地、海獣類生息地、哺乳類生息地、鳥類生息地、マングローブ、湿地、藻場、干潟、珊瑚礁、閉鎖性海域、生物等の脆弱性評価

水産 漁業権区域、保護水面

海域利用 海水浴場、潮干狩り場、 マリーナ

海域保全 史跡、名勝、天然記念物、 国定公園、国立公園、 海域公園、自然環境保全地域、 鳥獣保護区(国指定)、 投棄区域、海岸保全区域、 低潮線保全区域、海ゴミ

航空写真等 航空写真、港湾写真、 海岸写真

経緯度・グリッド 経緯度線、経緯度メッシュ、 標準地域メッシュ、 東京湾グリッド、 UTMグリッド

背景図 地理院地図、白地図(日本周 辺)、公共地図(日本周辺)、 海底地形図

「海しる」とは掲載情報

❶アニメーション表示 ❷計測・作図 ❸テーマ別マップ ❹マップ埋め込み

https://www.msil.go.jp/

掲載情報は200項目以上!

情報を選択し、地図上に重ね合わせ

「海しる」では、現在の情報だけでなく、未来と過去の情報も見ることができます。タイムスライダーを操作して、重ね合わせたリアルタイム情報を時間移動させたり、アニメーション表示させることができます。

地図上で距離や面積を計測したり、図形やテキストを入力することができます。作成した図形はファイルに保存することもできます。また、大圏航路(測地線)に沿った作図・距離計測にも対応しています。

マリンレジャー、漁業等の利用シーンに合わせて、必要な情報がすぐに見られるよう、ワンクリックで利用できるテーマ別マップを用意しています。

海しるで作った地図を自分のWebサイトに地図を埋め込むことができます。「共有」メニューの「マップ埋め込み用タグ」に表示されるHTMLタグをコピーしてご利用ください。

使いたいシーンをクリック!再生ボタンを

クリック!

海上風(予測値)

海氷情報

海流

地理院地図

海しる(海洋状況表示システム)海の今を知る「海しる」

Page 11: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

8 9

トピックストピックストピックストピックス

 「海洋状況表示システム」(海しる)は、“海の今を知るために” さまざまな海洋情報を集約し、地図上で重ね合わせ表示できる情報サービスです。 政府及び政府関係機関が収集・提供している海洋情報を一元的に利用いただくことができます。日本の周辺海域のみならず、衛星情報を含む広域の情報を掲載するとともに、気象・海象のようなリアルタイムの情報も掲載しています。船舶の運航管理や漁業、防災、海洋開発といった利用シーンを想定していますが、用途はそれだけに限りません。皆さんの自由な発想で、さまざまな海洋情報を組み合わせた自分だけの地図を作ってみましょう。

海域名称 島名、海底地形名

地形・地質 底質、海底地質図、等深線

地理境界 直線基線、領海外縁線

海象 水温、海流、潮流、潮汐、 波、塩分、 海氷(日本周辺・北極域)

気象 天気図、風、雲(気象衛星画像)、船舶気象通報、

 高解像度ナウキャスト、 気象・海象観測情報、 熱帯低気圧、落雷

安全 海上分布予報、航行警報、水路通報(小改正を除く)、

 地方海上警報、地方海上予報、気象特別警報・警報・注意報、大津波警報・津波警報・津波注意報、米軍演習区域

海事 港則法適用港、港湾、漁港、灯、海交法航路、港則法航路、海上保安部署等、沈船、

 海底障害物、指定錨地、 検疫錨地、水路測量特級区域、船舶通航量(月別)

防災 排出油等防除計画資料、 津波シミュレーション、 海底地殻変動情報、 海域火山DB、強震動情報、海岸線種類(環境脆弱性指標)、 ESIマップエリア、 海岸アクセス道、 津波防災情報図図郭

インフラ・エネルギー 海底ケーブル、 洋上風力ゾーニング基礎情報、海洋エネルギー・ポテンシャルの把握に係る業務報告書画像、海底輸送管、海上構造物、取水施設(取水口)、

 火力発電所、 洋上風力発電(実施・計画)

海洋生物・生態系 生物多様性の観点から重要度の高い海域、ラムサール条約登録湿地、ウミガメ産卵地、海獣類生息地、哺乳類生息地、鳥類生息地、マングローブ、湿地、藻場、干潟、珊瑚礁、閉鎖性海域、生物等の脆弱性評価

水産 漁業権区域、保護水面

海域利用 海水浴場、潮干狩り場、 マリーナ

海域保全 史跡、名勝、天然記念物、 国定公園、国立公園、 海域公園、自然環境保全地域、 鳥獣保護区(国指定)、 投棄区域、海岸保全区域、 低潮線保全区域、海ゴミ

航空写真等 航空写真、港湾写真、 海岸写真

経緯度・グリッド 経緯度線、経緯度メッシュ、 標準地域メッシュ、 東京湾グリッド、 UTMグリッド

背景図 地理院地図、白地図(日本周 辺)、公共地図(日本周辺)、 海底地形図

「海しる」とは掲載情報

❶アニメーション表示 ❷計測・作図 ❸テーマ別マップ ❹マップ埋め込み

https://www.msil.go.jp/

掲載情報は200項目以上!

情報を選択し、地図上に重ね合わせ

「海しる」では、現在の情報だけでなく、未来と過去の情報も見ることができます。タイムスライダーを操作して、重ね合わせたリアルタイム情報を時間移動させたり、アニメーション表示させることができます。

地図上で距離や面積を計測したり、図形やテキストを入力することができます。作成した図形はファイルに保存することもできます。また、大圏航路(測地線)に沿った作図・距離計測にも対応しています。

マリンレジャー、漁業等の利用シーンに合わせて、必要な情報がすぐに見られるよう、ワンクリックで利用できるテーマ別マップを用意しています。

海しるで作った地図を自分のWebサイトに地図を埋め込むことができます。「共有」メニューの「マップ埋め込み用タグ」に表示されるHTMLタグをコピーしてご利用ください。

使いたいシーンをクリック!再生ボタンを

クリック!

海上風(予測値)

海氷情報

海流

地理院地図

海しる(海洋状況表示システム)海の今を知る「海しる」

Page 12: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査

10 11

 四方を海に囲まれた我が国にとって、領海や排他的経済水域(EEZ)等の海洋権益を確保することは極めて重要であり、その基礎となる海洋情報の整備は不可欠です。海上保安庁は日本周辺海域において、測量船に搭載されたマルチビーム測深機や自律型潜水調査機器(AUV)等による海底地形、地殻構造、底質調査等を重点的に推進するとともに、航空機に搭載した航空レーザー測深機等により、領海やEEZの外縁の根拠となる低潮線等の調査を実施しています。

測量船による海底地形調査

地殻構造調査

 船底にあるマルチビーム測深機により、海底の地形を把握する調査です。高指向性音波ビームを発振して海底で反射した音波を受信し、解析することによって広範囲の海底地形を一度に調査することができます。

 人工的に発生させた地震波を用いて海底下を探査する調査です。地層の厚さや断層の分布など、海底下の地殻の構造について知ることができます。

高指向性音波ビーム

広い範囲の地形を一度に把握

マルチビーム測深

地殻構造調査のイメージ

マルチビーム測深により取得した海底地形 海底地形調査時の船内の様子

海底地震計

エアガン

海洋権益確保のための海洋調査

     エアガン : 海中で圧縮空気を炸裂し、強力な音波(地震波)を発生させる装置ストリーマケーブル : 船尾から曳航し、ケーブル内の水中マイクロフォンで海底から戻ってきた音

波(地震波)を受信する装置    海底地震計 : 海底に設置し、海底下から戻ってきた微弱な音波(地震波)を受信する装置

海洋権益確保のための海洋調査海洋権益確保のための海洋調査海洋調査

 海底近傍まで潜航し、プログラムされた経路を自律航行する自律型潜水調査機器(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)により、精密な海底地形データ等を取得する調査です。海底近傍までAUVを潜航させることで測量船による海底地形調査よりも精密に海底地形を調査することができます。

 サンプリングコアラーやロックサンプラー等の採泥器を投下することによって、底質(海底を構成する物質)を採取する調査です。採取した試料を分析することで底質の特徴を知ることができます。

底質調査のイメージ

AUV(Autonomous Underwater Vehicle)

底質調査

自律型潜水調査機器(AUV)を用いた精密海底地形調査

サンプリングコアラー:筒を刺し、底質等を採取する採泥器  ロックサンプラー:表面の底質等を採取する採泥器

Page 13: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海 洋調査

10 11

 四方を海に囲まれた我が国にとって、領海や排他的経済水域(EEZ)等の海洋権益を確保することは極めて重要であり、その基礎となる海洋情報の整備は不可欠です。海上保安庁は日本周辺海域において、測量船に搭載されたマルチビーム測深機や自律型潜水調査機器(AUV)等による海底地形、地殻構造、底質調査等を重点的に推進するとともに、航空機に搭載した航空レーザー測深機等により、領海やEEZの外縁の根拠となる低潮線等の調査を実施しています。

測量船による海底地形調査

地殻構造調査

 船底にあるマルチビーム測深機により、海底の地形を把握する調査です。高指向性音波ビームを発振して海底で反射した音波を受信し、解析することによって広範囲の海底地形を一度に調査することができます。

 人工的に発生させた地震波を用いて海底下を探査する調査です。地層の厚さや断層の分布など、海底下の地殻の構造について知ることができます。

高指向性音波ビーム

広い範囲の地形を一度に把握

マルチビーム測深

地殻構造調査のイメージ

マルチビーム測深により取得した海底地形 海底地形調査時の船内の様子

海底地震計

エアガン

海洋権益確保のための海洋調査

     エアガン : 海中で圧縮空気を炸裂し、強力な音波(地震波)を発生させる装置ストリーマケーブル : 船尾から曳航し、ケーブル内の水中マイクロフォンで海底から戻ってきた音

波(地震波)を受信する装置    海底地震計 : 海底に設置し、海底下から戻ってきた微弱な音波(地震波)を受信する装置

海洋権益確保のための海洋調査海洋権益確保のための海洋調査海洋調査

 海底近傍まで潜航し、プログラムされた経路を自律航行する自律型潜水調査機器(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)により、精密な海底地形データ等を取得する調査です。海底近傍までAUVを潜航させることで測量船による海底地形調査よりも精密に海底地形を調査することができます。

 サンプリングコアラーやロックサンプラー等の採泥器を投下することによって、底質(海底を構成する物質)を採取する調査です。採取した試料を分析することで底質の特徴を知ることができます。

底質調査のイメージ

AUV(Autonomous Underwater Vehicle)

底質調査

自律型潜水調査機器(AUV)を用いた精密海底地形調査

サンプリングコアラー:筒を刺し、底質等を採取する採泥器  ロックサンプラー:表面の底質等を採取する採泥器

Page 14: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査

12 13

レーザー測深による浅瀬の発見 AOVによる最低水面の決定

領海・EEZの根拠となる低潮線の位置を高精度に決定

領海・EEZが拡大する可能性

測量用の航空機によるレーザー測深 AOVによる潮位観測

AOV(自律型海洋観測装置)

GPS衛星

従来の低潮線

新発見の浅瀬

低潮高地

新しい最低水面

従来の最低水面

航空レーザー測深機水深が浅い海域を広範囲にわたり効率的に測深可能

波の力を動力源として、洋上における様々なデータが長期間、無人で観測可能

新しい低潮線

コラムコラム

コラムコラム

 国連海洋法条約では、沿岸国は200海里までの海底等を主権的権利の及ぶ範囲である大陸棚とするとともに、地形・地質が一定条件を満たす場合は200海里を超えて大陸棚を設定することができるとされています。海上保安庁は昭和58年(1983年)から大陸棚調査を行い、平成20年(2008年)6月までに調査を終了しました。 これらの調査結果に基づき我が国は、平成20年(2008年)11月に国連の大陸棚限界委員会に申請し、平成24年(2012年)4月に我が国の国土面積の約8割にあたる約31万k㎡の大陸棚延長を認める勧告を受領しました。これを受け平成26年(2014年)10月、2海域(約18万k㎡)について日本の大陸棚とする政令が施行されました。また、他の2海域については隣接国との調整を行っており、審査が先送りされた1海域についても早期に審査が進められるように働きかけを行っています。 海上保安庁は関係省庁と連携し、我が国の大陸棚延長への取組に貢献しています。

政令を制定した海域関係国との調整が必要な海域審査が先送りされた海域

延長が認められた海域(約31万k㎡)}

 航空機に搭載した航空レーザー測深機からレーザー光を発射し、その往復時間を計測することによって、海底地形を面的に連続測定する調査です。測量船で調査することができない水深が浅い海域において、安全に効率良く海底地形等を調査することができます。

航空レーザー測量のイメージ 航空レーザー測量時の機内の様子

航空レーザー測深機による海底地形調査

 国連海洋法条約によると、領海やEEZ等の外縁の根拠について「通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする」とされています。低潮線とは、海面が最も低いときの陸地と水面の境界線のことであり、この低潮線の位置を精密な調査によって決定することで、領海やEEZ等の範囲が明確になります。我が国の海図の作製・刊行を行っている海上保安庁では、低潮線の位置をより精密に調査するために、航空機やAOV※1による調査を実施しています。

 まず、航空レーザー測深機により、水深が浅い海域や岩礁地帯の海底地形を詳細に調査します。次にAOVにより、洋上で長期間にわたり潮の干満を観測し、最も低くなる水面「最低水面」を決定します。これら二つの結果を組み合わせることで、従来よりも高精度に低潮線の位置が決定でき、新たな低潮高地※2の発見など、領海やEEZ等の拡大につながることが期待されます。 海上保安庁では引き続き、最先端の技術を用いた精密低潮線調査を実施していきます。

精密低潮線調査精密低潮線調査

大陸棚延長に向けた取組大陸棚延長に向けた取組

精密低潮線調査精密低潮線調査の必要性

●国連海洋法条約第5条(通常の基線) 『通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする。』(抄)

●精密低潮線調査による低潮高地※

 等の発見 ➡領海・EEZが拡大 ➡他国による海洋境界等の主張に  対し、我が国の立場を適切な形  で主張

航空機に搭載した航空レーザー測深機からレーザー光を発射し、その往復時間を計測することによって、海底地形を面的に連続測定する

※1 Autonomous Ocean Vehicle:波の上下動を動力源として活動する無人観測機器。観測や通信には太陽電池を使用するため、洋上において無補給で長期の海象や気象の観測を行うことができます。

※2 低潮高地:低潮高地とは、自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没するもの。

Page 15: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調 査

12 13

レーザー測深による浅瀬の発見 AOVによる最低水面の決定

領海・EEZの根拠となる低潮線の位置を高精度に決定

領海・EEZが拡大する可能性

測量用の航空機によるレーザー測深 AOVによる潮位観測

AOV(自律型海洋観測装置)

GPS衛星

従来の低潮線

新発見の浅瀬

低潮高地

新しい最低水面

従来の最低水面

航空レーザー測深機水深が浅い海域を広範囲にわたり効率的に測深可能

波の力を動力源として、洋上における様々なデータが長期間、無人で観測可能

新しい低潮線

コラムコラム

コラムコラム

 国連海洋法条約では、沿岸国は200海里までの海底等を主権的権利の及ぶ範囲である大陸棚とするとともに、地形・地質が一定条件を満たす場合は200海里を超えて大陸棚を設定することができるとされています。海上保安庁は昭和58年(1983年)から大陸棚調査を行い、平成20年(2008年)6月までに調査を終了しました。 これらの調査結果に基づき我が国は、平成20年(2008年)11月に国連の大陸棚限界委員会に申請し、平成24年(2012年)4月に我が国の国土面積の約8割にあたる約31万k㎡の大陸棚延長を認める勧告を受領しました。これを受け平成26年(2014年)10月、2海域(約18万k㎡)について日本の大陸棚とする政令が施行されました。また、他の2海域については隣接国との調整を行っており、審査が先送りされた1海域についても早期に審査が進められるように働きかけを行っています。 海上保安庁は関係省庁と連携し、我が国の大陸棚延長への取組に貢献しています。

政令を制定した海域関係国との調整が必要な海域審査が先送りされた海域

延長が認められた海域(約31万k㎡)}

 航空機に搭載した航空レーザー測深機からレーザー光を発射し、その往復時間を計測することによって、海底地形を面的に連続測定する調査です。測量船で調査することができない水深が浅い海域において、安全に効率良く海底地形等を調査することができます。

航空レーザー測量のイメージ 航空レーザー測量時の機内の様子

航空レーザー測深機による海底地形調査

 国連海洋法条約によると、領海やEEZ等の外縁の根拠について「通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする」とされています。低潮線とは、海面が最も低いときの陸地と水面の境界線のことであり、この低潮線の位置を精密な調査によって決定することで、領海やEEZ等の範囲が明確になります。我が国の海図の作製・刊行を行っている海上保安庁では、低潮線の位置をより精密に調査するために、航空機やAOV※1による調査を実施しています。

 まず、航空レーザー測深機により、水深が浅い海域や岩礁地帯の海底地形を詳細に調査します。次にAOVにより、洋上で長期間にわたり潮の干満を観測し、最も低くなる水面「最低水面」を決定します。これら二つの結果を組み合わせることで、従来よりも高精度に低潮線の位置が決定でき、新たな低潮高地※2の発見など、領海やEEZ等の拡大につながることが期待されます。 海上保安庁では引き続き、最先端の技術を用いた精密低潮線調査を実施していきます。

精密低潮線調査精密低潮線調査

大陸棚延長に向けた取組大陸棚延長に向けた取組

精密低潮線調査精密低潮線調査の必要性

●国連海洋法条約第5条(通常の基線) 『通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする。』(抄)

●精密低潮線調査による低潮高地※

 等の発見 ➡領海・EEZが拡大 ➡他国による海洋境界等の主張に  対し、我が国の立場を適切な形  で主張

航空機に搭載した航空レーザー測深機からレーザー光を発射し、その往復時間を計測することによって、海底地形を面的に連続測定する

※1 Autonomous Ocean Vehicle:波の上下動を動力源として活動する無人観測機器。観測や通信には太陽電池を使用するため、洋上において無補給で長期の海象や気象の観測を行うことができます。

※2 低潮高地:低潮高地とは、自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没するもの。

Page 16: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査

14 15

1 領海 領海基線(7参照)からその外側12海里(約22km)の線までの海域で、沿岸国の主権が及びます。 ただし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権*を有します。沿岸国の主権は、領海の上空、海底及び海底下にまで及び、沿岸国は漁業や資源採掘の独占権を有します。* 沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、沿岸国に妨げられることなく  その領海を通航する権利。

2 接続水域 領海基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く。)で、沿岸国が、自国の領域における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。

3 排他的経済水域(EEZ) 領海基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く。)です。なお、排他的経済水域においては、沿岸国に以下の権利、管轄権等が認められています。1. 水域並びにその海底及びその下の天然資源の探査、開発、  保存及び管理等のための主権的権利2. 人工島、施設及び構築物の設置及び利用に関する  管轄権3. 海洋の科学的調査に関する管轄権4. 海洋環境の保護及び保全に関する管轄権

4 公海 国連海洋法条約上、公海に関する規定は、いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分に適用されます。 公海はすべての国に開放され、すべての国が公海の自由(航行の自由、上空飛行の自由、漁獲の自由、海洋の科学的調査の自由等)を享受します。

5 深海底 深海底及びその資源は「人類共同の財産」と位置付けられ、いずれの国も深海底又はその資源について主権又は主権的権利を主張又は行使できません。

6 大陸棚 原則として領海基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く。)の海底及びその下ですが、地質的及び地形的条件等によっては国連海洋法条約の規定に従い延長することができます。 沿岸国には、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するための主権的権利を行使することが認められています。

7 領海基線 領海の幅を測る基準となる線です。通常は、海岸の低潮線(干満により、海面が最も低くなったときに陸地と水面の境界となる線)ですが、海岸が著しく曲折しているか、海岸に沿って至近距離に一連の島がある場所には、適当な地点を結んだ直線を基線(直線基線)とすることができます。

8 内水 領海基線の陸地側の水域で、沿岸国の主権が及びます。 ただし、直線基線の適用以前には内水とされていなかった水域を内水として取り込むこととなる場合には、すべての国の船舶は、無害通航権を有します。

9 低潮高地 低潮高地とは、自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没するものをいいます。低潮高地の全部又は一部が本土又は島から領海の幅を超えない距離にあるときは、その低潮線は、領海の幅を測定するための基線として用いることができます。 低潮高地は、その全部が本土又は島から領海の幅を超える距離にあるときは、それ自体の領海を有しません。

領海・排他的経済水域等の模式図 領海基線等の模式図

※国連海洋法条約第7部(公海)の規定はすべて、実線部分に適用されます。 また、航行の自由をはじめとする一定の事項については、点線部分にも適用されます。

国連海洋法条約に基づく沿岸国の管轄海域は次のとおりです。※以下の内容はあくまで一般的な場合の説明です。詳細については、外務省HP、関係法令等を参照してください。

領海・排他的経済水域等の解説

 中国及び韓国は、東シナ海における境界画定は東シナ海の特性を踏まえるべきであり、沖縄トラフで大陸性地殻が切れると主張し、平成24年(2012年)12月、大陸棚限界委員会に対し、沖縄トラフまでを自国の大陸棚とする大陸棚延長申請を行いました。昭和57年(1982年)に採択された国連海洋法条約の関連規定とその後の国際判例に基づけば、向かい合う国の距離が400海里未満の水域において境界を画定するにあたっては、自然延長論が認められる余地はなく、また、沖縄トラフのような海底地形に法的な意味はありません。したがって、大陸棚を沖縄トラフまで主張できるとの考えは、現在の国際法に照らせば根拠に欠けます。  中国及び韓国の大陸棚延長申請に対する我が国の立場は、「国連海洋法条約の関連規定に従って、両国間それぞれの合意により境界を画定する必要があり、中国及び韓国の大陸棚延長申請については、審査入りに必要となる事前の同意を与えていない」というものであり、大陸棚限界委員会に中国及び韓国の申請を審査しないよう求めた結果、同委員会は審査を行わないと決定しています。中国及び韓国の大陸棚延長申請の審査順が到来しても、現在のところ、審査の実施は想定されていません。  しかしながら、中国及び韓国は海洋調査体制を強化しており、我が国としても科学的調査データを収集・整備しておく必要があります。 海上保安庁では、我が国の海洋権益を確保するため、外務省等と協力・連携し、他国による日本とは異なる境界画定の主張に対応するために必要な海洋調査を計画的に実施していきます。

※ 国連海洋法条約は、沿岸国の大陸棚を領海基線から200海里と定める一方、  海底地形等の条件を満たせば、200海里を超える大陸棚を設定できることを定めている。

東シナ海における中国・韓国による大陸棚延長申請図

東シナ海における中国・韓国による大陸棚延長申請の主張

海洋境界をめぐる主張への対応

中韓の主張

日本の主張

大陸性地殻は沖縄トラフで切れており、境界画定には大陸棚の自然の延長が考慮されるべき

大陸性地殻は一続きであり、東シナ海では延長の余地なし

Page 17: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調 査

14 15

1 領海 領海基線(7参照)からその外側12海里(約22km)の線までの海域で、沿岸国の主権が及びます。 ただし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権*を有します。沿岸国の主権は、領海の上空、海底及び海底下にまで及び、沿岸国は漁業や資源採掘の独占権を有します。* 沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、沿岸国に妨げられることなく  その領海を通航する権利。

2 接続水域 領海基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く。)で、沿岸国が、自国の領域における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。

3 排他的経済水域(EEZ) 領海基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く。)です。なお、排他的経済水域においては、沿岸国に以下の権利、管轄権等が認められています。1. 水域並びにその海底及びその下の天然資源の探査、開発、  保存及び管理等のための主権的権利2. 人工島、施設及び構築物の設置及び利用に関する  管轄権3. 海洋の科学的調査に関する管轄権4. 海洋環境の保護及び保全に関する管轄権

4 公海 国連海洋法条約上、公海に関する規定は、いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分に適用されます。 公海はすべての国に開放され、すべての国が公海の自由(航行の自由、上空飛行の自由、漁獲の自由、海洋の科学的調査の自由等)を享受します。

5 深海底 深海底及びその資源は「人類共同の財産」と位置付けられ、いずれの国も深海底又はその資源について主権又は主権的権利を主張又は行使できません。

6 大陸棚 原則として領海基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く。)の海底及びその下ですが、地質的及び地形的条件等によっては国連海洋法条約の規定に従い延長することができます。 沿岸国には、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するための主権的権利を行使することが認められています。

7 領海基線 領海の幅を測る基準となる線です。通常は、海岸の低潮線(干満により、海面が最も低くなったときに陸地と水面の境界となる線)ですが、海岸が著しく曲折しているか、海岸に沿って至近距離に一連の島がある場所には、適当な地点を結んだ直線を基線(直線基線)とすることができます。

8 内水 領海基線の陸地側の水域で、沿岸国の主権が及びます。 ただし、直線基線の適用以前には内水とされていなかった水域を内水として取り込むこととなる場合には、すべての国の船舶は、無害通航権を有します。

9 低潮高地 低潮高地とは、自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没するものをいいます。低潮高地の全部又は一部が本土又は島から領海の幅を超えない距離にあるときは、その低潮線は、領海の幅を測定するための基線として用いることができます。 低潮高地は、その全部が本土又は島から領海の幅を超える距離にあるときは、それ自体の領海を有しません。

領海・排他的経済水域等の模式図 領海基線等の模式図

※国連海洋法条約第7部(公海)の規定はすべて、実線部分に適用されます。 また、航行の自由をはじめとする一定の事項については、点線部分にも適用されます。

国連海洋法条約に基づく沿岸国の管轄海域は次のとおりです。※以下の内容はあくまで一般的な場合の説明です。詳細については、外務省HP、関係法令等を参照してください。

領海・排他的経済水域等の解説

 中国及び韓国は、東シナ海における境界画定は東シナ海の特性を踏まえるべきであり、沖縄トラフで大陸性地殻が切れると主張し、平成24年(2012年)12月、大陸棚限界委員会に対し、沖縄トラフまでを自国の大陸棚とする大陸棚延長申請を行いました。昭和57年(1982年)に採択された国連海洋法条約の関連規定とその後の国際判例に基づけば、向かい合う国の距離が400海里未満の水域において境界を画定するにあたっては、自然延長論が認められる余地はなく、また、沖縄トラフのような海底地形に法的な意味はありません。したがって、大陸棚を沖縄トラフまで主張できるとの考えは、現在の国際法に照らせば根拠に欠けます。  中国及び韓国の大陸棚延長申請に対する我が国の立場は、「国連海洋法条約の関連規定に従って、両国間それぞれの合意により境界を画定する必要があり、中国及び韓国の大陸棚延長申請については、審査入りに必要となる事前の同意を与えていない」というものであり、大陸棚限界委員会に中国及び韓国の申請を審査しないよう求めた結果、同委員会は審査を行わないと決定しています。中国及び韓国の大陸棚延長申請の審査順が到来しても、現在のところ、審査の実施は想定されていません。  しかしながら、中国及び韓国は海洋調査体制を強化しており、我が国としても科学的調査データを収集・整備しておく必要があります。 海上保安庁では、我が国の海洋権益を確保するため、外務省等と協力・連携し、他国による日本とは異なる境界画定の主張に対応するために必要な海洋調査を計画的に実施していきます。

※ 国連海洋法条約は、沿岸国の大陸棚を領海基線から200海里と定める一方、  海底地形等の条件を満たせば、200海里を超える大陸棚を設定できることを定めている。

東シナ海における中国・韓国による大陸棚延長申請図

東シナ海における中国・韓国による大陸棚延長申請の主張

海洋境界をめぐる主張への対応

中韓の主張

日本の主張

大陸性地殻は沖縄トラフで切れており、境界画定には大陸棚の自然の延長が考慮されるべき

大陸性地殻は一続きであり、東シナ海では延長の余地なし

Page 18: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査

16 17

験潮所イメージ

験潮器

矢符で流れを表示

フロート

潮流観測(流速計の設置の仕方)

流況図(海の流れの強さや向きの様子を矢符の長さや向きで示した図)

潮流観測の様子

神津島験潮所(三管区)

サイドスキャンソナーによる海底障害物調査のイメージ

サイドスキャンソナーの記録(海底地形)

サイドスキャンソナーの記録(沈船)

マルチビーム測深の記録(沈船)マルチビーム測深の記録(魚礁)マルチビーム測深機による調査の様子

験潮所による潮汐観測

潮流・海流観測

海洋短波レーダーによる海流観測 海底の状況は、砂、泥や岩など、場所によって性質が異なっており、また、沈没した船や落下物などが存在することもあります。光が通りにくい海中でこれらの状況を確認するには、音響画像により海中の状況をカメラで写したように見ることができるサイドスキャンソナーが用いられます。 サイドスキャンソナーは曳航物から海底に向け音波を扇状に照射し、反射して戻ってきた音波を受信します。音波は岩などの硬いものでは強く反射し、平らな砂地などでは弱く反射します。この音波の強弱を濃淡表示することによって海底面を写真のような画像として捉えます。こういった特徴から、サイドスキャンソナーは、海難事故により沈没した船舶等の海底障害物調査に活用しています。

 全国20カ所に験潮所を設置し、潮汐の観測(験潮所内に浮かべた浮き(フロート)の上下動による潮の満ち引きの観測)を実施しています。データは本庁(東京)で集中監視を行い、インターネットで提供しています。潮汐観測の成果は、潮汐の推算、水深測量時の水深の補正、海流変動の調査などの基礎資料になるとともに、地殻変動の監視にも利用されています。また津波の把握にも不可欠なデータとなります。

 船舶交通量の多い海峡、港湾付近等において流速計(超音波を発出し反射波から流れの向き、強さを計測する機器)を使用して潮流観測(潮の干満にともなう流れの向きと強さの観測)を実施し、その成果を海図やインターネットなどにより提供しています。 潮流情報は海上交通の安全だけでなくマリンレジャーや海洋環境保全などにも用いられています。

 日本周辺海域で海流観測(流れの向きや強さの観測)を行い、得られた海流・水温のデータを航海安全のための基礎情報として広く提供するとともに、当庁の捜索・救助及び防災活動に必要となる漂流予測を行うための情報として利用しています。

海面係留方式

海底設置方式

海上保安庁の験潮所(全国20カ所)

●サイドスキャンソナーによる海底障害物調査

●マルチビーム測深機による調査

 船舶の安全な航行を確保するためには、最新の情報が掲載された海図や海潮流・水温といった海洋情報が必要です。海上保安庁は、測量船や航空機等により海底地形の調査等を行い、海図を最新の情報に更新するとともに、測量船、海洋短波レーダー、自律型海洋観測装置(AOV)等により海潮流や水温などの情報を収集し、インターネットにより情報提供することで海上交通の安全に貢献しています。 このほか、日本列島の正確な位置を決める際の本土基準点である下里水路観測所において、測地衛星を使用した人工衛星レーザー測距観測も実施しています。

沿岸域における海底地形の調査 海上を安全に航行するうえで必要な海図等を最新の状態に保つため、港湾や航路の水深を音響測深機などを用いて測定し、海底地形を明らかにしています。 最近では、マルチビーム測深機や航空レーザー測深機により、高密度の水深データを効率よく集め、海底地形を立体的に把握できるようになりました。

航海安全のための海洋調査航海安全のための海洋調査海洋調査

海洋短波レーダーの観測データを使用した流況図

観測のイメージ 海洋短波レーダー局(左:伊豆大島、右:三浦半島荒埼)

 海洋短波レーダーは離れた場所に配置した2局で構成され、それぞれの局には送信アンテナと受信アンテナが設置されています。海面に向けて発射した電波は、移動している海面から反射するとき周波数が変化します。2局の反射波の周波数を解析することにより海の流れを測定します。 伊豆大島灯台と三浦半島荒埼付近に海洋短波レーダー局を配置し、相模湾の流れを観測しています。

Page 19: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海 洋調査

16 17

験潮所イメージ

験潮器

矢符で流れを表示

フロート

潮流観測(流速計の設置の仕方)

流況図(海の流れの強さや向きの様子を矢符の長さや向きで示した図)

潮流観測の様子

神津島験潮所(三管区)

サイドスキャンソナーによる海底障害物調査のイメージ

サイドスキャンソナーの記録(海底地形)

サイドスキャンソナーの記録(沈船)

マルチビーム測深の記録(沈船)マルチビーム測深の記録(魚礁)マルチビーム測深機による調査の様子

験潮所による潮汐観測

潮流・海流観測

海洋短波レーダーによる海流観測 海底の状況は、砂、泥や岩など、場所によって性質が異なっており、また、沈没した船や落下物などが存在することもあります。光が通りにくい海中でこれらの状況を確認するには、音響画像により海中の状況をカメラで写したように見ることができるサイドスキャンソナーが用いられます。 サイドスキャンソナーは曳航物から海底に向け音波を扇状に照射し、反射して戻ってきた音波を受信します。音波は岩などの硬いものでは強く反射し、平らな砂地などでは弱く反射します。この音波の強弱を濃淡表示することによって海底面を写真のような画像として捉えます。こういった特徴から、サイドスキャンソナーは、海難事故により沈没した船舶等の海底障害物調査に活用しています。

 全国20カ所に験潮所を設置し、潮汐の観測(験潮所内に浮かべた浮き(フロート)の上下動による潮の満ち引きの観測)を実施しています。データは本庁(東京)で集中監視を行い、インターネットで提供しています。潮汐観測の成果は、潮汐の推算、水深測量時の水深の補正、海流変動の調査などの基礎資料になるとともに、地殻変動の監視にも利用されています。また津波の把握にも不可欠なデータとなります。

 船舶交通量の多い海峡、港湾付近等において流速計(超音波を発出し反射波から流れの向き、強さを計測する機器)を使用して潮流観測(潮の干満にともなう流れの向きと強さの観測)を実施し、その成果を海図やインターネットなどにより提供しています。 潮流情報は海上交通の安全だけでなくマリンレジャーや海洋環境保全などにも用いられています。

 日本周辺海域で海流観測(流れの向きや強さの観測)を行い、得られた海流・水温のデータを航海安全のための基礎情報として広く提供するとともに、当庁の捜索・救助及び防災活動に必要となる漂流予測を行うための情報として利用しています。

海面係留方式

海底設置方式

海上保安庁の験潮所(全国20カ所)

●サイドスキャンソナーによる海底障害物調査

●マルチビーム測深機による調査

 船舶の安全な航行を確保するためには、最新の情報が掲載された海図や海潮流・水温といった海洋情報が必要です。海上保安庁は、測量船や航空機等により海底地形の調査等を行い、海図を最新の情報に更新するとともに、測量船、海洋短波レーダー、自律型海洋観測装置(AOV)等により海潮流や水温などの情報を収集し、インターネットにより情報提供することで海上交通の安全に貢献しています。 このほか、日本列島の正確な位置を決める際の本土基準点である下里水路観測所において、測地衛星を使用した人工衛星レーザー測距観測も実施しています。

沿岸域における海底地形の調査 海上を安全に航行するうえで必要な海図等を最新の状態に保つため、港湾や航路の水深を音響測深機などを用いて測定し、海底地形を明らかにしています。 最近では、マルチビーム測深機や航空レーザー測深機により、高密度の水深データを効率よく集め、海底地形を立体的に把握できるようになりました。

航海安全のための海洋調査航海安全のための海洋調査海洋調査

海洋短波レーダーの観測データを使用した流況図

観測のイメージ 海洋短波レーダー局(左:伊豆大島、右:三浦半島荒埼)

 海洋短波レーダーは離れた場所に配置した2局で構成され、それぞれの局には送信アンテナと受信アンテナが設置されています。海面に向けて発射した電波は、移動している海面から反射するとき周波数が変化します。2局の反射波の周波数を解析することにより海の流れを測定します。 伊豆大島灯台と三浦半島荒埼付近に海洋短波レーダー局を配置し、相模湾の流れを観測しています。

Page 20: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査

18 19

航空機による海氷観測の様子 砕氷型巡視船による海氷観測の様子

下里水路観測所(和歌山県)における人工衛星レーザー測距観測

下里水路観測所全景

人工衛星レーザー測距装置

海氷観測

人工衛星レーザー測距観測

 海氷による海難を防止するため、オホーツク海沿岸の海上保安部署(陸上)職員による海氷分布の定時観測、海上保安庁所属の航空機や巡視船艇による海氷分布の目視観測、さらには毎年2月頃に砕氷型巡視船(ヘリコプター搭載)をオホーツク海に派遣して、水温、塩分、流況及び海氷分布の観測を実施しています。 観測データは、海氷情報センター(P.32参照)において人工衛星画像や他機関からの観測データとを統合し、北海道周辺海域の海氷に関する情報(海氷速報)を提供しています。

 人工衛星レーザー測距観測は、地上の装置から発射したレーザー光が人工衛星で反射され、再び地上の装置に返ってくるまでの時間を計測します。この往復時間の半分に、光速(約30万km/秒)を乗じると、地上の装置から人工衛星までの距離が求まります。このような原理を基に、人工衛星を追尾したデータを解析して、地球を周回する人工衛星と装置の地球上の位置関係を求めることができます。 離島や岩礁、海岸の位置を測定し、海図に記載するとともに、領海や排他的経済水域等の管轄海域を画定するためには、我が国の正確な位置を常に観測し、把握しておく必要があり、下里水路観測所で実施している人工衛星レーザー測距観測は、そのために重要な役割を担っています。 また、国際共同観測に参画しており、下里水路観測所は東アジア地域の重要な観測局の一つとして、国際的な位置座標系の構築にも貢献しています。

●:海底基準点設置地点

 地震・火山噴火等の自然災害や、船舶の乗揚げ等による油、有害液体物質の流出といった事故災害などの海上における災害によって発生する被害を最小限に抑えるため、海底地殻変動観測、海域火山調査等の防災のための調査を実施しています。 また、海洋環境の変化を的確に把握するため、海水や海底堆積物を採取し、汚染物質や放射性物質の調査を継続的に行っています。

海底地殻変動観測 日本列島周辺では、複数のプレートが複雑に接しています。海側のプレートが海溝において隣接するプレートの下に沈み込み、地殻にひずみが発生し、ひずみが限界を超えることにより巨大地震が発生すると考えられています。 GNSSと海中での音響測距技術を組み合わせた海底地殻変動観測により、プレート境界である日本海溝や南海トラ フ沿いの海底に設置した海底基準点の精密な動きを測定し、巨大地震の発生メカニズムの解明等に貢献しています。

海底地殻変動観測のイメージ

南海トラフにおける固着域分布図

海底局の投入

海底局

海底基準点配点図

防災・海洋環境保全ための海洋調査防災・海洋環境保全ための海洋調査海洋調査

固着の強弱を知ることにより、場所によるひずみの溜まりやすさの違いを知ることが出来ます。

基図は「海しる」によるhttps://msil.go.jp/ GEBCO|海上保安庁|©ESRI Japan

Page 21: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調 査

18 19

航空機による海氷観測の様子 砕氷型巡視船による海氷観測の様子

下里水路観測所(和歌山県)における人工衛星レーザー測距観測

下里水路観測所全景

人工衛星レーザー測距装置

海氷観測

人工衛星レーザー測距観測

 海氷による海難を防止するため、オホーツク海沿岸の海上保安部署(陸上)職員による海氷分布の定時観測、海上保安庁所属の航空機や巡視船艇による海氷分布の目視観測、さらには毎年2月頃に砕氷型巡視船(ヘリコプター搭載)をオホーツク海に派遣して、水温、塩分、流況及び海氷分布の観測を実施しています。 観測データは、海氷情報センター(P.32参照)において人工衛星画像や他機関からの観測データとを統合し、北海道周辺海域の海氷に関する情報(海氷速報)を提供しています。

 人工衛星レーザー測距観測は、地上の装置から発射したレーザー光が人工衛星で反射され、再び地上の装置に返ってくるまでの時間を計測します。この往復時間の半分に、光速(約30万km/秒)を乗じると、地上の装置から人工衛星までの距離が求まります。このような原理を基に、人工衛星を追尾したデータを解析して、地球を周回する人工衛星と装置の地球上の位置関係を求めることができます。 離島や岩礁、海岸の位置を測定し、海図に記載するとともに、領海や排他的経済水域等の管轄海域を画定するためには、我が国の正確な位置を常に観測し、把握しておく必要があり、下里水路観測所で実施している人工衛星レーザー測距観測は、そのために重要な役割を担っています。 また、国際共同観測に参画しており、下里水路観測所は東アジア地域の重要な観測局の一つとして、国際的な位置座標系の構築にも貢献しています。

●:海底基準点設置地点

 地震・火山噴火等の自然災害や、船舶の乗揚げ等による油、有害液体物質の流出といった事故災害などの海上における災害によって発生する被害を最小限に抑えるため、海底地殻変動観測、海域火山調査等の防災のための調査を実施しています。 また、海洋環境の変化を的確に把握するため、海水や海底堆積物を採取し、汚染物質や放射性物質の調査を継続的に行っています。

海底地殻変動観測 日本列島周辺では、複数のプレートが複雑に接しています。海側のプレートが海溝において隣接するプレートの下に沈み込み、地殻にひずみが発生し、ひずみが限界を超えることにより巨大地震が発生すると考えられています。 GNSSと海中での音響測距技術を組み合わせた海底地殻変動観測により、プレート境界である日本海溝や南海トラ フ沿いの海底に設置した海底基準点の精密な動きを測定し、巨大地震の発生メカニズムの解明等に貢献しています。

海底地殻変動観測のイメージ

南海トラフにおける固着域分布図

海底局の投入

海底局

海底基準点配点図

防災・海洋環境保全ための海洋調査防災・海洋環境保全ための海洋調査海洋調査

固着の強弱を知ることにより、場所によるひずみの溜まりやすさの違いを知ることが出来ます。

基図は「海しる」によるhttps://msil.go.jp/ GEBCO|海上保安庁|©ESRI Japan

Page 22: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査

20 21

コラムコラム

コラムコラム

 ゆっくりすべりとは通常の地震のように断層が急激にすべることなくゆっくりとすべる現象です。数日から数年にかけてゆっくりとすべるため、通常の地震のように揺れを感じることはありません。

 南海トラフ巨大地震の発生が想定されている震源域のプレート境界では、ゆっくりすべりが発生していることが陸域の観測網において検出されています。 現在、ゆっくりすべりと巨大地震との関係性についての研究が盛んに行われている一方で、海での観測の難しさから、海域におけるゆっくりすべりの詳細は未だよくわかっていません。 海上保安庁と東京大学の研究グループによる海底地殻変動観測データの詳細な解析から、海域においてもゆっくりすべりが発生していることを示唆する微少な変化があらわれていたことが明らかになりました。

 ゆっくりすべりの発生を示唆する変化が検出された地点は、プレート境界が強く固着していると考えられている領域の外側に位置しており、ゆっくりすべりの発生域が強固着域とはすみ分けていることが示唆されます。

 今回の成果は南海トラフ巨大地震の発生過程の理解や発生のリスクに関する評価の研究を進める上で、重要な知見を提供すると期待されます。

 海上保安庁では、東京の南約1,000kmにある「海徳海山(1984年に噴火)」の調査を実施し、海底に広がるカルデラや中央火口丘、中央火口丘の裾野から流れる溶岩流などの火山地形を発見しました。 調査結果は、海上交通の安全のための基礎資料となるほか、同火山を研究する上でも非常に重要な資料となります。発見した直径3kmにわたるカルデラは、過去に大きな火山活動があったことを示唆しており、海上保安庁では引き続き海徳海山の定期監視を続けていきます。

海域火山データベースhttps://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/list-2.htm

西之島の噴火(令和2年(2020年)1月)(東京の南方約930km)

福徳岡ノ場の噴火(平成22年2月)(東京の南方約1300km)

特殊搭載艇「マンボウⅡ」

海徳海山の位置 海徳海山の海底地形図

西側の高まり(西海徳場)の鳥瞰図

東側の高まり(東海徳場)の鳥瞰図

海域火山調査 南方諸島及び南西諸島の海域にある火山島や海底火山の活動を、航空機により定期的に監視するとともに、海域の火山に関する基礎情報の整備のため、大型測量船や無人で調査が行える特殊搭載艇「マンボウⅡ」等により海底地形調査等を実施しています。 これらの調査によって収集した情報は、海上保安庁において、航海安全や防災のためだけでなく、新島形成や領海基線拡張の確認など海洋権益に関する業務のための情報として活用されています。また、気象庁へ提供する情報は「火山現象に関する海上警報」として船舶向けに通報されています。さらに文部科学省科学技術・学術審議会の建議に基づいて設置された「火山噴火予知連絡会」へ速やかに情報を提供することにより、火山噴火の予測に貢献しています。 海上保安庁では、これら観測成果を基に海域火山の概要、海底地形図、火山の写真、活動記録等を「海域火山データベース」として、インターネットで公開しています。

海底火山活動が活発になった時、高精度な調査機器を搭載した特殊搭載艇「マンボウⅡ 」により、精密な海底地形等の観測を無人で行うことができます。

「海徳海山」にカルデラ、中央火口丘及び溶岩流を発見「海徳海山」にカルデラ、中央火口丘及び溶岩流を発見

海底下において新たな「ゆっくりすべり」を検出海底下において新たな「ゆっくりすべり」を検出

ゆっくりすべりがなく変動が安定している例

地震 ゆっくりすべり

ゆっくりすべりによる変化があらわれている例

Page 23: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海 洋調査

20 21

コラムコラム

コラムコラム

 ゆっくりすべりとは通常の地震のように断層が急激にすべることなくゆっくりとすべる現象です。数日から数年にかけてゆっくりとすべるため、通常の地震のように揺れを感じることはありません。

 南海トラフ巨大地震の発生が想定されている震源域のプレート境界では、ゆっくりすべりが発生していることが陸域の観測網において検出されています。 現在、ゆっくりすべりと巨大地震との関係性についての研究が盛んに行われている一方で、海での観測の難しさから、海域におけるゆっくりすべりの詳細は未だよくわかっていません。 海上保安庁と東京大学の研究グループによる海底地殻変動観測データの詳細な解析から、海域においてもゆっくりすべりが発生していることを示唆する微少な変化があらわれていたことが明らかになりました。

 ゆっくりすべりの発生を示唆する変化が検出された地点は、プレート境界が強く固着していると考えられている領域の外側に位置しており、ゆっくりすべりの発生域が強固着域とはすみ分けていることが示唆されます。

 今回の成果は南海トラフ巨大地震の発生過程の理解や発生のリスクに関する評価の研究を進める上で、重要な知見を提供すると期待されます。

 海上保安庁では、東京の南約1,000kmにある「海徳海山(1984年に噴火)」の調査を実施し、海底に広がるカルデラや中央火口丘、中央火口丘の裾野から流れる溶岩流などの火山地形を発見しました。 調査結果は、海上交通の安全のための基礎資料となるほか、同火山を研究する上でも非常に重要な資料となります。発見した直径3kmにわたるカルデラは、過去に大きな火山活動があったことを示唆しており、海上保安庁では引き続き海徳海山の定期監視を続けていきます。

海域火山データベースhttps://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/list-2.htm

西之島の噴火(令和2年(2020年)1月)(東京の南方約930km)

福徳岡ノ場の噴火(平成22年2月)(東京の南方約1300km)

特殊搭載艇「マンボウⅡ」

海徳海山の位置 海徳海山の海底地形図

西側の高まり(西海徳場)の鳥瞰図

東側の高まり(東海徳場)の鳥瞰図

海域火山調査 南方諸島及び南西諸島の海域にある火山島や海底火山の活動を、航空機により定期的に監視するとともに、海域の火山に関する基礎情報の整備のため、大型測量船や無人で調査が行える特殊搭載艇「マンボウⅡ」等により海底地形調査等を実施しています。 これらの調査によって収集した情報は、海上保安庁において、航海安全や防災のためだけでなく、新島形成や領海基線拡張の確認など海洋権益に関する業務のための情報として活用されています。また、気象庁へ提供する情報は「火山現象に関する海上警報」として船舶向けに通報されています。さらに文部科学省科学技術・学術審議会の建議に基づいて設置された「火山噴火予知連絡会」へ速やかに情報を提供することにより、火山噴火の予測に貢献しています。 海上保安庁では、これら観測成果を基に海域火山の概要、海底地形図、火山の写真、活動記録等を「海域火山データベース」として、インターネットで公開しています。

海底火山活動が活発になった時、高精度な調査機器を搭載した特殊搭載艇「マンボウⅡ 」により、精密な海底地形等の観測を無人で行うことができます。

「海徳海山」にカルデラ、中央火口丘及び溶岩流を発見「海徳海山」にカルデラ、中央火口丘及び溶岩流を発見

海底下において新たな「ゆっくりすべり」を検出海底下において新たな「ゆっくりすべり」を検出

ゆっくりすべりがなく変動が安定している例

地震 ゆっくりすべり

ゆっくりすべりによる変化があらわれている例

Page 24: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋調査海洋調査

22 23

コラムコラム

漂流予測 海上で事故が起きた際、海上保安庁では巡視船、航空機によりその対応を行います。例えば、船舶が転覆して乗組員が行方不明になった際の捜索、タンカーが座礁して海に大量の油が流出した際の対応などを行います。 これら捜索救助活動や防除活動を的確に行うために、海洋情報部では、測量船、巡視船及び海洋短波レーダーなどで観測した海の流れを基に、海に投げ出された人や転覆船、浮流油がどのように流れるかを予測しています。 海に浮いた物は、海の流れだけでなく風や物体の形状によって大きく動きを変えます。これらの様々な要因を考慮して漂流予測を行っています。

漂流予測図の例(東京湾口で油が流れ出した場合の想定で作成したもの)

「漂流開始位置」

※1:GNSS(Global Navigation Satellite System)測量   人工衛星からの信号を用いて位置及び高さを決定する測量

 海図や海上の測量の高さの基準となる面、最低水面は、各港ごとに長期間の潮汐観測で決定し、陸上に設置された標からの相対的な高さで公表されてきました。 東日本大震災の際は、陸上の標が失われたり、地盤変動により陸上の標の高さが大きく変わったため、最低水面の値が基準として使えなくなりました。その最低水面の再決定のために、各港で潮汐観測を行う必要があり、決定まで長い期間を要しました。 その後、海上保安庁では、GNSS測量※1を進め、各地の最低水面の地球楕円体※2からの高さを求め、平成31年3月から公表を始めました。最低水面の地球楕円体からの高さは、絶対的な位置であり、地盤変動が起きても大きく変化することはなく、引き続き基準面として使えるものです。 これにより、東日本大震災のような大規模な地盤変動が起きても、海上の測量などの復旧に向けた活動を迅速に進めることができるようになります。

津波防災情報図 日本は周辺を巨大地震の震源となる海溝に取り囲まれています。平成23年には、その一つである日本海溝においてマグニチュード9の巨大地震が発生し、この地震による大津波に巻き込まれて船舶も大きな被害を受けました。 海上保安庁の津波防災情報図は、こうした船舶の津波被害を最小限に抑えるために必要となる情報を事前に提供し、防災に役立てることを目的として作成したものです。当庁が保有する詳細な海底地形データを基に、今後発生が予想される様々な海溝型地震津波をシミュレーションし、その結果から水位変化、流速・流向変化、津波到達時間等の情報を抽出して扱いやすい図表にまとめています。 また、津波防災情報図は、国土交通省海事局が船舶運航者向けに作成した「船舶運航事業者における津波避難マニュアル作成の手引き」で、事前に把握しておくべき情報源として詳しく採り上げられており、船舶の安全対策を策定する海事関係者にとっての重要な防災対策ツールの一つとなっています。 平成25年からは、東日本大震災を教訓として見直しが図られた南海トラフ地震、首都直下地震などの新たな想定の地震に対応した図も作成しており、完成した図は全てインターネット等を通じて提供しています。

津波防災情報図 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAIYO/tsunami/index.html

「伊勢湾」津波防災情報図

大規模な地盤変動にも迅速に対応~最低水面の地球楕円体からの高さの公表~大規模な地盤変動にも迅速に対応~最低水面の地球楕円体からの高さの公表~

<通常時> <発災時>

 来

公表後

※2地球楕円体:地球の形状を楕円球面で        近似したもの

イメージ図

地球楕円体 北極実際の地表

6,356,752m 6,378,137m

赤道

南極

Page 25: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海 洋調査海洋調 査

22 23

コラムコラム

漂流予測 海上で事故が起きた際、海上保安庁では巡視船、航空機によりその対応を行います。例えば、船舶が転覆して乗組員が行方不明になった際の捜索、タンカーが座礁して海に大量の油が流出した際の対応などを行います。 これら捜索救助活動や防除活動を的確に行うために、海洋情報部では、測量船、巡視船及び海洋短波レーダーなどで観測した海の流れを基に、海に投げ出された人や転覆船、浮流油がどのように流れるかを予測しています。 海に浮いた物は、海の流れだけでなく風や物体の形状によって大きく動きを変えます。これらの様々な要因を考慮して漂流予測を行っています。

漂流予測図の例(東京湾口で油が流れ出した場合の想定で作成したもの)

「漂流開始位置」

※1:GNSS(Global Navigation Satellite System)測量   人工衛星からの信号を用いて位置及び高さを決定する測量

 海図や海上の測量の高さの基準となる面、最低水面は、各港ごとに長期間の潮汐観測で決定し、陸上に設置された標からの相対的な高さで公表されてきました。 東日本大震災の際は、陸上の標が失われたり、地盤変動により陸上の標の高さが大きく変わったため、最低水面の値が基準として使えなくなりました。その最低水面の再決定のために、各港で潮汐観測を行う必要があり、決定まで長い期間を要しました。 その後、海上保安庁では、GNSS測量※1を進め、各地の最低水面の地球楕円体※2からの高さを求め、平成31年3月から公表を始めました。最低水面の地球楕円体からの高さは、絶対的な位置であり、地盤変動が起きても大きく変化することはなく、引き続き基準面として使えるものです。 これにより、東日本大震災のような大規模な地盤変動が起きても、海上の測量などの復旧に向けた活動を迅速に進めることができるようになります。

津波防災情報図 日本は周辺を巨大地震の震源となる海溝に取り囲まれています。平成23年には、その一つである日本海溝においてマグニチュード9の巨大地震が発生し、この地震による大津波に巻き込まれて船舶も大きな被害を受けました。 海上保安庁の津波防災情報図は、こうした船舶の津波被害を最小限に抑えるために必要となる情報を事前に提供し、防災に役立てることを目的として作成したものです。当庁が保有する詳細な海底地形データを基に、今後発生が予想される様々な海溝型地震津波をシミュレーションし、その結果から水位変化、流速・流向変化、津波到達時間等の情報を抽出して扱いやすい図表にまとめています。 また、津波防災情報図は、国土交通省海事局が船舶運航者向けに作成した「船舶運航事業者における津波避難マニュアル作成の手引き」で、事前に把握しておくべき情報源として詳しく採り上げられており、船舶の安全対策を策定する海事関係者にとっての重要な防災対策ツールの一つとなっています。 平成25年からは、東日本大震災を教訓として見直しが図られた南海トラフ地震、首都直下地震などの新たな想定の地震に対応した図も作成しており、完成した図は全てインターネット等を通じて提供しています。

津波防災情報図 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAIYO/tsunami/index.html

「伊勢湾」津波防災情報図

大規模な地盤変動にも迅速に対応~最低水面の地球楕円体からの高さの公表~大規模な地盤変動にも迅速に対応~最低水面の地球楕円体からの高さの公表~

<通常時> <発災時>

 来

公表後

※2地球楕円体:地球の形状を楕円球面で        近似したもの

イメージ図

地球楕円体 北極実際の地表

6,356,752m 6,378,137m

赤道

南極

Page 26: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の管理・提供海洋情報の管理・提供海洋情報の利用推進海洋調査

24 25

ストロンチウムの分析作業 採水作業

採泥作業 油分の分析作業

海洋汚染調査・放射能調査●海洋汚染調査 海洋汚染の防止及び海洋環境の保全に必要な基礎データの収集を目的として東京湾、伊勢湾、大阪湾などの内湾域から外洋域にかけて、海水及び海底堆積物を採取し、油分、PCB、重金属、有機スズ化合物などの調査を継続的に行っています。●放射能調査 海洋環境モニタリングの一環として、日本周辺海域及び日本海・オホーツク海において、海水及び海底堆積物を採取し、核実験や核廃棄物の海洋投棄などによる海洋環境への影響を把握するため、人工放射性物質の調査を継続的に行っています。 また、原子力艦が寄港する横須賀港(神奈川県)、佐世保港(長崎県)、金武中城港(沖縄県)において、海水及び海底堆積物を採取し、放射能調査を行っています。

 海洋は、海運や水産業、資源開発、マリンレジャー等、さまざまな目的で利用されており、それぞれの目的によっ て必要となる情報が異なります。海上保安庁では、海洋調査により得られた多くの海洋情報を基に、それぞれの目的に合わせ、ユーザーの利用しやすい形での情報提供に努めています。

海洋情報の一元化に向けた取り組み 海洋基本法に基づき、平成20年(2008年)3月に閣議決定された第1期海洋基本計画の施策の一つとして、各機関 に分散している情報について、海洋産業の発展、科学的知見の充実等に資するよう、民間企業、研究機関等に使いやすく提供し、同時に、各機関の海洋調査を効率的に実施するため、海洋情報を一元的に管理・提供する体制を整備することがあげられました。その体制の整備にあたって、国際海洋データ・情報交換システム(IODE)※に関する我が国の窓口となっている日本海洋データセンター(JODC)※等による既存の取組を最大限生かすことが求められています。 海洋情報一元化に向けて、海洋情報部は平成22年(2010年)から、海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)※を、 内閣府総合海洋政策推進事務局の調整のもと、関係各省庁等の協力を得て、運用しています。 また、平成24年(2012年)からは、国や地方自治体等が海洋調査で取得した自然情報(海底地形や海流等)をはじめ、 海洋の利用状況を把握するうえで必要となる社会情報(訓練区域や漁業権区域等)やインフラ情報(海底ケーブルや洋上風力発電等)等を一元的に管理し、インターネット上でビジュアル的に重ね合わせて閲覧できる、海洋台帳を運用しました。 平成31年(2019年)からは、我が国の海洋状況把握(MDA※)の能力強化に向けた取組の一環として、海洋情報を集約・共有する「海洋状況表示システム(海しる)」(P.8)の運用を開始しています。「海しる」は当庁が運用を行っていた海洋台帳等をシステムの基盤として活用し、関係府省・機関が保有する様々な海洋情報をインターネット 上で一元的に閲覧できるサービスです。 今後も、関係府省・機関との連携を強め、より一層の海洋情報一元化に努めます。

※次頁参照※MDA:Maritime Domain Awarenessの略。関係政府機関の連携を強化し、国の防衛、安全、 経済、環境に影響を与える可能性のある海洋に関する事象を効果的に把握する取組みのこと。

環境保全調査 背後に大都市を抱えた閉鎖性の高い海域では、生活排水などが大量に流れ込むことに加え、外海との海水の循環が起こりにくいため、富栄養化による慢性的な赤潮の発生や、有機汚濁による貧酸素水塊の発生などにより、水産動植物や人々の生活環境に大きな影響を与えています。  これらの問題に取り組むため、東京湾、伊勢湾、大阪湾及び広島湾では、「海の再生プロジェクト」が進められています。これらのプロジェクトでは海上保安庁及び国土交通省を中心とする関係省庁並びに自治体、教育・研究機関、民間企業及び市民団体等の関係機関が連携し、陸域からの汚濁負荷削減対策、海域の環境改善対策及び環境モニタリングを推進しています。 海上保安庁は「海の再生プロジェクト」の各種施策のうち、環境モニタリングに取り組んでおり、測量船によって海水の透明度や溶存酸素などの水質観測を定期的に行っています。

底層溶存酸素の分布(令和元年8月)

※青い部分は酸素が少ない

モニタリングポスト及び測量船による

水質・流向流速・風向風速の観測

海しるの構成について各府省庁・関係機関が収集した広域性・リアルタイム性の高い情報

衛星画像雨雲レーダー情報基本情報社会情報海事情報

海洋防災情報船舶通行量インフラ情報環境情報航行警報

海洋再生エネルギー情報背景図 etc…

各情報を重 ね て表  示

海洋状況表示システム:愛称「海しる」「海しる」ロゴマーク

~海の今を知るために~海洋の「今」を効率的に把握することが可能に

国際地球観測年により、世界的な海洋観測の幕開けIOC※第1回会議にて各国への国立海洋資料センターの設立が決議「日本海洋資料センター(現:日本海洋データセンター)」(JODC)の設置海洋情報のインターネットでの 提供開始

2007年2008年

2010年2012年2019年

「海洋基本法」施行「第1期海洋基本計画」閣議決定海洋情報の一元的管理・提供が謳われる。「海洋情報クリアリングハウス」の運用を 開始「海洋台帳」の運用を開始「海しる」の運用を開始 「海洋台帳」を統合

1957年1961年

1965年

1995年

海洋情報部における海洋情報一元化に向けた取り組みJODC 海洋基本計画関連

今後の流氷の動向を予測今後の流氷の動向を予測流氷情報流氷情報

風向・風速風向・風速風浪・波浪状況の把握風浪・波浪状況の把握

黒潮流況黒潮流況船舶の効率的な運航計画立案船舶の効率的な運航計画立案

Page 27: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の管理・提供海洋情報の管理・提供海洋情報の利用推進海洋調査

24 25

ストロンチウムの分析作業 採水作業

採泥作業 油分の分析作業

海洋汚染調査・放射能調査●海洋汚染調査 海洋汚染の防止及び海洋環境の保全に必要な基礎データの収集を目的として東京湾、伊勢湾、大阪湾などの内湾域から外洋域にかけて、海水及び海底堆積物を採取し、油分、PCB、重金属、有機スズ化合物などの調査を継続的に行っています。●放射能調査 海洋環境モニタリングの一環として、日本周辺海域及び日本海・オホーツク海において、海水及び海底堆積物を採取し、核実験や核廃棄物の海洋投棄などによる海洋環境への影響を把握するため、人工放射性物質の調査を継続的に行っています。 また、原子力艦が寄港する横須賀港(神奈川県)、佐世保港(長崎県)、金武中城港(沖縄県)において、海水及び海底堆積物を採取し、放射能調査を行っています。

 海洋は、海運や水産業、資源開発、マリンレジャー等、さまざまな目的で利用されており、それぞれの目的によっ て必要となる情報が異なります。海上保安庁では、海洋調査により得られた多くの海洋情報を基に、それぞれの目的に合わせ、ユーザーの利用しやすい形での情報提供に努めています。

海洋情報の一元化に向けた取り組み 海洋基本法に基づき、平成20年(2008年)3月に閣議決定された第1期海洋基本計画の施策の一つとして、各機関 に分散している情報について、海洋産業の発展、科学的知見の充実等に資するよう、民間企業、研究機関等に使いやすく提供し、同時に、各機関の海洋調査を効率的に実施するため、海洋情報を一元的に管理・提供する体制を整備することがあげられました。その体制の整備にあたって、国際海洋データ・情報交換システム(IODE)※に関する我が国の窓口となっている日本海洋データセンター(JODC)※等による既存の取組を最大限生かすことが求められています。 海洋情報一元化に向けて、海洋情報部は平成22年(2010年)から、海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)※を、 内閣府総合海洋政策推進事務局の調整のもと、関係各省庁等の協力を得て、運用しています。 また、平成24年(2012年)からは、国や地方自治体等が海洋調査で取得した自然情報(海底地形や海流等)をはじめ、 海洋の利用状況を把握するうえで必要となる社会情報(訓練区域や漁業権区域等)やインフラ情報(海底ケーブルや洋上風力発電等)等を一元的に管理し、インターネット上でビジュアル的に重ね合わせて閲覧できる、海洋台帳を運用しました。 平成31年(2019年)からは、我が国の海洋状況把握(MDA※)の能力強化に向けた取組の一環として、海洋情報を集約・共有する「海洋状況表示システム(海しる)」(P.8)の運用を開始しています。「海しる」は当庁が運用を行っていた海洋台帳等をシステムの基盤として活用し、関係府省・機関が保有する様々な海洋情報をインターネット 上で一元的に閲覧できるサービスです。 今後も、関係府省・機関との連携を強め、より一層の海洋情報一元化に努めます。

※次頁参照※MDA:Maritime Domain Awarenessの略。関係政府機関の連携を強化し、国の防衛、安全、 経済、環境に影響を与える可能性のある海洋に関する事象を効果的に把握する取組みのこと。

環境保全調査 背後に大都市を抱えた閉鎖性の高い海域では、生活排水などが大量に流れ込むことに加え、外海との海水の循環が起こりにくいため、富栄養化による慢性的な赤潮の発生や、有機汚濁による貧酸素水塊の発生などにより、水産動植物や人々の生活環境に大きな影響を与えています。  これらの問題に取り組むため、東京湾、伊勢湾、大阪湾及び広島湾では、「海の再生プロジェクト」が進められています。これらのプロジェクトでは海上保安庁及び国土交通省を中心とする関係省庁並びに自治体、教育・研究機関、民間企業及び市民団体等の関係機関が連携し、陸域からの汚濁負荷削減対策、海域の環境改善対策及び環境モニタリングを推進しています。 海上保安庁は「海の再生プロジェクト」の各種施策のうち、環境モニタリングに取り組んでおり、測量船によって海水の透明度や溶存酸素などの水質観測を定期的に行っています。

底層溶存酸素の分布(令和元年8月)

※青い部分は酸素が少ない

モニタリングポスト及び測量船による

水質・流向流速・風向風速の観測

海しるの構成について各府省庁・関係機関が収集した広域性・リアルタイム性の高い情報

衛星画像雨雲レーダー情報基本情報社会情報海事情報海洋防災情報船舶通行量インフラ情報環境情報航行警報

海洋再生エネルギー情報背景図 etc…

各情報を重 ね て表  示

海洋状況表示システム:愛称「海しる」「海しる」ロゴマーク

~海の今を知るために~海洋の「今」を効率的に把握することが可能に

国際地球観測年により、世界的な海洋観測の幕開けIOC※第1回会議にて各国への国立海洋資料センターの設立が決議「日本海洋資料センター(現:日本海洋データセンター)」(JODC)の設置海洋情報のインターネットでの 提供開始

2007年2008年

2010年2012年2019年

「海洋基本法」施行「第1期海洋基本計画」閣議決定海洋情報の一元的管理・提供が謳われる。「海洋情報クリアリングハウス」の運用を 開始「海洋台帳」の運用を開始「海しる」の運用を開始 「海洋台帳」を統合

1957年1961年

1965年

1995年

海洋情報部における海洋情報一元化に向けた取り組みJODC 海洋基本計画関連

今後の流氷の動向を予測今後の流氷の動向を予測流氷情報流氷情報

風向・風速風向・風速風浪・波浪状況の把握風浪・波浪状況の把握

黒潮流況黒潮流況船舶の効率的な運航計画立案船舶の効率的な運航計画立案

Page 28: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

航海安全を支える情報航海安全を支える情報海洋情報の利用推進海洋情報の利用推進

26 27

コラムコラム

 航路、航法など航行安全に必要な情報、海洋調査で得られた水深、潮流、潮汐などの情報を海図等の水路図誌として作製・刊行するとともに、水路通報、航行警報や海洋速報等により最新の情報提供を行っています。

海図の作製・刊行

 各海域、港湾の航路、航法など航行安全情報や、各地の港湾で実施した測量の成果や海潮流の観測成果などの資料を使用して航行安全情報等を図化し記載すると共に、水深のみならず航海の目標となる岬などの海岸地形や海岸の構造物、灯台などの航路標識の配置などを国際的に決められた記号や表現方法に基づき編集し、図の縮尺や区域も航海者の利用しやすいように設定して、正確で使いやすい海図を作製しています。 また、日本の港に入る船舶は日本の船舶だけとは限らず外国の船舶も多数入港します。海上保安庁は、外国の船舶がより使いやすいように日本語版と同じ内容(縮尺や区域など)で、すべて英語で記載された英語版海図を刊行し、世界中の海図販売所でプリントオンデマンド(POD)※により提供しています。※プリントオンデマンド印刷(POD:Print on Demand):注文に即時に応じて小部数 を短時間で、印刷すること。

低潮線について 海図に記載された低潮線

航海用海図

海図作製風景

日本海洋データセンター(JODC)

 日本海洋データセンター(JODC)は、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC※1)が推進する国際海洋データ・情報交換システム(IODE※2)における日本の代表機関(国立海洋データセンター:NODC※3)として、海の情報やデータを世界中の人々が活用できるように、海上保安庁などの官公庁や大学・研究機関などの海洋調査機関からなる海洋資料交換国内連絡会の連携のもと、観測データを一元的に収集し、インターネット等で多くの人へ提供を行っています。 また、JODCでは、効率的な調査が行われるように、国内の海洋調査機関から、いつ、どこでどんな調査が行われる予定か、行われたかという情報を収集し、海洋調査情報としてインターネット等により提供しています。

Japan Oceanographic Data Center

●航海安全のための刊行物として

 国連海洋法条約※において、領海の幅を測定するための通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とすることが規定されています。国内法においても低潮線及び低潮高地の低潮線は、海上保安庁が刊行する大縮尺の海図に記載されているところによると規定されています。海図は、航海安全を支える刊行物である一方、我が国の主権の範囲を規定する刊行物としての地位も有しています。※国連海洋法条約 第5条(通常の基線) この条約に別段の定めがある場合を除くほか、領海の幅を測定するための通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする。

低潮高地

低潮線

JODChttps://www.jodc.go.jp/jodcweb/index_j.html

※1 IOC:Intergovernmental Oceanographic Commission※2 IODE:International Oceanographic Data and information Exchange※3 NODC:National Oceanographic Data Center

 海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)は、政府機関、大学、地方公共団体等が保有する海洋情報について、どこにどのような情報があり、どうすれば入手できるのかをインターネットから一元的に検索できるシステムです。取り扱う情報は、水温や海流、海上気象などの自然科学系情報に限らず、海洋に関する法律や防災情報といった社会情報なども対象としており、オンライン、オフラインなど各媒体の情報を対象にしています。

海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)

マリンページhttps://www.mich.go.jp

所在情報の一例海洋物理………………水温、塩分、海流・潮流、潮汐・潮位・水位海洋化学………………塩分、溶存酸素、栄養塩、微量元素海洋環境………………水素イオン濃度、プラスチック、漂流物、海洋生物生態系………生物分類、バイオマスエネルギー鉱物資源…石油・ガス、ガスハイドレート 等

海図のもう一つの役割~主権の範囲を規定する刊行物として~海図のもう一つの役割~主権の範囲を規定する刊行物として~

Page 29: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

航海安全を支える情報航海安全を支える情報海洋情報の利用推進海洋情報の利用推進

26 27

コラムコラム

 航路、航法など航行安全に必要な情報、海洋調査で得られた水深、潮流、潮汐などの情報を海図等の水路図誌として作製・刊行するとともに、水路通報、航行警報や海洋速報等により最新の情報提供を行っています。

海図の作製・刊行

 各海域、港湾の航路、航法など航行安全情報や、各地の港湾で実施した測量の成果や海潮流の観測成果などの資料を使用して航行安全情報等を図化し記載すると共に、水深のみならず航海の目標となる岬などの海岸地形や海岸の構造物、灯台などの航路標識の配置などを国際的に決められた記号や表現方法に基づき編集し、図の縮尺や区域も航海者の利用しやすいように設定して、正確で使いやすい海図を作製しています。 また、日本の港に入る船舶は日本の船舶だけとは限らず外国の船舶も多数入港します。海上保安庁は、外国の船舶がより使いやすいように日本語版と同じ内容(縮尺や区域など)で、すべて英語で記載された英語版海図を刊行し、世界中の海図販売所でプリントオンデマンド(POD)※により提供しています。※プリントオンデマンド印刷(POD:Print on Demand):注文に即時に応じて小部数 を短時間で、印刷すること。

低潮線について 海図に記載された低潮線

航海用海図

海図作製風景

日本海洋データセンター(JODC)

 日本海洋データセンター(JODC)は、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC※1)が推進する国際海洋データ・情報交換システム(IODE※2)における日本の代表機関(国立海洋データセンター:NODC※3)として、海の情報やデータを世界中の人々が活用できるように、海上保安庁などの官公庁や大学・研究機関などの海洋調査機関からなる海洋資料交換国内連絡会の連携のもと、観測データを一元的に収集し、インターネット等で多くの人へ提供を行っています。 また、JODCでは、効率的な調査が行われるように、国内の海洋調査機関から、いつ、どこでどんな調査が行われる予定か、行われたかという情報を収集し、海洋調査情報としてインターネット等により提供しています。

Japan Oceanographic Data Center

●航海安全のための刊行物として

 国連海洋法条約※において、領海の幅を測定するための通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とすることが規定されています。国内法においても低潮線及び低潮高地の低潮線は、海上保安庁が刊行する大縮尺の海図に記載されているところによると規定されています。海図は、航海安全を支える刊行物である一方、我が国の主権の範囲を規定する刊行物としての地位も有しています。※国連海洋法条約 第5条(通常の基線) この条約に別段の定めがある場合を除くほか、領海の幅を測定するための通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする。

低潮高地

低潮線

JODChttps://www.jodc.go.jp/jodcweb/index_j.html

※1 IOC:Intergovernmental Oceanographic Commission※2 IODE:International Oceanographic Data and information Exchange※3 NODC:National Oceanographic Data Center

 海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)は、政府機関、大学、地方公共団体等が保有する海洋情報について、どこにどのような情報があり、どうすれば入手できるのかをインターネットから一元的に検索できるシステムです。取り扱う情報は、水温や海流、海上気象などの自然科学系情報に限らず、海洋に関する法律や防災情報といった社会情報なども対象としており、オンライン、オフラインなど各媒体の情報を対象にしています。

海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)

マリンページhttps://www.mich.go.jp

所在情報の一例海洋物理………………水温、塩分、海流・潮流、潮汐・潮位・水位海洋化学………………塩分、溶存酸素、栄養塩、微量元素海洋環境………………水素イオン濃度、プラスチック、漂流物、海洋生物生態系………生物分類、バイオマスエネルギー鉱物資源…石油・ガス、ガスハイドレート 等

海図のもう一つの役割~主権の範囲を規定する刊行物として~海図のもう一つの役割~主権の範囲を規定する刊行物として~

Page 30: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の利用推進海洋情報の利用推進

コラムコラム 新たな電子海図への対応新たな電子海図への対応

28 29

 海上作業、航路標識の移設、航路障害物や浅瀬の存在、海上演習、海底火山の噴火や地震・津波といった船舶交通の安全のために必要な情報を「水路通報」、「航行警報」として提供しています。 水路通報は、週1回発行し、インターネットで提供しています。また、管区水路通報は、インターネット、ファックス等で提供しています。 航行警報は、船舶に緊急に周知する必要がある情報を海域別に異なる手段で発信しています。人工衛星を利用した「NAVAREA XI航行警報」、無線を利用した「NAVTEX航行警報」、インターネットでの「日本航行警報」、音声での「地域航行警報」として放送しています。 水路通報・航行警報で扱う情報は、海上保安庁内で得られるもののほか、 他機関や一般船舶からも入手しています。 水路通報・航行警報は、利用者が視覚的に、容易にその海域を把握することができるようにビジュアル情報としてインターネットでも提供しています(スマートフォン利用可)。

補正図の例

スマホ向けビジュアル情報ページ

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/vpage/mobile/visualpage.html

航海用電子海図刊行区域

小縮尺セル 大縮尺セル

電子海図表示システム(ECDIS)

航跡 自船位置 危険物に接近危険時の警報機能

警告

警報音

電子海図表示システムの例

航海用電子海図のセルの単位での提供概念図

必要なセル単位での提供

電子海図 水路通報・航行警報 船舶の安全で効率的な運航を支えるため、海図情報を電子化した航海用電子海図を刊行しています。 小縮尺(縮尺8万分の1以下)により日本周辺海域をカバーするとともに日本沿岸の主要な港湾・航路を対象とした大縮尺の航海用電子海図を刊行しています。航海用電子海図は経緯度で区切られた矩形の海域(セル)単位で作製されており、必要な海域だけセル単位で入手することができます。 また、海岸線や水深など状況の変化にあわせて航海用電子海図の内容を更新するための「電子水路通報」をインターネットなどで提供しています。

 電子海図は、電子海図表示システム(ECDIS:Elec-tronic Chart Display and Information System)で表示することができ、常に自船位置や航路、針路、速力などをECDISのディスプレイ上に自動表示して把握することができます。 また、ECDISはレーダー映像の重ね合わせ表示、危険な海域に接近したときの警告・警報により、航海者の業務を軽減し、航海安全性と効率性を高めることができます。

セル区域データ領域

※「セル」とは、ENCの提供する最小単位で、ある大きさの緯度、経度の区域毎に情報がファイル化されたものです。

 海図の内容は船舶の安全確保のために、常に最新の状態に維持しなければなりません。 海図の記載内容に変化があった場合は、通常、水路通報により周知し、修正を行います。 水路通報では、手作業による海図の修正、右図のような補正図の貼付による修正の指示を行っています。 記載内容が大きく変化する場合は、海図を作り直す「改版」を行います。

●海図の最新維持

水路通報・航行警報の流れ

 現行の電子海図の規格は、策定から約30年が経過しており、拡張性を考慮した柔軟な対応が困難で、船上において、関連する情報を電子海図に重ね合わせて表示し、利用したいとのニーズに対応できないなど、多くの課題を抱えています。  例えば、航海計画を立てる際に、航行警報(P.29)や水路誌(P.31)等の情報を、航海者自らが、別途紙媒体等により確認する必要があり、手間と時間がかかっています。 この様なことから、国際水路機関(IHO)において、船橋における航海情報の統合運用を推進し、船舶交通の安全性や乗組員の利便性を向上させるため、新たな規格の策定が進められています。 新規格の電子海図は、海図の情報だけでなく、水路誌の情報、潮汐や気象などの情報を電子海図表示システム(ECDIS)に重ね合わせて表示することが可能となります。そのため、これまで別の手法を用いて確認していた作業をECDIS上で行うことができるようになり、船舶交通の安全性や乗組員の利便性が著しく向上します。 現在、海上保安庁は、新規格の電子海図などの刊行に向けて準備を進めています。

(通報する事象の例)利用者

航路標識の新設、変更、異常 NAVAREA XI

航行警報

NAVTEX航行警報

日  本航行警報

地域航行警報

海上作業水路通報

管区水路通報

海上保安庁

印刷物(小改正通報に限る)

インマルサット衛星

NAVTEX送信局

漁業用海岸局・共同通信社

ファックス・Eメール

インターネット

自動印刷電信

自動印刷電信

無線電話

無線放送・Eメール等

管区海上保安本部

航路障害物の存在

地震・津波

海  賊

国際船舶・港湾保安法に基づく保安レベルの公示

国民保護法制に基づく警報の伝達

Page 31: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の利用推進海洋情報の利用推進

コラムコラム 新たな電子海図への対応新たな電子海図への対応

28 29

 海上作業、航路標識の移設、航路障害物や浅瀬の存在、海上演習、海底火山の噴火や地震・津波といった船舶交通の安全のために必要な情報を「水路通報」、「航行警報」として提供しています。 水路通報は、週1回発行し、インターネットで提供しています。また、管区水路通報は、インターネット、ファックス等で提供しています。 航行警報は、船舶に緊急に周知する必要がある情報を海域別に異なる手段で発信しています。人工衛星を利用した「NAVAREA XI航行警報」、無線を利用した「NAVTEX航行警報」、インターネットでの「日本航行警報」、音声での「地域航行警報」として放送しています。 水路通報・航行警報で扱う情報は、海上保安庁内で得られるもののほか、 他機関や一般船舶からも入手しています。 水路通報・航行警報は、利用者が視覚的に、容易にその海域を把握することができるようにビジュアル情報としてインターネットでも提供しています(スマートフォン利用可)。

補正図の例

スマホ向けビジュアル情報ページ

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/vpage/mobile/visualpage.html

航海用電子海図刊行区域

小縮尺セル 大縮尺セル

電子海図表示システム(ECDIS)

航跡 自船位置 危険物に接近危険時の警報機能

警告

警報音

電子海図表示システムの例

航海用電子海図のセルの単位での提供概念図

必要なセル単位での提供

電子海図 水路通報・航行警報 船舶の安全で効率的な運航を支えるため、海図情報を電子化した航海用電子海図を刊行しています。 小縮尺(縮尺8万分の1以下)により日本周辺海域をカバーするとともに日本沿岸の主要な港湾・航路を対象とした大縮尺の航海用電子海図を刊行しています。航海用電子海図は経緯度で区切られた矩形の海域(セル)単位で作製されており、必要な海域だけセル単位で入手することができます。 また、海岸線や水深など状況の変化にあわせて航海用電子海図の内容を更新するための「電子水路通報」をインターネットなどで提供しています。

 電子海図は、電子海図表示システム(ECDIS:Elec-tronic Chart Display and Information System)で表示することができ、常に自船位置や航路、針路、速力などをECDISのディスプレイ上に自動表示して把握することができます。 また、ECDISはレーダー映像の重ね合わせ表示、危険な海域に接近したときの警告・警報により、航海者の業務を軽減し、航海安全性と効率性を高めることができます。

セル区域データ領域

※「セル」とは、ENCの提供する最小単位で、ある大きさの緯度、経度の区域毎に情報がファイル化されたものです。

 海図の内容は船舶の安全確保のために、常に最新の状態に維持しなければなりません。 海図の記載内容に変化があった場合は、通常、水路通報により周知し、修正を行います。 水路通報では、手作業による海図の修正、右図のような補正図の貼付による修正の指示を行っています。 記載内容が大きく変化する場合は、海図を作り直す「改版」を行います。

●海図の最新維持

水路通報・航行警報の流れ

 現行の電子海図の規格は、策定から約30年が経過しており、拡張性を考慮した柔軟な対応が困難で、船上において、関連する情報を電子海図に重ね合わせて表示し、利用したいとのニーズに対応できないなど、多くの課題を抱えています。  例えば、航海計画を立てる際に、航行警報(P.29)や水路誌(P.31)等の情報を、航海者自らが、別途紙媒体等により確認する必要があり、手間と時間がかかっています。 この様なことから、国際水路機関(IHO)において、船橋における航海情報の統合運用を推進し、船舶交通の安全性や乗組員の利便性を向上させるため、新たな規格の策定が進められています。 新規格の電子海図は、海図の情報だけでなく、水路誌の情報、潮汐や気象などの情報を電子海図表示システム(ECDIS)に重ね合わせて表示することが可能となります。そのため、これまで別の手法を用いて確認していた作業をECDIS上で行うことができるようになり、船舶交通の安全性や乗組員の利便性が著しく向上します。 現在、海上保安庁は、新規格の電子海図などの刊行に向けて準備を進めています。

(通報する事象の例)利用者

航路標識の新設、変更、異常 NAVAREA XI

航行警報

NAVTEX航行警報

日  本航行警報

地域航行警報

海上作業水路通報

管区水路通報

海上保安庁

印刷物(小改正通報に限る)

インマルサット衛星

NAVTEX送信局

漁業用海岸局・共同通信社

ファックス・Eメール

インターネット

自動印刷電信

自動印刷電信

無線電話

無線放送・Eメール等

管区海上保安本部

航路障害物の存在

地震・津波

海  賊

国際船舶・港湾保安法に基づく保安レベルの公示

国民保護法制に基づく警報の伝達

Page 32: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の利用推進海洋情報の利用推進

30 31

 海図とともに使用する、航海の安全を支える情報誌です。航路、航法、港湾施設などに関する事項や水路測量、潮汐・潮流の観測などの成果をとりまとめ刊行しています。水路書誌には海図に表現できない港湾・航路・気象・海象の概要を記載した水路誌をはじめ、航路標識の状況、潮汐、潮流の予測値、惑星・恒星等の位置などを記載した特殊書誌があります。

リアルタイム験潮データの提供

海洋速報

刊行書誌(抜粋)水路誌、灯台表、潮汐表、天測暦

国内水路誌の記載例

水路書誌

 日本の近海を流れる黒潮は、流速が速く(3~4ノット程度)、船舶交通や漁業等の海洋活動に大きな影響を与えます。 海洋速報では、この黒潮流路についての情報を毎日提供しており、その情報は船舶の経済的な運航のためにも利用されています。

海洋速報

 全国20カ所の験潮所で得られる潮汐データは、インターネットでリアルタイムに提供しています。 リアルタイム験潮データは、潮汐の推算、水深測量時の水深の補正、海流変動の調査などの基礎資料になるとともに、地殻変動監視にも利用されています。また津波の把握にも不可欠なデータとなります。

リアルタイム験潮データ

 航路標識の変更など海図を最新維持するために必要な情報や海上作業などの情報を提供●水路通報

 緊急に知らせる必要のある灯台の消灯、航行の障害となる漂流物、ふくそう海域における長大物の曳航、海上演習などの情報を提供

●航行警報

*世界を21に分割した区域のうち日本はXI区域の調整国を担当

種類

水路通報

管区水路通報

対象海域 提供頻度 使用語 提供方法

太平洋、インド洋及び周辺諸海域(下図参照) 原則として毎週1回 日本語

英語

日本語

インターネット

管区海上保安本部の担任水域とその付近

原則として毎週1回又は随時

インターネット、Eメール、ファックス等

水 路 誌(日本語版・英語版)

特殊書誌

種類

NAVAREA XI航行警報*

NAVTEX航行警報

地域航行警報

日本航行警報

対象海域 提供頻度 使用語 提供方法

大洋を航行する船舶 定時(1日2回)及び随時 英語

日本語英語

日本語英語

インマルサット衛星による自動受信方式、インターネット

距岸約300海里以内の沿岸海域を航行する船舶 定時(1日6回)及び随時 自動受信方式、

インターネット

港及びその付近を航行する船舶 定時(1日2回)及び随時 無線電話、インターネット

日本語太平洋、インド洋及び周辺諸海域を航行する日本船舶 定時(1日2回)及び随時

無線放送、Eメール、インターネット等

水 路 図 誌 の 種 類

本州南・東岸  本州北西岸  瀬戸内海  北海道沿岸  九州沿岸

大洋航路誌  近海航路誌  距離表  灯台表(第1巻、第2巻)  天測計算表  天測暦天測略暦  潮汐表  水路図誌使用の手引き  水路図誌目録(英語版もあり)

●水路通報 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/tuho/nm.html●航行警報 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/keiho/navarea11.html●水路通報・航行警報位置図(ビジュアルページ)      https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/vpage/visualpage.html

水路通報・航行警報インターネットURL

Page 33: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の利用推進海洋情報の利用推進

30 31

 海図とともに使用する、航海の安全を支える情報誌です。航路、航法、港湾施設などに関する事項や水路測量、潮汐・潮流の観測などの成果をとりまとめ刊行しています。水路書誌には海図に表現できない港湾・航路・気象・海象の概要を記載した水路誌をはじめ、航路標識の状況、潮汐、潮流の予測値、惑星・恒星等の位置などを記載した特殊書誌があります。

リアルタイム験潮データの提供

海洋速報

刊行書誌(抜粋)水路誌、灯台表、潮汐表、天測暦

国内水路誌の記載例

水路書誌

 日本の近海を流れる黒潮は、流速が速く(3~4ノット程度)、船舶交通や漁業等の海洋活動に大きな影響を与えます。 海洋速報では、この黒潮流路についての情報を毎日提供しており、その情報は船舶の経済的な運航のためにも利用されています。

海洋速報

 全国20カ所の験潮所で得られる潮汐データは、インターネットでリアルタイムに提供しています。 リアルタイム験潮データは、潮汐の推算、水深測量時の水深の補正、海流変動の調査などの基礎資料になるとともに、地殻変動監視にも利用されています。また津波の把握にも不可欠なデータとなります。

リアルタイム験潮データ

 航路標識の変更など海図を最新維持するために必要な情報や海上作業などの情報を提供●水路通報

 緊急に知らせる必要のある灯台の消灯、航行の障害となる漂流物、ふくそう海域における長大物の曳航、海上演習などの情報を提供

●航行警報

*世界を21に分割した区域のうち日本はXI区域の調整国を担当

種類

水路通報

管区水路通報

対象海域 提供頻度 使用語 提供方法

太平洋、インド洋及び周辺諸海域(下図参照) 原則として毎週1回 日本語

英語

日本語

インターネット

管区海上保安本部の担任水域とその付近

原則として毎週1回又は随時

インターネット、Eメール、ファックス等

水 路 誌(日本語版・英語版)

特殊書誌

種類

NAVAREA XI航行警報*

NAVTEX航行警報

地域航行警報

日本航行警報

対象海域 提供頻度 使用語 提供方法

大洋を航行する船舶 定時(1日2回)及び随時 英語

日本語英語

日本語英語

インマルサット衛星による自動受信方式、インターネット

距岸約300海里以内の沿岸海域を航行する船舶 定時(1日6回)及び随時 自動受信方式、

インターネット

港及びその付近を航行する船舶 定時(1日2回)及び随時 無線電話、インターネット

日本語太平洋、インド洋及び周辺諸海域を航行する日本船舶 定時(1日2回)及び随時

無線放送、Eメール、インターネット等

水 路 図 誌 の 種 類

本州南・東岸  本州北西岸  瀬戸内海  北海道沿岸  九州沿岸

大洋航路誌  近海航路誌  距離表  灯台表(第1巻、第2巻)  天測計算表  天測暦天測略暦  潮汐表  水路図誌使用の手引き  水路図誌目録(英語版もあり)

●水路通報 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/tuho/nm.html●航行警報 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/keiho/navarea11.html●水路通報・航行警報位置図(ビジュアルページ)      https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/vpage/visualpage.html

水路通報・航行警報インターネットURL

Page 34: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の利用推進

32 33

コラムコラム

潮汐推算・潮流推算 潮汐については日本全国数百カ所における推算値をインターネットで提供してます。西暦元年から2100年のまでの任意の日時について推算値を得ることができます。 潮流については東京湾、伊勢湾、瀬戸内海において任意の日時(西暦元年~2100年)の潮流を推算し、提供しています。

海氷情報センター 北海道のオホーツク沿岸では1月ごろから海氷が見られ、冬の風物詩としてニュースで紹介されます。船舶にとって海氷は、航行安全上危険な障害物となるため海氷の情報が欠かせません。海上保安庁では、毎年12月20日から翌年4月末頃までの期間、第一管区海上保安本部に「海氷情報センター」を開設して、北海道周辺海域の海氷に関する情報(海氷速報)を、毎日、インターネットで提供しています。 また、最近では航行安全情報としての利用だけでなく北海道の冬の流氷観光情報としても注目を集めています。※海氷とは、海水が凍結してできた氷、海上にある氷の総称。

潮流推算の提供

海氷速報

海氷の中を進む巡視船「宗谷」〈昭和53年(1978年)〉

海洋状況表示システム(海しる)での表示例

海氷情報センターhttps://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/1center.html

 我が国は、海図の世界的な統一を図るために設立された国際水路機関に加盟し、様々な国際会議において水路分野における基準策定に寄与するとともに、各国と水路データ・情報の交換を実施するなど世界的な協力関係を構築しています。また、東アジア及び東南アジア各国と地域的な水路業務の連携を図るため、国際水路機関の下に設置されている東アジア水路委員会に参画しています。 海外技術協力の分野でも、我が国は毎年開発途上国の水路技術者に対して研修を実施する等、各国の水路業務の発展に貢献しています。

国際水路機関(IHO:International Hydrographic Organization)

地域水路委員会(RHC:Regional Hydrographic Commission)

 国際水路機関(IHO)は、世界の航海をより容易かつ安全にするため、海図や水路誌などの国際基準を策定し、諮問的かつ純粋に技術的な事項を扱う機関として昭和45年(1970年)に「国際水路機関条約」に基づき設立されました。令和2年(2020年)1月現在、93カ国が加盟し、事務局はモナコ公国に置かれています。 平成28年(2016年)11月、国際水路機関条約が設立以来初めて改正され、今まで5年毎だった総会が3年毎の開催となる等、日進月歩の情報通信技術や海洋調査技術などに対応し、より迅速な意思決定が可能となりました。今後、電子海図の利便性向上等により、航海安全に加え、海洋開発、海洋環境保全、防災・災害対応等の海洋活動の基礎となる海洋情報整備の促進も期待されます。

 我が国は、国際水路機関(IHO)の地域水路委員会の1つである東アジア水路委員会(中国、インドネシア、日本、北朝鮮、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイが加盟している)に昭和46年の設立当初から参画しています。 東アジア水路委員会は、東アジア地域における技術的情報の交換や航海安全に資する地域内連携の調整等の活動を行っています。海上保安庁は、東アジア水路委員会設立当初から常設事務局を務めるとともに、地域内の水路業務先進国として域内各国の海洋情報業務の発展に寄与しています。平成30年9月からは、我が国が平成2年以来3度目となる東アジア水路委員会議長国に就任しています。

IHO加盟国(93カ国:青色部分)

第7回東アジア水路委員会運営委員会(東京)

IHO事務局(モナコ公国)海氷情報センター50年海氷情報センター50年

国際活動国際活動

 海氷情報センターは、昭和45年(1970年)3月に択捉島の単冠(ひとかっぷ)湾にて発生した、海氷による漁船の集団海難を契機に同年12月に開設されたもので、令和元年(2019年)12月の開所で50年を迎えました。 50年間で様々な技術が進歩し、船舶や航空機等からの情報に加え人工衛星画像からも海氷の分布状況等の解析が可能となりました。情報提供の方法についても、ラジオ放送からファックスへ、そしてファックスから、インターネットでの提供に変わってきています。webページについては、2019海氷年では1シーズン180万件以上のアクセスがあり、非常に多くの方々に利用されています。また、平成31年(2019年)4月より運用を開始した海洋状況表示システム(海しる P.8参照)においても情報提供を開始しています。 海氷情報センターでは、引き続き、海氷による船舶等の海難を防止するために、海氷の分布及び動向を迅速かつ的確に把握し、より正確な海氷情報の提供をしていきます。

Page 35: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海洋情報の利用推進

32 33

コラムコラム

潮汐推算・潮流推算 潮汐については日本全国数百カ所における推算値をインターネットで提供してます。西暦元年から2100年のまでの任意の日時について推算値を得ることができます。 潮流については東京湾、伊勢湾、瀬戸内海において任意の日時(西暦元年~2100年)の潮流を推算し、提供しています。

海氷情報センター 北海道のオホーツク沿岸では1月ごろから海氷が見られ、冬の風物詩としてニュースで紹介されます。船舶にとって海氷は、航行安全上危険な障害物となるため海氷の情報が欠かせません。海上保安庁では、毎年12月20日から翌年4月末頃までの期間、第一管区海上保安本部に「海氷情報センター」を開設して、北海道周辺海域の海氷に関する情報(海氷速報)を、毎日、インターネットで提供しています。 また、最近では航行安全情報としての利用だけでなく北海道の冬の流氷観光情報としても注目を集めています。※海氷とは、海水が凍結してできた氷、海上にある氷の総称。

潮流推算の提供

海氷速報

海氷の中を進む巡視船「宗谷」〈昭和53年(1978年)〉

海洋状況表示システム(海しる)での表示例

海氷情報センターhttps://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/1center.html

 我が国は、海図の世界的な統一を図るために設立された国際水路機関に加盟し、様々な国際会議において水路分野における基準策定に寄与するとともに、各国と水路データ・情報の交換を実施するなど世界的な協力関係を構築しています。また、東アジア及び東南アジア各国と地域的な水路業務の連携を図るため、国際水路機関の下に設置されている東アジア水路委員会に参画しています。 海外技術協力の分野でも、我が国は毎年開発途上国の水路技術者に対して研修を実施する等、各国の水路業務の発展に貢献しています。

国際水路機関(IHO:International Hydrographic Organization)

地域水路委員会(RHC:Regional Hydrographic Commission)

 国際水路機関(IHO)は、世界の航海をより容易かつ安全にするため、海図や水路誌などの国際基準を策定し、諮問的かつ純粋に技術的な事項を扱う機関として昭和45年(1970年)に「国際水路機関条約」に基づき設立されました。令和2年(2020年)1月現在、93カ国が加盟し、事務局はモナコ公国に置かれています。 平成28年(2016年)11月、国際水路機関条約が設立以来初めて改正され、今まで5年毎だった総会が3年毎の開催となる等、日進月歩の情報通信技術や海洋調査技術などに対応し、より迅速な意思決定が可能となりました。今後、電子海図の利便性向上等により、航海安全に加え、海洋開発、海洋環境保全、防災・災害対応等の海洋活動の基礎となる海洋情報整備の促進も期待されます。

 我が国は、国際水路機関(IHO)の地域水路委員会の1つである東アジア水路委員会(中国、インドネシア、日本、北朝鮮、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイが加盟している)に昭和46年の設立当初から参画しています。 東アジア水路委員会は、東アジア地域における技術的情報の交換や航海安全に資する地域内連携の調整等の活動を行っています。海上保安庁は、東アジア水路委員会設立当初から常設事務局を務めるとともに、地域内の水路業務先進国として域内各国の海洋情報業務の発展に寄与しています。平成30年9月からは、我が国が平成2年以来3度目となる東アジア水路委員会議長国に就任しています。

IHO加盟国(93カ国:青色部分)

第7回東アジア水路委員会運営委員会(東京)

IHO事務局(モナコ公国)海氷情報センター50年海氷情報センター50年

国際活動国際活動

 海氷情報センターは、昭和45年(1970年)3月に択捉島の単冠(ひとかっぷ)湾にて発生した、海氷による漁船の集団海難を契機に同年12月に開設されたもので、令和元年(2019年)12月の開所で50年を迎えました。 50年間で様々な技術が進歩し、船舶や航空機等からの情報に加え人工衛星画像からも海氷の分布状況等の解析が可能となりました。情報提供の方法についても、ラジオ放送からファックスへ、そしてファックスから、インターネットでの提供に変わってきています。webページについては、2019海氷年では1シーズン180万件以上のアクセスがあり、非常に多くの方々に利用されています。また、平成31年(2019年)4月より運用を開始した海洋状況表示システム(海しる P.8参照)においても情報提供を開始しています。 海氷情報センターでは、引き続き、海氷による船舶等の海難を防止するために、海氷の分布及び動向を迅速かつ的確に把握し、より正確な海氷情報の提供をしていきます。

Page 36: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

国際活動

34 35

海洋情報資料館・海の相談室

 デジタル機器やコンピューターが無かった頃、どのようにして海の深さや流れ、深海の水温を測定していたか、或いは潮の満ち引きを推算していたかなどを理解していただくため、実際に使用していた機器の実物のほか、日本で最初に作られた海図、海図作製の黎明期に用いられていた伊能図の模写図や海外の古地図など、歴史的に貴重な資料等を中心に展示しています。

 海上保安庁が刊行する最新の水路図誌及び関連資料を閲覧することができます。 また、潮汐・海流・水温・水深などの海に関するデータや、海図・水路書誌に関する相談をお受けしております。 研究者や仕事で海に携わる方だけでなく、広く一般の方々も利用できます。

●「海の相談室」~海洋情報の窓口~

●海洋情報資料館

●海洋情報資料館 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/kokai/kokai.html

(参考)明治初期に刊行された海図などはHPからもデジタルで閲覧できます。   ●海図アーカイブ インターネットアドレス    https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/kokai/kaizuArchive/index.html

●メールフォーム https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/SODAN/annai.html 検 索

●開館時間:10時~17時●休 館 日:火、木、土、年末年始(12月29日から1月3日)●入 館 料:無料●場  所:東京都江東区青海2-5-18 青海合同庁舎1F●電話番号:03-5500-7155●アクセス:ゆりかもめ「テレコムセンター」駅 徒歩5分 ※駐車場はありません。来館の際は公共交通機関をご利用ください。 ※郵便物については、裏表紙記載の「中央合同庁舎4号館 情報利用推進課 宛」  でお願いします。

海の相談室

検 索海洋情報資料館

 海上保安庁は、独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力し、アジアやアフリカなどの開発途上国において水路測量業務に従事する水路技術者を対象とした課題別研修「海図作製技術 -航行安全・防災のために-(国際認定資格B級)」コース(研修期間:約6カ月)を毎年実施しています。本研修では、研修の始まった昭和46年(1971年)から令和元年までに44カ国の水路技術者442名が修了し、修了生は各国の水路業務分野で活躍しています。

 令和元年8月、海上保安庁は、東アジア水路委員会議長国としてカンボジアの水路技術レベルを把握するために同国を訪れ、ロスバンナ首相補佐官への表敬挨拶を行い、同国内の測量技術や電子海図の状況についてカンボジア公共事業運輸省と議論したほか、同国の経済発展の鍵となるシアヌーク港で現地調査を実施し、水路技術の必要性について港湾公社に説明しました。また、同年10月にインドネシアで開催された東アジア水路委員会のMSI研修では、開催をサポートしたほか、同国からNAVAREA XI調整国である日本に講師派遣の要請があったため、2人の専門家を派遣しました。 海上保安庁は、引き続き人材育成プログラムへの貢献を続けていきます。

 海上交通の要所であるマラッカ・シンガポール海峡では、沿岸三カ国(マレーシア、シンガポール、インドネシア)からの要請により、大型化が進む船舶の航行安全を図るため、平成26年(2014年)から共同水路再測量のプロジェクトが進んでいます。海上保安庁海洋情報部は、昭和44年(1969年)に実施された共同水路測量を始めとして、同海峡における水路測量の支援を続けており、本プロジェクトをバックアップしています。 平成28年までに緊急を要する5海域(図中黄色部)の共同水路再測量が終了し、現在は分離通行帯(図中桃色部)の共同水路再測量を実施しています。本プロジェクトは令和2年に完了し、測量成果として、同海峡の電子海図が刊行される予定となっています。

シアヌーク港の視察海洋情報部長によるカンボジア首相補佐官表敬訪問

「海図作製技術 -航行安全・防災のために-(国際認定資格B級)」コース

マラッカ・シンガポール海峡における共同水路再測量対象海域

人材育成支援

海外技術協力

インフォメーションインフォメーション

Page 37: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

国際活 動

34 35

海洋情報資料館・海の相談室

 デジタル機器やコンピューターが無かった頃、どのようにして海の深さや流れ、深海の水温を測定していたか、或いは潮の満ち引きを推算していたかなどを理解していただくため、実際に使用していた機器の実物のほか、日本で最初に作られた海図、海図作製の黎明期に用いられていた伊能図の模写図や海外の古地図など、歴史的に貴重な資料等を中心に展示しています。

 海上保安庁が刊行する最新の水路図誌及び関連資料を閲覧することができます。 また、潮汐・海流・水温・水深などの海に関するデータや、海図・水路書誌に関する相談をお受けしております。 研究者や仕事で海に携わる方だけでなく、広く一般の方々も利用できます。

●「海の相談室」~海洋情報の窓口~

●海洋情報資料館

●海洋情報資料館 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/kokai/kokai.html

(参考)明治初期に刊行された海図などはHPからもデジタルで閲覧できます。   ●海図アーカイブ インターネットアドレス    https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/kokai/kaizuArchive/index.html

●メールフォーム https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/SODAN/annai.html 検 索

●開館時間:10時~17時●休 館 日:火、木、土、年末年始(12月29日から1月3日)●入 館 料:無料●場  所:東京都江東区青海2-5-18 青海合同庁舎1F●電話番号:03-5500-7155●アクセス:ゆりかもめ「テレコムセンター」駅 徒歩5分 ※駐車場はありません。来館の際は公共交通機関をご利用ください。 ※郵便物については、裏表紙記載の「中央合同庁舎4号館 情報利用推進課 宛」  でお願いします。

海の相談室

検 索海洋情報資料館

 海上保安庁は、独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力し、アジアやアフリカなどの開発途上国において水路測量業務に従事する水路技術者を対象とした課題別研修「海図作製技術 -航行安全・防災のために-(国際認定資格B級)」コース(研修期間:約6カ月)を毎年実施しています。本研修では、研修の始まった昭和46年(1971年)から令和元年までに44カ国の水路技術者442名が修了し、修了生は各国の水路業務分野で活躍しています。

 令和元年8月、海上保安庁は、東アジア水路委員会議長国としてカンボジアの水路技術レベルを把握するために同国を訪れ、ロスバンナ首相補佐官への表敬挨拶を行い、同国内の測量技術や電子海図の状況についてカンボジア公共事業運輸省と議論したほか、同国の経済発展の鍵となるシアヌーク港で現地調査を実施し、水路技術の必要性について港湾公社に説明しました。また、同年10月にインドネシアで開催された東アジア水路委員会のMSI研修では、開催をサポートしたほか、同国からNAVAREA XI調整国である日本に講師派遣の要請があったため、2人の専門家を派遣しました。 海上保安庁は、引き続き人材育成プログラムへの貢献を続けていきます。

 海上交通の要所であるマラッカ・シンガポール海峡では、沿岸三カ国(マレーシア、シンガポール、インドネシア)からの要請により、大型化が進む船舶の航行安全を図るため、平成26年(2014年)から共同水路再測量のプロジェクトが進んでいます。海上保安庁海洋情報部は、昭和44年(1969年)に実施された共同水路測量を始めとして、同海峡における水路測量の支援を続けており、本プロジェクトをバックアップしています。 平成28年までに緊急を要する5海域(図中黄色部)の共同水路再測量が終了し、現在は分離通行帯(図中桃色部)の共同水路再測量を実施しています。本プロジェクトは令和2年に完了し、測量成果として、同海峡の電子海図が刊行される予定となっています。

シアヌーク港の視察海洋情報部長によるカンボジア首相補佐官表敬訪問

「海図作製技術 -航行安全・防災のために-(国際認定資格B級)」コース

マラッカ・シンガポール海峡における共同水路再測量対象海域

人材育成支援

海外技術協力

インフォメーションインフォメーション

Page 38: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

職員募集

36 37

管理職へ

採用情報

海洋調査・海洋情報のスペシャリストを目指す

海洋情報編集官

研究官

観測士

海洋情報部のキャリアパス

総合職試験

詳しい情報は、海洋情報部などのホームページから確認できます。

【総合職・専門職】 ●海上保安庁海洋情報部 採用情報 … https://www1.kaiho.mlit.go.jp/saiyo.html

【その他の採用】 ●海上保安庁 職員採用情報 … https://www.kaiho.mlit.go.jp/ope/saiyou/top.html

採用HP

大卒以上を対象として、海洋情報部の幹部候補職員を採用します。

専門職試験 概ね30歳までの高卒以上を対象として、海洋情報部の一般(技術系)職員を採用します。海上保安学校(海洋科学課程)で、1年間の専門教育を受けます。※右頁参照

その他の採用 専門的な知識・能力を有する職員を中途採用します。 (不定期)

 測量船や航空機に乗って、日本周辺海域の水深や潮流・潮汐の調査などを行い、航海安全や海洋権益の確保などに資する資料の作成等を行います。

 海上保安学校にて1年間の専門教育を受けた後、海洋情報部職員として、本庁(東京)や全国各地の管区本部などで海洋情報業務に従事します。

沿岸調査官

 地震・火山噴火等の自然災害の防災・減災のために、海底地殻変動観測や海域火山調査を実施します。

海洋防災調査官

 調査等で得られた多くの海洋情報をもとに、航海安全に不可欠な海図・水路書誌の作製・刊行を行います。

海洋情報編集官

 政府関係機関等が収集したさまざまな海洋情報を集約し、WebGISサービス「海しる」を通じて一体的・効果的な情報提供を行います。

海洋空間情報官

 海洋情報業務に関する国際機関や外国との連絡調整や途上国の技術者に対する研修を行います。

国際業務官

 海洋調査や海洋情報に関する研究を行い、成果を学会などで発表します。研究官

 本庁に所属する測量船の乗組員として、日本周辺海域の観測・調査を行います。

観測士

 航海安全を支えるため、海図の編集に必要な資料の収集・調査を行います。調査などで収集した情報をもとに、管区水路通報・地域航行警報などの発出を行います。

情報係

 港湾や沿岸域の水深や海潮流、潮汐の調査などを実施します。測量などで収集したデータを解析し、海図などの航海安全情報の元となる資料の作成などを行います。

海洋調査官

●海上保安学校(海洋科学課程)

●卒業後の業務(一例)

 国家公務員として1年間の専門教育(給与支給あり)を経て、本庁(東京)や全国各地の管区本部などで勤務します。 航海安全のために必要な水深や海流など、さまざまな海洋データを収集・解析し、情報提供する専門の海上保安官を育てる課程です。海洋権益の確保・航海安全・防災・海洋環境の保全等に資する、海洋調査・海図編集・海洋情報の提供などの業務で必要となる水路測量等の知識・技能を修得します。

職員募集職員募集

 本庁勤務と管区勤務を繰り返しながら、現場のエキスパートとして海洋情報業務を支えるための経験を積んでいきます。

調査・観測作業、情報

提供 調査計画立案、現場指

揮、etc.海上保安学校卒業

海上保安学校卒業

官付・係員(管区・本庁)官付・係員(管区・本庁)

係長(管区)係長(管区)

係長(本庁)係長(本庁)

課長(管区)課長(管区)

課長補佐級(本庁)課長補佐級(本庁)

管区本部

本庁海洋情報部

Page 39: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

職 員募集

36 37

管理職へ

採用情報

海洋調査・海洋情報のスペシャリストを目指す

海洋情報編集官

研究官

観測士

海洋情報部のキャリアパス

総合職試験

詳しい情報は、海洋情報部などのホームページから確認できます。

【総合職・専門職】 ●海上保安庁海洋情報部 採用情報 … https://www1.kaiho.mlit.go.jp/saiyo.html

【その他の採用】 ●海上保安庁 職員採用情報 … https://www.kaiho.mlit.go.jp/ope/saiyou/top.html

採用HP

大卒以上を対象として、海洋情報部の幹部候補職員を採用します。

専門職試験 概ね30歳までの高卒以上を対象として、海洋情報部の一般(技術系)職員を採用します。海上保安学校(海洋科学課程)で、1年間の専門教育を受けます。※右頁参照

その他の採用 専門的な知識・能力を有する職員を中途採用します。 (不定期)

 測量船や航空機に乗って、日本周辺海域の水深や潮流・潮汐の調査などを行い、航海安全や海洋権益の確保などに資する資料の作成等を行います。

 海上保安学校にて1年間の専門教育を受けた後、海洋情報部職員として、本庁(東京)や全国各地の管区本部などで海洋情報業務に従事します。

沿岸調査官

 地震・火山噴火等の自然災害の防災・減災のために、海底地殻変動観測や海域火山調査を実施します。

海洋防災調査官

 調査等で得られた多くの海洋情報をもとに、航海安全に不可欠な海図・水路書誌の作製・刊行を行います。

海洋情報編集官

 政府関係機関等が収集したさまざまな海洋情報を集約し、WebGISサービス「海しる」を通じて一体的・効果的な情報提供を行います。

海洋空間情報官

 海洋情報業務に関する国際機関や外国との連絡調整や途上国の技術者に対する研修を行います。

国際業務官

 海洋調査や海洋情報に関する研究を行い、成果を学会などで発表します。研究官

 本庁に所属する測量船の乗組員として、日本周辺海域の観測・調査を行います。

観測士

 航海安全を支えるため、海図の編集に必要な資料の収集・調査を行います。調査などで収集した情報をもとに、管区水路通報・地域航行警報などの発出を行います。

情報係

 港湾や沿岸域の水深や海潮流、潮汐の調査などを実施します。測量などで収集したデータを解析し、海図などの航海安全情報の元となる資料の作成などを行います。

海洋調査官

●海上保安学校(海洋科学課程)

●卒業後の業務(一例)

 国家公務員として1年間の専門教育(給与支給あり)を経て、本庁(東京)や全国各地の管区本部などで勤務します。 航海安全のために必要な水深や海流など、さまざまな海洋データを収集・解析し、情報提供する専門の海上保安官を育てる課程です。海洋権益の確保・航海安全・防災・海洋環境の保全等に資する、海洋調査・海図編集・海洋情報の提供などの業務で必要となる水路測量等の知識・技能を修得します。

職員募集職員募集

 本庁勤務と管区勤務を繰り返しながら、現場のエキスパートとして海洋情報業務を支えるための経験を積んでいきます。

調査・観測作業、情報

提供 調査計画立案、現場指

揮、etc.海上保安学校卒業

海上保安学校卒業

官付・係員(管区・本庁)官付・係員(管区・本庁)

係長(管区)係長(管区)

係長(本庁)係長(本庁)

課長(管区)課長(管区)

課長補佐級(本庁)課長補佐級(本庁)

管区本部

本庁海洋情報部

Page 40: 海上保安庁海洋情報部 - MLIT · 海洋の調査と情報の提供を通じて、海洋立国日本の未来を拓く海洋情報部にご期待ください。 沿 革 海洋情報部

海上保安庁海洋情報部

海海をを拓拓くく

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・TEL 03-3595-3601・・・・・・・・・3595-3602

・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3603・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3604・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3605

・・・3595-3610

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3606・・・・・・・・・・3595-3607

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3609・・・・・・・・・・5500-7129

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3611

・・・・・・・・・・・・・3595-3614・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3615

・・・・・・・・・・3595-3613・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3616

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3595-3612

東京国際クルーズ

ターミナル

2020.3

海上保安庁海洋情報部Hydrographic and Oceanographic Department ,Japan Coast Guard〒100-8932 東京都千代田区霞が関3-1-1  中央合同庁舎第4号館

企 画 課 海洋調査運用室

技術・国際課 海洋研究室 国際業務室 海洋情報技術調整室

沿岸調査課 海洋防災調査室

大洋調査課 海洋汚染調査室

情報管理課

情報利用推進課 水路通報室 海洋空間情報室 図誌審査室 日本海洋データセンター

第一管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第二管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第三管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第四管区海上保安本部   海洋情報部 海の相談室

第五管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第六管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第七管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第八管区海上保安本部    海洋情報部 海の相談室

第九管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第十管区海上保安本部海洋情報部 海の相談室

第十一管区海上保安本部海洋情報監理課 海の相談室

〒047-8560北海道小樽市港町5-2

〒985-8507宮城県塩釜市貞山通3-4-1

〒231-8818神奈川県横浜市中区北仲通5-57

〒455-8528愛知県名古屋市港区入船2-3-12

〒650-8551兵庫県神戸市中央区波止場町1-1

〒734-8560広島県広島市南区宇品海岸3-10-17

〒801-8507福岡県北九州市門司区西海岸1-3-10

〒624-8686京都府舞鶴市字下福井901

〒950-8543新潟県新潟市中央区美咲町1-2-1

〒890-8510鹿児島県鹿児島市東郡元町4-1

〒900-8547沖縄県那覇市港町2-11-1

■海洋情報全般についての お問い合わせは 海洋情報資料館・海の相談室 TEL 03-5500-7155

海洋情報資料館・海の相談室海上保安庁 海洋情報部 青海合同庁舎

ゆりかもめ「テレコムセンター」駅下車、徒歩5分

■海上保安庁海洋情報部ホームページ URL: https://www1.kaiho.mlit.go.jp/

0134-27-0118㈹内線2511

022-363-0111㈹内線2511

045-211-1118㈹内線2511

052-661-1611㈹内線2511

078-391-6551㈹078-391-1299直通

082-251-5111㈹内線2520

093-321-2931㈹093-331-0033直通

0773-76-4100㈹0773-75-7373直通

025-285-0118㈹025-288-2620直通

099-250-9800㈹内線2511

098-867-0118㈹ 内線2511

東京メトロ 千代田線・丸ノ内線・日比谷線「霞ケ関」駅下車、徒歩5分

海上保安庁海洋情報部中央合同庁舎第4号館

■詳しいお問い合わせは 水路通報・航行警報について TEL 03-3595-3647 海図の複製使用について       3595-3620 職員の募集について         3595-3603

■各管区海洋情報部・海の相談室