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主催▶公益財団法人 SBS静岡健康増進センター、静岡新聞社・静岡放送  後援▶静岡県、 (一社)静岡県医師会、 (一社)静岡県歯科医師会、 (公社)静岡県薬剤師会、静岡市 公益財団法人 SBS 静岡健康増進センター 〒422-8033 静岡市駿河区登呂 3-1-1 電話▶054(282)1109 URL▶http://sbs-smc.or.jp ICT3 195359 83 86 98 201110 15285 10 80 調寿nervous使公益財団法人SBS静岡健康増進センター公開講座「聞いてなるほ ど! いきいきライフ」の 2016 年度シリーズ(全 5 回)の第 1 回が このほど、静岡市葵区のしずぎんホール「ユーフォニア」で行われ た。第 1 回の前半、県立こころの医療センター院長村上直人さんの 講演「中高年の病としての“うつ病”を考える」の内容を紹介する。 〈企画・制作/静岡新聞社事業部〉 中高年の病としての 〝 うつ 病 〟を 考える むらかみ・なおと 1983 年千葉大医学部卒。同年、浜松医大精神科 で精神療法、特に家族療法を中心とした精神医学を学ぶ。85年国立 療養所天竜病院で中学生の登校拒否を中心に児童思春期精神医学に従 事。89年好生会三方原病院。精神医学の本道である単科精神病院で の臨床に従事。92 ~ 2005年榛原総合病院精神科で榛南地区の地域 精神医学に従事。05年から現職。県内の重症例の診療のほか、精神科 救急や医療監察法を立ち上げる。 遠山所長 セミナー Dr.TOYAMA’ s eye 今年の健康講座は「カラダとココロに元気を」で す。登壇されたのはこころの医療センター村上院 長。テーマは中高年の病としてのうつ病で、香山 リカさん以来 6 年ぶりの心の病の講演でした。 その第一声、昔と今、日本と世界のうつ病の症状 は違いますが、共に心の病です。日本は自殺が多 く、今でも「日本人の健康脅威で堂々7位」。ちな みに第1 位腰痛、第9 位頭頸(けい)部痛(別名・ スマホ症候群)、共に弱筋日本の特徴です。またキ リスト教、イスラム教等は死んでも自殺は許さず 墓の中まで追いかけ厳しい罰を下します。 第二声、以前の躁(そう)うつ病と今のうつ病は 違い、全国で通院患者さんは 290 万人、内服薬多 く、薬品会社は大万歳ですが、病気とは思えない人 も多く、頭痛、不眠、めまい、肩こりが多発症状。 その原因の一つ(前にも書きましたが)、現在はス トレス社会。小家族主義、パソコン、メールの増 加で顔が見えない。人類の本能「群れる」を投げ捨 てた社会が生まれ、自分は自分、自分以外は他人の 世の中でいじめない苛(いじ)めが目立ち、声をか けても応答なし、誘っても何も言わずに昼飯1人 でコンビニ弁当、上司が善意で声掛けしてもパワ ハラ、嫌がらせと誤解され、仲間意識も職場で失 せ、家族、友人、なんだそれ世界となるでしょう。 ここで先生の一言。「いけません、職場で同僚は 必要でしょう。」救われました。私は職場の皆と golfのJ.I師匠、オノちゃんを大事にします。ハイ、 ジャジャジャン。
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中高年の病としての 〝うつ病〟を考える 誠実で真面目なほど ......主催 公益財団法人 SBS静岡健康増進センター、静岡新聞社・静岡放送

Aug 09, 2020

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Page 1: 中高年の病としての 〝うつ病〟を考える 誠実で真面目なほど ......主催 公益財団法人 SBS静岡健康増進センター、静岡新聞社・静岡放送

主催▶公益財団法人 SBS静岡健康増進センター、静岡新聞社・静岡放送 後援▶静岡県、(一社)静岡県医師会、(一社)静岡県歯科医師会、(公社)静岡県薬剤師会、静岡市

公益財団法人 SBS静岡健康増進センター〒422-8033 静岡市駿河区登呂 3-1-1 電話▶054(282)1109 URL▶http://sbs-smc.or.jp

増える新型うつ病

平成に入り、精神科に通院

されている方は年々増加して

おり、中でもうつ病などの気

分障害が著しく増加していま

す。う

つ病になりやすい性格が

あるのかどうか。結論から申

し上げますと、現在、うつ病

になりやすい特異な性格傾向

はないとされています。

かつて、うつ病になりやす

い性格として「責任感が強く、

きちょうめんな性格」という

イメージがありました。例え

ば、たんすや冷蔵庫の中身を

きちんと整理整頓するなど、

生活の諸事全般にわたり秩序

愛に特徴付けられるような性

格を「メランコリー親和型」

と呼びます。こうした性格の

人が、職場の異動や転居など、

たとえ昇進や新居の建築のよ

うな一見すると不幸とは思え

ない出来事も契機にしてうつ

病を発症します。私が研修医

の頃は、このような発症をす

る方が多くいました。

しかしながら近年、「新型

うつ病」「現代型うつ病」「デ

ィスチミア親和型うつ病」な

どと呼ばれる、従来とは異な

ったタイプのうつ病が増加し

てきました。例えば、「ディ

スチミア親和型」と呼ばれる

病前性格は、「メランコリー

親和型」とは異なり、社会的

役割や規範へのこだわりは認

められません。焦燥感や抑制、

疲弊、罪悪感などの症状より

も、不全感と倦怠(けんたい)

感、衝動的な自傷などが目立

つとされています。

治療においてうつ病には薬

物療法が極めて有効で、休息

と投薬により良好に職場復帰

できたのですが、近年のうつ

病は、いわゆる職場復帰訓練

など職場復帰に向けた準備を

入念に行うことが必要になる

ケースも多くなりました。

なお、うつ状態にある患者

さんは、常時憂うつな気分で

いるわけではなく、短時間で

気分が変わりやすいことには

注意すべきです。

職場環境の変化に要因

近年のうつ病の増加の原因

は、現代社会、特に職場にお

ける過重な心理的負荷に原因

があるとされ、これを「職場

結合性うつ病」と呼んでいま

す。長時間労働や職場規範の

厳格化、あるいはICT(情

報通信技術)の導入によって

あらゆる事がスピーディーに

なったことや、インターネッ

トや携帯電話の普及により仕

事のオン・オフの切り替えが

できにくくなっていることが

あります。また、職場での「わ

れわれ」という仲間意識や人

間関係の希薄化がハラスメン

トやいじめとなり、うつ病の

発症につながりやすいこと、

さらに家族関係の変化もその

背景にあるとしています。本

人の性格や素質に関わりのな

いところで、うつ病を発症し

てしまうのです。

明治中期から大正初期にか

けての「神経衰弱」の流行と

現代のうつ病の増加との類似

性について指摘する専門家も

います。明治維新と第二次大

戦後の高度成長という日本の

〝創業の時〞を過ぎて起きた

現象なのかもしれません。

うつ病に関連した現象とし

て、「自殺」の問題があります。

日本では戦後3回、自殺者が

増えた時期がありました。第

一のピークは1953〜59

年で、欧米と比較して、青年

や、特に女性と老人の自殺率

が著しく高いことが特徴で

した。第二のピークは83〜

86年、第三のピークは98〜

2011年で、このときは

中高年の男性の自殺が増加し

ました。日本やお隣の韓国は

世界的にみて自殺の多い国と

して知られ、文化的、宗教的

な要因があるとされます。わ

が国において自殺という現象

は、国民のメンタルヘルスを

映し出す鏡と言えましょう。

ナーバスに生きる

最後に、ターマン研究に

ついてお話しします。これ

は、1921年から、当時

10歳前後の成績優秀な児童

1528人を対象に、どの

ような人生を歩んでいくのか

5〜10年おきにインタビュー

を行い80年にわたり追跡調査

したものです。この中で心身

ともに健康で幸福な人生を歩

まれた人は、どんな人だった

のでしょう。少し意外な結果

が得られています。すなわち、

健康長寿を全うされた人の性

格は、勤勉で良心的、誠実で

真面目、慎重、思慮分別があ

り、粘り強い、準備万端怠り

ないというものでした。そこ

から浮かび上がってくる人物

像は、細かいことを気にしな

い性格とは程遠い人であると

いえます。

現在、「神経過敏」などネ

ガティブな意味で用いられる

「ナーバス(nervous)」

という言葉が、かつては「強

い、元気な」というポジティ

ブな意味で使用されていたこ

とと、この研究は重なり合う

ところがあるように思われま

す。ナーバスな生き方こそ、

幸福の秘訣と言えるかもしれ

ません。

全5回シリーズ

▼第1回・上▲

公益財団法人SBS静岡健康増進センター公開講座「聞いてなるほど! いきいきライフ」の2016年度シリーズ(全5回)の第1回がこのほど、静岡市葵区のしずぎんホール「ユーフォニア」で行われた。第1回の前半、県立こころの医療センター院長村上直人さんの講演「中高年の病としての“うつ病”を考える」の内容を紹介する。

〈企画・制作/静岡新聞社事業部〉

中高年の病としての  〝うつ病〟を考える

誠実で真面目なほど

   幸福で長生きに

村上直人さん

県立こころの医療センター

院長

むらかみ・なおと 1983年千葉大医学部卒。同年、浜松医大精神科で精神療法、特に家族療法を中心とした精神医学を学ぶ。85年国立療養所天竜病院で中学生の登校拒否を中心に児童思春期精神医学に従事。89年好生会三方原病院。精神医学の本道である単科精神病院での臨床に従事。92~ 2005年榛原総合病院精神科で榛南地区の地域精神医学に従事。05年から現職。県内の重症例の診療のほか、精神科救急や医療監察法を立ち上げる。

遠山所長の 健康セミナー Dr.TOYAMA’s eyeDr.TOYAMA’s eye

       1941年生まれ。県立

       静岡高、京都大医学部卒。

県立総合病院の外科医長、副院長を歴任

し、2006年よりSBS静岡健康増進

センター所長。

遠山和成

 今年の健康講座は「カラダとココロに元気を」です。登壇されたのはこころの医療センター村上院長。テーマは中高年の病としてのうつ病で、香山リカさん以来6年ぶりの心の病の講演でした。 その第一声、昔と今、日本と世界のうつ病の症状は違いますが、共に心の病です。日本は自殺が多く、今でも「日本人の健康脅威で堂々7位」。ちなみに第1位腰痛、第9位頭頸(けい)部痛(別名・スマホ症候群)、共に弱筋日本の特徴です。またキリスト教、イスラム教等は死んでも自殺は許さず墓の中まで追いかけ厳しい罰を下します。 第二声、以前の躁(そう)うつ病と今のうつ病は違い、全国で通院患者さんは290万人、内服薬多く、薬品会社は大万歳ですが、病気とは思えない人

も多く、頭痛、不眠、めまい、肩こりが多発症状。その原因の一つ(前にも書きましたが)、現在はストレス社会。小家族主義、パソコン、メールの増加で顔が見えない。人類の本能「群れる」を投げ捨てた社会が生まれ、自分は自分、自分以外は他人の世の中でいじめない苛(いじ)めが目立ち、声をかけても応答なし、誘っても何も言わずに昼飯1人でコンビニ弁当、上司が善意で声掛けしてもパワハラ、嫌がらせと誤解され、仲間意識も職場で失せ、家族、友人、なんだそれ世界となるでしょう。 ここで先生の一言。「いけません、職場で同僚は必要でしょう。」救われました。私は職場の皆とgolfのJ.I師匠、オノちゃんを大事にします。ハイ、ジャジャジャン。