DME燃料利用機器開発事業の周辺動向調査 参考資料 3
DME燃料利用機器開発事業の周辺動向調査
参考資料 3
エネルギーセキュリティへの対応
・エネルギーセキュリティは国の根幹にかかわる政策で、エネルギー自給率の低いわが国においては、以下が重要である。1)エネルギー消費そのものを増やさない(減少させる)2)エネルギー源を多様化させる(原料、供給地)3)地球環境面から、環境にやさしいエネルギーの使用を増やす
資料:経済産業省資源エネルギー庁「日本のエネルギー2007」
我が国のエネルギー消費は、第一次石油危機以前は、産業部門の発展とともに増大してき。しかし、これ以降は民生部門、運輸部門が伸びており、いかにこれらの部門のエネルギー消費を抑えるためかが、今後の重要課題である。
• 一次エネルギー原料としては、使いやすさ、価格の面から、第一次石油危機までは、石油が主体で、1973年には約80%を占めていた。
• その後、天然ガス、原子力の割合が増え、石油依存率は50%以下になっている。
• 一次エネルギー源の約半分を担っている石油の供給源は、中東依存率が高く、過去90%以上となった時期に第一次石油危機を迎えた苦い経験から1980年代後半に2/3程度まで低減させたが、その後再び上昇し、90%に近付いている。
• 1980年代から、使用量が増えている天然ガスは、他の化石燃料と比べクリーンである事が知られている。
• 天然ガス需要の1/4を占めるLPGは、需要量が頭打ちとなっているが、供給地の中東依存率も高い
• 1980年代から後半から、1990年代にかけて化石エネルギーの価格は安定していたが、1990年代の終わりから上昇しだし、ここにきて史上最高値を更新している。
地球温暖化問題への各国の対応
地球温暖化問題への対策としては、ヨーロッパが進んでおり、炭素税の導入を行っている。また、京都議定書の次の目標としてクールアース推進構想が提案され、洞爺湖サミットの主要議題となっている。
諸外国のCO2削減のための税制度
国名税の形態(導入年)
課税標準 税率 税収 税収の使途 効果等
フィンランド 炭素税 炭素含有量 ガソリン 4.5円/L(58.0円/L) 49.8億MK 一般財源
(1990年) 重油 6,016円/t(0円/t) (1999年) ・所得税の減税
スウェーデン 炭素税 炭素含有量 ガソリン 10.3円/L(43.7円/L) 169億skr 一般財源(1991年) 重油 13,451円/t(9,432円/t) (2001年) ・所得税等の減収分に充当
ノルウェー 炭素税 炭素含有量 ガソリン 13.3円/L(61.3円/L) 75億nkr 一般財源(1991年) (正確には比例 重油 6,641円/t(2,685円/t) (2001年)
していない)デンマーク 炭素税 炭素含有量 ガソリン 0円/L(58.4円/L) 46.5億Dkr ・社会保険料軽減
(1992年) 重油 4,826円/t(29,406円/t) (2001年) ・省エネ/CO2対策 ・バイオ燃料発電補助
オランダ 炭素・エネルギー税 炭素含有量及び ガソリン 1.3円/L(64.6円/L) 一般燃料税 一般燃料税は一般財源(1990、1996年) エネルギー要素の 重油 1,697円/t(1,731円/t) 14億Gld エネルギー規制税は課税対象
エネルギー規制税 に還元59億Gld
双方 (2001年)ドイツ 鉱油税+電気税 炭素含有量には ガソリン 6.8円/L(55.8円/L) 228億Dem ・国民年金保険軽減
(1999年) 依存しない 重油 285円/t(1,709円/t) (2001年) ・再生可能エネ補助イタリア 鉱油税+電気税 エネルギー税の一 ガソリン 2.2円/L(58.9円/L) 2.18兆Itl ・社会保険料軽減
(1999年) 部に炭素含有量 重油 0円/t(5,184円/t) (1999年) ・省エネ、CO2対策補助イギリス 気候変動税 エネルギー要素 ガソリン 0円/L(87.8円/L) 10億ポンド ・社会保険料の雇用者
(2001年) 重油 0円/t(4,999円/t) (予定) 負担引き下げ ・省エネ、再生可能エネルギー 導入促進補助
注: 税率の外書きは炭素税等温暖化対策のための税率、( )は既存のエネルギー諸税 (中環審税制専門委、農業政策研究所報告等をもとに作成)
エネルギー消費構造の変化による減少量の約2/3は石炭・重油から天然ガス・木質燃料への転換効果地域暖房部門におけるバイオ燃料の消費が増大
温暖化対策以外の多様な環境税を導入、CO2税は補完的役割
財源の調達的
エネルギー規制税は課税対象の下限を設定
既存のエネルギー関係税の対象外に課税
2005年に向け段階的に拡充
電気は新税、鉱油は税率引き上げ
一般財源
一般財源一般財源
一般財源
地球温暖化問題への対応という面では、単位発熱量あたりのCO2排出係数が比較的少ないDMEは優れたエネルギー源といえる
燃料高位発熱量[HHV, MJ/kg]
CO2排出係数[g/C/MJ-HHV]
輸入炭(発電用) 25.95 24.70ガス合成燃料用石炭(dry) 31.23 24.34メタノール 22.69 16.60DME 31.69 16.46FT軽油 45.80 18.44原油 45.01 19.16C重油 44.93 19.54A重油 42.61 18.91軽油 46.37 18.73ガソリン 46.65 18.30LPG 50.23 16.32天然ガス 57.39 13.45LNG 54.42 13.47都市ガス 54.00 13.95バイオマス(木質系) 17.00 29.36
温暖化ガス(CO2)排出係数
資料:日本DMEフォーラム編「DMEハンドブック」
大気環境汚染問題への対応
・我が国の大気環境汚染として、輸送系エネルギー使用の大半を占める自動車か ら排出されるものとしては、NOx、SOx、浮遊粒子状物質(SPM)が問題といわ れている。・これら3物質のうち、SOxno削減効果がきわだっているが、これは原料中の硫黄 成分の除去規制と、触媒系排ガス処理装置が進歩したためてある。
・ディーゼルエンジン車は、燃費がよく、ヨーロッパでは、乗用車にも使用されている。 我が国では、バス・トラックに限定されているが、 CO2排出量に関しては、ガソ リン車より有利である・地球規模で、温暖化対策、環境対策を講じなくてはいけなくなった現在、エネル ギー使用量に占める割合の多い、自動車の燃費向上によるCO2削減に向け、 欧州のように、ディーゼルエンジン車の利用を世界的に検討する必要がある。
・
資料:読売新聞(2006年9月12日)
・DMEは、セタン価が高く、ディーゼルエンジン燃料として使用可能であり、軽油と 異なり、合成原料であるので硫黄を含まず、すすの発生もほとんどないといった 利点をもつ。・自動車に対する排ガス規制が進む中、燃料中の硫黄等の不純物除去は、非常 に進んできており、これ以上の燃料中の不純物除去は、DMEなどのように原理 的不純物を含まない燃料の使用が注目されている。
エルピーガス振興センター
関連制度に関する調査-1DME燃料実用化基盤整備事業(H14~16年度)
高圧ガス保安協会
関連制度に関する調査-2DME燃料安全性に関わる基礎調査(H14~16年度)
JOGMEC
関連制度に関する調査-3DME利用技術開発(H13~18年度)
JOGMEC
関連制度に関する調査-4DME燃料利用技術開発(H13~18年度)
経済産業省
関連制度に関する調査-5DME燃料実用化基盤整備事業(H14~16年度)
日本におけるDME論文発表推移(1)
・原著論文、学会講演等は事業期間中大幅に増加している。・2007年は論文のデータベースへの収録遅れが考えられるが、直近2年で見る と論文等は減少している。
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原著論文数
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全論文・報文数
原著論文(内数) 全論文、報文(学会講演等含む)
事業期間(H14~H18)
日本におけるDME論文発表推移(2)
論 執筆者属性分類
企業28%
公益法人、公的研究機関等
19%
大学53%
環境・資源2%
物性・燃焼反応・安全6%
燃料電池・改質11%
ディーゼル基礎21% ディーゼル
39%
その他5%
合成・製造9%
脱水・冷凍利用2%
ボイラ1% ガスタービン
4%
論文執筆者属性分類 技術内容
DMEに関する日本における特許の出願状況・海外のDME特許は物質としての利用が主で、燃料利用、製造特許は少ない。・日本の燃料利用技術は2001年より盛んになり、まだ継続中である。
DME特許出願件数推移
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出願件数
外国 日本
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出願件数
海外 日本 参加企業(内数)
DME燃料製造特許出願推移
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出願件数
海外 日本
DMEの物質利用特許
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出願件数
海外 日本
DME燃料特許の出願人属性
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出願件数
本制度 双方 JOGMEC
財団等 自動車及び同部品会社 その他国内企業等
海外
DME燃料特許の目的
ディーゼル, 82
火花点火機関, 2
ガスタービン, 7
工業炉・バーナー, 10
改質・再生, 21
水素製造, 55燃料電池, 112
シール・潤滑・絶縁, 26
貯蔵・輸送, 22
燃料・着臭・ガス検知, 22
器具・配管系, 24
その他, 9
DME燃料利用に関する特許(2)
出願人属性
・本制度による補助金を受けた企業等
・JOGMEC:石油天然ガス・金属鉱物資源機構の補助制度を利用した企業等
・双方:双方の補助制度を利用した企業等
総合資源エネルギー調査会における審議経過
• 石油分科会石油部会燃料政策小委員会におけるDMEの審議は以下のように行われている。(赤字で表示した企業はクリーン燃料プログラム参画企業を示す。)
• 第14回委員会(平成15年12月3日)
DME開発に関するプレゼンテーション(三菱ガス化学・伊藤忠商事)
DME開発に関するプレゼンテーション(JFEホールディングス)
• 第15回委員会(平成16年2月3日)
GTL・DMEの自動車への利用について(トヨタ自動車、いすゞ自動車)
• 第16回委員会(平成16年3月24日)
発電燃料としてのDME(電源開発)
DMEの新エネルギーとしての課題(新日本テクノロジー)
新エネルギーDMEの実用化に向けた利用技術開発の現状(三菱重工業)
新燃料グレードDME高効率燃焼システム(日立製作所)
• 第2次中間答申(平成16年7月)
DMEの普及のシナリオ出典:2003年12月3日 総合資源エネルギー調査会石油分科会燃料小委員会資料
三菱ガス化学(株)・伊藤忠商事(株)の発表資料に現状加筆
開発終了
国内プラント稼動
DMEの内外の現状
・我が国では、「DME利用技術開発・普及基盤整備」の諸事業が1990年代の終 わりから取り組まれ、世界最高水準にある。・又、①京浜臨海部DME普及モデル事業、②北九州DMEモデルタウン構想、③ 新潟DMEモデル構想が地方自治体との協力事業として取り組まれてきた。・普及促進プラントとしては、下図に示す立地でメタノール脱水法による8万t/年が 建設中で、今年の6月から稼動予定である。
・海外においては中国が実用化に向け既に年産10万t以上の工場が複数稼動し ており、スプレー缶向けの噴霧剤、クリーンエネルギー源として使用されている。・又、100万t/年以上の大型工場の計画も複数進行している。・上海では、 2010年に1000台を目標に都市交通バスへのDME燃料使用も開始 された。