2015-06 Senegal Sakogashira - 青年海外協力隊 ...jocvmrdb.phpapps.jp/wp-content/uploads/2015/10/... · 青年海外協力隊平成26年度1次隊 フィールド調査団4次隊

情操教育を普及させるために情操教育を普及させるために情操教育を普及させるために情操教育を普及させるために

～カフリン県の小学校における～カフリン県の小学校における～カフリン県の小学校における～カフリン県の小学校における

実施状況と取り組み～実施状況と取り組み～実施状況と取り組み～実施状況と取り組み～

青年海外協力隊 平成２６年度１次隊

フィールド調査団４次隊

カフリン 小学校教育 迫頭美紗

フィールド調査団最終報告

発表概要

１１１１ 何が問題なのか何が問題なのか何が問題なのか何が問題なのか情操教育は、週１回程度時間割の中に位置づけられているのに実施で

きていない。

また、情操教育教科内の特定の分野のみ行われている現状。

２２２２ なぜそれが問題なのかなぜそれが問題なのかなぜそれが問題なのかなぜそれが問題なのか情操教育は必修の教科として位置づけられている。

また、学年ごとの学習内容が学習指導要領に記載されているが、情操

教育教科内で特定の分野の内容だけしか実施できていない。

３３３３ 問題解決のための提案問題解決のための提案問題解決のための提案問題解決のための提案

ミニ研修会の実施と検証

４４４４ 今後の方向性今後の方向性今後の方向性今後の方向性

ミニ研修会の継続

仏語・算数と情操教育を組み合わせた授業の提案

問題意識→予備調査→考察→問題定義→仮説検証→解決策提案→検証

自己紹介

２０１４年７月にセネガル入り、８月に任地カフリンへ赴任

配属先・・IEF de Kaffrine （カフリン県教育委員会）

要請内容・・カフリン県の小学校を巡回し、現場教師と共

に情操教育（音楽・図工・体育など）の普及に

努める。

活動内容・・特定の学校に絞らず、県内を巡回。

情操教育の授業について先生方と一緒に考えな

がら、授業実施のサポートをしている。

フィールド調査の動機・目的

授業について

一緒に

考えていきたい

実態把握からの出発

先生方の言葉をヒントに

解決策を探る

調査の背景（問題意識）

実施状況について、先生方の意識についての疑問実施状況について、先生方の意識についての疑問実施状況について、先生方の意識についての疑問実施状況について、先生方の意識についての疑問

「教室をきれいに飾

りつけたいから図工の授業をやりたい」

算数とフランス語の授

業ばかり行われているような気がする。

「もうすぐ、CAP（教師の資格

試験）があるから体育の授業

をやらなければいけない。い

つ視学官が来るかわからないから、毎日やらなくては」

１．Guide pédagogique（セネガル版学習指導要領）の情操教育の内容を知っ

ているか

２．JICAの情操教育についての指導書について知っているか。また使ったこと

はあるか

３．昨年の情操教育（体育、音楽、図工それぞれについて）の実施回数と実施

内容

４．情操教育は何のために行うと考えるか

（選択式・複数回答可、他の場合は意見を書いてもらう）

５．情操教育に対するイメージ

（選択式・複数回答可、他の場合は意見を書いてもらう）

予備調査（実態把握）

情操教育についての情操教育についての情操教育についての情操教育についてのアンケートアンケートアンケートアンケート期間：２０１５年１月～２月

方法：アンケート用紙記入形式

対象：カフリン県の小学校教諭対象 → １３校５０人から回答を得る

考察１

予備調査から予備調査から予備調査から予備調査から

見えてきたこと見えてきたこと見えてきたこと見えてきたこと

情操教育の授業を週１回程度きちんと行っている教師もいるが、月１～２回のみ、または行っていない教師もいる

Guide pédagogiqueの情操教育の内容は知っているが、教科内の特定の分野のみ行っている

体育・音楽・図工ともに年に１～３項目程度しか行われていない

予備調査から、情操教育の「実施頻度」「実施の網羅性」「実施頻度」「実施の網羅性」「実施頻度」「実施の網羅性」「実施頻度」「実施の網羅性」「知識の網羅性」「知識の網羅性」「知識の網羅性」「知識の網羅性」に問題があることが明らかになった

時間割では週１回程度時間割では週１回程度時間割では週１回程度時間割では週１回程度

行うことになっている行うことになっている行うことになっている行うことになっている

各教科について、一通り各教科について、一通り各教科について、一通り各教科について、一通り

把握している。また全て把握している。また全て把握している。また全て把握している。また全て

の内容を実施するの内容を実施するの内容を実施するの内容を実施する

体育・音楽・図工ともに体育・音楽・図工ともに体育・音楽・図工ともに体育・音楽・図工ともに

年に４～５項目程度行う年に４～５項目程度行う年に４～５項目程度行う年に４～５項目程度行う

あるべき姿あるべき姿あるべき姿あるべき姿GAP＝問題＝問題＝問題＝問題

週１回行っているという教師が多いが、

月に１回、「行わなかった」と答える教師もいた。

週1回 週2回 週3～5回 月2回 月1回行わな

かった

体育 32 2 4 2 3 4

音楽 29 5 1 0 8 2

図工 31 2 1 1 3 8

0

5

10

15

20

25

30

35

回数

回数

回数

回数

昨年の情操教育の実施回数について昨年の情操教育の実施回数について昨年の情操教育の実施回数について昨年の情操教育の実施回数について

アンケート結果１ 実施頻度について

単位：人有効回答数：体育（47人）,音楽（44人）,図工（45人）

実施度が高いのは「短距離走」,「サッカー」,「跳躍競技（走り幅跳

び、走り高跳び）」,「伝統的なあそび」である。

「投げる運動」を行ったと答えた教師はいなかった。

C1-CPC1-CP

基礎的な運動

バランス・柔軟性

隊列・行進

伝統的なあそび

隊形運動

機能的なあそび

あそびの実践

スポーツの前段階

CE1-CE2CE1-CE2

柔軟性・筋力トレーニング

あそびの実践

走る

跳躍

投げる

ルールや技術を入れたあそび

試合の準備

CM1-CM2CM1-CM2

走競技

跳躍競技

サッカー

バレーボールまたはハンドボール

投競技

レスリング

リレー

バスケットボール

実施度

低 高

アンケート結果２－１ 実施の網羅性について

昨年度の情操教育の実施内容【体育】

実施内容には、曲名を上げる教師がほとんどであった。

歌唱のみ行われている状況であるといえる。

C1-CPC1-CP

音・声・メロディーの区別

音やリズムの変化に気づく

違う音を出す、まねる

歌の音・リズム・メロディーの再現

独唱・斉唱

歌唱

歌の伴奏

合唱・独唱

歌に合わせた動き

CE1-CE2CE1-CE2

楽器による音の再現

動作とメロディーの組み合わせ

歌唱

楽器あそび

メロディーの解釈

楽器メロディーと動きの組み合わせ

様々な楽器の音をまねる

歌と動きと楽器の組み合わせ

楽器伴奏ありの歌唱

歌の作曲

CM1-CM2CM1-CM2

国の演目に由来する歌（グループ）

国の演目に由来する歌（独唱）

固有財産に由来する歌の演奏

固有財産を鼓舞する歌の創造

グループでの歌唱

独唱（楽器あり・なし）

歌唱（楽器あり・なし）

歌の創作

実施度

低 高

アンケート結果２－２ 実施の網羅性について

昨年度の情操教育の実施内容【【【【音楽音楽音楽音楽】】】】

実施度が高いのは「形や色を見分ける」,「デッサン」である。

「材料の区別」,「立体作品」,「風景画」,「鑑賞（説明、解釈）」を行っ

たと答えた教師はいなかった。

C1-CPC1-CP

形の区別

色の区別

表現法の違い

表現

材料の区別

飾る

形・色・材料の区別

装飾作り

CE1-CE2CE1-CE2

粘土の材料の準備

粘土製作

平面作品

立体作品

形や色の区別と表現技法

形や色を使った表現技法

装飾技術の発見

装飾作り

CM1-CM2CM1-CM2

模写

自由デッサン

コラージュ

粘土

風景画

対象画

自身の作品の説明

他者の作品の解釈

実施度

低 高

アンケート結果２－３ 実施の網羅性について

昨年度の情操教育の実施内容【【【【図工図工図工図工】】】】

年に１～３項目のみの内容を行っている教師が多い。

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

1項目 2項目 3項目 4～5項目 記述なし

情操教育の実施内容項目数情操教育の実施内容項目数情操教育の実施内容項目数情操教育の実施内容項目数

体育

音楽

図工

単位：人有効回答数：体育,音楽,図工（50人）

アンケート結果３ 知識の網羅性について

予備調査から、情操教育を行う理由に、教師の教師の教師の教師の試験のため試験のため試験のため試験のため、教室の飾りつけ教室の飾りつけ教室の飾りつけ教室の飾りつけのためと答える教師もいることがわかった。

教師の試験のために行う

→試験が終わったらやらない（？）

試験がないとやらない（？）

教室の飾りつけのために行う

考察２

予備調査から予備調査から予備調査から予備調査から

見えてきたこと見えてきたこと見えてきたこと見えてきたこと

週１回程度行う

飾り作り以外の内容も行う

あるべき姿あるべき姿あるべき姿あるべき姿GAP＝問題＝問題＝問題＝問題

教師の試験のため、子どもの試験のためと答える人がいる。また、クラスの飾りつけ（図工）のためと答える人も多い。

33%

20%

17%

13%

11%

2%2% 2% 子どもの発達のため

義務

クラスの飾りクラスの飾りクラスの飾りクラスの飾り

教師の試験のため教師の試験のため教師の試験のため教師の試験のため

子どもの試験のため子どもの試験のため子どもの試験のため子どもの試験のため

将来の子どもたちのため

健康な体作り

心の発達のため

アンケート結果４

単位％

有効回答数５０人

予備調査から、情操教育はおもしろいおもしろいおもしろいおもしろいと考えている人が大多数であるが、難しい難しい難しい難しいと答える人がいることもわかった。

難しいからやらない（？）

難しいからできない（？）

考察３

週１回程度行う

週１回程度、Guide

pédagogique の内容をもとに行う

予備調査から予備調査から予備調査から予備調査から

見えてきたこと見えてきたこと見えてきたこと見えてきたことあるべき姿あるべき姿あるべき姿あるべき姿GAP＝問題＝問題＝問題＝問題

おもいしろいと答えている人大多数を占めている。

しかし、難しいと考えている人もいる。

アンケート結果５

62%

17%

5%

5%

2%

9%

おもしろい

難しい難しい難しい難しい

何をしたらいいかわ何をしたらいいかわ何をしたらいいかわ何をしたらいいかわ

からないからないからないからないできないできないできないできない

必要ない

発達の目覚め単位％有効回答数５０人

問題の定義

問題問題問題問題情操教育は、週１回程度時間割の中に位置づけられているの

に実施できていない

また、情操教育教科内の特定の分野のみ行われている現状

問題に対しての取り組み問題に対しての取り組み問題に対しての取り組み問題に対しての取り組み→問題の原因を探る

なぜ行われていないのか、何があったらやるのか

→問題についての仮説構築＆検証

２０１５年３月～６月 聴き取り調査

問題の原因を探る（仮説１）

情操教育は、週１回時間割の中に位置づけられてい情操教育は、週１回時間割の中に位置づけられてい情操教育は、週１回時間割の中に位置づけられてい情操教育は、週１回時間割の中に位置づけられているのにるのにるのにるのにどうしてどうしてどうしてどうして実施実施実施実施でででできていないきていないきていないきていないのか？のか？のか？のか？

教師の試験教師の試験教師の試験教師の試験のために行うものと考えており、試験が終わったらやらなくなる教師が多いから。また、試験がない教師は行わないから

算数やフランス語算数やフランス語算数やフランス語算数やフランス語の授業の内容をこなすだけで手いっぱいだから

時間時間時間時間が足りない、準備に時間がかかると考えているから

道具道具道具道具がないからやらない、できないと考えているから

やり方やり方やり方やり方がわからない、難しいと考えているから

情操教育の中で、特定の情操教育の中で、特定の情操教育の中で、特定の情操教育の中で、特定の分野分野分野分野の内容のみ行われての内容のみ行われての内容のみ行われての内容のみ行われて

いるのはなぜか？いるのはなぜか？いるのはなぜか？いるのはなぜか？

図工は教室の飾りつけのために行うというように教科に対して特定の内容特定の内容特定の内容特定の内容、またはイメージしか知らないから

やり方やり方やり方やり方がわからない、難しいと考えているから

実施すべき内容内容内容内容を知らないから

道具道具道具道具がないからやらない、できないと考えているから

全ての内容内容内容内容を教えなければいけないという意識が低く、できること、やれることだけやればいいと考えているから

問題の原因を探る（仮説２）

仮説検証

アンケート結果の説明→聴き取り調査

ほぼ、仮説は当てはまっていることがわかった。

道具・材料の問題（できないのは仕方ない）

知識の問題（やり方がわからない）

時間の問題（算数と仏語の授業で手いっぱい）

意識の問題（試験のために行う）

問題解決のために①

道具・材料の問題

（できないのは仕方ない）

知識の問題

（やり方がわからない）

今ある身近なもので今ある身近なもので今ある身近なもので今ある身近なもので

できることを知れるようにできることを知れるようにできることを知れるようにできることを知れるように

これならできそうかなこれならできそうかなこれならできそうかなこれならできそうかな

と思えるようにと思えるようにと思えるようにと思えるように

代わりになる代わりになる代わりになる代わりになるものがあるものがあるものがあるものがある

研修が不足研修が不足研修が不足研修が不足しているしているしているしている

提案１

ミニ研修会の実施・休み時間（３０分）のうち１０分間を利用

・身近な材料・用具を使ってできるものを紹介

（図工：チョークを使ってのグラデーション）

結果

１１校１１校１１校１１校で研修会で研修会で研修会で研修会実施実施実施実施 → ６６６６人の先生が授業実施人の先生が授業実施人の先生が授業実施人の先生が授業実施

これからこれからこれからこれからも継続していくも継続していくも継続していくも継続していく → 実施率を上げる実施率を上げる実施率を上げる実施率を上げる

アンケート（聴き取り）

「このやり方は難しいか、簡単か」

「たくさんの材料が必要か、必要でないか」

簡単たくさんの材料は必要ない

問題解決のために②

意識の問題

（試験のため）

必要性を感じられる必要性を感じられる必要性を感じられる必要性を感じられるようにようにようにように

時間の問題

（算数と仏語の授業で手いっぱいだ）

情操教育で培われる力情操教育で培われる力情操教育で培われる力情操教育で培われる力を仏語・算数の授業にを仏語・算数の授業にを仏語・算数の授業にを仏語・算数の授業にも活かせるようにも活かせるようにも活かせるようにも活かせるように

情操教育は音楽・図情操教育は音楽・図情操教育は音楽・図情操教育は音楽・図工・体育だけではない工・体育だけではない工・体育だけではない工・体育だけではない

各教科はチェーンの各教科はチェーンの各教科はチェーンの各教科はチェーンのように関連しているように関連しているように関連しているように関連している

今後に向けての取り組み提案２

仏語・算数の授業に情操教育の要素を取り入れる

例えば・・・

・授業内容に合わせて歌を歌う （内容理解を深める）

・本の読み聞かせ （想像力を高める）

・半具体物教材の作成 （ものの見方を広げる） など

調査方法・・提案後の実施率調査・授業観察・先生方への聴き取り

実行方法・・提案２施行→ 検証

スケジュール・・2015.7月～ 9月 解決策案検討

10月～2016.2月 提案２の取り組み実施

３月 結果報告予定

ご清聴ありがとうございました